偽書魔法少女アヤメ☆マギカ PSEUDEPIGRAPH PUELLA MAGI AYAME MGICA   作:ジャックノルテ

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第7話 私は迎えに行かなきゃ行けないから

 戦いたい。

 戦いたい。

 戦いたい。

 私は戦いを求めていた。

 命を賭けた本当の戦いを求めていた。

 より強くなる為に私は戦いを求めていたからだ。

 その足は自然と《魔女》か《使い魔》の魔力を感じる方向に向けて行く。

 気が付くと私はリンドウ市の隣街であるホオズキ市に足を踏み入れていた。

「ここは・・・。誰かが戦っている?」

 魔力が何かにぶつけられているのを感じる事が出来る。

 近くに生えていた木の真上に魔力を足に集中して飛び上がると魔力の感じる方向に視線を向けた。同時に視力を魔力で強化して望遠鏡の様にする。

 誰もいない公園の中で結界を作る事も出来ない《使い魔》と戦う《一人の魔法少女》の姿が見えた。

 黒い髪に赤い着物の様な服装をした《着物の魔法少女》が日本刀を左手で構えて右手からは多数の炎の刃と思しき物を飛ばしていた。

《使い魔》の身体を次々と炎の刃が焼き切って行く。

「見事ね・・・。きっとベテランの《魔法少女》」

 私の呟きと同時に《使い魔》はその身体を焦がして消滅して行った。

「私よりも強い・・・。なら!」

 叫ぶと同時に魔力を足に集中して《着物の魔法少女》の元へと跳躍する。《魔法少女》としての姿を取り自信の武器である箒を出現させる。

 あれから数回の戦闘と魔法の研究を行って私は強くなったつもりだった。強さを試す為にも私は戦う必要があった!

 数度の跳躍で私は誰もいない公園に辿り着いた。

《着物の魔法少女》は既に戦いを終えた為か緊張感の無い表情をしていたが私が跳躍で現れ視界に入ると瞬時にその表情を引き締めて日本刀を構えた。

 箒を振り下ろす!

《着物の魔法少女》は赤いソウルジェムの付いた左手に握った日本刀で受けた!

 箒と日本刀がぶつかり合った衝撃を強く感じたと同時に弾かれて私は地面に降り立った。

 目の前では左手に握った日本刀をこちらに向けた《着物の魔法少女》が右手に魔法陣を出現させているのが見えた。魔法陣は炎の様に揺らめいている。

「あなた・・・。《魔法少女》なのですね・・・。グリーフシードが狙いですか?それともこの街を狙っているのですか?」

《着物の魔法少女》の言葉には戸惑いが感じられない。

 きっと既に何度もそう言った縄張り争いを経験しているのだろう。

 どう答えようか少し思案したけれどやめておく。

 答える代わりに左手で握った箒を構え直し右手に魔力を集中する。

「答えませんか・・・。なら、私もこの街を守る為に戦わせて貰います!」

 先に動いたのは《着物の魔法少女》だった。

 私は動きに備える為に合えて動かない。

「桜火!」

《着物の魔法少女》がそう叫んだと同時に魔法陣から強力な炎が私に向かって来た。

 迷う事無く私は右手に集中した魔力によって《魔法の種=マジカルシード》を作り出し前方に三つ投げ付ける。投げられた《魔法の種》から巨大な鉄球が出現して炎を防いだ。

 朱奈を助けられなかったあの時から私は自信の魔法を強化していた。作り出すと言う事に特化している私の魔法は武器等を精製する際に《魔法の種》と言う形態を経て出現する。

 瞬時に武器を精製出来ないのは弱点だと思ったが武器の出現に掛かる時間は《普通の魔法少女》と大差無かった。この《魔法の種》を経てと言う事を逆用して私は《魔法の種》を精製する直前にイメージを選択する様にしていた。

 メインの武器である箒=ブルーム、今しがた出現させた鉄球=スティールボールと言う様に魔力をある程度、溜めて単語をイメージすれば様々な物を私は出現させる事が出来た。

 真っ直ぐに跳躍すると巨大な鉄球の直前で停止して再度、跳躍し鉄球の上に降り立ち周囲を見る。

 私の姿を確認した《着物の魔法少女》は直ぐに私に向かって跳躍して来た。

 その回りには炎の刃が舞っている。

「炎舞!」

《着物の魔法少女》が叫ぶと同時に炎の刃が私に殺到して来た!

 魔力を左手に集中して私に殺到して来る炎の刃を次々と箒で叩き消す!

 その間に急接近して来た《着物の魔法少女》に対して右手に集中した魔力で魔法の種を1つ作り出して投げ付ける!

 種の種類は、ネット!

《着物の魔法少女》の眼前に突如としてネットが出現する。

 私の予想に反して《着物の魔法少女》は驚く様子を見せずに左手で構えた日本刀を目の前に一文字に掲げて右手を添える。

「陽炎」

 小さくそう呟いた様に私には聞こえた。

 同時に《着物の魔法少女》の姿が目の前から揺らめくと同時に消えてしまった。

「なっ!?」

 驚くと同時に左脇で魔力の揺らぎを感じた。

 ここからの行動はカンによる反射的なモノだった。

 咄嗟に左手の箒を揺らぎの方向に向けるとそこには、日本刀を振り下ろす《着物の魔法少女》の姿が遭った。

 その勢いに押されて出現させた鉄球の上から落ちて地面に降りても私に振り下ろされた日本刀に対して左手の箒で受け止める。

(まずいわね・・・)

 既に左手の箒が持たない事を私は感じ取っていた。少しずつだが《着物の魔法少女》が握り締めている日本刀が箒の柄を食い込んで来ている。

(迷っている時間は無い!)

 左手の箒から力を抜かない様にして右手に魔力を集中して《魔法の種》を作る!

 握っていた右の掌に出現した《魔法の種》を思いっきり握り締めて前方に掲げる!

《魔法の種》から出現した箒が右手に握られ《着物の魔法少女》の首筋に穂先を向けたと同時に左手で握っていた箒の柄が切られて私の首筋に《着物の魔法少女》が握り締めた日本刀が付き付けられていた。

 息が上がりながらもお互いの首筋に武器を向け合い視線を交差させて私達はお互いに動けない状況に陥っていた。

今の状況から私は目の前にいる《着物の魔法少女》がソウルジェムの秘密に気付いていない事を感じ取っていた。

(もうこれ以上、戦う意味は無い・・・。丸く収めるには・・・)

「キュウたん!」

 大きな声を上げた私に《着物の魔法少女》はビクッとした反応を見せたが私の首筋に向けた日本刀を逸らす事は無かった。

「やあ。綾女。椿。どうしたんだい?」

 そう言って木陰からキュウたんが現れた。

「ねえキュウたん。あなたに保障して欲しいのよ。私はこれ以上、戦うつもりが無いって事をね」

《着物の魔法少女》から視線を逸らさずに私はそう言ったけど《着物の魔法少女》は怪訝な表情をしていた。

「あなた・・・。一体、何の為に私に襲って来たのですか?」

 ようやく口を開いた《着物の魔法少女》は抱いていた疑問をストレートに話して来た。

「そうね・・・。私が強くなる為と言ったら良いかしら?あなた、ベテランの《魔法少女》でしょう?あなたと戦えば私はもっと強くなれる・・・。それが理由よ」

「そんな理由で・・・」

 不快な表情を見せていた《着物の魔法少女》だったが未だ私の首筋に向けた日本刀を離さない。

「そう言う事か。椿。確かに綾女はこれ以上、戦うつもりが無いと言うのは本当だよ。僕からも保障する。だからお互いに武器を収めてくれないかな?」

 キュウたんがそう言ったのを見計らって私は右手で握っていた箒を降ろした。

「正気ですか!?私はまだキュウべえの言う事を信じたとは限りませんよ!?」

 狼狽する《着物の魔法少女》を前に私はやはりこの人はソウルジェムの秘密に気が付いていないと確信していた。

「でもどっちかが先に武器を下ろさなきゃ堂々巡りでしょ」

 精神的な優位を得て挑戦的な視線を崩さずに私は笑みを浮かべて見せた。

 悩ましげに視線を逸らした《着物の魔法少女》はようやく左手で握った日本刀を私の首筋から降ろして右手に出現させた鞘に収めた。

「物分りが良くて助かったわ。先輩。それじゃ」

 皮肉な言葉を掛けると私はそのまま立ち去ろうとした。

 去り際に一度、歩を止め振り向いて《着物の魔法少女》にもう1つ、伝えるべき事を伝えた。

「そうだわ。もうここには来ないから安心して。私は迎えに行かなきゃ行けないから」

「?」

 私の言葉の意味を分からずにいる《着物の魔法少女》を残して私は今度こそ、その場を立ち去った。

 きっともうあの《着物の魔法少女》と出会う事は無いだろう。

 けれどもうどうでも良い。

 私は朱奈を迎えに行かなきゃ行けないから。

 




ホオズキ市にいる椿と言う着物の魔法少女。
彼女は魔法少女すずね☆マギカに登場する美琴椿(ミコトツバキ)です。
ある少女と出会う以前、本編以前の彼女だと言う想定で登場しています。
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