ソードボッチ・オンライン   作:ケロ助

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悩み過ぎて文章が書けない今日この頃……。

頭が悪過ぎて、ヒッキーぽさが出ないよぉ。


第1話

硝子が割れるような音と、青いエフェクト光が発生する。砕け散って消えたのは、斧を携えた亜人型モンスター。名前はコボ……、コ◯゛ちゃん?

 

「ふう」

 

ひと息ついて、辺りを見回す。索敵スキルの範囲内に他のモンスターは引っかからない。リポップまで少し間があるか。疲れたし、休憩にしよう。

 

SAO開始から約一ヶ月。現在位置は、変わらず第一層。一ヶ月もかけて、一層さえクリアすることができていない。しかも、このダンジョンに潜る前に手に入れた情報によると、死亡したプレイヤーは二千人とのことだ。

 

実に全体の五分の一が、第一層から出ることも叶わず死んでいった。基本高スペックな俺も、明日死なない保証はない。今日このまま街に帰れないかもしれないのだ。

 

そんなネガティブな思考を独り加速させながら、一応周囲に気を配りつつ安全圏を目指し歩く。その途中、戦闘の真っ只中のプレイヤーを見つけた。フードを被ったプレイヤーは、俺がさっき倒したのと同じモンスターと戦っている。

 

閃光……?なんだ、ただのソードスキルか。いやいや、速すぎるだろ。刃がまるで見えない。ソードスキル後の硬直で、ようやくその人物の獲物が細剣だと分かる。

 

「……さっきのは、オーバーキルすぎるよ」

 

今度は黒髪の少年が現れる。どうやら、レイピア使いの戦い方に異議を申し立てているらしい。少し揉めているようだが、俺には関係ないし、気付かれてもいない。

 

これは《隠蔽》のスキルを取っているから、ではない。生まれつき影が薄いのだ。最初からスキルスロットが《ステルスヒッキー》で一つ埋まっているのだ。しかも熟練度は生まれてからの十七年で、かなり上がっている。なにそれ俺最強すぎる。

 

「っと、ポーションが思ったよりも少ないな」

 

数時間は篭っていたわけだし、一度町に戻るか。

 

・ ・ ・

 

「ポチ、さっきぶりだナ」

 

フィールドから安全圏内、つまり街中に入り、気を緩めたところに声を掛けられビクッとなる。いつも視界の外から話しかけるなと言ってるのに、この女……。

 

「……」

 

「無視すんなヨ」

 

首根っこを掴まれ、ぐえっと声が出る。あ、僕のことだったんすか〜。人違いかなと思って〜と誤魔化してみるが、手を離してはくれない。ハラスメントコードが出ないのおかしくない?

 

「……何の用だ、鼠」

 

相変わらず手を離そうとしない少女、通称《鼠のアルゴ》。情報屋という職業(このゲームにジョブシステムは存在しない)の彼女は、顔にドラちゃん的なおヒゲが描かれてることから分かるように、結構頼りになる。

 

「いやぁ、オレっちとしたことがさっきは教え損ねた情報があってナ。知りたいだろうと思って、わざわざ会いに来てやったんダ」

 

いや、どうせお金取るんでしょう?ただのセールスなのに恩着せがましいとか、どんな商売方法だよ。

 

「はあ、幾らだよ」

 

「毎度あリ」

 

小さくため息を吐いて、鼠にこの世界の通貨であるコルを支払う。ニヤリと笑った鼠は、うって変わって真面目な表情で話し始める。

 

「今日の夕方、このトールバーナの町でボス攻略会議が開かれる」

 

・ ・ ・

 

現在午後四時、トールバーナの噴水広場には、俺を含めて四十五人ほど集まっていた。今日までの一ヶ月、鼠以外のプレイヤーと殆ど会話をしていない俺は一緒に座る知人もいないので、一人腰掛ける。

 

「はーい!それじゃ、五分遅れだけどそろそろ始めさせてもらいます!今日は、俺の呼びかけに応じてくれてありがとう!知ってる人もいると思うけど、改めて自己紹介しとくな!俺は《ディアベル》、職業は気持ち的に《ナイト》やってます!」

 

広場の中心でウィットに富んだ自己紹介をしてくれる騎士様。青い髪の騎士様のジョークに、周りも俺と同じく白けるかと思いきや、大盛り上がり。

 

「今日、オレたちのパーティがあの塔の最上階でボスの部屋を発見した」

 

どよめきが起きる。「おぉ……」とか、「マジで!?」と驚いている人も何人かいる。いや、ボス攻略会議だよな?ボス部屋見つかったから、会議が開かれるに決まってるだろ。

 

「一ヶ月。ここまで一ヶ月もかかったけど、オレたちはボスを倒し、このデスゲームもいつかは攻略できるってことを、はじまりの街で待ってるみんなに伝えなきゃならない!それが、今ここにいるオレたちトッププレイヤーの義務なんだ!そうだろ、みんな!」

 

今度は歓声が起こる。俺も少し感心した。現実世界でもこういう台詞を使う人間はいた。だが、このデスゲームの世界では言葉の重みが違う。カッコイイ台詞言ってる俺カッコイイでは済まない。

 

「じゃあ、まずは六人でパーティーを作ってくれ!」

 

……え?ちょっと何言ってるかハチマンワカラナイ。開始から今までパーティーを組んだことなんか一度もないし、なんならこの一週間は鼠女以外のプレイヤーと会話もしてない。

 

最後に他のプレイヤーと会話したのは八日前……。

 

『あの、すいません。聞きたいことが……ありません』

 

『あ、はい……』

 

聞きたいことがないんだったら、何で話しかけてきたんだろう。俺の顔を見て質問が霧散したように見えたが、気のせいのはずだ。

 

よし、帰ろう。鼠に唆されてやって来たわけだが、参加条件が満たせないのだから仕方ない。一レイドが六人パーティー八組という制限があるらしい。

 

四十五人を六で割ると、七組と余りが三人。俺がソロで一組を埋めるわけにはいかない。そもそも、俺が一人参加したところで戦力がそう変わるとは思えない。

 

俺以外の余った二人は、今日ダンジョンで見かけた神速フェンサーと黒髪の少年だ。フェンサーの方だけで俺よりも戦力になるだろう。更に、そのフェンサーにアドバイスをしていた黒髪の少年も、同等以上だろう。というか、あいつら知り合いだったのか。

 

できるだけ目立たないよう立ち上がり、広場から立ち去る。

 

「なあ、アンタもあぶれたんだろ?俺たちもだからさ、パーティー組まないか?折角やる気があるのに勿体ないし」

 

「う、お、おお……」

 

「じゃあ、よろしくな」

 

突然声をかけられ、キョドっている内にパーティーの誘いを受けたことになったらしい。目の前にパーティー申請のウィンドウが現れる。


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