クロスアンジュ イレギュラーと熾天使の輪舞 作:ヌオー来訪者
パルスキャノンがパルスガンになっているのは劣化している為。形状は差して変わらない。3点バースト型になってしまっている仕様。キ○ガイ連射バージョンはもうちょっと待って下さいな。
ゲシュペンストの装備は腕に付いた武装『プラズマステーク』と、背中に装備された二基のミサイルポッド『スプリットミサイル』そして、現在ライトアームが握っているライフル『メガビームライフル』そして腰にマウントした拳銃、『Gリボルヴァー』二丁だ。
現在、二基装備されたスプリットミサイルは先ほどの先制攻撃の際二基とも撃ち尽くしたので武装は3つだ。光学兵器であるメガビームライフルはそれなりに威力が有り、動力の都合上リロードさえすれば何発も撃てるが、リロードに時間を要する為その間にGリボルヴァーかプラズマステークを使うという寸法だ。
まず手始めにサリアはターゲットを手近に居る小型ドラゴンにライフルの銃口を向けて無造作に引き金を機体に引かせた。銃口から放たれる閃光がいとも簡単にドラゴンの身体を貫き、貫かれたドラゴンは地に落ちていった。
「なんて威力……!」
一撃で撃墜するとは。サリアは驚きの余り思わず声が出た。ビームライフル自体は生産されているのだがそれとは比にもならない威力だ。
だが、まだ未完成な為一発ごとにリロードしなければならない。完成品は3発毎になると言われている。
背後から殺気を感じた為、背後を向くと別のドラゴンが牙を剥いて襲い掛かって来ていた。間合いとしては非常に丁度良い。サリアはアレを使おうと決心した。
「プラズマステーク、セット。喰らいなさい!」
サリア機のレフトアームに装備された放電打撃武器『プラズマステーク』を起動させ、機体を粉砕するべく襲い掛かって来た小型ドラゴンにゲシュペンストPMはプラズマステークを叩き込む必殺の一撃『ジェット・マグナム』をドラゴンの胴体に炸裂させた。
確かな手ごたえを、感じた。
ドラゴンは電撃に苦しみ始めて暴れまわるが、こちらに被害が及ぶ前に叩き込んだステークを更に深く押し込んだ。
「!?!?!?」
小型ドラゴンは名状し難い悲鳴を上げながら海中へと、落ちた。あれだけ電撃を喰らえば二度と上がって来れないであろう。
水柱を立てて落ちる小型ドラゴンを見下ろしながら、サリアはテストで与えられた自分の機体の性能を確かめて、大きく息を吸ってから吐いた。
この性能ならばリベルタスの大きな助けになる筈だ。そう思うと高揚感が湧くような気がした。ヴィルキスやアンジュに頼らずとも何とかなるかも知れないという期待。
欠点としてはパラメイルの中では平均以下の機動力である事だが、その分火力と防御力は折り紙付きである。多少の攻撃では四肢が取れたりなどはしない。
寄らばステークで殴り飛ばし、寄らずともライフルやリボルヴァーで撃ち抜くそのサリアの駆るゲシュペンストPMの姿に大型を躱しながら小型ドラゴンを叩き落としている真っ最中のヴィヴィアンは舌を巻いた。
「何かサリアすっごい機体に乗ってる……」
最新型に乗っているのは羨ましい気もしたが、機体の性質が自分の乗っている機体『レイザー』とは真逆の運用方法である事に気付くと、羨ましく思うのを止めた。
一方で小型ドラゴンを叩き落とすナインボール=セラフの姿が見えた。あちらも相当な動きをしており、レイザーの最高速度を凌ぐ機動性を発揮していた。
それはまるで赤い、閃光のようだった。
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まるで身体と魂が引き離される感覚だった。最高速度はクラウドシリーズより高い事には間違いないだろう。出撃を重ねる度、機体の速度を少しずつ上げていて、現在はクラウドブレイカーシリーズ以上の速度を以てリオスとナインボール=セラフは戦闘を行っていた。
掛るGは尋常では無く、絶叫マシン等と言う生易しいものでは無い。
理論上可能な限界値まで行けば恐らくトールギス級の加速度は出せる筈だとカタログスペックで明らかになっているのだが今の所そのレベルに可能な限り近く設定しており今となっては少し後悔している。
無論常時そんな状態で戦闘が出来る人間はヒイロ・ユイやゼクス・マーキスじみた人外レベルの身体をしていなければ無理だ。特にヒイロは自爆しても死なないという人外じみた男なので常人より少しばかり身体が丈夫でクラウドシリーズの搭乗適性が高いだけのリオスとは比較にならない。と言うかしてはいけない。
現状、機体の性能を十二分に生かせていないというのだ。リオスは加速で掛るGに歯を食いしばって耐えながら自分の乗っている機体に改めて末恐ろしさを覚えていた。
だが、恐れている暇は無い。パラメイルは基本的に気密がいい加減だ。早く終わらせなければ水没したアンジュの命が間違いなく危ない。
気が付けばゼロ距離まで詰めていた。前方に居たドラゴンは驚愕のあまり動きが止まる。その隙をリオスは逃がさず、レーザーブレードで三枚おろしにして、残骸を蹴りで海中に叩き落とした。
「当たると……痛いぞ!」
嘗ての同僚であった
弾を切らして弾丸のチャージング状態に移行した時には5体程は蜂の巣にして海に沈めていた。
それでもまだ倒し切れていない小型ドラゴンは居た。それがまだ襲い来てナインボール=セラフをバラバラにしようとするも、ナインボール=セラフが持つ凄まじい加速度と機動力がそれを許さない。小型ドラゴンは大きな動きで離れていくナインボール=セラフに身体が追いつかず、茫然としているといつの間にか背後に回っていたナインボール=セラフにアームによるパンチと共に放たれるパルスガンで蜂の巣にされて亡骸にされ水底に叩き落とされていた。
小型ドラゴンを第一中隊が粗方仕留めると、残るは大型一匹。
新入りであったミランダも随分と良い動きをしてくれるようになったので今回の戦闘ではフォローする必要が殆ど無くなっており、地味ながらも成果を残してくれているようだった。サリアはゲシュペンストを使いこなしているようだし、ヴィヴィアンとヒルダは相変わらずの戦績を弾きだし、砲撃組も突撃班を上手くフォローしてくれている。小型を殲滅するのにさして時間は掛らなかった。
今回はこれまで程数が多くないのが幸いして、アンジュが居ないという不利な状況を覆す事が出来た。もしアンジュが居れば更に時間が短縮出来たのだろうか? ……いや、彼女のスタンドプレーで隊列が混乱するので変わらないか。
残された大型ドラゴンは大口を開いて鋭い牙をむき出しにして、耳をつんざくほどの声量で吠えた。そのリオスはそれに体中にぴりぴりとした感覚がした。それと同時に憎悪に似たような―――プレッシャー。
「……っ」
何だこの気持ち悪さは。何だこの内蔵を抉るような感覚は。リオスは顔を顰め乍らナインボール=セラフを飛行形態に変形させて、大型ドラゴンに向かって機体を飛ばす。
「各員、散開して凍結バレットを装填! 無い機体は射撃武器でかく乱を! リオス、私と別方向で挟み撃ちを行って貰うわ」
サリアの指示に従い、凍結バレットを装填した味方機とは別の場所からチャージを済ませた両腕のパルスガンの銃口を大型ドラゴンに向けた。先ほどリオスが感じていたプレッシャーは何事も無かったかのように無くなっていた。
何だったのだ、今のは。
そんな疑問は直ぐに興味から失せて、リオス機とサリア機は凍結バレットを装填した機体群とは別の方向で挟み撃ちをするようにパルスとビームライフルを大型ドラゴンに向かって照射した。
大型ドラゴンは凍結バレットを装填しているヴィヴィアン機たち機体群を狙って大きな羽で殴り叩き落とそうとするも、両翼に向かって飛んでくるパルスとビームがそれを許さない。大型ドラゴンがリオス機とサリア機が挟み撃ちで放つ弾丸に気を取られている内に、全機凍結バレットを装填完了させてから―――
「撃て!」
サリアの合図と共に一気に凍結バレットが放たれた。
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今回の戦闘での損害は軽微で済んだ。隊列を乱すイレギュラーが居なかったからか、それとも、アンジュを助けるべく奮起してくれたからか。まぁ、後者だと少なくとも3人程はその気では無さそうだが。
何はともあれ、戦闘終了後の残り少ない燃料でアンジュの捜索のし様が無いので一旦帰投する事になった。何故戦闘一回分の燃料が積まれていないのか。理由は分かっていて理解できていても不満だった。
「……リ…ス? おーい、リーオース!」
飛行形態でアルゼナルに帰投する途中で、落とされたアンジュの心配をしていると
ヴィヴィアンから通信が入っていた事に遅れて気が付いた。
「ヴィヴィアンか……何だよ?」
若干不機嫌気な返事になったのだが、ヴィヴィアンはそんなリオスの反応を気にも留めずに口を開いた。
「帰ったら、直ぐに探しに行こうよ!」
「……アンジュをか?」
「うん! シエナもエルシャも、ミランダも行くってさ!」
迷いなく肯定するヴィヴィアンの顔を見てリオスは呆気に取られていた。キーホルダーを跳ね除けたと言うのに。それでもまだ彼女に手を伸ばすのか。
随分と物好きである。……まぁ人の事全く言えないのだが。
しかしそれは価値観の問題もあった。ヒルダ程激昂する理由もあまり無かったし、戦いと無縁の世界から戦場に放り込まれたアンジュに似た境遇の人間は何度か見て来た。それ故に放っておけなかったのだ。例えそれが余計なお節介だとしても、だ。
「そっか……俺も行くよ。放っておけないもんな」
「よし帰ったら直ぐに行こう! レッツらごー!」
ヴィヴィアンが元気よく拳を上げる。彼女の底なしの元気っぷりにリオスとミランダは苦笑いせずには居られなかった。
帰投後、司令部に回収班に加わる許可を請うた。参加メンバーは本格的にアンジュを恨んでいるヒルダたち三人組以外全員。そんな状況にリオスは笑わずには居られなかった。大分違うかも知れないが嘗てのラー・カイラム隊を思い出す。
嘗て共に戦った仲間たちの事を思い出しながらも、回収ヘリへ皆と共に歩を進めた。
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シエナにとってアンジュは嘗て自分の幼馴染に似ていた。
……と言うのは、物事は数年前に遡る。シエナは昔から第一中隊にいた訳では無い。
第一中隊に転属する前に居た第二中隊でのチームメイトの少女が居た。彼女とシエナは幼馴染だった。彼女は一人で行動する事が多く、他者とあまり関わろうとしなかった。その上、歯に衣着せぬ言動で多くの敵を造り、恨みを買っていた。
幼い頃からの友達であったシエナはそれを気にする事は無かったが、チーム内のメンバーはそうは行かない。次第に彼女は孤立していった。
戦績は常にトップ、一騎当千の大活躍で周囲から嫉妬を買い、彼女を敵視した者達は彼女を攻撃した。その攻撃は陰湿極まりないものだった。ライダースーツをボロボロにしたりと、アンジュが受けた嫌がらせに近い、いやそれ以上に苛烈な苛めを受けた。それでも尚、彼女は堂々としていた。
そんな彼女がシエナには眩しく見えた。強いな、と。
だが、自分が居なくなればきっと彼女は一人ぼっちになってしまうだろう。そんなのは絶対に辛い筈だ。
実際、彼女はシエナにだけ心を許していた。
シエナは思った。彼女が安心できる居場所になってあげたいと。
だが、そんなシエナの願いは―――彼女がドラゴンに食い殺される事で無駄に終わってしまった。シエナは彼女の援護をしていたのだが周囲は援護の一つもしなかった。
「あいつはエースだから一人で大丈夫でしょう」
という、言い訳を添えて。目の前で食い殺される彼女を黙って見ていた。
彼女の死亡が確定した後、彼女を攻撃していた者たちはゲラゲラと笑っていた。悲しむ者は碌に居やしなかった……
そして次の戦闘、当時の第二中隊はシエナ含む数人残して壊滅してしまった。理由としては、エースライダーだった彼女の手柄の横取りばかりをしていたが故に練度が不足していたというのが大きな理由だった。
それから、部隊の整理一環としてシエナは第一中隊に転属する事になった訳である。
彼女とアンジュの姿がダブる時がある。時として似ている、とすら。だからアンジュを放っておけなかった。今回の回収班の参加の件でアンジュの事を気にかけてくれている者が少なからずこの第一中隊には居る事を知って驚きと、嬉しさを感じていた。
真っ向からロザリーと対峙するリオスが少し眩しく見えていたし、羨ましくもあった。シエナは彼女を苛めていた者達に真っ向から立ち向かえなかった臆病な自分とは違うものをリオスは持って居ると、思ったのだ。
きっと今回は違うと、そう信じたいと思っていた。
おや、リオスの様子が……
タスクの出番はもう少し先。しかし、機体登場は原作より早くなりそう。