シュン!
「く!まったく見えない!」
穂乃花は現在紅魔館の地下にいる。そこで何者かと戦闘中だ。
「ふぅー...」
シュン!
「ここ!」
穂乃花が手を伸ばす。しかし、そこには何もいなかった。
「早すぎてまったく掴めないわ」
シュン!
「う!」
何者かが穂乃花の肩を切った。そこから鮮血が吹き出す。
「痛い...じゃないのよ!」
思いっきり足を振り上げた。
「ギャウ!」
「当たった!」
蹴り上げた足は何者かに当たった。徐々に暗闇に目が慣れていき、その何者かが見えてきた。
「...犬の妖怪」
何者かの正体は送り犬だった。
「送り犬って確か夜の山にしか出ないとか聞いてたけど...ここでは違うのかしら?」
「ギャウ!シャー!」
威嚇をしてから穂乃花に向かって飛んでくる。
「危ない!」
その送り犬を紙一重で何とか避けた。
「このままじゃジリ貧。咲夜さんを呼んできたほうがいいわね」
そう言って、送り犬から背を向け、全力で走った。それでも尚、送り犬は追ってくる。
「あの世に送るから送り犬って呼ばれてるのかしら?」
後ろにいる送り犬から目を逸らした。すると...
「!?嘘でしょ...」
そう、穂乃花の目の前には大量の送り犬がいたのだ。この送り犬はただの送り犬ではない。狙った標的はにがさないオオカミの体質も入っていたのだ。
「グルゥ...」
「うう...」
絶体絶命。万事休す。送り犬が前と後ろから襲いかかってきた。
「キャアアアアアアア!」
・
・
・
スパァ...
「ガル☆?」
ベチャ
「...え?」
完全にやられたと思った。しかし、いつまでたっても衝撃が襲ってこなかったのだ。
「まさか...」
目を開ける。そこには...
「大丈夫ですか?ご主人」
「...誰?」
見知らぬ人がいた。
赤い甲冑を身に纏い、頭には桃が描かれたハチマキ、そしてちょんまげ。刀は刀身に自分の顔が映るくらい綺麗だった。
「まさかとは思うけど...あなたもしかして桃太郎!?」
「!?覚えていましたのですね!この桃太郎、感激です!」
桃太郎。日本人なら誰もが知っていると思われる日本昔話の主人公。川に流されていた桃を割ったら出てきたことから桃太郎と言われている。小柄な体型に見えるが、かつて鬼をもやっつけたことがある。しかし、やっつけたという表現は実は間違っており、桃太郎には鬼殺しという異名がある。...そう、桃太郎は鬼を倒したのではなく殺したのだ。
「嘘でしょ!?桃太郎が実在するなんて!」
「実在はしてませんよ。あなたのスペルによって呼び出されました。召喚された、の方が正しいですかね?」