仮面ライダーディケイド 《インフィニット・ストラトスの世界》 作:URUTORA
「……っ!またあとで来ますわ!逃げないことね!よくって!?」
授業合間の十分休みで割といろいろな経験を積んだセシリアは、授業再開のチャイムが鳴ると同時に士と一夏にそんな捨て台詞をのこして自分の席に戻っていった
結局あのお嬢様が自分たちに何を言いたかったのかイマイチ分からなかったが、「次の授業は千冬様が担当教師なんだって、キャー!」という女子たちの雑談を聞いた一夏も顔を青くしてそそくさと戻っていった
「あぁ、そういえば授業を始める前に、お前たちの中から一人再来週に行われるクラス対抗戦に出場するクラス代表を選出しなければならなかったな」
千冬がふと思い出したように言った言葉に、教室はざわざわし始めた
「クラス代表とは、まあそのままの意味だ。クラス対抗戦だけでなく、生徒会の開く会議や委員会への出席なども行う。一度決まれば一年間変更は無いから責任を持ってのぞむように」
「はいっ!私は織斑君を推薦しますっ!」
「私もです!」
「私も!」
「では候補者一名、織斑一夏……他にはいないか?自他推薦は問わないぞ」
「お、俺!?」
いきなり白羽の矢が立ったどころか問答無用で候補者の一人になってしまったことに、一夏は思わず抗議の声をあげていた
「ちょ、ちょっと待ってくれ!クラス代表なんて面倒くさそうなこと俺はやらな――」
「自他推薦は問わないと言った。選ばれた以上は責任をもってやれ」
…が全く取り合ってもらえず、一人がっくり肩を落とすだけの結果に終わった
(なんていうか、千冬姉が担任な時点で俺に拒否権なんてないようなきがするなぁ……)
「それと門矢、お前は強制参加だ」
「なに?」
「新入生は全員入試試験で教師とISの模擬戦を行っている。お前は飛び入りだったからな、
「なるほど…お手並み拝見ってやつか」
スッ…と、士はゆっくりと立ちあがった
「いいだろう。どうやってお前をぎゃふんと言わせてやるか、ずっと考えていたんだ」
「わ、私は士君を推薦するわ!」
「私も士君派ね!」
「おりむーもつっちーもがんばれ~」
すると、士推薦の声も続々と上がっていった
「お前がどういう意気込みで参加しようと構わん。ただ……」
「あん?」
ヒュンッ、と千冬は自分の人差し指をあっち向いてホイの要領で下に向ける
つられて下を見た先には、愛用しているマゼンタの二眼レフカメラが机に置いてあった
「?いったいなにを(スコーン!!)ふがっ!!」
隙を見せた士の脳天に、千冬の出席簿が炸裂した
「授業中に私物をいじるな。それと織斑先生と呼べ」
「ぐおぉぅ……」
「全く…だがこれで候補者二人目だ。他には?」
「ま、待ってくれ千冬姉!俺は――」
まずい!このままだと流れで本当に代表候補になっちまう!
なんとか最後の抵抗を試みようと一夏が声をあげようとした時、それをさらに甲高い声が遮った
「待ってください!納得がいきませんわ!」
ばんっ!と机をたたいて立ち上がったのは、休み時間にセシリア・オルコットと名乗った女子生徒だった
「そのような選出は認められません!男がクラス代表など、恥さらしもいいところですわ!わたくしセシリア・オルコットに、一年間そのような屈辱を味わえと仰いますの!?」
どうやら珍しいというだけの理由で、優れた自分ではなく男が選ばれてしまうことに不服なようだ。しかし、熱くなってしまった彼女はさらにヒステリックになっていった
「いいですか!?クラス代表は実力トップがなるべき、つまりはわたくしですわ!大体、文化としても後進的な国で暮らさなければいけないこと自体、わたくしにとっては耐え難い屈辱で—―」
この時、一夏は思わず言い返えそうとしてしまった。そんなことをすれば『やっちゃった』状態になってしまうのは分かり切っていたけれど、反論せずにはいられなかった。当てられて、自分も熱くなってしまっていた
「その辺にしておけよ、この金髪ドリルが」
サー…、と。熱せられていた一夏の精神が急速に冷却されていった
士が叩かれたところをさすりながら、いい加減傲慢不遜なセシリアに一夏が声を出す前に言い返してしまったのだ
「そっちのイギリスだって大したお国自慢無いだろうが。世界一まずい料理覇者が他の国の酷評なんざ、10年早いんだよ」
「な、なんですって!?」
固まって口をポカンとしていたセシリアだったが、その顔はみるみる怒髪天、といった感じだ
「わたくしの
「知るか。文句があるなら実力で来い、いくらでも相手になってやる」
と、そこまで言ってクラスからどっと爆笑が巻き起こった。一夏も「あちゃー」といった感じで頭に手を当てている
「ああ?」
「つ、士君、それ本気でいってるの?」
「男が女より強かったなんて、もう昔の話だよー?」
「男と女が戦争したら、三日持たないって言われてるよ」
「………」
鳴滝の話では、ISというものはライダーに近い存在だということらしい。限られた一部の人間しか扱えないとは言え、男女での戦争が起こるとすれば、潜在的にISを扱える可能性を秘めている女性の方が圧倒的なのは自明だ
事実ISは
(『女尊男卑』…か……)
「ふふっ、男が女より強いだなんて、日本の男子はジョークセンスがあるのね。むしろ、あなたはわたくしにお願いする立場にあるのではなくて?」
「門矢くん、今からでも遅くないよ?ハンデつけてもらいなってー」
さっきまでの怒りとは一変、セシリアは明らかな嘲笑を浮かばせていた。一夏の斜め後ろの女子からも、親切極まりないアドバイス(苦笑と嘲笑トッピング済み)がおくられてくる。
周りの反応に再びカチンと来てしまった一夏と対象的に、士はいたってシンプルな回答を提示した
「つまらないな、お前ら」
ポカン、と。
今度こそ士以外の生徒全員が固まってしまった
「なるほど。
「な、なにを言って……「つまらねえって言ってんだよ」…なっ……」
セシリアが何とか言葉を絞り出すが、士はそれを一蹴する
まっすぐにセシリアを見据え、そして宣言する
「俺は全ての破壊者だ。男だ女だ、そんな狭い世界でしか『モノ』の強さを測れない。お前らのその無知で幼稚な固定概念は、俺が破壊してやる」
それだけ言うと、士はどかっと自分の席に座り直した
「………話はまとまったな。それでは勝負は一週間後、放課後に第3アリーナで行う。オルコット、門矢、織斑はそれぞれ用意をしておくように。それでは授業を始める」
ぱんっと千冬が場を絞めて授業を始めても、セシリアはしばらく呆然とした状態から抜け出せずにいた
「あれ?結局俺まで参加することになってないか?」
一夏が真実に気付いたとき、授業終了のチャイムが鳴り響いたそうです。