ラブライブ!~輝きの向こう側へ~   作:高宮 新太

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EX 裏ファンクラブストーリー

 がやがや・・・がやがや・・・。

 とあるUTX学院の講堂。そこには幾人もの制服に身を包んだ少女たちがざわめきながら座っている。よくよく見てみると、その制服はバラバラでUTXのもあれば音の木坂、井之頭公園近くの学校までてんで法則性はない。

 唯一、目立つ共通点をあげるとするならば皆怪しげな露店で売っているようなお面や、SM嬢がつけているような例のアレなど、顔を隠す何かを身に着けているということくらいだろう。 

 そんな少女たちの数はそれほど多くないにもかかわらず、その熱気はまるでさいたまスーパーアリーナかと錯覚するほどだった。

 お目当てのミュージシャンのライブを待つかのように、興奮と期待を孕んだ空気は今か今かと膨張している。

 

 

 そして。

 

 

 膨張した空気は、音を鳴らして破裂した。

 決して粗暴ではないが、だが確かに高揚した空気で震えていた。

 講堂のステージ。カーテンで遮られていたそれは少女たちの歓声と共に幕を開ける。

 

 

「レディースアーンドレディース!!夢と希望に満ちた少女共ぉ!今宵も裏ファンクラブ決起集会”雪の降る夜”にお越しいただき誠に感謝する!」

 

 

 やや芝居がかった口調で少女たちを煽るのはこれまた舞踏会で付けるようなお面を装着している少女だ。

 その少女の登場に騒がしかった講堂からはピタリと騒々しさが失われ、代わりに統率のとれた軍隊のような静けさが灯る。

 だが、その高揚感は失われることはなく口には出さずとも空気はうずうずと隠しきれていなかった。

 

 

「・・・・うむ。今宵もよい集会となりそうだ」

 

 

 長い黒髪を携えて、講堂を回し見るその女生徒はどうやら今日の司会らしい。手にはマイクと丁寧にも台本が握られている。

「あ、あれが会員ナンバー0011”黒髪の乙女”先輩・・・!初めて見た」

「す、凄いね・・!」

「そこ!オークションまで私語は慎みたまえ!」

 女子二名が、ひそひそと周りには聞こえない範囲で喋っていたのを黒髪の乙女と呼ばれる生徒は見逃さない。

「は、はいぃ!」「す、すみません!」

 思わずその場で立ち上がってしまう女子生徒二人に、壇上に立つ黒髪の乙女は問う。

「貴様らは新入生か?」

「そ、そうです!」

 緊張と不安からか、ダラダラと冷や汗をかく二人に対し黒髪の乙女はふっと笑う。

「そうか、ならば覚えておくといい。今後もここに居続けたいのなら、な」

 ブンブンブンと何度も首を縦に振る二人は、その後ゆっくりと着席した。

 

 

「さて!それでは始めよう!」

 

 

 号令と合図のもとに、壇上に何かが運び込まれる。どうやら裏方までいるらしい。

 この集会の規模が気になるところだが、それよりも何よりも皆は壇上に注目していた。

 裏方が去り、壇上には黒い布で覆われたそれが存在感を放っている。

 

 

「さあ、今宵も皆の”愛”を見せてほしい!今宵の捧げる最初の供物はこれだ!!」

 

 

 そう言って黒い布は勢いよく剥がされる。

 中から出てきたのは重厚なガラスケースに厳重に隔離された一枚の写真だった。

 講堂は広い、その小さな写真が一体何の写真なのか、わかるのは一列目にいた少女たちだけだった。

 その少女たちは息をのんだり、感嘆の意を漏らしたりと様々な反応を見せる。

 その反応でほかの少女たちにも分かった。あれが、今宵の集会を彩るに相応しい一品なのだと。

 そう、その写真に写っている人物こそがこの集会の目的であり、理念である。

 

「ああ、すまない。後ろのほうからは見えづらかったかな?」

 

 またもや黒髪の乙女が合図をすると、上から巨大なスクリーンが下りてくる。

 どこから用意したのか、もったないぶってないで最初から出せばいいのに。なんてことを少女たちは思わなくもなかったが、それよりもなによりもそのスクリーンに表示される顔にくぎ付けになった。 

 

 

 

 そう。そこに表示された一人の男。

 

「これより”雪の降る夜”開始と致す!まずは”海田雪”の寝顔の写真!我こそはと思うものは挙手を!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 確かな盛り上がりを見せるその講堂で、だがただ一人その場の空気にそぐわない人物がいた。

(なによこれ・・・・いつの間にこんなことになってたの・・・?)

 綺羅ツバサ。UTX学院に所属するアライズのリーダーである。この春から晴れて最上級生となった彼女はなぜか狐のお面を被り茶髪で長髪のウィッグを被っていた。

 では、そのなぜ?を突き止めるために話を数日前に遡ろう。

 

 

 

 

 ~数日前~

 

 四月。新生活が所々で始まり、世間が少し浮かれるこの時期。

 ツバサはなぜか絵里から呼び出され、音の木坂の校舎内を歩いていた。

 ミューズは解散し、秋葉原で行われたスクールアイドルたちのライブは既に伝説。

 過去の栄光となっていく中で、案外と当の本人たちには変わりが見られない。

 その恋の行方も含め。 

 いったいどうするのか。まったく他人事のように考えながら、ツバサは目的地の前へと立っていた。

 アイドル研究部の部室前。何度か訪れたことはあるが、一人というのは初めてだ。

 今この時期に、しかも卒業した絵里から連絡があったために来たものの。一体全体何の用なのかさっぱり見当はつかない。

 まあ考えても仕方ない。大した心の準備もなく、何の気もなしにツバサは扉を開けると。

 

「まったく、まさか私たちが残した”同盟”がこんな形で悪用されているなんて」

 

「仕方ないでえりち。こればっかりは」

 

「でもでも!雪ちゃんは私たちだけのものだったはずにゃ!」

 

 わいわいと、ミューズ九人が勢揃いしているその場で誰一人ツバサには気づいていないようで。

 

「そうです。聞けば雪の写真等、プライベートなものがやりとりされているらしいじゃないですか。許されざることです、これは」

 

「ぷ、プライベートなものはダメ・・・だよね?大丈夫、正義は私たちにあるよ」

 

「花陽ちゃんのいう通りだよ!穂乃果たち以外に雪ちゃんをどうこうしようなんて、由々しき事態だよ!ねえ?真姫ちゃん」

 

「なんでそこで私に振るのよ。まあ別に?どこの誰が雪のことをどうしようと勝手じゃない?」

 

「そんなこと言って真姫?あなた家の人に詳細を調査するよう依頼してたわよね?」

 

「見てたの!?にこちゃん!」

 

 そろそろ収集がつかなくなってきた頃、ツバサは自身の存在を示すようにコンコンとすでに開け放たれている扉をノックする。

「ああ!来てくれたんですねツバサさん!」

「ええ。で?一体全体なんなのこの騒ぎ?」

 なんとなーく、漏れ聞こえてきた内容から大体の内容の察しはつく。またどうせ雪絡みなのだ。

(ホント、これだけの女の子をひっかき回して罪な(ひと)

 

 

「ええと、それがですね———————」

 

 

 カクカクシカジカ。穂乃果は事情を知らないツバサに申し訳なさそうに説明する。 

 

「はぁ!?雪の事を密かに見守っていた同盟が、乗っ取られた!?」

 

 ツバサは予想外のその内容に素っ頓狂な声を上げる。

「お恥ずかしい話ですが、その通りです」

「しかも、どうやらその乗っ取った連中は裏オークションなるものを開いているらしいわ。だから綺羅さんにはこれに潜入して止めてほしいの」

 絵里の神妙な面持ちにツバサはごくりと息をのむ。

「って、ちょっと待って。そもそもその同盟ってなによ?」

 危うく誤魔化されるところだった。シリアスな雰囲気に流されるところだった。

「・・・・・・・えっと」

 ツバサの質問にミューズの皆は視線を逸らす。誰がどう見てもやましいことがあるとそう空気が語っている。

「はぁ」

 ツバサはそんなミューズに頭を抱えながらどうしたもんかと悩む。

 十中八九ロクなことではないのだろうが、ここで無理矢理聞き出したところで悩みの種が一つ増えるだけだ。

「で?潜入ってなに?なにすればいいの?」

 ここですんなりと依頼を受けるあたり、どうやらツバサも同じ穴の狢らしい。

「それはですね!」

 一転、表情が明るくなった穂乃果に、「現金ねえ」なんて笑いながら。

 

 ツバサはウィッグを被らされ、さらにまっこと面妖な狐のお面を被らされていた。

 

「どうやら私たちの調査だと、その裏ファンクラブの裏オークションでは裏の顔を使って裏のやり取りをするんだそうで、裏が裏だから裏で裏は裏うらうらうらうらうら」

「いや意味わかんないけど!?」

 最後らへんなんてうらうらうらって承太郎じゃないんだから。

 ダメだこの人たち。と、ツバサは適当に目の前の人達に見切りをつけて一番まともそうなにこちゃんに話を聞く。

 やや緊張した面持ちで話をするにこちゃん。

 その話を統合すると、どうやら数か月前からミューズ間で凍結していた雪を見守るといった趣旨の同盟が乗っ取られ現在裏ファンクラブとして暴走、活動しているらしい。

 勿論ツバサの手前、言葉を柔らかくしているだけで過去の実態は裏ファンクラブとやっていることは大差なかった。いやむしろ裏ファンクラブよりもひどいかもしれない。

 まあつまり裏ファンクラブは忠実にミューズの暗黒面を受け継いでいるということになる。

「で?この格好で潜入して潰して来いって?私一人で?」

「私たちミューズは全員マークされているはずです。そこでカウンター的にツバサさんが行ってくれればいいダメージになると思うんです」

「わかったわ」

「わかったんですか!?」

 正直、ツバサには何のメリットもないことだ。ここからどう説得しようか考えていた海未は拍子抜けしてしまった。

 

 

「奴らは大罪を犯した」

 

 

「こ、ことり・・・・」

 

 今まで、ずっと沈黙を貫いてきたことりが、唐突にその重い口を開く。

 

「暗黒なる我らが内に触れればどうなるか、とくと思い知らせてやるがいい」

 

「いや何言っているのかよくわからないしキャラが違いすぎて怖いわ」

 

 魔王?雪のこととなるとそこまで暗黒面に落ちちゃうの?あの可愛らしい笑顔が今じゃ一欠片も見当たらないんだけど?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ~そして、現在に至る。

 目の前の異常な光景に、大体ミューズの面々が今までどんなことをしていたのかを察してしまったツバサは顔を引きつらせながら見ていた。

 一個一個ブツが出るたびに、空気が色めき立ち、艶やかになっていくのを感じる。

 やれ寝顔の写真やら、雪の愛用している作業服のメーカーやら、身に着けている下着の種類が出てきたときは流石のツバサもドン引きだった。 

 しかしそんなツバサを置いてけぼりにしながらも、集会は滞りなく進められていく。

 どうやらこの集会、裏オークション以外にも会員が雪の魅力を熱く語っていたり、雪の情報を報告していたりと、本当にファンクラブといった様子らしい。

(ていうかなに?なんだか倫理観とか常識とか、私の積み上げてきたものが全否定されてる気がするんだけど・・・)

 このままじゃ頭がおかしくなりそうだ。

 そう思ったツバサは、頭を抱えてさっさと本日のメインに進んでくれることをただ願う。

(雪・・・!あなた一体、何をどう生きていたらこうなるの?)

 

「さあて!それでは最後に本日のメインディッシュ。恒例のアレをやる。皆、準備はいいか?」

 

 どうやら答えは聞くまでもないようで、皆、視線で「早く・・・!」と訴えている。

 そんな中、ツバサはただ脳内で「キタ!」とガッツポーズ。

 そう、ツバサの目的はこのオークションだった。オークションで出品される雪グッズとでも呼ぶべきものを片っ端からひとつ残らず強奪し、あとは穂乃果たちに何か策があるらしい。「任せて」と言われた手前、信じるほかない。

 とにかく一刻も早くこの魔空間から脱出したかった。早く家に帰りたかった。

 

「今日のメインディッシュの前に、各々愛を見せてくれ!」

 

 まるでオラに元気を分けてくれ!とでも言うかのように黒髪の乙女は大きく両手を広げた。

 すると、その光景に呼応するように仮面をつけた少女たちはスッと立ち上がる。

(なに!?なに!?)

 勝手がわからないツバサはただオロオロと混乱するしかない。

 仕方ないので覚悟を決めて俯きながらツバサも立つ。

 

 

「私はーーーーー!!海田雪さんのことがー!!大好きですーーーーー!!」

 

 

「私のほうがーーーー!雪様のことをーー!愛していますーーーー!!」

 

 

 

「なに!?もうなによこれ!帰りたい!今すぐ帰りたい!」

 ツバサは顔を両手で覆って、目の前の現実から目を背ける。

 あちこちで似たような愛の告白が大声で叫ばれる中、ツバサはなんとなく悟った。

 きっとこれはお金の代わりなのだと。流石に金銭のやりとりはまずいと思っているのか、それともただ純粋に考えたのかは知らないが愛の気持ちを叫び、一番愛がこもっていた人が商品を受け取るとかそういうシステムなのだと。

 ああ、そんなことをわかってしまう自分がつらい。出来のいい頭が憎らしい。

 そして何より、一番憎いのは浅はかにもお金で解決できると思っていた自分だ。

 よくよく思い出してみれば、オークションなのにお金の話が一切出なかった。ミューズは知っていたのだ。このシステムを。

 ポッケに入れた百万円は絶対に見せないようにしようと心に誓って。

 

 

 

「ちょっと待ったーーーー!!」

 

 

 

 ツバサは講堂に響く一番大きな声で、皆を遮った。

 予定外のことにザワザワと少女たちは波打つ。

 もういい、もうこんな小賢しい真似は必要ない。

 ミューズでも、アライズでもなく。ただ、綺羅ツバサとしてこの集会を止める。

 ウィッグを脱ぎ捨て、仮面を外す。

 困惑していた空気は、次第に驚愕と緊張に塗り替えられ。

「あれ?あれって・・・・つ、ツバサさん!?」

 なぜ?なぜ?と辺りは騒然となる。

 そんな中で、ツバサはこの集会を止めるために、周囲を説得するための言葉を発するべく息を吸いこむ。

 雰囲気を察して、辺りは押し黙った。ツバサが何を言うのか、その一挙手一投足に注目が集まって。

 そして。

 

 

 

「私のほうが雪のこと好きなんだからーーーーーーー!!!」

 

 

 

 ・・・いやそっちいいいいいい!?

 講堂にいた少女たち全員が心の中でツッコんだ。 

 てっきり何かお叱りを受けると思っていた少女たちは、顔を赤くしながら告白するツバサに妙な親近感を覚えつつもなんとなく考える。

 もしや、ツバサさんも会員の一人なのでは?

 と。

 がしかし、その憶測は勇み足だ。

 

 暗転。

 

「きゃああ!」

 

「な、なに!?」

 

 少女たちは急のことでパニック状態。それはツバサも同じはずだが、どうやら彼女一人は落ち着いているらしい。

 そのことを周りの少女は不審に思ったのも束の間。

 今度は明転する。

 一体なんだったのか、今日は天気が悪いなんてこともないし機材の不備だろうか?こんなこと、過去一度もなかったが。

 そんな空気が伝染していく中。

「あっ」

 一人の少女が口を開けた。

 その声に、皆の視線が壇上に集まる。

 そこにいたのは。

 

「・・・・・こ、高坂、穂乃果」

 

 壇上のまん真ん中で、同じく怪しい仮面をつけた穂乃果が立っていた。ていうか仮面の意味ねえ。

 

「皆、もうこんなことやめようよ」

 

 どうやら、説得する役目は彼女が担うらしい。

 

「こそこそ写真撮ったり、録ったり、盗ったりするのはもうやめようよ」

 

 いや、後半二つはミューズだけですけど。と、ツッコめる人間はここにはいない。

 

「そんなことしても、雪ちゃ、じゃなかった。海田君は喜ばないよ。ちゃんと海田君に胸を張って、誇れるくらい好きだって言えるようにしようよ」

 

 きっと、これは作戦なのだろう。まずツバサさんが自分たちを引き付けている間に、裏を制圧して壇上に登り説得するという。

 だが、そう気づいても少女たちにはあまり意味はなかった。

 いけないことをやっている自覚はあって、だからこそ、コソコソとしなくちゃいけない。こうして誰かに怯えながら、それでも抑えきれない気持ちを発散しながら。

 そんなことを、良しとしている人間はここには誰一人いなかった。

 勇気さえあれば、きっかけさえあれば、関係さえ作れれば、誰だって真っ当に、真正面からぶつかっていきたいと。

 そう願っていた。

 

「これからも、海田君を”見守って”行けるようにさ」

 

 その言葉は静かな講堂に響く。

 伝わったかどうかはわからない。これでこの少女たちが改心したのかどうかは、それこそ神のみぞ知ると行った所だ。

 だから、人間ができるのはここまで。 

 穂乃果はゆっくりと壇上を降りる。

  

 

 

 こうして、裏ファンクラブ騒動は一応の終息を迎えたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 講堂からぞろぞろと人が出ていく中で、ツバサは憔悴しきった顔でミューズの面々と接していた。

 どこにいたのか、穂乃果だけではなく九人全員ここにいる。

「で?この子はどうするの?」

「えー?一応、裏ファンクラブの現リーダーって感じですしねぇ」

 縄で縛られて捕縛されているのは黒髪の乙女と呼ばれていた人物。プルプルと震えて怯えている。

「まあとりあえず仮面を剥いでそのお顔を拝ませてもらいましょう」

「だ、ダメ!」 

 海未がその仮面に手をかけようとした瞬間。今までの余裕など一切なく、金切り声を挙げて黒髪の乙女は拒否の姿勢を見せた。

「あ、あの・・・・あれ。私!とてもシャイなので!仮面を剥がされると恥ずかしくて死ぬんです!」

「いやシャイの人があんなノリノリで司会なんかしないでしょ」

 一部始終をはっきり見ていたツバサが言う。

「あ、じゃ、じゃあ!仮面を剥がされると封印していた悪魔が呼び起こされるってことで」

「えいっ♪」

「こ、ことりちゃん!?」

「なんかー、ごちゃごちゃうるさかったから」

 てへっと、にっこりとした晴れやかな笑顔で言うことりに誰も何も言えない。

 

 

「・・・・・あ」

 

   

 その仮面の下から除く顔に、ツバサは顔を驚愕に染める。

 

「しょ、書記さん!?」

 

 そのツバサの言葉とともに、書記さんはワッと顔を覆って泣き始めた。

「泣けばいいとか思ってる?♪」

「ひっ!」

 だが、どうやらことりには泣き落としは通じないらしい。

「やだ!ごめんなさい!ちょっとした出来心で!そしたら案外人が集まっちゃったから!人見知りのくせに調子乗ってましたすいません!!」

 ずるずると引きずられ、ことりと共に闇に消える書記さんに合唱を捧げるツバサ。

「さて、じゃあ私は帰ろうかしら」

 正直もう疲れた。早く帰ってあったかいお風呂に入って、あったかいお布団で寝たい。

「あ、待ってください。今日はありがとうございました」

「高坂さん。いいのよ別に。・・・ていうか、なんでまだ仮面つけてるの?」

「あ、えへへ。これ付けてたら仲間と勘違いして、私の言葉も聞いてくれるかなっておもって」

「そう」

 意外と打算的だった。最後の言葉の見守ってという一言からも、ツバサはひしひしと感じる。

 それはつまり、裏を返せば手を出すなと言っているように聞こえて。

「まったく、ダメですよねあんなストーカー行為は。普通に犯罪ですよ」

「わかってると思うけど、一応言うわね。お前が言うな」

 なんて言葉を交わしつつ、ツバサは家路へとつく。

 途中、「けっきょくみゅーずでてこなかったねおねえちゃん」「ま、間違えましたわ・・・・」という大人しそうなツインテールの小学生と口の近くにほくろがある幼い姉妹を見つけたが最早ツッコむ気力もわかなかった。

「ほんと、どういう人生送ればそうなるわけ?」

 

 

 

 

 

 

 ~一方その頃の雪。

 

「今日の晩御飯なんにしよっかなー」

 

 呑気そのものだった。

 




どうもプリズマイリヤが半端じゃないことになってる!高宮です。
次回予告すればちょっと執筆速度上がるとか思ったけど、全然そんなことなかった。全然いつも通りだった。何ならちょっと遅かった。
ついでにやってこなかったシリーズで、本編の補足をすると。
会員ナンバー001~009はミューズの面々です。0010はあんじゅです。
まあ、それだけなんですけどね。本編に入んなかったんで、補足までにここで。
新しく発売されるPS4が欲しいです。こっから欲しいゲームが無限に出てくるんですけど。受験生へのいじめですか?
それではまた次回もよろしくお願いします。
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