クロスアンジュ イレギュラーと熾天使の輪舞 作:ヌオー来訪者
原作キャラも中の人が同じクルーゼ以上にアレなエンブリヲはどうやって倒せるのやら。
何となくだが、ゆらゆらと波に揺られながら漂っていたような感覚がした。それが少し心地よかったが少しこの感覚に違和感を覚える。宇宙なのにこの感覚はおかしくね? と。でも、目を覚ますだけの余力は残っていなくて、そのまま目を開けずに揺られ続けていた……
身体が、重い。
随分と長い時間流されていたようだ。と云うか何故自分は海に漂っていたのだろうか。地球から離れた場所、火星付近のデブリ帯に居たと言うのに。リオス・アルバートは今、見知らぬ島の砂浜に打ち上げられていていた。
一瞬、ボソンジャンプという空間跳躍現象で飛んだ可能性を考えたが、その可能性は極めて低いだろう。―――が、我が愛機、クラウドブレイカー量産型は何処へ行ったのかという疑問に突き当たる。強制脱出装置が誤作動でも起こしたのか。もしかしたら本当にボソンジャンプなのか。
服は海を漂流していたからかかずぶ濡れで、口の中がすごくしょっぱかった。
重い身体を持ち上げるようにして立ち上がろうとした瞬間―――
「動くな」
という、女性の声が聴こえた。咄嗟にリオスは顔を上げると数人の少女たちが銃を持ってリオスに向けているのが見えた。
―――ま、まじかよ…………
リオスの顔が一気に引き攣った。
一難去ってまた一難。ありえなーいとでも言えというのか。と言うかここは地球なのだろうか。……さて。
リオスは手を上げて抵抗の意志は無いと訴える。
そして、銃を向けて来る女性たちの指揮を執っていた黒髪をポニーテールに纏めた女性がリオスに近寄り…………手錠で拘束した。
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細かい所を省いて端的に説明すると、リオスは良くわからない場所へと連行された。
床に血がこびりついた殺風景で殺伐とした尋問室に連れ込まれて、出身地だの姓名だの聞かされたが、まるで話が噛み合わない。UCEの事も、ラー・カイラムの事もリオスは洗いざらい話したが、取り調べ担当の者は首を傾げるだけ。
リオスは必死に説明した。地球圏に住む者たちならば誰でも知っている常識を沢山。スペースコロニーの事も。だが、誰も取り調べを担当している女性たちには首を傾げられ、頭がいかれたかどうかを聞かれるだけだった。
挙句の果てに精神病の疑いを掛けられ、数日間まともな飯にもありつけず、牢屋の中に閉じ込められてしまった。しかもノーマだとか(よくわからないが口ぶりからして蔑称)監察官と呼ばれた眼鏡の女に言われるわ……
「なんだよ……散々じゃねぇか」
リオスは牢屋に備え付けられたベッドに横たわって、不貞寝を決め込んだ。
一体全体どうなっているのだ。ここは地球では無い何処かなのだろうか?
ボソンジャンプは過去に跳躍するとか言った説が存在しているが、UCE発足前の時代にでも飛ばされたのだろうか。それとも…………
まるで見知らぬ世界に一人。それがとても、寂しく思えた。
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リオスの取り調べ……いや、尋問と言うべきか。尋問の担当をしていた黒髪ポニーテールの女性、ジルはリオスが流れ着いた島……否、軍事基地アルゼナルのとある一室にてレポートらしきものを差し出した。
その報告書を受け取り、ざっと目を通した紺色の髪をツインテールに結んだ少女、サリアは顔を顰めた。
モビルスーツ? オーラバトラー? スペースコロニー? UCE? オリヴァーポート? パーソナルトルーパー? ヘビーメタルにメタルアーマー?
まるで漫画の中の世界のようである。しかも彼の話には『マナ』という単語は一切絡む事が無い。そんな馬鹿な話があって良いのか?
このアルゼナル内では兎も角、この世界では『マナ』とは切っても切り離せない存在だと言うのに。
『マナ』……それは『普通の人間』が最低限持って居る力だ。その力は念力の如く物を浮かせたり動かしたり出来る上に、拘束や防護のための結界じみたものを形成したり、情報共有の可能なクリーンで便利な技術である。これの技術の発展により戦争や貧富の差が消滅したと言われている。……が、『普通の人間』からはずれた存在も少ないながら存在している。
それが『ノーマ』。マナの力を持たず、逆に無効化させてしまう者だ。彼らは平和なマナ社会を崩壊させ得る存在と見なされて迫害、差別の対象になったり、法的に取り締まられており、大多数は幼少の頃よりこの軍事基地『アルゼナル』に収容。名前を奪われ隔離される。そしてあるモノと戦う使命を背負う事となるのだが……
「例の漂流者、言っている事が滅茶苦茶な上に男でノーマだった……奴は一体何者なの?」
サリアの質問にジルは首を横に振った。ノーマはどうしてかは不明だが女性の赤ん坊にしか発生しない。それ故にリオスがノーマである事に不自然さを感じていた。
「まぁ、アイツが男であるのは既に身体上明らかになっている。精神鑑定も至って正常で記憶障害らしきものも無い……が話が全然噛み合う事が無い。……まさかノーマやマナの存在を知らないとは」
ジルは軽く呆れながら最近入って来た皇国から入って来たのノーマの少女の姿を思い浮かべる。皇族は大概閉鎖され切った城に籠っているので世間知らずな所が多く、最近入って来た元皇族はまさにソレだった。あの皇族の少女に比べれば彼の物腰はまだ落ち着いているのだが、それでもジルの胃を痛めつけている。
男でありながらノーマであるというリオス・アルバートという存在。
だが、そんなイレギュラー級の存在にマナ使いの監察官は彼を気にもかけておらず、男だからどうしたと言わんばかりの反応で、風紀を乱さないように隔離しろとしか言っていない。
「近い内に奴を解放し、戦線に入る為の訓練及び教導を受けさせる」
ジルの言葉に、サリアは眼をギョッとさせた。
「お前には奴の監視と教育を頼みたい」
そう言われると、サリアは心底嫌そうな表情で首を横に振りそうになったのだが、敬愛する上司の頼みも断れず、取り敢えず理由だけ問うた。
「どうして……!?」
「あの男はそれなりに鍛えた痕跡がある。本当に軍人かどうかは知らないが、上手くやれば即戦力になり得ると我々は踏んだ」
「……はい」
前の戦闘で結構数が減ったのだ。即戦力は喉から手が出るほど欲しい。戦力の質が高ければ高い程生存率は上がるというもの。それに渋々、サリアは引き受けた。
変な動きを少しでもしたら即刻報告してやろうと、心に決めながら……
「さて、奴が現れた瞬間、アレが起動したという報告を聞いたが……」
サリアが去った後、ジルは執務机の引き出しに仕舞われた別の報告書を取り出した。そこには、乗り手がおらず格納庫行きとなったワインレッドのカラーリングで背に大型ブースター二基を積んだ戦闘機の写真が付属していた。
―――イレギュラーにはイレギュラー。そういう事なのか?
ジルは大きく溜息を吐き、また忙しくなりそうだと思いつつ、数少ない彼女にとっての娯楽である煙草に火を点けた。
「ぶえっくし!?」
一方で投獄されていたリオスは寒々しい空間に凍えていた。何故、ベッドには毛布も何もないのか。とても寒くて寒くて仕方がなかった。
アンジュたちと、ナインボール・セラフもどきの出番は近い内に。因みにセラフもどきはパラメイルとは違うタイプの機体です。
次回、野郎が露出の多い女性ばっかりな場所に放り込まれた時の疎外感とか孤独感とか、初戦闘も書きたい所。早くタスクを出したいんじゃー(´・ω・`)
初代ACEのBGMが好きな人間が周囲に居なくて泣いた……泣いた……