仮面ライダーディケイド 《インフィニット・ストラトスの世界》   作:URUTORA

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今回原作では名前のなかったキャラクターに適当な名前をつけています


第8話 昼休み

キーンコーンカーンコーン

 

「あっ、もうこんな時間ですか。次の時間では空中におけるIS基本制動をやりますからね」

 

午前中最後の授業終了を知らせるチャイムが鳴り真耶が号令をかけると同時に、一夏はズドン!と机に突っ伏した。

 

士はそれを横目でめんどくさそうに見ながら、一応学園二人だけの男子生徒同士、ざっくりと様子を聞いてみることにした

 

「……どうした」

 

「だぁぁめだ、全く分からん……」

 

はぁ…と士は結局聞く必要がなかった事実にため息をついた

 

「ほんと、よく士はこんなの分かるよな」

 

「何のんきなこといってやがる、お前は俺とも戦うんだぞ?」

 

「分かってるって!だから授業もまじめにやろうとしたんだけどさ…」

 

セシリア・士と共にクラス代表決定戦なるものに(強制)参加することになったわけだが、授業の内容が依然全く分からない。なんというか、公式を知ってないと分からない数式を解かされているような感覚だ

 

対戦カードは一夏と士で一回戦、そして勝った方がシードのセシリアと決勝戦を行うらしいが、このままでは勝利どころかまともに動かせるのかも怪しいところだ

 

ちなみにこの対戦カードは、士のIS稼働データと男性同士のIS戦闘データ2つを先に収集しておきたいという思惑が見え隠れしてのことなのだが…

 

「という訳で箒、ISのこと教えてくれないか?」

 

「………」

 

「なあ、いつまで怒ってるんだよ……」

 

「…怒ってなどない」

 

「いや、だって見るからに不機嫌じゃ…」

 

「生まれつきだ」

 

「にべもない……」

 

どうやら一夏にそんなことを気にする余裕は皆無らしく、なぜだかご立腹らしい箒にISのことを教えてもらえるよう交渉中だ

 

「てか、全体的になんでお前はへそ曲げてるんだ?」

 

明らかに昨日より機嫌を損ねているので士は疑問を呈してみると、箒は顔をボッ!と赤くした

 

「な、何を馬鹿な!私はへそなど曲げていない!!」

 

「いやぁ、それが昨日俺が箒のブラ「わわわ忘れろォォォオオオオオオ!!」ぶっばああああああ!?!?」

 

ビュッッッ!!!という一瞬の風切り音と共に、余計な補足説明を加えてしまった一夏が士の横から吹っ飛んでいった

 

「きっ、昨日は別になも無かった!やましい事など何も無い!そうだな……一夏?」

 

「うばうぅ…」

 

「だいたい…一夏もいきなりすぎるのだ………」

 

「おい…あいつのびてねえか……?」

 

抜刀した(とりだした)竹刀を抱えながら何故かモジモジしだす箒だが、必殺の一撃(FINAl ATTACK RIDE)を食らった一夏はしっかりグロッキーである

 

「つーか、昨日夜うるせえと思ったらお前らそんな――」

 

「士……?」

 

言いかけた士の方に箒がゆらり…と士に向きを変える

 

「い…いや、昨日はすぐに寝ちまったからな。俺は何も、聞いていない(これは…なつみかんを怒らせた時と同じか……)」

 

士はなんとなーく首筋をさすりながら、話題をそらそうとこれ見よがしに教室に備え付けられている時計を見上げた

 

「よ、よし、そろそろ飯にするぞ。確かここは学年ごとに食堂が分けられて…」

 

キュピーン!!と、士の言葉を聞くなり周りで聞き耳を立てていた女子達の目が待ってましたとばかりに輝きだした

 

「つっ、士君!!」

 

「お、織斑君!!」

 

「あん?」

 

「うぶ?」

 

 

 

 

「ご飯、一緒にどうですか!?」

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

その日の一年生寮の食堂は、女子生徒のカタマリでごった返していた

 

「あれが噂の織斑君?」

 

「なんでも千冬様の実の弟らしいよー」

 

「あれ?でも男でIS動かせるのって織斑君だけじゃなかったっけ?」

 

「何でも、入学式の日に飛び入りで編入してきたらしいよ?」

 

「でもでも、授業内容は全部理解できてたって同じクラスの子言ってたよ!」

 

「えー!?男で飛び入りでISに詳しいってどういうこと!?」

 

史上最強(ブリュンヒルデ)の弟と謎の天才男子編入生……これは一本いいのが書けそうね!!」

 

そして、ざわめく女子達の中心にあるテーブル席には、士が周りの騒ぎにも全く動じず食後のコーヒーを味わっていた

 

どうやら『噂の男子といち早く少しでもお近づきになりたい→一日の最初に最も時間の取れる昼休みにアタックをかけちゃおう!!』と考えた女子達が大集合してこの有り様らしい

 

「ていうか、さっきよりも女子の数が増えてる気がするんだよなぁ……」

 

いろんな意味で疲れをため込んだ一夏が、士の向かい側で昼食の和風定食を食べながら周りを見渡す。確か最初に声をかけてきたのは同じクラスの女子三人組で、そのあとに別のクラスメイトも一緒にと言い出して……

 

「どうも別のクラスの女子達も俺たちを見物しに来たみたいだな。ま、世界に二人だけの男性IS操縦者が身近にいるとなれば、こうなるのは当然だな」

 

士はカシャン、と適当にシャッターを切りながら答える

 

二眼レフカメラというレトロな代物をわざわざ使っているところに、女子達は目を丸くしていた

 

「へぇ、首から下げてたそれ、ちゃんと使えるやつなんだ」

 

「門矢君門矢君、授業中でもカメラいじってたけど、写真撮るの好きなの?」

 

「門矢くーん、一枚とって~!」

 

ピクッと、士の眉毛がわずかに動いたのを正面にいた一夏は見逃さなかった

 

「ふっ、そうか…そんなに俺の被写体になりたいか……」

 

「あっ、ずるーい!私もお願いしまーっす!」

 

「つっちー私も~!」

 

「そうかそうか……よし、全員一列に並べ!お前達の全てを写してやる!!」

 

「「「キャー!!!」」」

 

 

 

「士のやつノリノリだな…おっ、これもうまい」

 

一夏は焼き鯖に舌鼓を打ちながら、ちらりと横に座っている箒を見てみる

 

一夏としては周りで頼れる女子は幼馴染である箒だけなので、ぜひとも彼女からISのご指導を承りたいところなのだが、いかんせん昨夜の一件から機嫌がよろしくない。今も黙々とほうれん草のおひたしを食べており、全く目も合わせてくれない状況だ

 

「なあ箒、頼むよ」

 

「……なんのことだ」

 

「だからISのこと、教えてほしいんだ。このままじゃセシリアはおろか、何もできずに終わりそうだ」

 

「…………」

 

無視された。頼む前にまずは箒の機嫌を直すところから始めなければならないらしい

 

「ねえねえ、君が織斑一夏君?」

 

と、一人の女子生徒が唐突に一夏へ声をかけてきた。リボンの色が違うので、どうやら上級生らしい。癖毛のやや外側にはねた髪が特徴的で、小動物を思わせる人懐っこい顔をしている

 

「はい、そうですけど…」

 

一夏が返事をすると、彼女はテーブルに両腕をのせて一夏と同じ目線まで腰を落としてきた

 

「代表候補生のコと勝負するって聞いたけど、ほんと?」

 

「は、はい、そうですけど…何で知ってるんですか?」

 

一夏が質問をしかえすと、上級生の彼女はクスクスと笑い出した

 

「やだなぁ、そこらじゅうで噂になってるよ?あ、私三年の七島(しちじま)っていうんだ。それで君、IS稼働時間はどれくらい?」

 

「どれくらいって…最初の入試試験で動かしただけだから20分ぐらいですけど」

 

「あー、やっぱりね。ISっていうのは、稼働時間がものをいうの。対戦相手が代表候補生っていういなら、軽く300時間はやってるわよ?今のあなたや編入生君じゃ、到底かないっこないわ」

 

「はあ…」

 

七島と名乗った三年の先輩にどんどん話を進められていく。稼働300時間というのが凄いのかどうか分からないが、どうやらこのままだとセシリアに限れば、自分も士も負けは確定らしい。すると彼女はここぞとばかりに顔をずいっと寄せてくる

 

「でさ、私が教えてあげよっか?ISについて」

 

「ほ、ほんとですか!?」

 

「あたしにかかれば、編入生君ぐらい余裕で倒せるようになると思うけどなー」

 

どうやらこの七島という人はとても親切な人らしい。どこかの幼馴染とはえらい違いだ

 

捨てる神あれば拾う神ありよろしく、差し伸べてくれた救いの手をありがたく取らせていただこうとした一夏だったが、いきなり横やりがはいった

 

「結構です。私が教えることになっていますので」

 

食事を続けながら箒がきっぱりと言いはなつ。さっきまでとは言ってることが全然違う幼馴染に一夏はいよいよ「えぇ?」といった顔になる

 

「えー、でもあなたも一年生でしょ?私のほうがうまく教えられると思うなぁ」

 

「……私は、篠ノ之束の妹ですから」

 

箒は言いたくなさそうに、しかしこれだけは譲れないとばかりに言った

 

「篠ノ之って――えぇ!?」

 

七島は一瞬ポカンとするが、すぐに『篠ノ之』の名が意味する所を思い当たり、ここぞとばかりに驚く

 

「ですので、結構です」

 

「だっ……だけど――」

 

とにかく一夏と関わりを持ちたいのか、篠ノ之束の名前を出されてなお七島は食い下がった。箒はすこしだけ意外感を覚えたが、七島が言い終える前に食堂の入口が騒がしくなってくる

 

「いたわ!あれが噂の一年生よ!」

 

「ちょっと出遅れたけど、遅れたぶんはお姉さんオーラでまだまだ挽回できるわ!」

 

「者ども、突撃いいいいいいい!!」

 

どうやら噂の後輩を一目見ようと、別の上級生達もやってきたらしい。七島とスカーフの色が同じところをみるに、彼女たちも三年生のようだ

 

「うっわ、また増えたぞ!?ほんと女子って噂が出回るのが早いよなぁ…」

 

一夏は軽く遠い目をしながら、おそらく数秒後には自分達のもとにやってくるであろう一団へ素直な感想を漏らした

 

「ええい、そんな事より一夏!ISのことは私が教えるぞ!」

 

「ま、まてって!せっかく親切に先輩が教えてくれるって言って……あれ?」

 

自分に気をかけてくれた先輩の意見も尊重しようと振り向くと、さっきまで目の前にいた七島の姿がこつぜんと消えていた

 

「あれ?先輩どこいったんだ?」

 

「ふ、ふん!これで分かっただろう一夏。で…では放課後、剣道場に来い。腕がなまってないか見てやる」

 

「だからまてって!俺はISの事を」

 

「見てやる」

 

「………お願いします」

 

親切にしてくれた先輩には悪いが、とにかくISのことを教えてくれる人を確保できただけ良しとしよう。一夏はそう自分に言い聞かせた

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

放課後、士は一人で部屋のある寮へと足を進めていた。一夏はどうにか箒の説得に成功したらしく、剣道場を借りて特訓を行うらしい

 

一緒にどうか、と一夏には誘われたが、隣に立っていた箒の目が『来るな…』と全力で訴えかけてきていたので、「いいや、俺に特訓なんてものは必要ない」と言い残して先に帰路へとつくことにしたのだった(その一部始終を見ていた女子達は「あれが伝説の俺様系男子…」と目を輝かせていたとか)

 

「しかし、改めて見渡してみても…」

 

ほんとに高校か?という言葉は出さず、カシャンとシャッターを切る

 

IS学園は一つの小さな島を丸々学校の敷地としている。もちろん小さいと言っても島としての話で、総面積はそこらの大学にも負けず劣らない。それに加えて今の社会の根本ともいうべきISの操縦者・および技術者育成の許されている世界で一つだけの学校、というのも後押ししている。校舎はもちろん、噴水や木々覆い茂る森に街路樹立ち並ぶ遊歩道など、ビジュアル的にも徹底的に作りこまれているようだ

 

ただ当然これらは『生徒は全て女子』を前提としているので、男子の士や一夏からすれば使いづらいことこの上ない

 

『木漏れ日とそよ風を浴びながら学業に励む』というコンセプトのもとに設計された緑広がる木々と噴水の見える小道も、学園に三つしかない男子トイレへ休み時間に行こうとすれば、サワサワと静かに流れ出る噴水の横をぜーはー言いながら走り回らなければいけない、というなかなか残念な光景が出来上がる

 

「まあ、当然っちゃ当然なんだけどな……ん?」

 

と、レンズ越しに風景を眺めていると、一人の女子生徒が映り込む

 

 

 

「………よう」

 

 

 

「……っ!?あなた………!」

 

 

 

茜色の空と漂う春風の中、門矢士とセシリア・オルコットは会遇する

 

 

 




箒に先を越された士、その瞳に何を見る!?

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