偽書魔法少女アヤメ☆マギカ PSEUDEPIGRAPH PUELLA MAGI AYAME MGICA   作:ジャックノルテ

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今回の話はかずみ☆マギカの完全なネタばれを含む為、かずみ☆マギカを読んでない人には勧められません!


第22話 どうやら長い夜になりそうね

(生きているけど無事では無いわね)

《岩の魔女》と《岩の使い魔》を倒した私の目の前で1人の少女が結界に飲まれる事無く現実に戻って来た。

現実に戻った事がまだ生きていると言う事を証明していたが、既に重傷を負って虫の息なのは明らかだった。

けれども少女は必死に身体を動かそうとしていた。

そこには生きようとする強い意志を感じる事が出来た。

ふと頭に閃きが浮かんだ。

どうせ死ぬのであるなら私がどんな形であれ使い潰しても構いはしない筈だ。

今、考えている実験にも丁度良い。

少女に近付いて観察する。

「あら?どうやら生き残ったみたいね」

 声を掛けてみると少女が僅かな反応を示した。

 紫色の髪が印象的な少女だ。

 勝気そうな雰囲気が朱奈とはまた違った魅力を見せている。

「ふーん。良い目をしているわね。けれど、この傷じゃあもう直ぐ死ぬでしょうね・・・。でもね・・・。どうせ死ぬのなら私の実験に付き合って貰おうかしら」

 言いながら浮かび上がる笑みを抑える事が出来ない。

 他者の運命を神でもない自分が掴み操作してしまう。

 人間では決して出来ない行動に何時しか私は喜びを感じる様になっていた。

 少女の身体を脇から手を入れて抱えると、周囲に人がいない事を確認して跳躍した。

 あんな道端で実験をしていては人目に付いてしまう。

《岩の魔女》の結界に入る前に見かけた公園に向かって降り立つ。

 夕方の公園には既に人はいなかった。

 人気の無いベンチに少女を寝かせると左手に《新しい魔法の種》を生成しすると少女の額に向けた。

《新しい魔法の種》は存在を強調するかの様に私の衣装と同じく赤と青に染まっていた。

「これは《記憶の種》(メモリーシード)。今からこれをあなたに埋め込む実験を行うわ。旨く行くかどうかは分からない。けれど旨く行く様なら怪我も治してあげるわ。ねえ。あなたの名前を教えて?」

 少女は小さな、か細い声で答えた。

「ウチは・・・。□□。□□□□・・・」

「ふーん。じゃあ□□さん。後はあなた次第よ」

 そう告げると躊躇する事無く私は□□□□と言う少女の額に《記憶の種》を打ち込んだ。

 同時に少女は目を閉じて意識を失った。

 どうやら成功した様でもある。

 拒絶反応が起きて《記憶の種》が排出される事も今までにも合ったが今回はそんな事も生じなかった。

「運が良いわね。だからこれはお礼よ」

 そう言って私は左手に新しい《魔法の種》を生成すると少女に打ち込んだ。

 次に打ち込んだ《魔法の種》は《回復の種》(ジェミーシード)と言って打ち込まれた生物の身体を平均的な健康状態に戻す作用がある。

 全身の砕けた骨や潰れた右腕も直ぐに元通りになった。

 ただし《回復の種》は精神的な疾患等の症状を治す事は出来なかった。

「後は・・・。救急車ね」

 そう呟くと私は公園を出て周囲の道を見渡した。

 都合良くジョギングをしているおばさんがいた。

 躊躇する事無く《命令の種》(アポイントシード)を左手に出現させるとおばさんに撃ち込んだ。

《命令の種》に込めた命令はただ1つ。

 

《公園に入ってベンチに横たわる少女の事を通報して救急車に確実に載せる事》

 

 私に《魔法の種》を撃ち込まれたおばさんは、私の事を気にする事無く公園に入って行った。

 改良した《魔法の種》、《命令の種》は以前の物と違って種を撃ち込まれる事を覚えさせずに置く事が可能だった。

 これによって使い勝手が向上したので《メモリー》には感謝をしていた。

「後は時を待つだけね」

 やるべき事を終えたので私は帰路に付く事にした。

 

 

 

 

 あれから数日が経ち私と朱奈はヒイラギ町と言う街に流れ着いていた。

 ヒイラギ町で私と朱奈はアパートの二階を借りて二人暮しをしていた。

《メモリー》から受け取った記憶操作の魔法=《記憶の種》を駆使してアパートの大家さんを魔法によって記憶を操作して《三ヶ月だけアパートの空き部屋を借りる大家さんの親戚》と言う立場を装いアパートで二人暮しをしていた。

 なおアパートの大家さんには《命令の種》でかき集めた多額のお金(家賃にして3年分)を前もって渡しており私の記憶操作に疑問を抱き辛くさせていた。

(機嫌の良い人間程、《記憶の種》の効果は生じやすかった)

 アパートに帰って見ると朱奈は買い物から帰っていなかった。

 この所、私は朱奈にも夕方には1人で買い物をさせてみたりしていた。

 いずれ私がいなくなった時も1人で生きて行けるように予行演習と行った所だ。

 初めて朱奈を1人で買い物に生かせた際には《忍びの種》(ステルスシード)を使って後を付けて朱奈が買い物を旨く出来るのか、キュウたんと2人で観察してしまった事もある。

部屋には最低限と思う家具しか置いていない。

どうせ三ヵ月後には大家さんに処分を委ねるつもりなのだ。

だから思い切って良い物を揃えてはいた。

(どうせお金なんて《命令の種》があれば幾らでも稼げるし)

 お気に入りのソファーの上で身体を横になり時計を見た。

 朱奈が出掛けてから10分程、経過している。

 今日はカレーとサラダを夕食に予定しているので材料を買いに行かせたが朱奈はきっとカレーの材料に悩んでいるのかも知れなかった。

 朱奈本人は「分かるもん!」と言っていたので何を選んでくるのか楽しみでもあった。

(綾女。ちょっと良いかな)

 ふと気が付くとキュウたんがベランダに現れていた。

「どうしたの?キュウたん」

(綾女が自分の記憶を植え付けた□□□□と言う少女だけど・・・。記憶の植付け自体は旨く行っているよ。彼女は今、自分の中にある筒地綾女の記憶をノートに書いて整理したりしているよ。でもね・・・)

 キュウたんからの報告を聞いてどうやら実験は旨く行った様でもある。

 ただキュウたんが言い淀んだ事が少し気になった。

「どうしたの?」

 私が先を促すとキュウたんはテレパシーを再開した。

(うん。綾女の記憶の植付けは旨く行ったけど、どうやら彼女には《魔法少女》としての契約を結ぶ程の因果を持ち合わせていないみたいなんだ。残念ながら契約を結ぶ事は出来ない)

「そうなの・・・。まあ良いわ。所詮、単なる実験よ。次はキュウたんの役に立つ実験を行うかも知れないわ」

 実際の問題として□□□□に施した実験は私の中では旨く行っていた。

 契約よりも記憶の複写に私は重点を置いていたからだ。

 記憶の複写が完成したので次は別の実験を進めようとも思っていた。

 けど契約の事は少しだけ引っ掛かりを覚えていた。

 実際の所、キュウたんは私との契約に関して何か隠し事をしているのを《魔法少女》になってからずっと感じていた。

(後、綾女。《プレイアデス星団》の事だけど)

 そう言ってベランダにいたキュウたんは信じられない事に土足のまま開けっ放しになっている引き戸から部屋に上がり込んで来た。

 瞬間的に湧き上がった怒りに身を委ねて私はキュウたんに近付くと耳から掴んでぶら下げた。

(綾女。何をするんだい?)

 キュウたんの表情には変化が無い。

 分かってはいたが私の苛立ちを加速させるのには十分だった。

「ちょっと。キュウたん。人の家に土足で上がり込むなんて良い度胸をしているじゃない?」

(いや。でも他の子は気にしないよ)

 キュウたんの表情に反省を示す変化が無く、その事が私の心の逆鱗に触れた。。

「ふーん。そう言う態度を取るのならお仕置きが必要ね!」

 私は耳を掴んでぶら下げたキュウたんを台所に連れて行くと大型のレンジの中に放り込んだ。

 魔法で扉が開かない様にすると温度を強に設定するとスイッチを押して起動した。

 キュウたんは扉を開けようと必死に動いている様に見える。

 既にテレパシーはシャットアウトしているのでキュウたんからの弁明を今更、聞く気は無かった。

 やがて何とも言えない臭いが生じると大型のレンジの中でキュウたんがボンと爆発してしまった。

 そこでようやく私は自分のしでかした事の過ちに気が付いた。

「あっ。これじゃもうレンジが使えないじゃない・・・」

(酷いなぁ。まったく)

 みるとベランダには既に新しいキュウたんが出現していた。

(綾女。土足で入ったのは確かに悪かったけどだからと言って僕の身体をレンジでチンする事なんて無いじゃないか。勿体無いじゃないか)

 キュウたんは流石にもう一度、チンされるのが嫌なのかベランダから部屋には入って来なかった。

「あら。キュウたんが土足で家に入るのが悪いんじゃない。私は悪くないわ。あーあ。レンジが壊れちゃったじゃない。新しいのを買い直さなきゃ行けないわ」

(それよりもそのレンジをこっちに持って来てくれないかな?その残骸を処理しなきゃいけないから)

「はぁ・・・。そんなのは私がやってあげるわ」

 溜息をついた、私はレンジを持ち上げるとベランダまで向かった。

 そしてレンジを大空に向かって投げた。

《魔法少女》としての魔力を生かして!

 投げられたレンジに向かって次いで《魔法の種》を投げ付ける。

 種類は《爆発の種》(エクスプロージョン)!

 威力は抑えてあるのでレンジと中にあるキュウたんの残骸だけを旨く爆破して処理出来たのが見えた。

 小さな煙が空中に上がり処理が旨く行った証となった。

(随分と大掛かりな処理方法だね)

「手っ取り早い方が良いじゃない」

 そう言って私はキュウたんを持ち上げた。

 今度は耳から持つのではなくちゃんと抱き抱えている。

「それじゃあキュウたんは風呂場で足を洗ってあげるわ。次からは部屋に入る前に足を洗う事を私が義務付けるから」

(分かった。僕も端末を無意味に潰されるのは困るからね。綾女に従う事にするよ)

 私はキュウたんを連れてお風呂場に向かいキュウたんの足を洗ってあげた。

 ただ洗っていると楽しいのでやっぱり全身を洗う事にした。

「折角だし全身を洗ってあげるわ」

(訳が分からないよ。でも綾女の好きにしたら良いよ)

 キュウたんは特に抵抗する事は無かった。

 私は使い捨てのスポンジを取り出すとキュウたんの身体をゴシゴシと擦った。

(それで綾女。《プレイアデス星団》の動きだけどね)

《プレイアデス星団》とはこのヒイラギ町の隣に位置する、あすなろ市を守る《魔法少女チーム》である。

(彼女達は相変わらずの実験を続けているよ。これで7回目だね。今回は今までと少しだけ趣向を異なる実験を行っているよ。平行して《魔法少女狩り》も行っている。既にあすなろ市の《魔法少女》は殆ど彼女達に狩られてしまった。抵抗を続けている《魔法少女》もいるけど時間の問題だろうね。ヒイラギ町にいる《魔法少女》も何人か誤ってあすなろ市に入って囚われたみたいだしね)

「なるほどね」

 キュウたんの身体にお湯を掛けて上げながらこれからの事を考えて見る。

 私は《プレイアデス星団》が行っている実験のデータがもっと欲しかった。

 自らあすなろ市に出向いてデータを収集する必要も出て来たと考えるべきだろう。

 と言っても《プレイアデス星団》は《6人の魔法少女》で構成されている。

 まともにぶつかった所で私が勝利する要因が無いのは明らかだった。

 何か勝因となる要素が必要だと思えた。

(私1人では勝てない。だとすると《他の魔法少女》と手を組むべきか?いや。そもそも《プレイアデス星団》の噂は既に大きく広がってしまっている。あすなろ市への同行と言う話自体が通る筈は無い・・・)

 筋道を立てて考えているとふと気が付いた事があった。

 別に《他の魔法少女》に真実を告げる必要は無い。

 騙して《プレイアデス星団》とぶつかり合う様に仕向ければ良い。

 幸いこのヒイラギ町には、まだ《他の魔法少女》がいる筈だった。

《他の魔法少女》を騙して《プレイアデス星団》と激突させて漁夫の利を得る。

 我ながら良い思い付きだと思った。

 このヒイラギ町にいる《他の魔法少女》を誘き寄せるのは容易い。

《プレイアデス星団》を誘き寄せる為には・・・。

「そうね。《プレイアデス星団》ならたった一通の手紙で動くでしょうね」

 キュウたんが理解出来ないと言った風に振り向いて来たが脇に置いて置く。

 リビングに戻ると、私は自分が描いた計画を大まかに抱き抱えているキュウたんに説明した。

「大体、考えは纏まったわね。後は実行するタイミングね」

「そうだね。この計画は慌てずに慎重に行うのがベストだと思うよ。実行に相応しいと思うタイミングが訪れたら僕が教えてあげるよ」

 表情を見せずにキュウたんは宣言した。

「分かったわ。それじゃあその時が来たら教えて頂戴。私はそれまでに手紙を準備して置くから」

「分かったよ。綾女。それじゃあまた来るよ」

 そう言ってキュウたんは出て行ってしまった。

 すると入れ違いとなって買い物に行っていた朱奈が帰って来た。

「ただいま。綾女ちゃん。わたしカレーに使う材料を買って来たよ」

「そう。どれどれ」

 言いながら私は朱奈が買って来たカレーの材料を検分して見た。

 長ネギ、サツマイモ、ムラサキニンジン。

(違くない?)

 と言うのが正直な感想だった。

 普通ならタマネギとジャガイモ、それに西洋ニンジン。

 これが普通と言う名の一般的なカレーに入れられる野菜だった。

 ちなみにお肉は豚肉の残りがあるのでそれを使う予定だった。

 サラダも昨日の残りがあるしご飯も炊いてあり準備は万端だった。

「朱奈。ちょっと聞きたいんだけど・・・。朱奈はカレーの材料は分かっているのよね?」

 怒る程の事でも無い為に私は優しく問い掛けた。

「うん。えーと。お芋とネギとニンジンでしょ?だからお店で売ってたので一番、気になるのにしたの。その・・・。この間、テレビで見た《スライス秋山さん》も直感に従えって言ってたから・・・。ムラサキニンジンは初めて見たから食べたかったの・・・」

 理由を聞いてようやく理解出来た。

 そう言えば朱奈は前にも黄色いスイカを食べたいと言ったので折角だから赤いのと2つ買って食べ比べをさせてあげた事もあった。

 普段、食べている物と変わった物を見ると強い関心を抱く傾向があった。

 それと昨日、私と朱奈がテレビを見ていると《スライス秋山の超直感料理教室!》と言う番組が放映されていてとても面白かった。

 直感によって次々と料理を作り上げる《スライス秋山》は現実にいる人間にしては面白みがあると私は思っていた。

 まさか朱奈が影響を受けるとは思っていなかったが。

「ムラサキニンジンさんに合わせて長ネギさんとサツマイモさんを買ったの。綾女ちゃんなら旨く料理が出来ると思って・・・」

 流石に朱奈は恥ずかしそうに俯いていた。

 けど私はそうも言ってられなかった。

(どうしよう。この材料でカレーって旨く作れるのかしら?)

 それが今、私の心に抱かれる大問題だった。

「じゃあ。とりあえず・・・。カレーを作りましょうか」

「うん!」

 輝く朱奈の笑顔を見ながら私は一抹の不安を抱きながら料理を開始した。

 果たして美味しいカレーが出来るのか。

 それは私でも予想出来なかった。

 こんな時、《スライス秋山》ならどうするのだろう?

 答えは決まっている。

 ドヤ顔でこう言うのだろう。

 

 

「そこはもう直感で!」

 

 

 

 2日後の夜・・・。

 私はヒイラギ町とあすなろ市の境にある大型の送電線の近くに来ていた。

 ここには私が意図的に穢れを含ませたグリーフシードが設置されて今にも《魔女》が孵化しようとしていた。

 私は自分の姿を《忍びの種》(ステルスシード)によって隠していた。

《魔女》が生まれ、結界がその場に生じた時、キュウたんが《2人の魔法少女》を伴ってやって来た。

 既に2人の事はキュウたんからの報告を聞いて、どの様な《魔法少女》かは既に承知している。

 

 1人は日向楓(HINATA KAEDE)。

 数ヶ月前にホオズキ市で私と《メモリー》の実験によって誕生した《魔法少女》。

 記憶操作魔法の影響か少し歪な魔法の使い手だった。

 武器は一度に多数、出現させ軌道を操る事が出来るマジカルブーメラン。

 キュウたんの話では自らの命を繋いだのならば命を繋ぐ、回復魔法等を使える筈だったが楓はそう言った魔法を使う事は出来なかった。

 代わりに出来るのが魔力を通した物体の遠隔操作と炎の属性魔法だった。

 どうやら《メモリー》とは血縁関係にあるのか似た様な感じがした。

 胸元まで伸ばした髪が印象的な流れ方をしている。

 着ている衣装もレッドとオレンジで炎を意匠にしており《メモリー》と同じ様に胸元のリボンにソウルジェムを装着し肩を晒した衣装を身に纏い、スカートは外側に大きく広がり膝まであるブーツを履いていた。

 衣装が《メモリー》に似ているのは恐らく無意識の内に《メモリー》の事を覚えているからかも知れないと考察してみる。

 年齢から見て姉か従姉の様に見えるが、正直、どうでも良かった。

 

 もう1人は雲土ぴあ。

 親しい友人からは《ぴあ》と呼ばれている。

 緑色の髪を丸いボブカットに切り揃えており綺麗なビー玉の様だった。

 風の魔法の使い手で洋装の女騎士と言える様な服装で肩とお腹を露出しているのが特徴的とも言えた。

 武器は剣であり普段はレイピア状の剣を愛用して状況に応じて刀身を使い分けていた。

 高速の突きが可能なレイピアと耐久性に重きを置いたショートソード、切断能力に特化した日本刀、刀身に風を纏わせ広範囲に放てるウィンドエッジ等。

 普段は利き腕である左腕を重視して一刀流で戦うが状況に応じて右手を使い二刀流で戦う事も出来た。

(実際には両利きらしい)

 また本人は趣味でフルートの演奏をしており魔法で生成したフルートを奏でる事によって癒しの風を発生させて任意の人間の傷を治療する事が出来た。

 緊急時には自身の傷も楽譜型の魔法陣を発生させる事で直す事が可能だった。

 また何故か後頭部にはガスマスクと思しき仮面を装着しているのが印象的とも言えた。

 キュウたんからの報告では彼女は海外からの帰国子女でやっと住み慣れた慣れたばかりの見滝原市から親の都合で急にヒイラギ町に引っ越して来た際に旨く友達が出来ない事を悩んでキュウたんと《友達が欲しい》と言う願いで契約をしたと聞いていた。

 契約をして間もなく《魔女》との戦いを行う雲土ぴあを助けたのが同級生にして《魔法少女》でもある日向楓でありそれが2人の出会いだった。

 それから2人は互いを相棒としてヒイラギ町で戦い続けている。

 

 

 セーラー服姿の日向楓と異なる制服を着ている雲土ぴあは先を進むキュウたんの後を急いで追い駆けていた。

 雲土ぴあの来ていた制服はどこかで見覚えがあった。

 そう言えば見滝原市であった《黄色い髪の魔法少女》が同じ制服を着ていた筈だった。

 可愛らしいデザインであり朱奈に着せても悪くないと思えた。

(2人とも。急いで。既に《魔女》が誕生してしまっている!)

 キュウたんに促されて2人は直ぐに《魔法少女》としての姿に変身した。

「行くよ!《ウインドピア》!」

「うん。楓。じゃなかった。《サンシャイン》」

 キュウたんに聞いた話だとこの2人はまだ《魔法少女》としての現実を余り知らないのか変身後の自分達をお互いにコードネームで呼ぶようにしていた。

 日向楓は《サンシャイン》。

 雲土ぴあは《ウインドピア》と。

 まるで女児向けアニメに登場する正義の味方めいていると正直、呆れていた。

(まあ、《魔法少女》の正体を知らない《魔法少女》ってそんなモノよね)

 私がそう思っていると《2人の魔法少女》はキュウべえを伴って結界に入って行った。

(今ね)

 姿を現した私は《魔法少女》としての姿に変身すると同時に左手に《魔法の種》を出現させ握り締める。

 同時に左手には箒が生成されて私は箒を結界の入り口へと向けた。

 この箒には今、瑞光理亜の解析能力が移植されている。

 早速、結界を解析して見た。

 直ぐに構造を把握して《2人の魔法少女》が《使い魔》と戦っているのが頭の中に別個の映像として流れて来た。

 同時にこの結界を作り出す《魔女》の強さも推し量れた。

 この2人なら問題無く勝利出来るレベルだった。

 次に私は結界に対して魔力を使い干渉を試みた。

 瑞光理亜の持つ強い解析能力によって直ぐに結界の一部に対してだけ干渉、操作を行った。

 その操作は単純に結界の出入り口をあすなろ市に限定させると言う方法だった。

 ただ2人をあすなろ市へと誘導する。

 それだけで十分だった。

 既にもう1つの手は打ってある。

 暫くは様子を見るだけで良いだろう。

 考えながら私は《2人の魔法少女》の事を観察して見る。

 既に結界の最下層に到着して《魔女》と戦っていた。

「はあぁ!」

 気合と共に《サンシャイン》が炎を纏ったブーメランを次々と《魔女》に放って行く。

「!?《ウインドピア》!」

 突然、《サンシャイン》が叫んだ。

 その叫びにハッとなった《ウインドピア》は慌ててブーメランに向かって《ウインドピア》が手にしたウィンドエッジから風の刃を放った時、炎を纏ったブーメランはその威力を増して《魔女》の身体を貫いていた。

 後から来る風の刃によって《魔女》の身体は跡形も無く粉々に吹き飛ばされてしまった。

 グリーフシードが落ちてくると同時に結界は崩壊した。

《2人の魔法少女》は私の目論見通りにあすなろ市内の公園に実体化していた。

「《ウインドピア》。どうしたの?タイミングが遅れているみたいだったけど?」

グリーフシードを拾い上げる《サンシャイン》の問い掛けに《ウインドピア》は目を逸らしていた。

「御免なさい・・・。ワタシ・・・。その・・・」

 どうやら何らかの理由がある様だが《ウインドピア》は言いよどんでいた。

 ソウルジェムの穢れが増した様にも見える。

「何か理由があるの?」

《サンシャイン》は《ウインドピア》を見つめるが相変わらず《ウインドピア》は視線を逸らしたままだ。

《ウインドピア》には何かあったのだろうか?

 私がそう考えを巡らせた時、それは来た。

 

 

(私達を呼び出したのは君達か?)

 

 

 突如として静かな少女のテレパシーが辺りに響く。

 思わず身構える《サンシャイン》と《ウインドピア》はテレパシーの響いた方向に視線を向けた。

 そこには月を背にした《6人の魔法少女》が次々と公園の遊具の上に降りて来ていた。

(来たわね)

 教会にいる修道女の様な服装を着た少女が本を片手に下りて来る。

「あれが技の御崎海香ね」

 次いで太ももを大きく露出しスポーツ選手とも言える出で立ちの少女が御崎海香の横に降り立つ。

「あれが力の牧カオル」

 ベレー帽を被った軍服風の服装をした眼鏡を掛けた少女とぬいぐるみを抱き抱えるふわふわな髪型の少女が降り立つ。

「雷鳴の浅海サキ、大剣の若葉みらい」

 最後に飛行士の様な服装をした少女と猫の様な耳を生やした胸の大きい少女が降りて来た。

「分身の神那ニコ、操作の宇佐木里美。揃ったわね。《魔法少女狩りのプレイアデス星団》

《2人の魔法少女》、《ウインドピア》と《サンシャイン》と対峙する《プレイアデス星団》。

 ここにこれから始まる戦いの役者が揃ったと言えた。

 ただし後、1人足りないがこれから目覚める事は確実だった。

 予定が旨く進み私は笑みを浮かべていた。

「どうやら長い夜になりそうね」

 誰に言う事無く私は独り言を呟いた。

 

第23話へ続く

 




日向楓こと(KAEDE HINATA)はかずみ☆マギカの3巻で登場したキャラクター。
ただし背景設定は完全なオリジナル。
ホオズキ市にいる同じ名字の魔法少女との繋がりも捏造設定。
魔法少女雲土ぴあは魔法少女まどか☆マギカとディバインゲートと言うゲームのコラボで生まれたキャラクター。
ただし名前と姿だけを借りただけで設定は捏造。
ちなみに作者はディバインゲートをプレイした事はありません。
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