偽書魔法少女アヤメ☆マギカ PSEUDEPIGRAPH PUELLA MAGI AYAME MGICA 作:ジャックノルテ
SIDE暁美ほむら
私はこれからの事を考えていた。
巴マミとの交渉は物別れに終わったけれど私は巴マミが同じ様に正義を貫こうとしていた事に好感を抱いてはいた。
巴マミの事はさて置き朱奈の事を考えてみる。
《右目の呪い》を持つ少女、朱奈は右目に宿した《呪い》を失い見滝原市を去る事をわたしは確認していた。
これならば時の流れは私の知る流れに至るのかも知れない。
けれど私が助けたいと願う人物を助ける為には、もう少し色々と必要なのかも知れなかった。
そう思うと私は深夜であるにも関わらず見滝原市立病院へと向かった。
《魔法少女》としての姿に変身した私は時間を止めると難なく病院内に潜入して朱奈のいる病室へと向かった。
幸い、個室であった為、部屋に入ると私は時間停止を解除した。
けれど寝ている朱奈の顔を見ると、どうやって起こして良いのか少し迷ったが体を軽く揺すってみる事にした。
「う・・・ん・・・。なあに?」
朱奈は左目を開けると私に気が付いた様だった。
「あれ?暁美さんなの?」
「起きてくれたわね」
朱奈は眠そうな目を擦りながら上体を起こして来た。
「暁美さん。夜なのにどうしてここにいるの?」
「あなたに忠告しに来たのよ」
「忠告って?」
朱奈は少し怯えた表情を見せた。
別段、私は朱奈を責めるつもりは無かったが朱奈にはそう聞こえたのかも知れなかった。
「これからこの街は《魔女》の活動が活発になる。だから当分、見滝原に来るのは止めなさい。じゃないとあなたは《魔女》や《使い魔》に襲われてしまうかも知れないわ。そうなったら巴マミを悲しませるだけじゃない?」
朱奈は私の言葉を聞いてうーんと唸りながら考える様子を見せた。
出来たら了承して欲しいが了承しなければ了承する様に仕向ければ良い。
少し位なら暴力を振るう事も私は視野に入れていた。
「分かりました。暁美さんの言う通りに当分、見滝原には行かない様にする・・・」
「話が速くて助かるわ。それじゃ」
そう言って私は病室を出ようとしました。
「待って!」
突然、朱奈が私の事を呼び止めて来た。
「何かしら?」
振り返った私を見て朱奈は思い切った表情を見せて返事を返して来た。
「あの・・・。わたしの記憶を取り戻させてくれてありがとう」
予想外にも朱奈からの感謝の言葉を聞いて私は一瞬、顔を強張らせたのが分かった。
直ぐに表情を戻すと言葉を返した。
「私はあなたに感謝される様な事をしていないわ。むしろ私はあなたが殺されるかも知れないと分かっていてあの結界に行かせたのよ。その結果、あなたは右目を失い大きな傷を負ってしまった」
なるべく感情を入れない様に喋ったつもりだが朱奈に傷を負わせた事の負い目から私の言葉には謝罪の念が滲み出ていた。
「それでもわたしは暁美さんに感謝してます。暁美さんのおかげでわたしは忘れたくない大切な人の事を思い出せたから」
「そう・・・。その人は幸せね。あなたに憶えて貰って・・・。それじゃ」
そう言って病室を出ようとした時、私は朱奈に借りがあったのを思い出した。
ここでは無い時間軸において朱奈は私の大切な人を守る為に命を投げ出した事があった。
私では倒せなかった《虹色の魔法少女》を倒す為に朱奈は・・・。
結局、その時間軸でも私の大切な人を救う事が出来なかったが、朱奈には大きな借りがあったのは確かだった。
「そうだわ。これであなたへの借りは返したわよ」
この時間軸の朱奈にはこの言葉の意味を分からないが私は言わずにはいられなかった。
「えっ?」
そう言って朱奈はきょとんとした表情を見せていた。
「分からないのが当然よ。これは私の自己満足よ」
そう言って私は今度こそ病室を去った。
(これから私は私の大切な人を守る為の戦いを行う)
未来の戦いに向けて私は気持ちを切り替えていた。