架空言語は好物です。
中でも多重録音な架空言語で奏でられる音楽とか、CD1枚で半年は浸っていられます。
でも、訳すときは戦々恐々です。
架空言語→日本語は無問題ですが、日本語→架空言語は……どうすれば微妙なニュアンスを伝えられるのか……。
――― O i xisa Artia forr seffis ?
女神が与えた忘却は救いだったのでしょうか?
―――Ir nen zel tu, Ir zel Sef.
愛しい光よ、私はそうは思わないのです
出逢った『壁の中』の住人たちの世話になりながら辿り着いた街は、トロスト区というらしかった。
なにかと面倒を見てくれた兵士たちに礼を言いながら、そっと離れる。熱は分けてもらった薬で下がっていた。だが、体力も下がっているはずなので、しばらくは無理できない。
とりあえず、逃げた奴が潜んでもすぐには判らないであろう場所を考え、虱潰しに探してみようかと考えた矢先、彼女からしばらくはきちんと休むように、と宣告された。
彼女曰く、風を使えばすぐに特定できる、と。
「いや。なら早く探して片付けよう」
「でも」
「相手が奴程度なら、レンもいるし問題無い。それより早く片付けて【核石】を取り戻して帰らないと。――手遅れになる前に」
レギオス――自律型移動都市の【天剣】と呼ばれる彼らは、他の【宝玉珠】とは一線を画す存在だ。彼らの【核石】はそのまま彼ら自身の第二の心臓だが、【天剣】の【核石】は都市の心臓でもある。
それを奪われた。厳密にはそっくりそのまま奪われたわけでは無く、【核石】のごく一部でしかないが、それでも奪われたことによって今、光浄都市ヴォルフシュテインは停止している。それは災獣が闊歩する大地で『障壁』が全壊し防御機構を全て失い、かつ気候制御などの全システムもシャットダウンしている状態である。
たまたま珍しくも近くにいた他の都市に支援を頼んだが、それもあまり長期間は不味い。他の都市を道連れに滅びる気か、という話になってしまう。
――時間が経って焦りは募るが、少しは冷静になった。もう、個人の感情で行動する余地は本来無いのだと、思い出した。
「――レン。お願い」
―――― 何の為に、強くなりたいのか、と。
あの日、【天剣】である彼にそう訊かれ、護る為に、と応えた。
彼――
―――― お前に、覚悟があるのなら。
―――― 個人的な感情を呑み込み、王を支え、民に仕える覚悟があるのなら。
―――― さあ、この【天剣】の手を取るが良い。
そう言われて、自分はあの時、躊躇いなく『彼』の手を掴んだ。
つかの間の追憶。その記憶を改めて胸に刻み込み、瞑目していた双眸を開く。――自分は、守るために【天剣】の手を取った。
だからこそ。
「――レン。レヴェリー・メザーランス。どうか『私』に、君の力を貸してくれ」
彼女に手を差し出す。
彼女はしばらくその手を眺め、ふと苦笑すると小さく頷き、左手を重ねた。
「……仕方の無い【剣守】ね。でも、あの人の【剣守】としてはきっと丁度いいわ」
――― Tu o ar whit.
これはあなたが呼んだ雨
――― Whit Sef Laq, rin Laq o nen zai.
水は全てを清め、消し去るでしょう
――― Rin zai tu hasra lei o sinal ?
ならば、最後に残ったものこそが真実なのでしょうか?
――― Esiary, whit sef agatia, tu mir ol ar…
それとも、大地を潤したその先に…
ざわり、と風が動いた。渦巻くように広がり、レンの長いアメジスト色の髪を翻す。
「――――見つけた」
「そう。――じゃ、最低限、此処の人たちに迷惑かけないような瞬間まで、待ってみようか」
さてさて。
Pixivから読んで下さっている皆様方はご存知のように、この後レイフォンvs神薙ユウという無茶がある訳ですが。
え? ネタバレ?
いや。えっと、すみません。
勝敗?
いやー……当時、ノートに戦場の状況から精神状態、各能力値などなど勝敗の要因になり得る要素を全部書き出してみたは良いものの、ぶっちゃけこの2人、戦うとなるとユウが苦戦する要素しかなくて涙目通り越して笑い出した記憶が……。
あ。次の話には加筆があります。そのせいで今後加筆修正が必須になりますが、どちらかというとPixiv投稿時に『長文化の癖が発動しかかってる!!』って削った部分だったりします。まさか日の目を見ることになるとは……。
もう最近は長文化の癖は諦めました。
読む分には、短いより長いほうが嬉しいですし。はい。