仮面ライダーディケイド 《インフィニット・ストラトスの世界》   作:URUTORA

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第一章 クラス代表戦編
第1話 新たな旅


「力を貸せ…だと?」

 

「そうだ。お前のような『破壊者』に頼むなど不本意極まりないがね」

 

鳴滝の言葉に夏海は顔をムッとさせる。士はこれまで、訪れた世界全てのライダー達から『破壊者』と忌み嫌われていた。しかし、それは鳴滝がディケイドを倒すためにライダー達に与えている情報であり、士は身に覚えのない言いがかりを付けられていたにすぎないのである

 

ユウスケのほうも、ベルトを初めて手にしたとき、鳴滝にそそのかされていたこともあり、全体的にあまりいい印象は持てていない

 

だが、当の士本人は鳴滝の言葉にも全く動じず、むしろ彼の言葉に疑問を感じていた。

 

「ほー、数々の世界を先回りしてまで潰そうとしてきた俺にわざわざ頼み込んでくるってことは…どうやらよほどのことらしいな」

 

「なっ、まさか士、この人に協力するってのか!?」

 

ユウスケは驚きの声をあげる

 

「まさか。いまだに確かな正体も分からないおっさんの頼みごとなんて聞くわけ無いだろ」

 

が、もちろん士も自分を倒そうとしてきた相手に協力する気などさらさら無かった

 

「こっちは散々邪魔されてきたんだ。あんたに協力する義理も理由もねーよ。分かったらさっさと「世界の危機」……なんだと?」

 

士が「さっさと帰れ」と言いかけるのを鳴滝がさえぎる。

 

「とある世界が崩壊の危機を迎えている。お前には、それを止めてほしい。それが私の頼みだ」

 

「嫌だね、通りすがっただけならまだしも、全く関係ない世界にまでわざわざ助けになんて行くか。」

 

士は旅を始める前、『世界は九つある』と教えられていたが、旅を続けるうちに世界は無数にあるということが分かっていた。

 

「いくつあるかも分からない世界の危機にいちいち手を差し伸べてたらきりがないし、必要もない。その世界の危機は、その世界のライダーで片を付けさせるんだな」

 

「ちょっと言い方悪いかもしれないけど…俺もおおむね士に賛成だ。なんでもかんでも助けりゃいいってもんじゃないしな」

 

士の良く言えば厳しい、悪く言えばめんどくさい(多分ほとんどがこっちの理由)との答えに苦笑いながらも考えを同じくするユウスケ

 

だが、ここでずっと黙っていた夏海が静かに呟いた。

 

「ライダーのいない世界…」

 

夏海の言葉に、士とユウスケも鳴滝が最初に言った台詞を思い出す

 

 

―『ライダー』も『別の何か』もいない、戦いの無い平和な世界もあるのか……ということかな?―

 

 

「戦いが無い平和な世界が崩壊の危機をむかえている…ということですか!?」

 

夏海は崩壊をむかえた自分の世界を思い出す

 

「そう…そしてその崩壊しかけた世界を救えるのはディケイド、お前だけだ」

 

二人の会話に士も思うところは出てきていた。崩壊していた夏海の世界…ネガの世界の方は別として、言ってしまえばあの世界も『ライダーのいない世界』に分類されるのではないか。そして…

 

 

 

 

『破壊者』としての記憶をなくしていた俺が夏海の世界に訪れることで、夏海の世界を崩壊させてしまったのではないか、と――

 

 

 

「………なぜ俺だ」

 

士は静かに問いかける。その問いかけは、かつて『仮面ライダーキバ』である紅渡に旅を促された時のものと同じだった

 

「ディケイド、お前は結局の所『破壊者』だ。これまで様々な世界でお前のことを見てきていたが、その考えは変わらない。」

 

だが、と鳴滝は続ける

 

「だからこそ、様々な世界を巡っても変わらず私に『破壊者』であると思わせるお前だからこそ、『あの世界』を救うことが出来る。『破壊者』である君にしか出来ないことがある、ということだ。」

 

『破壊者』である自分にしか出来ないこと。その意味を、士はなんとなく理解していた。

 

いままで、全ての世界で士は『破壊者』として見られ、士自身もそれを否定したりはしなかった。それが鳴滝や別の者の策略であったりもしたが、それでも士は自分が『破壊者』であることを受け入れていた

 

そして、『破壊者』であるからこそ、士は様々な世界を旅し、様々な敵を倒し、そして―…

 

 

 

士は周りを見る。そこには、鳴滝の言う意味をいまいち理解でず困惑顔のユウスケと、同じく困惑しながら、それでも士を心配そうな顔で見つめる夏海の顔があった

 

 

「なるほど…大体分かった」

 

「士君、じゃあ…」

 

夏海は士が決断するのを感じた

 

「いいぜ鳴滝。いまだにお前を信用なんて出来ないが…どうやらその世界の崩壊を止めることが、今回の俺のやるべき事らしいな。」

 

「…そうか」

 

鳴滝は士の答えを聞きほっとしたような声を上げた

 

「ユウスケ、なつみかんの事、少しの間頼むぞ」

 

「なっ!?士君、私たちだけ置いてくつもりですか!?」

 

「そうだぜ士!俺たち仲間だろ!?」

 

「すまないが」

 

当然のように一人で行こうとする士に抗議する二人だが、それを鳴滝がさえぎる

 

「ただでさえ崩壊の危険がある上に、別の世界の『異物』を入れる荒療治だ。必要以上のリスクをさけるために、今回はディケイド一人で行ってもらう」

 

「そんな…」

 

たしかに鳴滝の言うことも理解はできる。だが、士一人に負担をかけるしかないという事実に夏海はうつむいてしまう

 

「なにがっかりしてんだなつみかん。お前がついてこようがきまいが、さしてかわりゃしないぞ?」

 

「っ…!士くん!私はあなたの心配を「必ず帰ってくる」……!」

 

なおも引き留めようとする夏海を、士はさとす様につげる

 

「俺がそんな簡単に死ぬわけない。…だから、少しの間まっていてくれ」

 

はっ、と。夏海は以前士に言った自分の言葉を思い出す

 

ー私も、待ってることにしたんで す。士君が帰って来るのをー

 

そうだ、あの時私は決めたはずだ。例えどれだけ士が否定されようと、士の帰る世界が無かろうと、彼の帰ってくる場所であろうと

 

「…分かりました。私、士君のこと待ってます。自分で言ったことですしね」

 

夏海は諦めたように言った。だが、その顔は少し笑っていた

 

「安心しろ士!お前がいない間は、俺が夏海ちゃんを守ってやる!」

 

「最初から心配なんてしてない」

 

「またまたぁ~、そんなこと言っちゃってほんとツンデゲフゥ!!!!」

 

余計なことをいいそうになるユウスケの鳩尾に無言で拳を叩き込む士。

 

「うぶぅ…」

 

「自業自得だバカ」

 

拳で強制的に黙らせられ悶絶しながら倒れるユウスケを放ると、鳴滝に目を向ける

 

「…もういいのか?」

 

「ああ、さっさと連れていってくれ。今度の旅の行き先にな」

 

今の問いはどちらかというと『こんなんでいいのか?』という意味合いのほうが強かったが、士はそれをガン無視した

 

鳴滝もこれ以上時間はかからないからいいか、と無理矢理納得し、オーロラを発生させる

 

「これから君が向かうのはインフィニット・ストラトス、通称『ISの世界』だ。詳しいことは向こうの世界でまた追って説明する…頼んだぞ、ディケイド」

 

それだけ告げると、鳴滝は先にオーロラの中へと消えていき、士もそれに続く

 

 

 

「ユウスケ!!」

 

 

 

と、士は振り返ることもせず、まだ士に背中を向けて倒れるユウスケに叫ぶ

 

「なつみかんの事…しばらく頼んだぞ」

 

するとユウスケも、横たわったまま腕だけ真上にあげて、拳を握り親指を突き立てる

 

 

 

 

「まかせとけ」

 

 

 

士はフッ、と笑って、オーロラと共に旅立っていった

 

 

 

 

 




夏海が決めた『あの時』とは、シンケンジャーの世界のラストシーンの時の事です

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