自由の向こう側   作:雲龍紙

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 出来るだけ解かりやすく話の順番を入れ替えているのですが、そうすると1話当たりの文字数が悲しいまでに減ってしまう……。
 まぁ、ケータイから閲覧することを想定しての文量なので、途中で開き直るまであまり長くは書いてないのですが。

 



【Loar 01:zarle deata werllra】

 

 

 ――Rrha guwo ga stel naja gettra gyajlee anw dornpica

  汚れた人間が 木の実を盗んで逃げて行った

 

 ――Rrha i ga guatrz gyas !

  悪霊よ! 怒りを!!

 

 ――Rrha guwo ga stelled gettra gyajlee anw dornpica

  汚れた人間が 木の実を奪い合った

 

 ――Rrha i gagis guatrz gyas !

  悪霊よ! 怒りを

 

 

 

【Loar 01:断罪の雨は降り注ぐ】

 

 

 

 ――雨の中、彼女の歌が意識を撫でる。

 

 彼女は【天剣】の義理の妹で、自分にとっても妹のような、幼馴染のような、そんな関係だった。

 【天剣】である彼とどのような経緯で家族となったのかは詳しくは知らない。ただ、彼女は一度、【核石】を狙う密猟者によって自らの契約者を失っていた。

 だからこそ。

 

 

『――行くのなら、私を使って』

 

 

 そう言ってついてきた彼女に、返す言葉など無く。

 自分はいい。どれだけ血に塗れようと、そうするのが自分の、【剣守】の役割だったのだ。

 けど、彼女は。

 

(――もっと、優しい歌の方が、似合うのに……)

 

 あえて血に塗れる必要など、どこにもないのに。

 

(――ああ、でも)

 

 解る。理解できる。どうしようもないほどの憤怒と悲嘆も、自らの手が届かなかった遣る瀬無さも。

 だから、何も言えない。

 自分が抱えているものと同質の感情の嵐を前に、自分は何も言えなかった。それは、彼女も自分に対して思っているだろうことだから。そして自分は、それを知っていて無視している。だから、彼女に何を言う権利も無い。

 それでも。

 

「――レン、」

 

 彼女の、苦痛と憎悪に満ちた歌が、止まる。

 

「……何?」

 

 囁くような声と、額を撫でる冷たい手の感触に、安堵の息を吐いた。

 

「……僕は、いつものレンの歌の方が、好き」

 

 掠れる声で、呟くように、告げる。

 はっとしたような気配。そして彼女は風車小屋から雨の中へと飛び出してしまった。追いかけようとして、体を起こそうともがく。だが、寝返りをするのも儘ならないような体調では、どうしようもない。

 

 ――雨の音だけが、暗い部屋の中に沁みて来る。

 

 時間をかけて体を起こし、呼吸を整えていると彼女が慌てた様子で戻って来た。しかし、自分が体を起こしているのを見て、怒ったような、それでいて泣きそうな顔をする。

 

「――ごめん」

 

 その一言に彼女は首を振り、そっと肩を支えて改めて横たわらせた。

 

「……外に、人間がいるの。隠れる?」

 

「……――『壁』の……?」

 

「だと思う」

 

「……そう。なら、『中』まで、つれて行ってもらおうか……」

 

「……うん。わかった。あなたはちゃんと休んでて?」

 

「けど……」

 

「私は、あなたまで失いたくない」

 

 そう言って彼女は額にひとつ、口づけを落とした。

 一拍後には背を向け、勢いよく暗い風車小屋から雨の降る外へと飛び出していく。だが、どうも遅かったらしい。何人かでやって来た『お客さん』のうち、彼女を追っていったのはたった一人だった。

 

(――えっと……)

 

 とりあえずは、目の前の『お客さん』に集中しよう。うん。

 

 

 

 

 






 そして名前が出てきてませんが……え? あ、はい。いつもの事です。すみません。

 Loarは風という意味で、レイフォン視点のサブタイトルについています。
 そして、この作品内でのレイフォンは残念ながら明らかに原作よりハイスペックです。たぶん、養い親が違う人だからです。ハイ。



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