「慧音」
声をかける。
今朝は早めに起きて、顔を洗ったりしたあと、台所に来た。
「ああ、おはようルート」
「おはよう。支度を手伝うよ」
「わかった、じゃあ味噌汁を温めておいてくれ」
昨晩の余りか。
「了解した」
火をつける。火加減を見ながら、慧音へ話しかける。
「今日は博麗神社に行こうと思っているのだが、妹紅から聞いたか?」
「ああ、聞いている。あそこへ行くのなら、何か菓子でも持っていったほうがいいぞ」
「わかった。里で買っていくよ」
そうこうしているうちに、朝食が出来上がった。
と、そこで台所に妹紅が。
「おはよう。あー、遅かったか」
手伝う気だったのだろうか?
「私の分は運ぶから」
とのことなので、盆にのせて渡して、三人で居間に向かった。
朝食を食べ終え、慧音の家を出る。
妹紅が、どうせなら一緒に出ようと言うので、慧音に行ってきますと告げてから、妹紅と出てきた。
「妹紅、巫女が喜びそうなもの、わかるか?」
「饅頭とかでいいんじゃないか?」
「ふむ」
饅頭か。和菓子屋を探すべきだろうな。
「和菓子屋なら、そこがいい」
妹紅が指差す先を見ると、確かに和菓子屋だ。
「あ、そういえばお金は?」
「昨日香霖堂で換金してきた分がある」
「換金?何を換金したんだ?」
「金塊だよ」
「金塊!?」
「通貨は場所によって違うからな。旅をするなら、どこでも一定の価値が有るものを持っていたほうがいいんだ」
最も、金が貴重ではない星もあるらしいが。
「へぇ……」
なにやら感心している妹紅をよそに、俺は店に入る。
「いらっしゃい。おや、見ない顔だね」
「まぁ、来たばかりだからな」
答えつつ商品を見る。ふむ、1ダースもあればいいか?
「饅頭十二個入りを一箱」
「あいよ」
箱を受け取り、代金を払う。
店の外に出て、妹紅に話しかける。
「そういえば、妹紅は何処に住んでいるんだ?」
歩きながら聞く。
「迷いの竹林ってとこに住んでる。ちょっとした案内人をしてるんだ」
「案内人か」
迷いの竹林と言うくらいだから、迷うやつが多いのだろう。
「ああ。主に永遠亭へ行くやつの案内をしてる」
「永遠亭?」
「薬師の八意永琳が住んでるとこさ」
なるほど、薬師か。それなら、行くやつもいるのだろう。
「ふむ。そちらにも、そのうち行ってみるか」
「行くんなら地上からは避けたほうがいいけど……そういえば、ルートは飛べるのか?」
「ん、ああ。飛べる。機械を使うけどな」
「ストレイドってのとは別?」
「ああ。いまも身に付けてる。飛ぼうと思えば飛べるな」
「へぇ、すごいな。その機械」
「そうだな。今まで何度となく役立ってきた」
里の出口が見えてきた。
「あ、もう里を出るね」
「ああ」
少し歩き、里の門を出た。
「それじゃルート、またな」
「またな」
挨拶を交わして、妹紅は飛び去っていった。聞いてはいたが、本当に生身のまま飛ぶんだな。
まぁ、急ぐ旅ではない。俺は歩いていこうか。
そう思考しつつ、博麗神社の方角へ、足を向けた。