偽書魔法少女アヤメ☆マギカ PSEUDEPIGRAPH PUELLA MAGI AYAME MGICA   作:ジャックノルテ

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第2話 ぼくはどうすれば・・・

第2話 ぼくはどうすれば・・・

 

《黄色い髪のお姉さん》と会ってから一週間が過ぎた。

 僕は盗んだ財布から抜き取った現金を節約して食い繋いでいた。

 現金を抜き取った財布は持っていても仕方が無いのでコンビニのゴミ箱に捨てた。

 昨晩から熱を出したぼくは具合が悪いのを押して持てるだけの水と食料を買って、この一週間、人が入って来ない事を確認した、資材置き場で休んでいた。

(確認したと言うよりは、ぼくが一週間ずっと潜んでいて人が来なかった事を確認しただけだった)

 記憶の無いぼくが1人で放浪を開始したのは一ヶ月前からだった。

 その間にぼくは持っていた現金でずっと食い繋いでいた。

 けれど服だけはずっと着ているままでは汚れてしまうので持っていた服を着まわしていたが洗わないでいる為に汚れが目立つ様になっていた。

 この一週間は近くの公園で人目が無い時を見計らってぼくは公園の水道で服を水洗いすると資材置き場にある資材に引っ掛けて乾かしていたけれどシワだらけとなっていた。

 シワだらけの服を着て歩くと奇異な目で見られたけれど、ぼくにはどうする事も出来なかった。

(どこかで服も手に入れなきゃ行けないのかな?)

 最近ではスーパー等でも服を買う事は可能だったけれど今のぼくの服装で店に入って奇異な目で見られ、警察に通報される事を考えるとお店に入る事も怖かった。

(ぼくはどうすれば・・・)

 時刻は夕方だけど雨が降っているので空は暗かった。

 ぼくは資材置き場の奥には簡素な屋根があるスペースがあり、ぼくはその場所にビニールシートを敷いて黒い帽子と藍色の上着とズボンと出来るだけの厚着をすると拾ってきたダンボール箱に包まっていた。

 微妙な傾斜がある為に持っているリュックを枕にして僕の眠っている場所には雨水が流れて来る事は無かった。

 ふと目の前を見ると黒猫がいてぼくを興味深げに見ていた。

 野良猫だろうか首輪はしていなかった。そう言えばこの黒猫はこの間もここを通ったからこの場所を縄張りにしているのかも知れなかった。

「猫ちゃん・・・」

 ぼくは寂しさから黒猫に手を伸ばした。せめて黒猫ならぼくと一緒にいてくれるかも知れないと思って。

 けど黒猫はぼくを一瞥するとそのまま走り去ってしまった。

「猫ちゃん。行かないで・・・。ぼく、寂しいよ・・・」

 ぼくは暫く黒猫が走り去った場所を見ていたけれど頭がぼんやりとして来たので再び寝ようとした時、ぼくは右目にとても嫌な疼きを感じた。

(とても嫌な疼き。ずっと感じている嫌な疼き。これがあるとぼくは・・・)

 ぼくの目の前で空間が歪み景色が変わって行く・・・。

(ぼくは・・・。結界に閉じ込められる・・・)

 それは、ぼくにとって変えようの無い出来事だった。

 

 

 

 結界に閉じ込められた、ぼくは熱もあるせいで満足に動く事も出来ずにただぼんやりとしている事しか出来なかった。

 目の前を《魔女》や《使い魔》が通ったりしたけれど、ぼくを気に留める様子は無かった。

 熱でぼんやりとしていたぼくは横になりながら時々、起きて目の前の景色を見ていたけれど、辛くなるとまた眠ってしまった。

 何度、起きたり寝たりを繰り返したのか分からないけど、突然起こった爆発でぼくは眼を覚まして半身を起こした。

 ぼくの眼前で《魔女》が巨大な火柱に包まれているのが目に入った。

「なに?」

 結界が崩れてこの場は元の資材置き場に戻って行った。《魔女》が倒された後に《魔女の種》であるグリーフシードが落ちて行くのがぼくの目に写った。

 そのグリーフシードが落ちて場所に1人の少女が歩いて来てグリーフシードを拾い上げた。

(《魔法少女!?》)

 思わず腰を浮かしてしまったぼくはガサっと派手な音を立ててしまった。

 音に気付いた少女は手にした拳銃の様な武器をぼくの方に向けながら歩いて来た。

 歩いて来た少女は黒くて長い髪が印象的なぼくより年上の少女だった。

 灰色に近い白とグレーで構成されたセーラー服の様なデザインの服に菱形の模様のある黒いストッキングを履いていた。

 ぼくを見た《黒い髪の少女》は表情を変える事無く銃口を下げて呟いた。

「朱奈・・・こんな所にもあなたはいたのね・・・」

「あなたは《魔法少女》なの?ぼくを知っているの?」

 ぼくは、ぼくの名前をはっきりと発言した《黒い髪の少女》に思わず質問を返してしまった。

 ところがぼくの言葉を聞いた瞬間、《黒い髪の少女》は、ぼくに銃口を向けて来た。

 恐怖から身を縮み上がらせたぼくはその場から動く事が出来なかった。

 ぼくが何か言ってはいけない事を言ってしまったのかと思ったけれど熱が出ていては考えが纏まらなかった。

 正直、会話をするのも辛かった。

「ここであなたを殺せば・・・。私の救いたい人は助かるのかしら?」

 そう言われたけれどぼくにはその言葉がぼくに向けられたとはとても思えなかった。

 ぼくと《黒い髪の少女》の間に暫く沈黙が訪れた。

 その沈黙がどれだけの時間を流れたのか分からなかったけれど沈黙は突如として破られた。

「レガーレ!」

《黒い髪の少女》とは異なる声が響いたと同時に《黒い髪の少女》が持つ拳銃に黄色い布の様な物が巻き付いて来た。

 顔色を変える事無く《黒い髪の少女》は拳銃をその場に捨てるとぼくから離れた。

「やめなさい。魔法少女が子供に危害を加える理由は無い筈よ」

 さっき聞いたのと同じ声が響いたので声のする方向に目を向けると資材置き場を囲む塀の上に右手にとても長い銃と思しき物を持ち左手から黄色い布を伸ばした《黄色い髪のお姉さん》がぼくと《黒い髪の少女》を見据えていた。

 そこでぼくは《黄色い髪の少女》が一週間前に、ぼくが結界で遭遇したお姉さんだと気が付いた。ぼくを追って来たのか考えが過ぎったけれどそうは思えない様子だった。

「巴マミ・・・」

《黒い髪の少女》はぼくから《黄色い髪のお姉さん》に顔を向けて呟いていた。

 それを聞いた《黄色い髪のお姉さん》は怪訝な表情を見せた。

「あなた・・・。何故、私の名前を?何処かで会ったかしら?」

 言いながら《黄色い髪のお姉さん》は右手に持った長い物を《黒い髪の少女》に向けた。

 ぼくの前で2人の少女の間に沈黙が流れたが《黒い髪の少女》は突如として《魔法少女》としての変身を解いた。

「あなたの言う通りよ。巴マミ。この子に危害を加えても何も変わらない」

 ぼくと《黄色い髪のお姉さん》に背を向けると《黒い髪の少女》はそう言って立ち去ってろうとした。

「待ちなさい!私の質問に答えてないわ」

《黄色い髪のお姉さん》の呼び止めに足を止めた《黒い髪の少女》は《黄色い髪のお姉さん》の方を向くとはっきりと語った。

「私は暁美ほむらよ。巴マミ。警告するわ。あなたはその子にこれ以上、関わらない方が良い。そうしないとあなた死ぬ事になるわ」

《黒い髪の少女》はそう言って立ち去ってしまった。

「一体、何だったのかしら?」

僕の眼には二重に写っている《黄色い髪のお姉さん》は困惑を見せていた。

《黄色い髪のお姉さん》は長い銃の様な物を下ろして《魔法少女》としての服装を解くと可愛い制服と思える服装になると僕に歩み寄って来た。

《魔法少女》に恐怖感を抱くぼくは逃げ出したかったけれど、ぼくの身体は思う様に動かずただぼんやりとする事しか出来なかった。

「あなた・・・。だいじょ」

 ぼくの姿を見た《黄色い髪のお姉さん》は驚きを見せた。

 きっと一週間前にぼくと会った事を思い出したのかも知れなかった。

「あなた・・・。無事だったのね。でも、どうし・・・・・・・・・・・?」

 もう限界だった。《黄色い髪のお姉さん》の声は聞こえない。

 ぼくはこれ以上、意識を保つ事が出来ずにそのまま瞼を閉じて力を抜いてしまった。

 選択の余地の無いままにぼくは意識を深い闇に委ねた。

 

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