魔法少女リリカルなのはStrikerS /When I disappear 作:戦鬼
ぴちゃん、ぴちゃん、と雫が落ちる音が聞こえる。もう何度聴いているかも分からない。そこは檻であり、実験場でもあった。あたりには機材おかれており、そのほとんどが壊れていた。
そしてそこには一つの人影。髪は真っ白だというのに、顔は若い。うたた寝しかけているその眼は紅く、まるで血の色をしている。
「今日で今年は何日目だったけな~」
最初の一年間はただ、何故なのかという疑問。
次の一年間くらい経って悲しみと怒り。さらに半年経った頃には涙は枯れ果て、怒りを生むだけの毎日。三年目でそれも消え、退屈となった俺はこの牢獄の中から聞こえる雫の音を数えていた。...一年で飽きた。いや、一年も続いたと言うべきか。
ただ気まぐれ、同じ日々だから新しいことを始めた、それだけだ。そろそろ考えるのもやめようかと思っていた時、急に牢獄の扉が開いた。
「ひさしぶりだな」
この牢獄にきて久々に人の声と姿を聴いて、そして見た。そしてそれが誰かもすぐに分かった
「こんなところになんのようですか?クロノ提督」
「随分と変わったな。昔と大違いだ」
目の前にいるお方は俺の変化に驚いていた。
「三年以上もこんなとこで閉じ込められてあんな実験受けてたら、死ぬか、あるいはこうなるのは、当たり前だと俺は思うけどな」
なにも言えないのだろう、唇を噛み締めているのがよくわかった。
「別に恨んじゃいない。そんな感情は捨てた」
「それでも言わせてくれ ...すまない。謝罪して済む問題ではないことはわかってる。それでも、すまない!」
本当にそれ以外の言葉がないのだろう、涙を流しているから本気で謝っているなとは思う。そして今更すぎだとも思った。
「今更すぎだろ」
と、思っていたことが口に出る。別に悪いなとは思わない。なぜなら本当のことだからだ。
「君のことを信じていたつもりだった。だが、」
「もう謝るなよ、クロノ提督。なにも変わりはしない。それより、ここに来てそのセリフが出るってことは、真実が分かったんだろ?」
「ああ。4年前の事件は全て偽装だった」
「できれば、裁判中の一年間で見付けて欲しかったな」
嫌みを言うがクロノはなにも言わない。いや、言えないのだろう。
「ただの嫌みです、そのくらいは受け流すべきですよ」
「君に、僕が何かを言う資格はない」
「あの事件はあんたは関わってない。それに、もう終わったことだ。そんなことよりもだ、これからオレはどうなりますか、クロノ提督?」
一番知りたいのはそこだ。退屈な日々が終わるのはいいがその後がどうなるのかは気になる。
「釈放だ。それと同時に君のこれからについてだが、ある部隊に配属となる。もちろん君の公式の記録は出せないがな」
「俺みたいな危険分子を権力つかってでも入れれる隊?どんな危ない部隊なんですかそれ?」
「機動六課...古代遺物管理部だ」
「そういうことですか」
すべてを理解した。やはりこの人は嫌いになれない。今も昔も。
「わかりました。んじゃ、さっさとこの鎖外してくれません?両手両足をつながれてるのもいい加減うんざりなんですよ」
「わかっいる。それじゃ「おまちくだい!」む?」
これからようやく退屈人生から解放されると思ったらこれだ。いきなり入ってきた20くらいの管理局員がクロノの隣に移動する
「こいつは危険です!四年前の事件は冤罪だとしても、こいつの危険性と二年前の事件のほうは真実です!」
考え直してくださいと言いたげなその男性局員は必死にクロノを説得する。それが可笑しかったので笑ってしまった
「なにが可笑しい!」
「いや、お前若いな。なにもわかってない」
「なにが言いたい!」
激情に駆られてるし。もう少し大人になれってんだ。
「いいか、お前がどう思ってるか知らんが、このクロノ提督は優しすぎるが情に流される奴じゃない。それにオレをここから出すのには相当の無理があったはずだ。つまり、その無理を聞かされても、OKを出した上は俺っていう爆弾を置いておける機関を見つけておきたかったってことだ...クロノ提督、その部隊の部隊長は誰です?」
「八神はやてだ」
「闇の書事件の加害者っと、被害者でもありましたね」
露骨に嫌な顔をする二人。事実を言っただけだオレは。
「この通りだ。上からしてみればこの夜神はやてを処分したいができない。そういうとこで爆弾であるオレを抱え込ませる。ここまで言えばお前みたいなのでもわかるだろ?」
ぐっと口を濁す。そうこれは俺へ救済ではない。問題ある爆弾を問題あるところに投げただけ。責任を押し付けただけに過ぎない。
「でもまぁ、それでもここから出られないよりはましだ。それともう一つお前は勘違いしてる。この鎖を取ろうと取りまいと、ここに来た時点でお前の命は保証されない」
と言って人にらみするとすぐに局員はビビりだした。
「安心しろ、殺しはしない。まだ楽しみたいこともあるしな、お互い」
「そこまでにしておけ。君はもう下がっていい。こいつは嘘はつけない人間だ...ん?どうした?」
とクロノが聞いてくる。おそらくオレはきょとんとした顔をしているのだろう。
「いや、オレが嘘をつけないってやつって思ってることもだが、いまだに俺を人間扱いしてくれるとは思わなかった」
「...君は、人じゃないのか?それとも、そんなに爆弾とか暴走兵器と呼ばれたいのか?」
少し怒ったような顔になるクロノを見て
「いや、ありがたい。まだ生きてるんだとより実感できる」
「まったく。それと、君が嘘をつけないというのは前々から承知してる」
「嘘なら一度ついたぜ」
「あぁ。知ってるだからこそだ」
「あぁ、なるほどね」
この人は俺のことをよくわかってらっしゃる。...嘘っていうのは一度ついただけでも自分を不幸にする。それを本当にすればいいが、本当になっても困ることはある。いやというほど味わった。
「かないませんよ、あなたには。クロノ提督...感謝はします。けど、オレは管理局のために働きも戦いもしません。オレが思った通りに戦います。それでもかまいませんか?」
「かまわない。君は他人に迷惑を掛けられない人間だ」
「ぐっ、よくいいますね。生きている限り、どんな奴でも迷惑は掛けますよ?」
即答するとは思わず、いまできる最大限の言葉を返したが
「たしかにな。だが、本当に大切な時はどうするかも君は理解しているだろう?」
やられた。この人は、オレを迷惑かけてもその迷惑を掛けた者たちのためにことを為す者だとお考えだ。そして、残念ながらそれは当たっている。
「クロノ提督、あんたこんな人でしたっけ?」
「君が僕をどう評価してくれていたのかは知らないが、僕も事実を言っただけだ」
「はっ」
しかし、どうやら面白いことにはなりそうだ。
「わかりましたよ。...もう一度言いますけど、オレは基本は独自に動きますから、そのつもりで」
「あぁ。独自行動の許可の書類はいずれ送る。とはいえ、もちろん限定はされるがな」
「はいはい」
やれやれだな。
「っと、そういえば、オレの名はどうすんですか?もちろん偽名になるんでしょ?」
「そのくらいは君が考えていい」
「名前ね~」
自分の名前を考えるなんてもちろんしたことがない。てきとうなのはいやだし、なら
「ロスティ、ロスティ・ゼロでたのみます」
この日、オレは新しい名を得た。これか先に何が起こるのかはわからない。楽しことばかりでないことはわかってる。まぁ、それでもオレはオレだ何も変わってない。
「因みにクロノ提督、オレの階級はどうなるんですか?今ありませんけど」
「一等陸尉だ」
「...はい?」
今この人は何と言った?一等陸尉
「クロノ提督、オレがここに来る前の階級知ってますよね?」
「もちろんだ」
なるほどこれはあれか、オレが少しでも動きやすくするための処置か。しかし、これでなんとなくわかったと同時に理解もした。
「やっぱり、管理局の上層部はクズ野郎どもばかりだ」
改めてそれを再認識した。
しかし、人生捨てたものでもないなとも思う。神様さまがいるとは思っていないがもしいるなら、ここまで悪いことがつながったんだ...最後くらいはいいことがあってほしい。つか、オレのが無理やりつかむ。
「楽しんでいきますか!」
こんな駄文を読んで下さり、ありがとうございます
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