クロスアンジュ イレギュラーと熾天使の輪舞 作:ヌオー来訪者
統一地球歴045年 火星付近。
地球統一機構。通称、UCEの所属部隊ラー・カイラム隊はネオ・ジオン軍はあらゆるエネルギー物質に反応して爆発的に増幅させる物質『E2』を巡る決戦が行われていた。
ラー・カイラム隊に所属し、クラウドブレイカー量産型のパイロットとして戦っていた青年、リオス・アルバートは、とある出来事でラー・カイラム隊が大量殺戮者の汚名を着せられながらも共に部隊の一人として戦っていた。
『メインシステム・戦闘モード起動します』
もう、戻れないのかも知れない。嘗て暮らしていた地球の故郷にも。だが、背負い続けるしかないのだ。それが、地球を守る事を選んだ『エースの宿命』なのだから。
「リオス・アルバート、クラウドブレイカー量産型で出ます!」
シャア・アズナブルという男は嘗て、ラー・カイラム隊の一員だった。その時はクワトロ・バジーナと名乗っていたか。彼は次代を担う若者に期待を寄せていたのだがUCEに失望をしていた。
飽くまで保身に走る官僚たちと、地球至上主義者たちによるスペースコロニーに住む者たちへ行った暴挙。
様々な出来事が重なる事で、クワトロ・バジーナはラー・カイラム隊から離脱。スペースノイドを中心に結成された軍、ネオ・ジオン軍を率いてUCEに牙を剥いた。
その頃、地球圏での戦争は終結したと扱われていて、完全平和主義者の手引きで行われた宇宙難民たちの地球への移民を認め、移民船を派遣している真っ最中だった。
その難民船団の中に無人のものを先に降下させてその中にE2爆弾を仕込んで地球に居る者達を抹殺しようとしていたのだ。その事実を知っていたのはラー・カイラム隊のみで―――
結果、ラー・カイラム隊の活躍でE2爆弾の地球降下は阻止したがラー・カイラム隊は何も知らぬ者たちにより史上最悪のテロリストとして扱われるようになってしまった。だが、シャアはE2をもう一つ保有しており、弁解する間も無く追撃。今に至るという訳だ。
後悔しているか、と聞かれたらNOと答えたら嘘になってしまう。だが、E2投下を阻止しなければ地球に人が住めない状態になってしまっていただろう。見過ごせば故郷もクソも無くなってしまうだろう。
故郷があり、自分も生きていれば何とかなるとリオスは自分に言い聞かせながら戦っている。
そして、決着は―――
「E2が爆発する! 離脱しろ!」
ラー・カイラム隊の属艦、ラー・カイラムの艦長『ブライト・ノア』大声でそう命じた。……シャア・アズナブルが戦死し、我が部隊が勝利したのだ。E2を乗せた戦艦は爆発し、大きな光の玉となって広がっていく。
出撃した同僚や上司、協力者たちは急いで爆発範囲から離脱しようとするが、リオス機は若干遅れて進んでいた。
「どうしたリオス!」
機動隊隊長であるアムロ・レイ大尉がリオス機の様子がおかしい事に気付き問いかけると、リオスの口から渇いた笑いが漏れ出た。それは何故か? 爆発から逃げられないのだ。
「ブースターが破損していて……このままではっ!?」
「何だと!?」
リオスがそう言うとアムロが驚いた声をを上げた。事実、リオスのクラウドブレイカー量産型のブースターは破損しており本来の高機動性は損なわれていたのだ。光はもうすぐそばまで迫っていて機体を丸呑みするのも時間の問題であった。
死んだらお終いだ。死んでしまえば汚名もクソも無くなってしまう。リオスは焦るものの、現実は非情で機体は碌に動かない。
―――生きてやる。生きて帰るんだよ。絶対に。
だが、どれだけ祈っても意味は成さなかった。背後から迫る爆発はリオスの機体をあっという間に呑み込み―――
「うわっ!?」
リオスの視界には光が、広がって―――
「リオス機……反応ロスト」
「お、オイ……冗談、だろ?」
ラー・カイラムのオペレーターがそう告げた。ケーン・ワカバを筆頭とした機動兵器のパイロットたちが爆発の後を見やる。だが、爆発跡にはネジの一つも部品も残骸も残っておらず、塵も残らずE2の光に消えたと誰もが思っていた。―――計器にはE2以外の反応がほんの一瞬に発生した事には誰も気づかないまま……
かくして、統一地球歴045年1月。リオス・アルバートはこの世界から『消失した』
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声が聴こえる。
「済まない、■■■■よ。儂に出来る事はここまでだ」
老人の声だ。私はその声を良く知っている。私は彼を敬意を表してこう呼ぶ。『プロフェッサー』と。プロフェッサーは言った。
「儂に残された時間は僅かなようだ。もう少しお前さんの感情に興味があったのだが……駄目っぽいな」
プロフェッサーは私に興味を示してくれて沢山世話になった。彼が居なかったらきっと今の私は居ないだろう。この感謝というものも感情が目覚めたからであろうか。だが、この感情は嫌いでは無かった。
『ありがとう』
私がそう礼を示すと、プロフェッサーは照れくさそうに鼻をこすって「へっ」と笑った。
「よやせい。人間同士の内乱は日常茶飯事だが、お前らは珍しいからな。ちょっと実験がしたかっただけだ」
そう、強がって言ったがその直後咳をする声が響く。私は心配したが、プロフェッサーは構うなと言わんばかりに私を見た。
「まぁ、お前さんが何を成し、何を残すのか気になったが、まぁ分からないまま終わるのも浪漫と考えよう……行って来いよ『イレギュラー』よ。後は、お前の役割だ」
彼の言葉に私はこのような時にはどう答えればいいのか分からなかった。それからもうプロフェッサーは喋らなかった。質問しても教えてはくれなかった―――私は何を成せば良いのか。それを少し長い時間を以て考えていた。
タスクと言われたら、αかOGのアイツが思い浮かぶ。