仮面ライダーディケイド 《インフィニット・ストラトスの世界》   作:URUTORA

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第二章 クラス対抗戦編
第14話 イメージ


「ではこれより、ISの基礎飛行訓練を実践してもらう。織斑、オルコット、試しに飛んでみろ」

 

クラス代表決定戦より1週間、四月下旬のこと。まだ肌寒さを残している春空の元、1年1組は運動場(グラウンド)にてISの実機訓練を受けていた。

 

担当教員の千冬に呼び出された一夏とセシリアは他のクラスメイト達の前に立ち、ISの展開を行った―――――のだが。

 

「ぐぬぬぬ…」

 

「織斑、早くしろ。熟練のIS操縦者であれば、展開までに1秒とかからないぞ」

 

千冬の叱責が飛ぶ。一夏は待機状態となっている自身の専用機『白式』の展開が瞬時に行えず苦戦していた。

 

(ちくしょう、まだ思うように白式を展開できない…!)

 

「集中しろ」

 

またしても千冬の催促が響く。おそらく次は問答無用のチョップコースだろう。

 

一夏は目を閉じて意識を研ぎ澄ます。右腕を突き出し、右手首に装着されている白いガントレットを左手でつかんで、心の中で叫ぶ。

 

(―――来い、白式!!)

 

刹那、キンッッ!!という音と共に、無数の光の粒子が放出された。それは次第に形を成して、一夏の全身を包んでいく。

ふわりと体が軽くなり、ハイパーセンサーによって研ぎ澄まされた感覚が織りなす解像度の上がった世界を感じる。

 

次の瞬間には、白式を展開した一夏が地上十数センチに浮遊していた。

 

すると、一夏の視界にウィンドウが表示される。すぐ隣には、セシリアが自身の専用機『蒼い雫(ブルー・ティアーズ)』を既に展開していた。どうやら、先日の試合で破損したビット『ティアーズ』の修復もすでに完了している様だった。

 

「よし、飛べ!」

 

「はい!」

 

「は、はい!」

 

千冬の号令の後、セシリアはすぐさまスラスターを出力上昇、上空へと急上昇し、一夏もそれにワンテンポ遅れて続く。

 

「何をしている!スペック上の出力では白式のほうが速度は上だぞ!」

 

(くッ…そお!!!)

 

叱責を受けつつ、2人はみるみる上昇。数秒後には粒ほどに小さくなるほど高くまで飛んで行く。

上空の2人を見つめながら、士は改めて白式とブルーティアーズについて観察していた。

 

(こうして俯瞰(ふかん)して見てみると、とんでもないスピードだな。あれで基本スペックってんだから恐れ入る)

 

「ねーねー、つっちーは行かないのー?」

 

「あん?ああ、俺には必要な…っておい布仏、その呼び方やめろっつってんだろ」

 

「えー、いいじゃんー、固い事いわずに~」

 

すると、隣で同じく2人を見上げていたクラスメイトの布仏本音(のほとけほんね)が話しかけてきた。

この本音という女子生徒、どうやら士とはまた違ったタイプの超がつくマイペースな性格の様で、非常におっとりのんびりした言動をすることで知られている(一夏からは「のほほんさん」と呼ばれているらしい)。

基本的に相手にオリジナルのあだ名をつけて読んでいるらしく、一夏なら「おりむー」、士なら「つっちー」と、本人に許可なく勝手に呼んでいるのだった。

 

「門矢のISは、オリジナル要素が過剰に詰め込まれた特別製の専用機だ。カスタムウィングはもちろん、PICすら搭載されていない。門矢、PICについて説明しろ」

 

2人の会話から千冬が士に振る。

士はやれやれ、といった感じで上空の2機のISを見上げながら話し始めた。

 

PIC(パッシブ・イナーシャル・キャンセラー)。物体の慣性を無効化させる現象を意図的に引き起こすISの基本能力の1つだ。これに加えてスラスターと肩部推進翼によって飛行を行ってる、らしいぞ」

 

らしい、というあいまいな言い方をしたのは、士自身はこのPICの恩恵を受けておらず知識のみでしか知りえていないからだ。

この世界に来たと同時、ISに関わる知識はいつもの通り(・・・・・・)なんとなくで知りえてはいる士だったが、今回はいささか事情が異なる。驚くまでに独自の進化を遂げたこの世界の『ライダー』とも呼ぶべき存在、IS(インフィニット・ストラトス)の能力は、『輝石:トリックスター』の世界のあいまいな辻褄合わせ(・・・・・・・・・・・・・)でさえ、ハイパーセンサーの解析機能や通信機能の一端しか読み込むことが出来なかった。

 

それでも、あの世界最強であるブリュンヒルデの称号を持つ織斑千冬に物怖じせず堂々と答える士に、周りのクラスメイト達は羨望の眼差しを向ける。

 

「ほえ~、相変わらずつっちーは博識だね~。実は年誤魔化してたりして~♪」

 

「そっ……んなわけないだろ。何を根拠に」

 

ゴフゥッッ!と露骨にむせそうになるのを全力で抑え込む。のんびりおっとりはしていていても、中々に鋭い直感は持っているらしい。

 

なんとなく本音に対する警戒度を上げていると、上空から一夏とセシリアが千冬の号令と共に地上へと向かってきた。

どうやら急降下と完全停止の実演らしい――のだが。

 

それにしては何か様子がおかしい。

 

「つ、つかさんッ!?布仏さんと楽し気にいったい何を……ッッ!??」

 

「ってセシリア、急に割り込んでくるなああああああああ!?!?」

 

「へっ?きゃあ!!」

 

何やら騒がしい、と思ったのもつかの間。よそ見をして着地目標への最短ルートから逸れたセシリアのブルーティアーズに、明らかにスピードを出し過ぎた一夏の白式が突っ込んできた。

 

ドガッッ!!!という派手な音と共に衝突。もつれ合った2つの機体はPICによる慣性制御をする暇もなく、スラスターの加速力によってクラスメイト達の方向へ突っ込んできた。

 

「なっ!?一夏のやつ何をしているのだ!!」

 

「うそうそ、こっちくるよー!?」

 

悲鳴を上げ始めるクラスメイト達。しかし、先ほどまであれだけ的確な指示を飛ばしていた千冬は微動だにしなかった。

 

 

ただ、まっすぐ鋭い視線を士に向けている。―――どうやら、試されているらしい。

 

 

 

「まったく、世話の焼ける…」

 

瞬間、士は取り出したディケイドライバーを腰に装着、淀みなくカードを1枚引き抜く。

ヴゥン!!というバイクのエンジンのような音と共に引き抜いたカードをかかげ、バシン!と勢いよく反転させた。

 

 

「変身」

 

 

【KAMEN RIDE――DECADE】

 

 

カードを装填、バックルを叩きこんだその一瞬後、士は自身の専用機『破壊者(ディケイド)』へと姿を変えていた。

続けてライドブッカーからカードを引き抜いてディケイドライバーに装填。カードに秘められた力を二次元から三次元へと昇華する。

 

【ATTACK RIDE――BARRIER】

 

ライドブッカーを銃モードに変形。特大のマゼンタの光弾を向かってくる2人に向けて撃ち放った。

 

「悪いな」

 

「「ちょおっっっ!?」」

 

2機のISに光弾が直撃する寸前、マゼンタの弾丸が巨大なディケイドのライダーズクレスト型の障壁(バリア)を投影。

ぎょっとする2人が回避できるわけもなく、問答無用で追突。クラスメイト達から方向をそらしてグラウンドへ激突した

 

 

 

___________________________________________

 

 

「―――まったくこの馬鹿者どもが。この程度の飛行訓練でいちいちクレーターなんぞ作るんじゃない」

 

一夏とセシリアはIS展開状態で正座させられながら鬼教官からこっぴどくしぼられていた。

そのすぐ隣には墜落した衝撃で大きな穴ぼこが出来上がっていた。

 

「で、でもよ千冬姉、最初に割り込んできたのはセシリアのほ「織斑先生と呼べ馬鹿者!」へぶぁ!?」

 

何とか己の理を通そうとした一夏の脳天に、鉄拳の制裁が加えられる。出席簿の角で殴られるよりもダメージが大きいのはさすが我が姉といったところか、と内心余計なことを考える一夏へ千冬はさらに追撃をお見舞いしながら話を続ける。

 

「そもそも地上停止するだけのためにあそこまで速力を上げる必要はない。大方、速度制御の感覚もままならない状態で取り合えずスラスターをぶっ放した、といったところだろう。違うか?」

 

「お仰る通りでふ……」

 

「なんとなくでISを操作した結果だ、馬鹿者め。暇さえあればISを稼働させろ。適正な速度で下降していれば、たとえ眼前に何が遮ろうがお前の白式の性能なら余裕で回避できる」

 

間違っていることは正させる。幼いころから変わらず一分一厘反論の余地もない千冬の姿勢に、相変わらずだなと思いながらも撃沈した一夏だった。

 

そのまま次のターゲットであるセシリアに千冬の眼光が向けられる。

 

「オルコット、途中で集中を切らしてよそ見をしていたな。これがタッグマッチの実戦なら、パートナー共々墜落。隙だらけのところをハチの巣にされるぞ」

 

「も、もちろん分かっています!ですが…」

 

「ですが、なんだ?」

 

「う、うう…」

 

セシリアはかくんとうなだれながら、先ほどの墜落から守ったクラスメイト達に囲まれちやほやされている士を、恨めしそうに見つめる。

 

(せっかく士さんにわたくしの華麗な姿をお見せするチャンスでしたのに…というかだいたい士さんも士さんですわ!分かり合えた、だなんて意味深な言葉を言っておいておきながら、周りの人にもいい顔ばかりして!そのうえ、初めての、おおおお、お姫様だっこまで………)

 

――たっぷり10秒思考して、俯きながら白旗を挙げることにした。

 

「……注意いたしますわ」

 

「いいだろう。まあお前らそうしょぼくれるな。名誉挽回のチャンスをやろう」

 

完全論破された2人の若きIS操縦者の胸中やいざ知らず、千冬はさっさと次のステップに入る。

 

「織斑、武装展開をやって見せろ」

 

「くっそう、やってやるう!」

 

「返事は」

 

「は、はいっ!」

 

「よろしい。でははじめろ」

 

半ばやけくそ気味に気合を入れ直したところをしっかり千冬に(たしな)められつつ、一夏は白式展開時と同様、突き出した右腕を左手で掴み、意識を集中させる。

 

物体を切り裂く、研ぎ澄まされた刃のイメージ。固く鋭い、己の武器。

 

(――――来い、雪片弐型!)

 

集中力が限界まで達した時、一夏の右手から光の粒子が放出される。次第にそれは像を成し、近接ブレード『雪片弐型』へと定着した。

 

「よし、こいつは必ず出せるようになったぞ」

 

「遅い。0.5秒で出せるようになれ」

 

「ぐう、ここでもダメ出しか…」

 

先日のクラス代表決定戦後、白式本体も含めた展開(オープン)の特訓をかなり頑張って行った成果なのだが、容赦ない酷評にがっくりと項垂れる。どうやらまだまだ先は長いようだった。

 

「次、オルコット」

 

「はい!」

 

セシリアは左手を肩の高さまであげ、そのまま真横へと腕を突き出した。瞬間、青白い閃光が爆発。光の粒子が発生することもない。一夏が反射で瞬きをした時には、セシリアの手に大型レーザーライフル『スターライトmkⅢ』が握られていた。

 

(俺より断然早い…なんだかんだでセシリアも『代表候補生』なんだな…)

 

自信の力量と照らし合わせ、改めて代表候補生(セシリア)の実力を思い知る。武装展開1つをとっても、やはり彼女との差は歴然だった。

 

「さすが…と言いたいところだが。やれやれ、お前もそうか(・・・・・・)

 

しかし、千冬の感触はまたも良くないようだ。改めてクラス全員を招集し、士も含めた専用機持ち3人を前に立たせる。

 

「織斑。お前を含めた3人とも、ISを使うにあたって悪癖(・・)がある。分かっているか」

 

「う、それは…」

 

展開(オープン)の際、操縦者は展開する物を強くイメージすることで初めて引き出せる。そのイメージ補強として、なにかしらのポーズ(・・・・・・・・・)をとっているな」

 

ぎく、と言わんばかりに一夏とセシリアの表情が強張る。ただ一人士だけは、普段通り飄々としていた。

 

「篠ノ之。一夏とセシリアの癖について思いついたものを挙げてみろ」

 

「はっ、はいっ!」

 

突然話題を振られ素っ頓狂な声をあげながらも、箒はゆっくりと確認するような感じで発言した。

 

「一夏は、右腕を左手で掴むポーズです。セシリアは、先ほどように腕を真横にきる動作のこと、でしょうか」

 

「正解だ。これらの所作は戦闘において大きな隙を生み出す。特に、一夏は戦闘中の手を不必要に閉じたり開いたりする癖、セシリアはそのポージング込みでの武装展開をすでに体が覚え始めてしまっている(・・・・・・・・・・・・・・・・)。こういうのは早めに矯正する必要がある」

 

「でっ、ですが織斑先生!あの動きは私の中でイメージを固めるのに必要不可欠なーー」

 

「即射撃可能な状態で展開できたところで、真横に銃口を向けていては何の意味もない。直せ、いいな」

 

「は、はい…」

 

何とか抵抗しようとしたセシリアを鋭い睨みと共に一瞬で黙らせる千冬。

 

「しかし織斑先生、最後に残った士の癖とは…」

 

「はいはーい!わたしわかるよ~、さっき隣で見てたからね~。『変身』ってやつ~!」

 

本音がのんびり口調で声を上げ、千冬が軽くうなずきながら続ける。

 

「お前の場合、オルコットよりも『厄介』だ。まったく、随分と板についているようだな(・・・・・・・・・・・・・・)

 

「?」

 

千冬の妙に遠回しな言い回しに、一夏は違和感を覚える。

士も何か気取ったらしく、意味ありげにニヤリとして見せた。

 

「まあ、だいたいそういう事だ。直すも何もない、あれを含めて全てが俺だ(・・・・・)。変えるつもりも直すつもりもない。第一、おれ自身も勝手に言っちまってるようなもんだからな」

 

「ふん。筋金入りの悪癖、といったところか。まあいいだろう」

 

「ええっ!?いいのかよ!?」

 

思わず一夏は声を上げる。自身やセシリアに言ったことと矛盾している、という事ではない。あの(・・)織斑千冬が誰かの勝手を許すなど前代未聞。その自他共に向ける厳格さは家族である一夏がだれよりも心得ているが故、士への『特例』ともとれる答えに驚きを隠せなかった。

 

「人の事を気にしている暇はないぞ織斑。『クラス対抗戦(リーグマッチ)』まで残り1週間だ。自分が専用機持ちだからと言って油断していると、足元をすくわれるぞ」

 

ぐっ…と一夏は押し黙る。結局、最終的には自分が力不足であることに全てが集約されてしまう。千冬の言う通り、ISを用いた訓練をこれまで以上に実施していかなければならないようだ。

 

しかし…と。頭は勝手に思考を巡らせる。

 

一夏に関しても自身の癖については自覚していたが、なんとなく直す事をしてこなかった。

しかし、実戦ではそれが敵に大きなアドバンテージを与えることになる。なにせ、専用機持ちでない箒にすらそれに気付いたのだ。これが敵に知られれば、多くの隙につながり敗因に直結しかねない。

 

(確かに千冬姉の言う事は最もだ。けど、だからこそ士を容認した理由が分からない)

 

そういうところで妥協するような人ではないことは、弟である自分が一番よく知っている。

 

(…もしかして、それが士の強さの秘訣…なのか?)

 

考えても、答えはでなかった。結局自分が力量不足なことには変わりがない。そこはやはり千冬の言葉通り、『人のことを気にしている暇はない』のだろう。

 

(……よし、特訓がんばるか)

 

一夏が改めて気合を入れ直している横で、セシリアもまた思いを馳せる。

 

士の事を半ば睨みつけるよう黙って見つめながら、心の中で士へのお近づきプランを構成していた。

 

(わたくしのお姫様だっこ(はじめて)を奪った責任――取って頂きますっ)

 

各々の思いを他所に、実習は終了。

グラウンドに出来た大きなクレーターは千冬につかまった一夏が白式を使って修復することとなった。

 

 

___________________________________________

 

 

翌日、始業前のクラスはとある噂でもちきりだった。

 

「転校生か。まったく、本当に退屈しない所だなここは」

 

「随分と変なタイミングだよな。一学期始まったばっかなのに。隣の2組だっけ」

 

「クラス連中の話じゃあ、そうみたいだな。それにしても一夏、動じなくなってきたな。お前も肝が据わってきたってことか」

 

クラス対抗戦を翌週に控えたその日、どうやら1年2組に季節外れの転校生がやってくるようだった。士たちが教室へ到着したころにはすでに噂はクラス中に広がっており、きゃいきゃいと響き渡る噂大好きな年ごろの女の子達の会話から、特に聞き耳を立てる必要もなくその情報を入手していた。

 

しかし、そんな話を聞いても学内で2人だけの男子達はわりと呑気なものだった。

 

「ビッグイベントのはずなんだけどなあ。IS学園にきてから、ほとんど毎日トラブル続きみたいなもんだったし。肝が据わってきたというより、感覚麻痺してきてるのかも」

 

「…転校生も、お前たちだけには言われたくはないと思うぞ」

 

「ふふん、わたくしの存在を今更ながら危ぶんでの転入かしら」

 

すると、2人の席にセシリアと箒が近づいてきた。どうやら2人も噂についてはすでに耳に入っているらしい。

 

「そんなことよりも、士さん?一夏さんの事で、1つ提案があるのですけれど…」

 

「提案?」

 

突然のセシリアの申し出に、士はそのまま聞き返す。何故かセシリアの顔がほんのりと赤く染まっていた。

 

「いよいよ来週には一夏さんのクラス対抗戦が始まりますわ。そこで一夏さんのより実践的な訓練のメニューを、わたくしといい、一緒に実施するというのはいかがでしょう?」

 

「えーっ!セシリアだけずるいずるいー!」

 

「そーだそーだ!みんなの織斑君と門矢君だぞー!」

 

「なななっ、なんですの皆さん突然っ!」

 

セシリアの提案と同時、転校生の噂話に夢中だったと思われていたクラスメイト達から大量のブーイングが飛び交う。どうやら男子達に関わる会話は別枠でちゃんと聞き分けている様だった。

 

セシリアの考えたプラン。それは、クラス代表に押し上げた一夏のサポートを同じ専用機持ちであり実力者でもある自分と一緒に行う、というものだった。

 

(これなら、一夏さんの実力アップが目的という大義名分も成立しますし、士さんとも密に連絡が取りあえるはず。ゆ、ゆくゆくは2人で一緒にトレーニングメニューを考えたり、なんて……)

 

自信の立案した完璧の作戦に、思い描く未来の想像までしてしまい若干口元が緩くなってしまいそうになるのを何とかこらえるセシリアだったが、箒が一夏の机をバン!と叩いて立ち上がったことで無理矢理現実に引き戻された。

 

「必要ない。一夏の特訓の相手は私がするからな」

 

「あら篠ノ之さん?わたくし達(・・・・・)専用機持ちが実際にISを使用して実践した方が、より効率的なレベルアップが図れると思いますけど?」

 

「一夏はまだそんな段階に居ない。わたしと2人で(・・・・・・・)剣術の基礎訓練をやった方が、一夏の戦術向上にもつながる。お前は剣道など出来ないだろう??」

 

バチチチッッ!!と、2人の間に火花が飛び散る。どうやらそれぞれに譲れないものがあるらしい。一夏としては結局自分の訓練を見てもらえるわけで大変喜ばしい事のはずなのだが、そこに自分の予定が全く考慮されていない所が少し気になるところだ。

 

「な、なあ2人とも。気持ちはすごいありがたいんだけどさ、一応俺は俺で訓練やってて正直身体がついていかな「お前は(あなたは)黙っていろ(なさい)!!」は、はい…」

 

小さな抵抗むなしく、一夏は叩き伏せられる。どうなるにせよ、スパルタコースは確定の様だ。

 

「お前はただでさえ遅れてるんだ。周りが見てくれるだけありがたいと思う事だな」

 

士はがっくりと項垂れる一夏にそう声をかけると、ぎゃーぎゃー言い合う2人を置いて教室の外へと歩みを進め始めた。

 

「って、おい士、どこいくんだよ」

 

「新聞部だ」

 

ガラッと教室の扉を開けて、士は一夏たちにレンズを向けてシャッターを切りながら続ける。

 

「このあいだの取材の契約を果たしてもらう。たまりにたまったフィルムの現像を―――っと!?」

 

「ふにゃ!?」

 

ドシン!と。教室を出ながら一夏たちの方を見て話していた士の腹部に、勢いよく何かがぶつかってきた。

そのまま尻もちをついたのは、ツインテールの小柄な女子生徒だった。

 

「――ちょっと、どこ見て歩いてんのよ!ちゃんと前見て……って………」

 

「え…今の声って…」

 

「一夏…?」

 

顔を上げるなり勢いよく講義してくる声を聴いて、一夏が急に立ち会がる。

突然の『幼馴染』の反応に、箒は怪訝な顔をしていた。

 

 

 

 

 

「なな、何であいつ(・・・)以外に男がいんのよ!?!?」

 

 

 

「鈴………鈴か?」

 

 

 

新たな邂逅。門矢士と転校生。

また一つ、歴史が大きくねじ曲がっていく瞬間だった(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)

 

 




セカン党、参戦

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