水晶の光がなくなると共に私は肩の力を抜く。久しぶりに気を張った状態に疲れたがいい情報も得れた。
「1993年、か」
〝逆行〟言葉にするのは簡単なモノだが、実際に過去に来たと仮定するならそれはそれはとんでもないことだ。それに死に体の体は神の奇跡にでもあったかの様に治っている。
事実は小説よりも奇なり。なるほどその通りだ。私は神の気まぐれに巻き込まれた過去に来たって事だ、
「・・たく、めんどくせ」
超辺りがいたら聞けるんだが、この時期は来ていないだろう。なら自分で調べるしかないが恐らく行動に起こせるのはネギ先生の村が壊滅した後だろう。
めんどくさいと口にしていながら結局のところ行動しようとしている。やはり私はあの人に惚れていたんだと思いしれされる。そんな自分の心境に苦笑いしていると扉が開く音がし、二つの足音が私に向かってくる。
「長谷君、学園長から聞いたと思うが君は学園預かりの身になった、私自身としては不本意だが君の行動を二十四時間監視させてもらう」
恐らく睨んでいるのだろう。そう確信させる程棘の立った声色をするガンドルフィーニ先生は、私の拘束を解き私の首に何かを付ける。
「それは奴隷の首輪だ。それには音声・映像録音、位置情報の探知に逃亡時の爆弾が付いている。バカな事は考えるな」
中学の時、魔法世界で和泉に大河内、佐々木が首に付けられた奴隷の首輪は奴隷としての人権はある程度守れれる様に作られていた、しかし私が付けられたのはある意味特別性と言ってもいい代物だ。行動を抑制し情報の漏えいを防ぐ。スパイだったならこれ以上の物はないだろう。
「分かっているとは思うが、我々は君の事は信用していない。」
一人沈黙をしていた高畑先生は重たい口を開きそう言った。高畑先生は英雄ナギを崇拝していると言ってもいい。そんな人がナギの忘れ形見であるネギ先生の危険を知っている私はどんな風に見えるのだろうか。恐怖の権化か?はたまた天の使いか?どっちにしろ私から見たらめんどくさいことには変わりない。
「私はどうすればいいんですか?」
私は麻帆良の事は大抵知っている。自身の利用価値があることを証明するために首の皮一枚つながる状態には持っていったが、私が要らない事をしバタフライエフェクトにより変わることもあるだろう。いやもう変わっているだろう。そして私が未来から来たと言った時恐らくそこまで考え学園長は監視用で私に鎖をつけた。
私の安全と私の利用価値を両方守るために。
「・・君は何もするな。分かっていると思うが君自身に利用価値があるから未だにこの学園に居ることが出来る。そんな君が動けば君自身の首を絞めることになる。」
「・・・だから動くな、ですか」
私はどこで生活したらいいのか聞きたかったのだが、まぁ仕方ない。
当分の間は日の目は拝めないのだろうな。なんてことを考えながら私はガンドルフィーニ先生に連れられて更なる地下に進んでいく。
学園長と長谷雨の対談は無事と言ったらいいのか分からないが無事終わった。
彼女の言ったことは虚言ならどれだけ良いだろうか。今現在彼女の首には破格のリターンが掛かっている。利用価値という面では彼女以上の人材は居ないだろう。しかしそれは彼女の言葉が真実ならばだ。彼女が元老委員の手先でない可能性は捨てきれない今、ネギ君を天秤にかける様な事をしないといけない僕の心境は最悪といえる。もし彼に何かあればナギに顔向けができない。
「・・何でこんな事になったんだ」
彼女を図書館島の最下層に連れていきガンドルフィーニ先生と別れた今僕は一人だ。気が緩んでいたのかもしれない。周りの確認もせず気が付くとそんなことを呟いていた。
そして、不覚のなことに彼女に聞かれたしまった。
「・・高畑先輩?」
眼鏡をかけ背中まで伸びたブロンドの髪を一つにまとめ両手に抱えた本を持ちながらきょとんとした様な顔で僕を見ている。一つ下の学年の源しずな君。
彼女の事は学園長から話は聞いたことはある。魔法使いの家系ではあるが僕と同じように魔力が使えない体質だと。その為か知らないが、彼女の魔法に関する記憶は消されているらしい。
彼女に関することはあまり知らない僕は、彼女との対応に困るものを感じる。片や魔法の事を知り、片や魔法を知らない。同じ体質でありながら住む世界が違う。そして僕は彼女に対して負い目を感じている。
「あ、あぁ源君か、変な所を見せてしまったね」
苦笑いをしながらそんな事を言うが心境は全く別物だった。彼女と向き合いたくない、彼女の声を聴きたくない、彼女の事を考えたくない。
逃げたい。逃げたい。逃げたい。
今まで考えていたことが嘘だたかの様に僕の心境はめちゃくちゃだ。表情に出さないので精一杯だ。
そんな僕とは裏腹に彼女の表情は何処までも楽しそうに、嬉しそうに感じる。
そんな顔をするな。そんな目で僕を見るな。
やめろ。やめろ。やめろ。
思考が定まれず、眩暈がし始めた時だった。一本の電話が僕のもとに掛かってきた。
「すまない、源君。電話が来たので失礼するよ。」
僕は逃げる様にその場を後にする。誰からの電話か分からないが僕はただ感謝した。
逃げる様に去っていく高畑君を見ながら私の心境は嫌に揺れた。
彼が私を避けているのは前々から気づいていた。それでも私の本能の底の部分が震えたたせる。『彼に近づけ』と。
「えぇ、分かっているはそんな事。・・・うるさいわね黙りなさい。」
今私はどんな表情をしているのだろうか。容易に想像できる。だからこそ良かった誰もいなくて。こんな表情誰にも見られたくないもの。
こんなに醜い私の表情なんて。
牢屋にでも入れられると思っていた私は拍子抜けである。監禁は確かにされているが想像に斜め上を行っている。あのタヌキ爺が考えるだけはある。
「普通は捕虜を禁書庫の司書にしねぇよ。あの爺どういう神経してんだ?」
まぁ実際この書斎はとんでもないんだろうな。魔法に詳しくないから分からないが。
ほぼ一般人と変わらない私は魔法に対する耐性はゼロに等しい。そんな私が禁書を目にしたらどうなる?いたって簡単な答えだ。一つの肉の塊が完成するだけ。一つ間違えればこの場所は処刑台に早変わりだ。まったくもってとんでもない場所である。
「気が休まらねぇなこんな場所だったら。」
ため息を吐き中央に置かれている椅子に腰かけた。ここに入る前に返されたパクティオーカードを取り出す。そこに映し出された私は以前と変わらぬ姿ではあるもののカードとしての機能は消え死んだ物となった。
「私が死んだからか、それとも世界線が変わったからなのか。どっちにしろカードの恩恵は受けれないし話し相手もいなくなったわけか。」
やはりどこか寂しいものを感じる。なんだかんだ言って長い年月をあいつ等と過ごしてきた。魔法世界に放り出された時もあいつ等が居たから生き残れた部分は大きい。
目頭が熱くなるが私が進むために振り返る訳にはいかない。
でも今だけは・・・
「・・ちくしょ」
声をかみ殺し頬を伝う涙を隠すように両目を覆う。私は生涯の友を失った。オタクで引き籠もりの駄目な私の傍にずっとずっと居てくれ、ネギ先生との唯一の繋がり。
今回私が話した事は学園長からメルディアの校長に伝わるだろう。そうすれば必ずネギ先生を麻帆良に送る。私を利用するために。
私自身の利用価値を何よりも高めたのはネギ先生とのパクティオ―カードだ。そして話した事の信憑性を高める要因がネギ先生が生まれて間もない事とパクティオ―カードが死んでいること。
あいつ等を失った私に残された物は養った知識に魔法世界での経験、そして未来の出来事。この数少ない武器で私はネギ先生の敵を見つけ、ネギ先生の描いた未来を守らないといけない。
「・・たくとんでもねぇ仕事押し付けやがって。」
涙を拭い私は前を向く。一歩進むために。小さな一歩でも私は着実に進まなければいけない。
「おや泣き止むのですか?」
一歩・・い、っぽ・・
「どうしました?」
ため息を吐き私は頭を抱えていた。白のローブを羽織った胡散臭い笑みを浮かべる、もっとも会いたくない人物が私の前に居た。
「アルビレオ・イマ。何でアンタがここにいる?」
「おや?私の事を知っているのですか」
不思議そうな声色でそんな事を言うが笑った顔は何処までも信用ならない。私の知る限り世界で世界で二段目の長生きの古本。そして
「何でここにいる?学園長にでも聞いたか?」
「なぜと言われましても、私はもともと此処に居ましたよ。それより貴女、もういいのですか泣かなくて。」
からかう相手を見つけたかのように生き生きとした様な顔を向けてくる。いや、実際に見つけたに過ぎないのだろう。
こいつは今ここに居たと言った。ならこいつとあと三年は過ごすって事だ。
「・・・最悪だ」
「何が最悪なんですか?」
胡散臭い笑顔に私はため息を吐く。そしてもう一度呟いた。
「最悪だ」と。
遅かったし短いなぁ~
※2015.7/18 微修正
続き書こうと思ってネギま読み返してたら重大なミスを犯していた
千雨に偽名名乗らせたけどパクティオ―カード回収されている時点で偽名の意味がね
子供の千雨が学園長の魔の手に落ちる!