五区にあるアカデミーの講堂で任命式を終えた捜査官の雛たち――白鳩的な意味で――は各々で自分が配属された支部に連絡を取りパートナーになる上司との接触を図ることになっている。
面倒な手順ではあるがパートナーとの結束力などをを早くに形成するために、そのように決められているらしい。
喰種捜査官は基本二人一組で行動している。喰種は人間以上の身体能力があるが、情報を処理する脳みそが二つあるわけじゃない。
一対一では無く、二対一で戦うことによって、人間は喰種とわたり合うことができるようになる。
ただし例外は存在する、上位捜査官と呼ばれる、上等捜査官・准特等捜査官・特等捜査官である。
ずば抜けてすごいのは、
有馬 貴将特等捜査官は若くして特等捜査官に上り詰め、CCG最強の捜査官と呼ばれている。
いくつかの伝説があり、中でも多くの准特等・特等捜査官を殺害したSSSレートの隻眼の梟と呼ばれる喰種を二等捜査官時代に撃退しているのである。本当に人間なのか疑わしい人物であり、睨まれでもしたら俺は引きこもりになってしまうだろう。『CCGの死神』なんて呼ばれているんだ、怖すぎるだろ。
俺は講堂を出てすぐ空いたスペースで二十三区の支部に連絡を入れる、周りには同じように連絡をいれているのだろう同期たちが数人見える。
数回のコール音の後、若い女性の声が携帯電話から聞こえた。
「こちら喰種対策局二十三区支部です。ご用件は何でしょうか?」
「私は、本日付で喰種対策局二十三区支部に配属される、比企谷 八幡三等喰種捜査官です。パートナーとなる千之
「比企谷・・・はい、千之准特等から言伝を預かっています、読み上げますね『こちらから迎えに行きます、アカデミーの東棟にカフェがあったはずです、そこで落ち合いましょう』言伝は以上です。よろしかったでしょうか?」
「はい、ありがとうございました。これからそちらでお世話になりますので、よろしくお願いします。では、失礼します」
「はい、こちらこそよろしくお願いしますね」女性は爽やかな挨拶とともに電話切った。
俺は今急いでいる、何処へかと言うと東棟のカフェへである。
これからパートナーとなる上司を待たせるのは、誰でもわかることである。なり立てとはいえ、俺も喰種捜査官であるちょっと走ったぐらいでは息もきれない。すぐにカフェへと到着した。
しまった、俺は千之さんの顔を知らないぞ!
カフェへ到着し困りキョロキョロとしていると「比企谷君、こっちだよ、こっち」とくぐもった低い声で呼びかけられた。
すぐ声のした方を向き、一人の男性が席に座っているのを見て俺は
「千之准特等であられますか、私は比企谷三等捜査官です。これからお世話になりますがよろs・・・!?」俺は声を失った。
そこにいたのは席に座った三十代後半であろう男性は、四角い眼鏡とスーツを着こなし少しだけ愛嬌のある顔をしていて、
「どうしたの比企谷君? 固まっちゃって?」
なぜか、口いっぱいに豆大福をくわえていた。
「はあ、おいしかった。豆大福には日本茶があうね、やっぱり」
千之准特等は口内の豆大福を食べ切り、おそらく自前であろうポッドから日本茶をだし飲みそうしみじみと呟いた。
場には日本茶の香りと、どう切り出していいのかわからない空気が漂っていた。
「あの私は比k「うん、聞いてたよ比企谷捜査官だよね、僕のパートナーになる」・・・はい」
またもや、ちゃんと言えなかった。
「僕が何食べてたか気になるよね? あれは豆大福だよ、豆大福といっても『群○堂』のだよ護国寺駅の近くの。五区にこれたから久々に食べれたよ。僕は甘味が好きなんだけど、田井中が「甘いもの取りすぎだ」って煩くてね、ああ田井中ってのは同じ二十三区の捜査官で」
俺の初めてのパートナーは甘い物好きな、よう喋るおっちゃんだった。
少しずつでも、文字数ふやせたらいいな