偽書魔法少女アヤメ☆マギカ PSEUDEPIGRAPH PUELLA MAGI AYAME MGICA 作:ジャックノルテ
SIDE 暁美ほむら
巴マミが朱奈を保護してから既に2日が経過し、もう直ぐ水曜日も終わろうとする時間帯だった。
(そろそろ手を打たなければならない・・・)
私は深夜の見滝原市内を1人で跳躍していた。
(目的の場所は近い。今までのパターンからすればそろそろここに表れる筈・・・)
河川敷にある鉄橋に私は降り立った。
深夜である為に人はいない。
「そう言えばここは・・・」
ふと私の脳裏に懐かしい記憶が映し出される。
ここは私が《魔法少女》の存在を初めて知った場所だった。
けれどそんな感慨に浸る事も無く私は目の前に意識を集中した。
直ぐに鉄橋の真ん中に結界を見つける事が出来た。
魔力のパターンが過去に何度か感じた物と同じだった。
躊躇う事無く私は結界の中に足を踏み入れた。
その結界の様子は異様だった。結界は通常、《魔女》の持つ魔力によって複数の階層が折り重なって出来ており一番奥の階層に向かう為には1つずつ階層を進まなければならない。
けれどこの結界に限ってはその必要が無かった。
何故なら階層は最深部を覗いて破壊され一本道で最深部に向かう事が出来るからだ。
武器を構える事無く最深部に着いた私は目的の物を見つける事が出来た。
「もうここにいるのね。《魔女喰らいの魔女》」
私の小さな呟きに何の反応も示さない《魔女喰らいの魔女》は人型の形を生かして座禅を組む様に座り活動を停止していた。回りには《魔女喰らいの魔女》が捕食したと思われる《魔女》の肉片が散らばっていた。
少し不快感を覚えたが直ぐに頭の隅に押しやる。
もう目的は果たしたのだ。
「利用させて貰うわ」
そう言って私は来た道を引き返し結界から出て鉄橋に戻った。
活動を停止している《魔女喰らいの魔女》がこの場を離れる心配は無い。
今までのパターンから《魔女喰らいの魔女》がこの場所を離れるのは明後日、金曜日の朝だった。既に私の方は準備を終えている。後は朱奈をこの場所に連れてくるだけ・・・。
これから私が行おうとする事を巴マミが知れば全力で阻止に来るだろう。
けれど・・・。私はそれでも巴マミに生き残って欲しかった。
これから先に起こる災厄に対する純粋な戦力としての意味で・・・。
仮に巴マミがこれから私の行おうとしている事を乗り越えて生き残ったとしてもこれから先を生き残れる保障は無かった。
けれど私の本当の願いを成就させる為にはやはり・・・。
私は巴マミを必要としていた。
夜の空は私の願いを拒絶するかの様に曇っていた。
キラキラと輝く星が見えない。
(旨くは行かないのかも知れない)
自分でも分かっている事だった。
ふと上を見上げると風で雲が流れて雲の間に隙間が出来た。隙間からは黒い空が見え一瞬だけ星が見えたが直ぐに雲で隠れてしまった。
「私のやろうとしている事はそれ程、儚い事だと言うのかしら?」
自嘲気味に呟き苦笑した私は帰路に着いた。
何度も歩き慣れている暗い道なのに今日はいつもより暗い気がした。
○
次の日の午後・・・。
私は見滝原中学の近くの公園に来ていた。
右手で握ったソウルジェムに左手で握ったグリーフシードに穢れを吸わせる・・・。
このグリーフシードはこの時間軸に来て初めて手に入れた物で既に多量の穢れを吸わせて《魔女》が羽化する寸前でもあった。
穢れを多く溜め込み羽化する寸前のグリーフシードを私は躊躇無くその場に投げた。
《魔女》が羽化する事は既に織り込み済みだった。
この場所に《魔女》が現れれば巴マミが黙っていない事も計算していた。
巴マミは私が意図的に出現させた《魔女》を退治する為に必ずこの場に現れる。
その間に・・・。私は私の望む未来の為に行動する。
旨く行くか分からない。
それでも私は行動せずにはいられなかったのだ。