~博麗神社~
朝、鳥のさえずりが神社に響く。
そんな早朝に、1人の参拝客?が訪れる。
緑のタイツがトレードマークのチンクルだ。
チンクルは昨日と同じ様に鈴を鳴らした。
ガランガランッ
……鈴の音が響く。
そして、この神社の巫女が寝ぼけ眼でやってきた。
「もう誰よこんな朝早くから……、ってチンクルじゃない。」
朝の挨拶をするチンクル。
「はいはい、おはよう。それで?賽銭箱にお金でも入れてくれたの?」
チンクルは首を傾げる。
「……そういえば説明してなかったわね。良い?賽銭箱って言うのはこの箱の事で、お金を入れる物なの。何故お金を入れるのかって?そうね、願掛けみたいなものかしら。お金さえ払えば願いが叶う訳じゃないけど、そうなりますようにって言うおまじないみたいなものね。」
ちゃんとした説明をする霊夢。
それを聞いたチンクルは鞄から財布を取り出し、5ルピーを取り出す。
「それがチンクルの世界のお金?青い石でできてるみたいだけど。」
チンクルは少し驚かせようとある事をした。
5ルピーを持ち、空中に投げると青の光を放つ。
そして、空中で5つに分裂した。
カランッカランッカランッ
緑の石が5つ石畳に落ちる。
「えっ!?」
さらにチンクルはその緑の石を集め、それをくっつけると緑の石が光を放った。
光が収まると再び青い石に戻っていた。
「はー……、お金まで凄いわね……。」
チンクルは満足げに5ルピーを賽銭箱に入れ、鈴を鳴らす。
(本当にこいつは不思議な奴ね。顔は兎も角としても、意表を付く事に慣れてる辺り色々と冒険してきただけの事はあるみたいだし。)
冷静にチンクルを考察する霊夢。
そんな時、風が吹いた。
自然に発生した訳では無く、何か近づいている様だった。
「……相変わらず、耳だけは良いみたいね。」
霊夢は心当たりがある様だ。
チンクルはどういう事か尋ねるが霊夢は、
「直に解るわよ。」
と言うので、質問を控える。
そして、一陣の風が渦を巻き博麗神社の石畳の一部に発生した。
小さな竜巻とも呼べる風から声が聞こえてきた。
「あやややや!おはようございまーす!早朝の新刊!できたてホヤホヤの文々。新聞ですよ!」
高らかな声で新聞を強調する。
チンクルはフリージャーナリストの『オレ新聞』を思い出した。
まぁ彼は色々あって新聞記者を再出発したのだが。
そんな事は置いておくとして、声からして女性の様だ。
「こんな朝早くから仕事熱心ね。」
「あやや!ありがとうございます!」
「褒めてないわよ。大方、チンクルの事を取材しに着たんでしょ?」
「勿論!しかしチンクルさん、貴方の噂は聞いておりますよ。何でも女性が顔を見たら発狂しかねないとかなんとか。」
「尾ひれ付き捲ってるわね。それであんたは風で顔を見ないようにしてる訳か。」
「ふっふっふっ。顔を見ても同様しない自信はありますが念の為と言う奴です。」
「このカラスは……。でも、顔も見せずに取材をしようだなんて新聞記者としてどうなのよ?」
取材とは相手と顔を合わせて初めて成り立つものである。
「あやや……それがですねぇ。」
困った声を上げる新聞記者。
「実は先ほど、遠目ですがチンクルさんの顔を少し認識してしまいまして……メモ長にかなりの捏造と悪口のオンパレードを書いている状態でして……。」
「……つまり、風を解いた瞬間襲ってしまう可能性もあると?」
「そうなりますね。いやー流石チンクルさん!遠目で顔を見ただけでも女性を発狂させるとは!憎いね!」
まったく嬉しくないチンクル。
とは言え、このままと言う訳にもいかないので贈り物をする事に。
「でもあの風でどうやって渡すのよ?」
チンクルは風船を取り出す。
「上から物を落すのね。でも、それだとあいつが危ないような……いや大丈夫か。」
「どう意味ですかそれ?」
「マスゴミは死なない。」
「酷い!」
そんなやり取りは置いて、チンクルは贈り物を厳選する。
今のチンクルは相手の姿が見えないから何を送れば良いのか解らない。
霊夢に聞いてみる。
「あのマスゴミの趣味ねぇ。まぁ新聞記者ならそれにあった物やネタが喜ぶんじゃない?あと、あいつは鳥の妖怪みたいな物だから鳥関係は控えたら?」
最低限の情報を手に入れたチンクルは風船を使う。
そして竜巻の真上まで来て、プレゼントを落す。
1つ目はピカリンペンを落す。
「おっと、これはペンですね。おお!書いた所が光りますね!」
ペンを使用する為に、勢い良く書いていた悪意の内容を止める。
2つ目は増産筆入れを落す。
「いやーありがたいですね!最近になって筆やら何やらが何処かに行ってしまうので置き場が欲しかったんですよ!」
筆を無くす辺り、かなり新聞に凝っている様だ。
恐らくこれが最後だと言わんばかりに3目の犬撫でハンドを落した。
「ほう……これは犬を撫でたい時に使う奴ですか。つまり遠くから撫でる事も可能と…。」
新聞記者と対話できるようになった。
風が収まり、改めて女性が名乗る。
「改めまして、新聞記者の鴉天狗こと射命丸文と申します!以後お見知りおきを!」
瞳の色は薄茶色で、髪は黒髪のボブまたはセミロング。頭には赤い山伏風の帽子(頭襟)をかぶっている。(左右の紐に白いポンポンの様な物がある。)
服装は比較的シンプルで、黒いフリルの付いたミニスカートと白いフォーマルな半袖シャツ。赤い靴は底が天狗の下駄のように高くなっている。
「いやーしかし!一時はどうなるかと思いましたよ!ずっとあのままだったら新聞記者として終わってました!」
「終わったほうが良かったんじゃない?」
「悲しいこと言わないでくださいよ~。」
「はいはい嘘泣きお疲れ様。」
「あやや、心外ですね~。それよりチンクルさん、取材をしてもよろしいでしょうか?」
チンクルは気にした様子は無く、承諾するのであった。
・ピカリンペン 書いた所がピカピカと光輝くちょっと不思議なマジックペン。
・増産筆入れ 本来は筆を入れる物だが鉛筆やペンも収納可能
・犬撫でハンド ワンちゃんを撫でたいけど手が汚れる……これなら抜け毛でもノミでも気にならない。