仮面ライダーディケイド 《インフィニット・ストラトスの世界》   作:URUTORA

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第6話 代表候補生

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「今回はこれまでと違い様々な意味でイレギュラーな世界だ。そこで、特別に私も情報提供という形でお前を支援する」

 

「情報提供だと?なんだか今回は気前が良すぎないか?」

 

この世界での成すべきことを告げられた士は、現在進行形で正体不明な目の前の男のこれまでとは180度違う態度に思わず思ったことをそのまま口にしてしまった

 

「まあ私から頼んだ事への特典だとでも思ってくれ。私は『メカニック兼男性IS適正者のメンタルカウンセラー』という形でこの学園に入り込むつもりだ。お前のことも『士君』と呼び改めることとしよう。」

 

「随分と具体的な役職だな……あとその呼び方は気色悪いから是非やめろ」

 

 

 

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「心理カウンセラーかぁ……鳴滝さんって言ったっけ、優しそうな感じの人だったよな」

 

「どこが……ただの中年の狸オヤジだ」

 

「ん?士って鳴滝さんと知り合いなのか?」

 

「いや、『少し』縁があるだけだ………っと、あれじゃねえか?」

 

真耶率いる1クラスの学校案内(しせつせつめい)が終了し、鳴滝と名乗った男性適正者専門カウンセラーへの率直な感想を述べる二人は、今日から使用する自分たちの寮へと足を進めていた

 

世界中からIS乗りの卵達がやってくるこのIS学園では、生徒が利用する設備もほぼ不自由なく配慮されている

 

当然その部屋数も半端なものでは無く、分かってはいてもやっぱり憂鬱というか、少なくとも自分の心理カウンセリングには全然ならない心理カウンセラーの登場に思考を持っていかれていた士は、目的地である寮とは真反対に進んでいく一夏と仲良く1時間迷ってしまっていた

 

「ようやくついたか……ったく、誰かさんのおかげで思わぬ時間をくっちまったな」

 

「だから悪かったって……どうも最近よく道を間違えるんだよなぁ(・・・・・・・・・・・・・・・・・・)

 

考えても出ない答えを探しながら、二人は部屋の前に到着した

 

「士、お前の部屋って俺の隣なんだよな?」

 

「ああ、1026室だ」

 

「そっか、それじゃあ今日からお隣さん同士よろしくな」

 

「ああ」

 

それを挨拶に、二人は扉を同時にくぐっていった

 

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一夏と別れて自分の部屋に入った士は、今日一日撮りためた写真を現像しようとして、いつものように自分で写真を現像できないことに気が付いた

 

「いちいち学外にでて現像しに行くのも面倒だな……とりあえずは保留か」

 

それよりも考えないといけないことが山ほどある、という感じだ

 

「この世界のライダー……IS、10年前の事件とISの開発者、篠ノ之束…加えて別の世界からのお客様と来てやがる。全く、つくづく面倒な世界に送り込んでくれたもんだ」

 

自分からあの予言者気取りに関わる気も頼る気もさらさら無い士は、鳴滝が心理カウンセラーとして入って来たことに対して殆ど関心を寄せていなかった(そもそも『心理カウンセラー』なんてものが士に必要なのかどうかなんてことは分かり切っているのだが)

 

それよりも、今日もっとも重要視するべきは……

 

「6年見ない間に変態行為にまで走るようになったか、この裏切り者オオオオオ!!!」

 

「ほほほ箒っ、すまん、謝るからその木刀をおさめ「問答無用!!」ギヤァァアアアア!!」

 

「……今日は早めに寝るか」

 

どうやらさっそくトラブルを起こしているらしい隣人の叫び声(断末魔?)を聞きながら、士は眠りについた

 

ISの開発者であり、現在は逃亡中の天才科学者、篠ノ之束の実の妹、篠ノ之箒

 

そして、世界最強の証『ブリュンヒルデ』の称号を与えられた織斑千冬の弟であり、この世界で初めてISを稼働させた『男』、織斑一夏

 

少なくとも、退屈することは無さそうだな、と、そんな事をおもいながら

 

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翌日1時間目の授業の真っただ中、前日始業式後のHR同様一人の男子生徒がだらだら汗をかいていた

 

「ぜ…全部分かりません……」

 

「ぜ、全部ですか!?」

 

ただし今回迫っているプレッシャーの正体は、黒板横で仁王立ちしている千冬からのものであるようだ

 

「ええと……今の段階で全く分からないという人は他にいますか?」

 

戸惑いながらも何とか教師としての責務を果たそうとする真耶だったが、誰も手を上げない状況を自分で作り出してしまい結局涙目になってしまった

 

「織斑、入学証と一緒に同封された案内書は読んだか?必読と書いてあったはずだが」

 

「あ、間違えて古本と一緒にすてましダッ!?」

 

さっさと鉄拳制裁をくらわした千冬は、面倒そうにため息をついた

 

「仕方ない。新しいものを発行してやるから、一週間で覚えてこい」

 

「一週間!?いや、さすがにあの電話帳サイズで一週間は……」

 

「ああん?」

 

「やります!!」

 

抵抗むなしくさっさと言いくるめられた一夏だが、どうしても気になることがあった

 

「士…お前、これ分かるのか……?」

 

「当然だ。お前と一緒にするな」

 

「なぁっ、マジかよ!?」

 

士の即答に、一夏だけでなく教室中がどよめきだす

 

ISとは、操縦技術以上に座学による知識量も必要になる。そのためIS操縦者、技術者を目指す者は、遅くても中学生のころから勉強をはじめるのが一般的だ

 

一夏のように案内書を貰っているならともかく、前日に飛び入りしてきた男が(・・・・・・・・・・・・・)ISの知識に精通しているなどやや常軌を逸している

 

「ほう、大したものだな門矢。それならお前が一夏の勉強をみてやれ」

 

「はあ!?なんで俺が!?」

 

しかし、その事実を聞いても千冬は口元にわずかな笑みを浮かべるだけだった

 

「男子は他にお前しかいないんだ、助け合っていけ。あぁ…それとも……

 

 

 

『お前には荷が重過ぎるか?』」

 

 

 

「…ほー、言ってくれるな……」

 

「つ、士?」

 

門矢士という男の事を知ってるい者が聞いたら卒倒しそうな挑発を上から目線と鼻で笑うのオプション付きフルコースで言ってのけた千冬に、士の沸点はフルスロットルで振り切った

 

「上等じゃねえか。伝説のブリュンヒルデだかなんだか知らないが、俺に弟を教えさせた事を後悔させてやる!」

 

「ほう。どう後悔させてくれるのか、楽しみにしているぞ」

 

バチチチチチ!と火花を散らし始める二人だが、一夏以下クラスメイトはしっかり置いてきぼりである

 

(や、やばい、千冬姉の目がマジだ!これ下手したら最終戦争(ハルマゲドン)じゃないのか!?そ、そうだ山田先生―――)

 

最後の頼みの綱である真耶に一縷の望みを託そうとした一夏だったが、我らが副担任は涙目を通り越してすでにどこか遠くを見つめている

 

(ちっ、ちくしょう、誰か助けてくれぇぇぇええええええ!!!)

 

なんだかいろんな意味で、自分の無力さを痛感してしまった一夏だった

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「悪いな士、なんか巻き込む形になっちまって」

 

「俺はああいう指図してくる奴が一番嫌いなんだ。一夏、あいつのあの鼻っ柱へしおってやるぞ!!」

 

「千冬姉にそこまで強く出れる奴を、俺は他に知らないよ……」

 

あの後予鈴によって救われた一夏は、早速士からIS理論を教わっているのだった

 

「しっかしよくみんなこんな数字の羅列理解できるよなー」

 

「そもそもお前、偶然ISを動かしちまったからIS学園に来ることになったんだろ?他の連中は小・中学校である程度知識を身に付けているから兎も角として、お前はどうやって動かせたんだ(・・・・・・・・・・・・・・)?」

 

士の問いに、一夏はこめかみを押さえながら曖昧に答えた

 

「えっとー、なんつーかさ、俺もよく分かんなかったんだよな。なんていうかこう…自然に使い方が流れ込んできたっていうか、昔から知っている様な感じだったっていうか、そんな感じだ」

 

「……なるほど…な。大体分かった」

 

初めて使うはずの力の使い方が分かる経験(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)は、士にも覚えが無いでも無かった

 

しかし、それだとやはりISとは……

 

「なあ、士は初めてISを動かした時はどんな「ちょっとよろしくて?」…え?」

 

と、一夏の疑問と士の思考は、鮮やかな金髪をもつ女子によって遮られた。毛先に軽くかかったロールが『いかにも』な感じを漂わせていて、白人特有のブルーな瞳をやや吊り上がらせて二人を見下ろしていた

 

「訊いてます?お返事は?」

 

「あ、あぁ…聞いてるけど、どんな用件だ?」

 

「あん?」

 

若干の嫌悪感を相手に抱かせるセリフに各々の答えを返すと、目の前の女子生徒はかなりわざとらしく声をあげた

 

「まぁ!なんですの、そのお返事!わたくしに話しかけられるだけでも光栄なことなのですから、それ相応の態度というものがあるのではないですか?」

 

「…………」

 

正直、一夏にとってこの手の相手は苦手だった。しかし、特に大した理由もなく優先順位が下に回ってしまうのが今の世の中、ということになっている。この女子生徒の一夏達への態度も、一般的といえば一般的だった

 

だが、この男が『一般的』なんて枠に収まるはずもなかった

 

「全く、この世界の女ってのはこんなのばっかりなのか?名乗りもしないでいきなりべらべらと、何なんだてめえは」

 

ピシッ!と、氷にひびが入ったような音が響き渡った気がした

 

「な、ななななんですの、その言葉使いは!?このセシリア・オルコットを、イギリスの代表候補性にして、入試主席のこのわたくしを知らないばかりか、そのような品の無い言語をわたくしに浴びせるなんてー!?」

 

物凄い剣幕でセシリア・オルコットと名乗った女子が詰め寄ってきた。思いもよらない、というか経験したこともないような『男からの反撃』に、全身をわなわなと震わせている

 

と、そこに素朴な疑問を抱いた一夏が疑問を口にした

 

「あ、なぁ質問いいか?」

 

「なんですの!?今はあなたの様な凡人に付き合っているような事態では――」

 

「代表候補生ってなんだ?」

 

ガタタタタタッ!と聞き耳を立てていた女子達がまたもずっこけていた

 

なんとなくどこかで見たことのある図だったが、セシリアの堪忍袋は緒が切れるどころかはちきれんばかりのレベルのようだった

 

「あ、あ、あ……」

 

「「あ?」」

 

「あなたっ、本気でおっしゃっていますの!?」

 

「おう。知らん」

 

「…………」

 

どうやら怒りが一周して逆に冷静になったらしいセシリアは、頭痛が痛む人のようにこめかみを人差し指でおさえながらぶつぶつ言いだした

 

「信じられない、信じられませんわ。極東の島国というのは、ここまで未開の地なのかしら。片や礼儀無い言葉使い、片やテレビもないと言わんばかりの常識知らずなんて……」

 

「失礼な、テレビくらいあるぞ」

 

「いきなり罵倒をけしかけてくるのは礼儀無いとは言わないのか」

 

士はハァ、と一息ため息をついて、一夏に言葉の意味を教え始めた。というか再開し始めた

 

「『代表候補生』。国家代表IS操縦者の、その候補生として選出される奴のことだ。まあ、一般的には『エリート』って言われているらしいが、そういう事実は実物を見て判断するんだな」

 

「そう、エリートなのですわ!!」

 

遠まわしな士の嫌味をエリートの響きで完全にスル―した事実で実物なエリートセシリア・オルコットは、一夏の鼻先まで人差し指をビシッと突き立てた

 

「本来ならわたくしのような選ばれた人間と同じクラスで同じ時間を過ごせること自体、それはそれは奇跡…幸運な事なんですわよ。その現実をもう少し理解していただける?」

 

「そうか、そりゃラッキーだ」

 

「…馬鹿にしていますの?」

 

「お前がそう言ったんじゃないか…」

 

どうやらこちらの発言は、全て等しく悪い意味で捉えられてしまうようだった

 

「大体、あなたISの知識もないのによくこのIS学園に入れましたわね。そちらの方は少しは教養もあるようですけれど、結局野蛮では意味もありませんわね。男でISを扱えると聞いてみたからどんなものかと思ってみれば、やはり男は男、期待外れですわね」

 

「俺に何かを期待されても困るんだが…」

 

「ふん、まあでも?わたくしは優秀ですから、ISのことについて分からないことがあれば、そうですわね……泣いて頼まれれば教えて差し上げてもよくってよ?」

 

「誰がてめえなんかの教鞭をうけるんだよ」

 

「……あなたにはまず自分の立場をわきまえるということを教えて差し上げたほうがいいようですわね。入試試験で唯一教員を倒した、といっても、まだ同じセリフが言えまして?」

 

「ああん?」

 

いい加減目の前の不遜な男に限界がきたセシリアは、分かりやすく差を見せつけやすい自分の実績を披露することにした

 

「ふふん、驚いているようですわね。そうですわ、わたくしあの最初のIS実戦試験で、一年生で唯一教員を倒したエリートなので「あれ?教師なら俺も倒したぞ?」………は?」

 

が、それは一夏のトンデモ発言によって早速叶わぬことになった

 

「わ、わたくしだけだと聞きましたが…」

 

繰り返し起こる自分への予想だにしない事態にとうとう声を絞り出すに終わってしまったセシリアへ、士が死刑宣告をつげる

 

 

 

「女子ではっておちじゃないのか?」

 

 

 

バリーン!!あ、割れたな。なにかは知らないけど

 

一夏含め聞き耳立てていた女子生徒一同は、そう察したのだった

 

 

 

 

 

 

 

 




オルコッ党、参戦


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