ラブライブ!~輝きの向こう側へ~   作:高宮 新太

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そうだ高山国際村に行こう!

「合宿行こうよ!」

 先ほどまで項垂れていた穂乃果が勢いよく起き上がり、興奮気味に訴えかける。暑い。

 その叫びは先日、穂乃果の家に行ったときに聞いたものと同じものだった。

 あの時は結局、結論は出なかったのだが今日になって話題に上がるとは。

「合宿って、一体どこに?それにお金だってかかるのよ?」

 冷静に諭すのは絵里先輩。手にはうちわ。

「凛は海に行きたいにゃー」

「いいやん、海」

「あ”ー」

 凛と東條先輩と花陽は扇風機の眼に陣取っている。花陽は子供なら誰しもやる扇風機の前で無意味に声を出すということをしていた。そして首が左右に揺れるたび、三つの首も同様に揺れる。

「いや、ですから。資金面はどうするのですか?流石にこの人数泊れるほど部費はありませんよ」

 海はいいなー。涼しげだ。

 海未もいいなー。涼しげだ。やっぱり弓道は精神面も鍛えられるのだろうか。いや、もともとあまり暑がりでもないか。

「そこは、ほら。ことりちゃん、バイトのほうはどれほどもうかっておるのかね」

「うぇぇぇ?」

 ことり頼みだったのか。普通に考えて無理だよ。高校生の時給なめんな。あー、時給上がんねーかな。

 いかん、暑さで頭がやられているようだ。本音が出てしまった。修造の海外出張はいつだ。

「ていうか!・・暑すぎるわよ」

 第一声こそ調子良かったものの言葉尻に向けてしぼんでくる。

「にこちゃん大きい声出さないで。余計暑くなるでしょ」

 そういう真姫ちゃんの額には冷えピタ。少しはがれかけてるし目は死んでる。

 全員、腕まくりやら、ノースリーブやらで薄着なものの汗でびしょびしょだ。今日は練習してないのに。心なしか、この部室も汗のにおいで充満している気がする。

「なんでこの部室クーラーないの?」

 ことりが不満げな声を出す。半袖のシャツから覗く肌は少しでも冷たい場所を探そうと机を模索している途中。

「仕方ないでしょ。部費はだいたいアイドルグッズに使っちゃってるんだから」

「もうこれ売ってクーラー買おうよ」

「ぜっっっっっったいだめ!」

 先ほどまで元気なかったのに。ことりに対し一気に覚醒して倒れるにこちゃん。

「おーい、にこちゃん」

 ゆすってみる。返事はない。ただの屍のようだ。

「誰が、屍だぁ」

 生きてた。

「というか、このままじゃ練習もままにならないよ」

 この連日の炎天下、部室には昨日今日で試してみた清涼グッズの残骸が散乱している。どれもこれもあまり効果はなかった。

「それは、確かにそうね。だれか心当たりとかない?」

「そういえば真姫ちゃんって、お金持ちだったよね?」

「ほ、穂乃果?」

 穂乃果の眼が怪しく光る。

 とたん、みんなの顔が、視線が、真姫ちゃんに集中する。真後ろにいる俺でさえ怖い。真姫ちゃんは完全にビビってた。

「そ、そういえば、避暑地の別荘の目の前に海があったわね。確か」

 多少、しらじらしく受け答えする真姫ちゃんにみんなの顔がゆるむ。

「ほんとに!?」

「えぇ。でも、す、すぐは駄目よ。いろいろ準備ってものが「ちょっと、あんたら扇風機独占すんじゃないわよ」「にこ先輩が入る隙間はないにゃ」「ちょっとにこっち風がこないんやけど」「あ、暑い」

 騒がしくなっているほうを見やると、扇風機の前で何やら揉めていた。

「ちょっと、四人とも。それ古いんですから慎重に扱って「「「「あ!」」」」」

 海未の制止もむなしく、年代物である扇風機の首が、きれいに真っ二つ。

「「「「「「「「「ああああああああああああ!!!!!」」」」」」」」」

 部室には今年一番の絶叫が響き渡った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ということで、唯一暑さに対抗、できていたかは怪しいが心のよりどころとなっていた扇風機が壊れたことにより、即刻に合宿へと旅立つ事になったミューズ。

「というか、俺は行っていいの?」

 前日の夜にこんなこと言うのもあれだが、一応聞いておく。

「そ、そっか。雪君は男一人で女の園に――――――」

「それよりも最近、雪ちゃんに女として見られてないと思うの。私たち」

「い、いやいくらなんでもそんな」

「でも、心当たり、あるでしょ」

「うぐっ」

 携帯電話の向こう側で何やら三人で騒がしいのだが、携帯をふさいでいるのか聞き取れない。

「それに雪君、このままじゃどんどん知らない女の子と仲良くなって、他の人に取られちゃうかも」

「・・・・・・」

「・・・・・・」

「・・・・・・」

「「「コクリ」」」

「あ、えっともしもし雪君」

「うん」

 どうやら話し合いは終わったみたい。

「合宿は雪君も、強制(――――)参加だからね」

「う、うん」

 なにやら電話越しからの圧がすごい。

「じゃあ明日、絶対きてね?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おーい!こっちこっち」

「ちょっと、穂乃果。あまり大きな声を出しては迷惑になります」

 駅の構内で、ぶんぶんと手を振っている。周りの人は忙しいのかみんな早足でこちらの事など微塵も気にしていない。

「なに、雪も来たの?」

「あ、真姫ちゃん。駄目、だったかな?」

「そ、そういうわけじゃないけど・・・はいこれチケット!」

 チケット?真姫ちゃんから渡されたそれを受け取る。もしやみんなの分のチケットをとってくれたのだろうか。

「素直じゃないにゃー」

「うるさいっ///」

 見渡してみると、どうやら俺が最後の一人だったらしい。

「全員そろったわね。良い機会だから、みんなに言っておきたいことがあるの」

「?」

 そう前置きして絵里先輩がみんなを見渡す。

「ほら、今のミューズは先輩後輩って上下関係ができちゃってるじゃない?確かに大切なことなんだけどアイドル活動をするにおいて、それは妨げになっちゃうと思うの」

「確かに、私も踊るときに遠慮してしまうところがあります」

 絵里先輩の言葉にうなずく海未ちゃん。

 思い出してみると、アライズのメンバーもあまり学年関係なくしゃべっていたように思う。

「だからこの合宿を通して、みんな先輩後輩禁止ってことにしない?」

「いいんじゃない?そっちのほうがやってて楽しいだろうし」

 うなずくにこちゃんに花陽が尋ねる。

「で、でも先輩禁止って具体的にどうやれば」

「そうやねー。とりあえず名前を呼び捨てとか。ちゃんづけすればええんやない?」

「ちゃんづけ・・・」

「たとえば、絵里ちゃん。とか?」

 穂乃果が恐る恐るといった様子でちゃん付けする。絵里先輩はそれに満足げな顔を返す。

「じゃあ凛も!ことり、ちゃん?」

「はい。よろしくね凛ちゃん。真姫ちゃんも」

 急に呼ばれたからか、それとも空気を察したのか、真姫ちゃんがうろたえる。

 うろたえている真姫ちゃんを、皆でじーっと見つめていると諦めたのか、顔を俯かせながら何とか声を絞り出す。

「こ、こ、ことり、ちゃん」

 消え入りそうなか細い声で、ことりを呼ぶ。顔を上げるともうそこには誰もいなかった。

「えーっと、みんな行っちゃったよ?」

「なんで誰もいないのよ!!!」

 結構みんな薄情だった。て言うかもう十分仲いいじゃありません?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃんけんポン!あいこでしょ」

「あのー、もうそろそろ列車来るよ?」

 みんなが何をやっているかというと、席決めのじゃんけん。なんでも負けられない戦いがそこにあるのだそうだ。席くらいどこでもよさそうなものだが、窓際がいいとか、こだわりがあるのだろう。

「そ、そうね。みんな、このままじゃ埒が明かないわ。ここはひとつ希の持ってるカードで決めない?」

「そうやね。トランプもあるし、ジョーカーを引いた人が辺りということでええ?」

「仕方ないわね。まぁこのにこにーのかわいさにジョーカーも落ちるでしょう」「どうすればみんなに気づかれずにジョーカーを手にできるか――――」「ことり、不正はよくありませんよ」「や、やだなぁー、そんなことしないよー」「よーし、がんばるぞー」「凛も負けないにゃー」「ほ、穂乃果先輩。凛ちゃん。これ運だめしだから、頑張るとかそういう問題じゃないんじゃ」

「先輩禁止!」

「あ。え、っと。穂乃果ちゃん」

「うん!」

 なんだかよくわからないけど、見ていて微笑ましい。

「みんな何そんなに必死になってんの?バカみたい」

「ほー。じゃあ真姫ちゃんは一番はしっこの一人席で決定やね」

「な、なんでそうなるのよ!」

「はい、じゃあみんなとって」

「聞きなさいよ!」

 微笑ましいね。椅子に腰かけ、にこにこしながら見守っていると、ことりが何かに気づいたように言う。

「まって!とる順番は?」

「それは、どこからでもいっしょやない?」

「いや、確かに盲点だったわ」

「え、えりち?」

「じゃあ、席決めを決めるためにジョーカーを引く順番を決めるためにジョーカーを引いた人からってことで」

「待ってください穂乃果。その席決めを決めるためにジョーカーを引く順番を決めるためにジョーカーを引く順番は?」 

「それなら席決めを決めるためにジョーカーを引く順番を決めるためにジョーカーを引く順番を決めるためにジョーカーを―――――――」「「ややこしい!」」

 思わずにこちゃんと突っ込みが被る。

 なんとか説得して、当初の席決めのためのジョーカーを引くことになった。ややこしい。

 ・

 ・

 早送り

 ・

 ・

「ごめんな。うちこういうので外れ引いたことないんよ」

 確立としては9分の一なのだが、驚くことに希が一発であててしまった。希は後にするべきだっただろうか。

「あ、列車来てるんじゃないかにゃー?」

「え?」

 ホントだ。なんかよくわかんない事に熱中してて気づかなかった。「ただいまドアが閉まります。ご注意ください」

「げっ!やばいよみんな。出発しちゃう」

「ええ!!い、急がなきゃじゃない」

 とりあえず、近くにいたにこちゃんの手をつかんで引っ張る。すると、にこちゃんがことりの手をつかみ、連鎖的にみんなが引っ張られていく。

「?こんな列車だったかしら?」

 真姫ちゃんの疑問が解消されないまま、間一髪で列車に乗り込む。

「ふーっ、間にあった―」

 穂乃果が一息つく。するとことりが何かに気づいたように、べしっと、手をはたかれた。「いつまでつないでるの?」「くっ。気付かれたか」「?」「やっぱり、ことりちゃんはたまに怖いにゃー」

「ねぇ、ホントにこの列車であってる?」

「どういうこと?」

 絵里先輩いが首をかしげた瞬間。東條先輩が素っ頓狂な声を上げる。

「あ!」

「どうしたの、希せんぱ―――――じゃなかった希ちゃん」

「穂乃果ちゃん。私たちが行くところってどこやったっけ?」

「えーと、高山国際村だっけ?」

 そういった瞬間、希先輩が指をさす。その方向には電光掲示板があった。

「博多行き、ですって・・・?」

 驚愕といった表情を浮かべる海未。みんなの表情もだんだんと強張って行くのを感じる。

 博多って、正反対じゃないか。

「「「「「「「「「ま、まちがえたーーーー!!!」」」」」」」」」

 本当に大丈夫なのだろうかこの合宿。




どうもややこしい高宮です。
書いてる自分が一番ややこしくなりました。ややこしい。
最近、ポケモンの漫画に再ハマりしました。ポケットモンスタースペシャルというタイトルです。
俺が初めてやったポケモンがサファイヤだったこともあるのでしょうが、ルビー、サファイヤ編が一番好きです。
ではまた。
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