仮面ライダーディケイド 《インフィニット・ストラトスの世界》 作:URUTORA
―時は戻り、試験会場横の路地裏―
「さて…着いたはいいが、鳴滝の奴はどこだ?」
士は鳴滝にISの世界のことをまだ何も聞いていない。『向こうの世界でまた追って説明する』と言いながら先にオーロラに入ったはずだが、周りを見渡してもいる様子はない
そうしてあたりをキョロキョロしていると、首からいつも下げているマゼンタの二眼レフカメラとは別に、定期券を入れておくようなケースが紐でつながり垂れ下がっていた
それを手に取ってみると、中に一枚のカードのようなものと折りたたんだ地図が入っていた
「…『IS学園特別編入証明書』?」
地図を開くと、『IS学園』というところに赤く丸印がしてあった
「ここに来いってことか?鳴滝の奴なんでこんな面倒なことを…」
オーロラ使うなら直接つなげと心の中で愚痴りながら、今自分がどこにいるのか確認し始める。
どうやら割りと近場にあるらしく、歩けばすぐのようだ
「さっさと行って聞いておくか、この世界の事情ってやつをな」
そう呟きながら士は歩き出した。路地裏の暗がりから通りにでて目をおおう。どうやら試験シーズンらしく、十代半ばの女の子たちが『<IS学園>受験生の方はこちら』と書かれた看板のある多目的ホールのような建物に続々と入っていくのが見える。IS学園に近い場所が試験会場になっているようだ
(なんかやたら女子が多い気もするが…それにしても手ぶらすぎないか?)
「受験生の方は」と書かれているから受験に来ているのは間違いないんだろうが、少なくとも士が見た限りでは全員何も持っていないようだった。
(面接式の受験なのか?だったら変な奴はどんどん落としてほしいもんだな)
ハイレベルな学校になってくると、筆記と違って面接は態度、性格、その他受験者の『素』を見極めてくるところもある
(『555の世界』みたくまた学生として過ごしていくことになるなら、余計な面倒を起こす奴は少ないに越したことはないからな………!?)
と、
ここで士はあることに思い当たる
「……」
…学生として過ごす?
……まさか!?
士はバッ!!!と改めて自分の姿を確認する。士は世界を移動するたびに、その世界での自分の役割の服装になる。それは士の意思によるものでなく、世界を移動すると勝手に変わっているらしい。役職は決まってはおらず、警察官であったり、郵便屋であったり、ZECTの下っ端であったりと様々である
移動するたびに知らない服に強制的にに着替えさせられてしまうわけだが、士はその容姿からほとんどなんでも着こなしてしまう。本人もそれを豪語しているし、実際才色兼備なのだから周りから見ても不自然は無い
が、いくら容姿端麗・才色兼備とはいえ、門矢士の年齢は20。なんでも着こなせる士にももちろん着るのに抵抗がある服もあるわけで……
「…またこれか……」
555の世界よろしく、これからまた学生服(コスプレでも可)で一日のほとんどを過ごさなくてはならないという未来に、若干憂鬱ぎみになりながら再び歩き出す士だった
後ろの多目的ホールが異様に慌ただしくなっているのを、軽くスル―出来るぐらいに
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「嘘…男がISを!?」
「そこの君、動かないで!!」
「え、ちょっと!?俺試験受けに来ただけなんですけどなんでお姉さん銃持ってんの!?」
「いいから両手を頭において床に伏せて!!」
「誰か、IS学園に連絡を!!」
「あ、IS学園!?てことは『さっき動かした』あれ、ほんとにISなのか!?ここって藍越学園の受験会場だろ!?」
「動かないで静かにしていてください!あとこの入口の看板にちゃんと『IS学園』って書いてありますけど?」
「間違えたぁぁぁぁあああああああ!?」
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「よしよし、いっくん君の方はこれでオッケー♪ちーちゃん喜んでくれるかなぁ?…………アイアンクローされるイメージしか浮かばないのはなんでだろ?」
「………」
その研究室には二人の女性がいた。
一人は薄い紫の髪を長く伸ばして、頭にメカのようなうさ耳カチューシャをつけたメイド服の女性
一人は流れるような銀髪を持ち、両目を閉じて静かに紅茶を飲む小柄な女性
「しかし、『看板を変えた』ことぐらいさすがに織斑一夏でも気付くのでは?」
女性、というより少女と言った方がしっくりきそうな銀髪の方が尋ねる
「だいじょぶだいじょぶー。いっくんこういうとこはすごい鈍いからね、昔からさー」
対するうさ耳の方はにこにこしながら即答する。質問した少女の方も再び紅茶を飲み始めたところを見ると、そこまで気になっていたわけでもないようだった
「しっかしもしやと思って『試してみたら』ほんとに動かしちゃうんだもん、やっぱりちーちゃんの弟だねー」
「御冗談を、事ISに関してあなたが分からないことなどあるはずがないでしょう」
「やだークーちゃんそんな褒めないでよー♪ま確かに?この『天災』篠ノ之束さんにかかれば分からないことなんてないのだがなー!!」
ガッハッハッハー!!と腰に手を当てて自己主張の激しい胸を張りながら威張る束と名乗った女性は、『多目的ホールとその周辺にある監視カメラをすべてハッキングした映像』を映し出した画面を再び見つめる
そこにはIS学園から呼ばれた千冬が取りあえず一夏を手刀で殴り倒している映像が流れていた
「いっくんいはこれからもーっと大変な目に合うかもだけど、ちーちゃんと一緒に乗り越えるでしょー…
それで、こっちの奴はなんなのかな?」
ザワッッ!!!と。束のまとう雰囲気が一気に変わる。先ほどまでの明るい表情から、まさにゴミを見るような冷たい顔へと一変させた。
画面は多目的ホールの横の『誰もいないはずの裏路地』からでてくる男の姿に変わっていた
「…IS学園の方向に向かっているようですね」
クーちゃんと呼ばれた少女は束の突然の表情の変化にも見慣れているらしく、男の進行方向から行先を割り出す
「ふぅ~ん…『ただの』男がIS学園に何のようかねー。ま、別にいいけど」
束の目が一瞬にしてさらに冷たくなり、周りの温度さえ低下するような錯覚に少女はおちいる
「束さんの邪魔するんだったら、問答無用で殺っちゃえばいいよね♪」