クロムガゥェインしかりヴィーナスしかりツクヨミしかり。
苦手過ぎて泣きそう。
うちの部隊には変なやつがいる。
ミッション中もアナグラ内でもウサギのキグルミをいつも着ていて一言も喋らないやつだ。
入隊は4ヶ月前、事前に新人が来るなど情報は一切無くそいつは突然現れた。
キグルミ。
わかってるのは名前くらいの凄腕ゴッドイーターだ。
その名前もミッション時のコードネームでしかない。
第一部隊隊長だがあいつのことは何もわからなかった。
少し前にヒバリさんに聞いたところ翌日に
「この件につきましてはご容赦下さい」
と青ざめた顔で言われてしまった。
最初はユウがふざけているんだと思っていた。
でも、違ったんだ。
この前、ユウとあいつが一緒にミッションに行った。
俺とエリナもその場に同行してたんだが…
まず、ユウは変なやつだ。
マイペースでフワフワしている。
だが、感覚的な部分が鋭く戦闘能力はかなり高い。
二人は会話が無かったがどこか通じあっているようだった。
ミッション後にユウから
「悪い人じゃ無いと思うよ」
と言われた。
違うんだ。
悪い人かどうかを疑ってんじゃ無いんだ。
謎が多すぎてツッコミが追い付かないんだよ。
今日もミッションを終えて帰投のヘリに乗る。
第一部隊は俺とエリナ・デア=フォーゲルヴァイデとエミール・フォン・シュトラスブルクそして、第一部隊預かりのキグルミの四人で構成されている。
4ヶ月たっているためキグルミの実力はわかっているし、なにか企んでるんじゃないかと疑うやつはいない。
しかし、単純に気になる。
普段何をしているのかとかなんでウサギなのかとかそもそもキグルミを着るなよとか。
いつの間にか言い合っているエリナとエミールをなだめながら、キグルミの様子を伺う。
変わらぬ体勢のまま座っていた。
うん、なかなか怖い。
そうこうしていると極東に到着した。
先にエミール達を降ろす。
キグルミは寝ているのか、座ったままだ。
チャンスだ。
寝ているのかを確かめるために正面に立ち声をかける。
「おーい。キグルミー。
起きてるかー? 極東についたから降りるぞー。」
しまった、作戦ミスだ。寝ているのなら今ので起きるか?
案の定、キグルミは手を振って応えヘリを降りてしまった。
こんな風に何度か探りを入れてみるのだが状況に進展はない。
相手が喋らない。
なに考えてるかわからない。等
なんというか、極東にあった古いデータで見た"ゆるキャラ"に似ている。
まぁ、あれは「なっしー!!!!」とか喋っていたらしいから別の物なんだろうけど…
キグルミは喋らない。
喋らないのか喋れないのかはわからないがジェスチャーで応える。
こんなんであいつの正体を突き止めることが出来るのかと思いながらヘリを降りる。
「寝てれば、中を見れたのに…」
エリナがキグルミを見ながら呟いていた。
キグルミもエリナを見ている。
「ほら、二人とも何やってんの?
早く入ろうぜ?」
そう声をかけ二人の背中を押す。
キグルミの生地は少しだけ柔らかかったことをここに残す。
エリナと俺はラウンジで会議を始める。
議題はいつも同じ、キグルミが何者か、だ。
いろんなところで情報を仕入れて話し合う。
今日の内容は、この前入ったばかりの若い新人清掃員が立ったまま動かないキグルミと遭遇、そして何かがあり清掃員をやめ、今は親孝行をしているらしい。
今でもキグルミの名前を聞くと恐怖で震えるらしい。
清掃員のおばちゃんが人手が減ったと嘆いていた。
真実を確かめるために監視ミッションを始める。
エリナと共にキグルミの自室に向かい、扉を少し開ける。
中を覗くとキグルミがベットに横になっていた。
シュールな光景に思考が停止する。
なんだこれは!?
なんで!?なんで、キグルミのまま寝てんだよ!?
いや、寝てんのかあれ!?
「隊長…
なんか、あれ怖いよ」
エリナも怯えている。
大丈夫だ、エリナ。俺も怖いから。
あまりの恐怖にゴッドイーターやめて何でも屋のツッコミメガネにでもなろうかなと考える。
しかし、この状況はチャンスじゃないか?
キグルミはいつになく隙だらけだ。
流石にあれだと寝てるだろ。
エリナ突入して正体を確かめるぞと小声で打ち合わせをする。
エリナもこれをチャンスと見たのかうなずいた。
よし、突入だ。
PIPIPIPIPI
「第一部隊は至急ブリーフィングルームまでお越し下さい」
メールだ。
メールの音でキグルミは目を覚ましたのか勢いよく立ち上がる。
俺たちはダッシュで撤退した。
今回も正体を突き止めることは出来なかった。
だが、絶対に諦めねぇ。
必ず、キグルミの正体を暴いてやるぜ!!
キグルミの正体を暴くのはかなり難易度が高く通常の作戦では困難、協力者をあおぐため正規のミッションとして受理してほしい。
第一部隊隊長 藤木コウタ
仕事をしてください
ヒバリ