『抗う神の欠片』
お久しぶりで御座います。
約半年、ここからどう繋げるかウンウン唸っていた訳ですが……分けるのもわかりづらいし、かと言って続けると『原作:進撃の巨人』を裏切る内容の章ではある訳で……どうしたものか……と悩み続けて半年……。
半年、です。
いい加減にしろよ、と自分で突っ込みました。
所詮はデジタル……最悪、後で編集が利く。ここはもう、玉砕承知で突撃しとけ。どうせ『進撃』の原作に追いつくのには1年の間があるんだ。どうにでもなるだろ!! この章までならまだ兵長もちょくちょく出るし!!
――といういささかならず投げ遣り感が凄まじい心理状況の下、投稿を再開いたします。はい。
あ。無論、引き続きPixiv版から加筆修正してお届けいたします。はい。
……長らく放置状態になっておりまして、申し訳ありませんでしたああああああああ!!(土下座)
【stig01:xU rre kLYAvUnYErA dius fwillra/.】
光浄都市ヴォルフシュテインの王宮の最上階にあるのは、王の居室では無く【剣守】の居室だった。
無論、他の都市はだいたい王の居室となっている。そうでなければ代替わりの無い【天剣】の部屋であって、【剣守】の部屋であることは珍しい。
だが、この都市の場合は、理由を知ればほぼ全員が納得した。
――今代のヴォルフシュテイン王は、生まれついての虚弱体質で病弱。身体が弱く、故に体力などは絶無である、と。
最上階に行くには、階段しかない。
だが、そんな長い階段を毎朝毎晩、上り下りする体力など、どこにもない。
そう淡々と、滔々と力説したらしい現ヴォルフシュテイン王は、最後に「数日で死ぬ自信があります」と結び、結局それで現在まで王の居室は執務室と同じ階層に落ち着いたらしい。
お役御免となった最上階の部屋は、しかし本来ならば王か天剣の居室である。天剣は「どうせ自分は地下と執務室、せいぜい書庫くらいしか使わない」と言って辞退。だが、ただ放っておくのは維持費が勿体無い、という実に経済的な理由でもって王と天剣は残る【剣守】を放り込んだ。
ちなみに、表向きの理由は『【剣守】の術式によってレギオスの索敵能力向上の為』とか御大層なものである。決して『維持費が勿体無い』とか現実的な理由を民に見聞きさせて、夢や憧れを打ち砕いてはいけない。
――しかし、ヴォルフシュテインの【剣守】の凄いところは、表向きの理由を実際に実行してしまったことである。これには他の都市の【剣守】も愕然としていた。つまり、いくら【剣守】であっても、そんな芸当は出来ないらしい。
「――戦闘中とか、瞬間的になら問題無いぞ? ただ、都市を薄く覆うように勁を常時展開させ続けるなんてのは、――ぶっちゃけそれ、【天剣】の領分だろ?」
あいつまだガキだし、ちょーっと心配になるよなぁ、と実に珍しく複雑な笑みと共にそう言ったのは、サーヴォレイドの【剣守】だ。
――まぁ、あれもあれで、大概だと思うが。
それで、何故こんな回想をしていたのかと言えば、目の前にいるヴォルフシュテイン王のせいだ。
ここは彼が王として立つ都市なので、それは別に良い。
だがここは――王宮の最上階である。
ちらり、と周囲を一瞥し、ちょっと頭を抱えたくなっただけ――もっと言うなら、事実を反芻して現実逃避をしたかっただけだ。
周辺に人影は無い。つまり、この超絶虚弱体質な王様は、1人の供も付けずに自身にとっては自殺行為に等しい階段を上って来たという事になる。それはもう、周囲を確認するまでも無く、彼自身の顔色を見れば明らかだ。だからこれは、確認という名の現実逃避である。だがしかし、確認すべきものは無くなった。
思わず深く――深く、溜息を吐いて、痛むこめかみを押さえながらゆったりとヴォルフシュテイン王に近付く。
「――陛下。おひとりでこんなところに来られては、貴方の部下が本気で泣きますよ」
バルコニーから城下を眺めていたらしい彼は、緩慢な動きで顔を上げてこちらに目を向ける。その動作と顔色で、熱があるのは確定した。
だが――彼にとっては熱があるのは日常茶飯事であるらしい。つまり、どうしようもなく、慣れている。
「……あなたに陛下、と呼ばれるのは、どうなのでしょう。サーヴォレイド王」
「俺は元々ならず者だったんで、どうも他の陛下方を名前で呼ぶのは、ね」
「――『あの』サーヴォレイドの王として立っていられるのです。私などより、よほど器量もおありでしょう」
その言葉には肩をすくめて応えておく。とりあえず近くにあった簡素な椅子を掴み、バルコニーに立つヴォルフシュテイン王の隣に置いた。――簡素具合が、非常にヴォルフシュテインの【剣守】らしい。
「とりあえず、座りなさい。いつ倒れるか、倒れた時に転落するんじゃないかと、見ている方が不安になります」
しばらく何かを逡巡したらしいヴォルフシュテイン王は、しかしゆっくりとその椅子に腰を下ろした。ついでに羽織っていた上着を脱いで、相手の細い肩に掛けておく。思わず、という風に振り仰いだ王は瞬き、視線を眼下の街並みに戻すと静かに礼を述べた。
その眼差しは徐々に街並みを離れ、レギオスの外へと向かっていく。
――遠く微かに、土煙が舞っているのが見えた。
「お。ようやく帰ってきましたね」
「本当にあの一団にいるのかは、まだ解りません。あの子は確かにまだ子供ですが、それでも【剣守】なのですから」
そういって一度口を噤むと、ヴォルフシュテイン王はゆっくりと立ち上がり、深々と頭を下げた。
「――御身と、御身の都市のご協力に、心から感謝いたします。サーヴォレイド王ケリー陛下」
「そうかい」
正直、色々な思惑が絡んでいるのは、お互いに承知の上である。その上で、こう筋を通して来るヴォルフシュテイン王も、かなりの器量の持ち主だと思う。――本人は、軽く否定しそうだが。
頭を上げ、姿勢を正すヴォルフシュテインの王は、脆弱な身体からは程遠い毅い眼差しで笑ってみせた。さらり、と黒髪を揺らして羽織らせた上着を丁重な仕種で差し出して返そうとする。
「――彼らは彼らの戦場で役割を果たしてくれています。だから、私も私の戦場で戦わねばなりません」
軽く肩をすくめて応え、上着を手に取る。それを改めて相手に被せて、とりあえず腕を掴んで歩きだした。
「――あの、」
「今にも倒れそうな陛下を1人で見送る? 万が一にも何かあれば、俺がヴォルフシュテイン都市民をバックにつけたあんたの【剣守】に刺されます。とりあえず、最低でも階段を降り切って侍従に引き渡すまでは付き合わせて貰いますよ」
なまじ、そこそこ戦えることが知れ渡ってしまっている身なので、ここで身体が弱いことで有名なヴォルフシュテイン王を1人にしたとかバレたら――にっこりと笑って都市ごと潰すような一撃を放って来る最年少の【剣守】を思い浮かべて、思わず身を震わせた。本気で洒落にならない。
「――ああ。確かにレイフォンなら、あり得ますね」
「でしょう?――まったく、ひでぇ冗談だ」
【stig 01:xU rre kLYAvUnYErA dius fwillra/. 】
「おーおー。久々のデカブツだ」
ひときわ大きな巨石の上に佇み、彼方を臨む青年は思わず笑みを零す。荒れた大地を渡る風が、音を立てて外套を翻した。
「――楽しそうだな」
誰もいない筈の背後から声が掛かり、青年は軽く溜息と共に肩をすくめる。
ちらりと視線を肩越しに向ければ、予想通りの姿を見て思わず改めて嘆息した。
「来なくていいって言ったろ」
「来るな、とは言われていない」
「あー……確かに、言ってなかったか」
自分の小さな失態にこめかみを押さえ、しかしすぐに思考を切り替える。改めて背後に現れた自らの【天剣】に目を遣り、にやりと不敵に笑い掛けた。
「こういう時、やっぱオレの【天剣】がお前で良かったと、心底思うわ」
その言葉に夕焼け時の空を映したような瞳を瞬かせ、サーヴォレイドの【天剣】は僅かに首を傾けた。紅蓮の髪が風にそよぎ、風に散る紅葉を連想させる。
「――オレはあの戦闘狂とまではいかないが、戦うのはそれなりに好きだ。それも相手は斃し甲斐のあるやつであればあるほど燃える。――けど、【天剣】の中には戦えないやつもいるだろう? そう考えると、お前が戦える【天剣】で良かったと、心底思うわけ。多少、乱雑に扱っても壊れないし」
「……俺は、出来れば平穏な日常に浸っていたかった……叶うならば、永遠に」
その一言は、酷く渇いて聴こえた。思わず目を細めて無言で視線を交わす。だが、沈黙が耐え難かったのか、【天剣】は緩慢に瞬くと顔を伏せた。その反応に思わずこっそりと息を吐く。
いつも、この話題になると【天剣】は口を閉ざす。あるいは饒舌に語って話題を逸らす。いい加減、そろそろ短くない付き合いなのだから、腹を割ってもらいたいと思うのだが。
――まだ、その時期では無い、と。
おそらくは、そういう事なのだろう。
信頼関係っぽいのは、そこそこ築けていると自負している。何せ、『来なくていい』と言ったにも拘らず自分からやって来るくらいだ。心配――というと少し違う気がするが、気には掛けているのだろうと思う。
「ま、どっちにしろあのデカブツを斃してからだな」
そう言って手を差し出せば、再び緩やかに瞬かれた。――その反応はアレか。もしかしなくても、手を出すつもりは全く無かったとか、そういうことか。
「……お前サ、此処にいるんだから、手伝えよ」
「来なくていいと言ったその口で、そう言うか」
「来なくていいつってんのに来たのはお前だろ? だったら黙って手を貸せ」
しばらく黙り込んだ後、【天剣】はもう一度、深く溜息を吐いた。差し出した手に、そっと手を乗せる。その手を軽く握って引き寄せてから、改めて標的との彼我の距離を目算した。
「んー。結構、速いな。アラガミといい勝負かね」
「馬で逃れられるなら、荒神よりは劣るだろう」
「あー、じゃあ、単にデカいだけか」
あまりに大きいがゆえに、どうやら遠近感が若干麻痺してしまったらしい。これはちょっと修正しないと不味いな、と思う。
やがて標的を惹き付けて駆けて来る一団の顔が判別できる距離になった時、改めて【天剣】に目を向けた。軽く不敵に笑って言葉を掛ける。
「――じゃあ、頼むわ」
「――――……、」
一瞬何かを言い掛けて、だが諦めたように嘆息だけを落とした。軽く息を吸い、そっと囁くように短い旋律を零す。
QuelI->{
EX[rala]->EX[slepir]->{tez};
}am{
Cls(gsh f rala){
EX[rilfa-ea]};
} ->ExeC-> {RW} ;
時よ 止まれ
我が魂の願いの残滓 成さ就め給え
「――【fam-ne wa-fen-ny rei-yah-ea;】」
遥か世界にまで 届くように
【天剣】の姿が、深緋の光となって熔けるように形を変える。一拍後には深紅の燐光を纏う双剣の形となって両手に収まっていた。
どうも、あまり機嫌はよろしくないらしい。普段より纏う燐光は翳りを帯びている。
だが、まぁ、別に構わない。
改めて視線を戻せば、だいぶ一団は近付いていた。もう30秒もせずに通過するだろう。そう考えて待ち受けていると、馬蹄を響かせて通り過ぎる瞬間、思わぬ声が投げ掛けられた。
「――――サーヴォレイド卿!! お願い致します!」
「――いちいち気にすんな」
思わず苦笑と共に応えを返し、岩を蹴って跳躍する。――確か、あれはトルキエのマフムート将軍だったな、と思いながら汚染獣の頭に着地し、そのまま右目に向かって双剣を薙いだ。
QuelI->{
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}am{
Cls(gsh f rala){
EX[rilfa-ea]};
} ->ExeC-> {RW} ;
時よ 止まれ
我が魂の願いの残滓 成さ就め給え
【fam-ne wa-fen-ny rei-yah-ea;】
遥か世界にまで 届くように
みなさんご存知、架空言語ですね!!
ある意味でもの凄いネタバレを含んでいるので詳細は語りませんが。
『REON-4213』と『契絆想界詩』です。但し、足りない単語は他の架空言語から拝借してたりします。なので、直訳にはなってないので悪しからず。しかも、実際のところ文法に自信があるかと言われたら……『成さ就め給え』の【ea】が要るのか要らないのか判らない、としか……っ!! ……正直、なくても成り立つ気はしています。ハイ。