クロスアンジュ イレギュラーと熾天使の輪舞 作:ヌオー来訪者
あの騒動の後でも、リオスたちはお咎めナシであった。あの実行犯であるアンジュもまた、病院のベッドで横たわっている。リオスがサラマンディーネの立場ならば確実にアンジュを牢屋にブチ込んでいるだろう。その点では本当にサラマンディーネの対応は意外だった。
アンジュが眠っている間、リオスたちは多少の監視付きではあるが自由時間が与えられた。……とは言っても、動ける範囲はかなり限られているが。リオスは街に戻ると真っ先にタスクやサリアに得られた情報について報告した。だが意外と落ち着いた反応で二人は話を聞いていた。
案外淡泊な反応だったのは、元々真相を色々知っていたからだろうか。そしてマナが使えない事と、この世界が自分の世界では無いという事が手伝ったのか。それはリオスには分からなかった。
そして、ドラゴンとの協力体制という選択肢について伝えたのだが、タスクは兎も角サリアは気難しい表情であった。後々知る事になるのだが、彼女は親友であるアン・エルガーなる少女を戦闘で失ったのだと言う。
ドラゴンたちだって一緒だ。数えきれない犠牲をリオスを含めアルゼナルに居る者たちによって被っているものだから、「はいこれでおあいこです」と言って割り切れはしない。それを証拠にあちら側だってこちらを危険視している者は少なからず存在しているのだ。
それから暫くしてリオスは自分に与えられた客室に戻り、畳の上に腰掛けてアルスと話の続きを始めた。不似合ながらも珈琲が入ったマグカップが両者の傍に置かれているのが些かシュールな雰囲気を作っているが。
アルスから知らされた話によると、宇宙から戻って来た人間は数百人程居るらしく、突撃艦隊の構成人数そのものはそれを大きく上回る人数だったそうだ。まぁアグレッサーとの大規模戦闘の所為で殆どやられてしまったらしいが。
「しかしまぁ、お前がガンアークのパイロットとはなぁ……」
リオスは珈琲を一口含んでから言った。
アルスがガンアークに乗っていた事を知らされて、リオスは思わず苦笑いする。流石レイの家系と言った所か。
「あの機体さ。頭に角とツインアイを付けないのか?」
「リオスさん……付けたいんですか?」
「へっ、冗談だよ」
若干怖い顔をされたのでリオスは引き下がった。誰だって、自分の愛機に訳の分からない改造をされそうなら気分を害するだろう。まぁそれなりに冗談は言える程度には打ち解けた気もしなくも無い。敵と仲良くなってどうするのだと、アンジュに怒られるのかも知れないが、リオス自身も自分が何をしたいのか分からなくなっていた。アルス自身、アンジュの定義からして敵の一人なのだが、アムロの孫であるという事もあってこうして積極的に話しかけている。
「所で、……ホテル前で俺たちを襲った赤い機動兵器は何なんだ?」
一瞬ラ○ホテルと言いかけたがご愛嬌である。正直言ってまだこの世界は知らない事ばかりである。母星なのにこのザマというのは中々悲しい意味で笑えてくるが。
アルスはこれについて掻い摘んで説明してくれた。
先ず、大破壊より前の95年に地上は戦争で荒廃し、一部区域は汚染されてしまい砂漠化も進行してしまっていた。それに対して、人類は地下都市の建造を計画した。発案者は地球至上主義だったらしく宇宙での感覚を好まなかったらしい。それと迂闊に宇宙に出られなくなったという理由もあった。
さて、それとあの赤い機動兵器とどう関係が有るのかと言うと、あの赤い機動兵器は地下都市……レイヤードと言うらしいのだが、そこは『管理者』と呼ばれるコンピューターによって統治、管理された世界なのだとか。
管理者は己の支配から逸脱した行為を行い、秩序を壊す者を『イレギュラー』と呼称し、赤い機動兵器……ナインボールと呼ばれる兵器を派遣してイレギュラーを潰すのだと言う。恐らく地上に居る人間をイレギュラー認定した結果なのだろう。何時か己の統治を潰す者と恐れて。実際しょっちゅうこのドラゴンの都市を襲撃してきていてアルスたちはそれらを迎撃すべく前線で対処しているのだと言う。
そして奴らは地下から現れるものだから、アルスたちは
「おい待て。名前、俺の機体と一緒じゃないか」
リオスはそれを訊いて即座に反応した。ナインボール=セラフとナインボール。一体どういう関係が有るのだろうか。気にならない訳が無い。ただの偶然では無いのは間違いあるまい。
「恐らく系列機だと思います。セラフは上位互換……なのかも知れませんが。エンブリヲもカラーが違えど同タイプの機体を使用している事から、エンブリヲ自身レイヤードに何かしらの関わりがあるのではないか……とか言われてるんですけど。そこら辺は僕にも分からないですね」
困ったようにそう言うと、アルスは珈琲を一口啜った。
分からない。H-1は一体何者なのだろうか。真っ先に銃口を向けられたのはセラフだった。それもイレギュラー認定付きで、だ。
一体何があったのだろうか。こんな状況では益々訊かない訳には行かない。最悪タスクの力を借りて強引な手段に出なければならないだろう。
「……所で、誰情報だソレ」
リオスが問うと、アルスは一つ間を置いてから答えた。
「レイヤード出身の脱走者が居たんです。レイヴンと呼ばれる、機動兵器アーマード・コアを駆る傭兵が」
「レイヴン?」
セラフの前任者が確かレイヴンと名乗っていた事を思い出して、前任者の名前をアルスに問うたが反応は芳しくなく、首を傾げられた。
恐らくレイヴンというのは渾名では無く総称のようなものなのだろう。リオスはカップの中の黒い水面と睨めっこしながら長考に耽っていると、自室の扉が乱暴に開かれた。
リオスたちがその音に少し驚きつつそちらの方向に向くとそこにはサリアとタスクと―――
「えと……誰だっけ?」
「ヴィヴィアンだよ!」
リオスの盛大なボケにヴィヴィアンは若干絶叫気味に突っ込んだ。それに対しリオスは心底申し訳なさそうに謝罪した。喜ばしい事にヴィヴィアンが人間の姿に戻っていたのだ。服装はドラゴンの女性たちが身に着けている妙に露出の多い服装で地味に目のやり場に困るが、全裸で居られるよりはずっとマシだ。
「……すまん。ドラゴンの姿が俺の脳内で定着してた」
「人の姿の方が絶対に付き合い長かったわよね!? どうしてそうなったの!?」
ヴィヴィアンと一緒に居たサリアが飽きもせず続くリオスのボケに突っ込みを入れた。全く以て、どうしてこうなったなリオスの反応に引き攣った笑いがアルスの顔に浮かんだ。
「さて、ここでクイズです。あたしはどうして人間に戻ったのでしょう」
リオスによってぶち壊されてカオスと化した流れを変えるべく(本人にその気が有ったのかは不明)、ヴィヴィアンはクイズを出した。答えを知っているであろうアルス、サリアとタスクは黙っている。
ここは一つお詫びがてら彼女のクイズに付き合うのも一興だ。リオスは真面目に1分間ぐらい考えてから答えた。
「努力と根性とか」
「バ○ターマシンでも彼女に動かさせる気ですか!」
アルスの突っ込みを受けて、流石にそれは無いかと察したリオスは別の答えを考えた。……何、簡単な事ではないか。サラマンディーネは言った。遺伝子操作でドラゴンへと人間を作り変えたのだと。それと逆の事してしまえば良いのではないのだろうか。
その事を思い出してからリオスは答えた。
「遺伝子調整……とかか?」
「ぴんぽーん! 正解です!」
元気の良さは相変わらずで何よりだ。正解を告げるヴィヴィアンにリオスは安心し、思わず頬が緩む。ある意味実家のような安心感である。タイミングが悪ければ偶に苛々する事もあるという点でも。
「良かった良かった。機体が動かなかった時色々無茶させて悪かったな」
「問題ナッシング!」
眩しいくらいの笑顔でサムズアップするヴィヴィアンにリオスは思わず苦笑しながらも、残された懸念事項は自分たちの行動、ドラゴン&旧人類の連合と協力関係を置くか否かという事に大きく悩まされる事になった。
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サラマンディーネはガレージ内にてヴィルキスやクラウドブレイカー、ゲシュペンストと共に修理されゆくナインボール=セラフを真下から少しだけ見上げてから、報告書に眼を通した。
これまでナインボール=セラフとは交戦して来たのだが、このセラフはどうも奇妙だった。敵対した方のセラフの残骸から得られなかった物が幾つか積まれているのだ。
特に大きなものは、『コックピットブロック』と『V-Drive』だ。前者はナインボールシリーズそのものに人間が乗っていないという事実からだ。元々ナインボールは管理者直属の忠実なリーサルウェポン的存在であって、人間が乗る事など有り得ないのだ。
レイヤード側と同じようにAIは積んでいるようだが、自分から動こうとはしないあたり補助AIぐらいの役割しか果たせないのだろう。
後者は、まだ詳細は分かっていないのだが普通のものでは無いという予感はしていた。
詳細はハッキングしようとしても、プロテクトが厳重でそう簡単に中身が見れなかったし、何か知っているであろうAIのH-1も口を固く閉ざしている(口は無いが)。
レイヤード自体エンブリヲが計画したのではないかと言われているが、この機体とパイロットがヴィルキスとアンジュ共々こちらに来てくれればかなり状況が変わるであろう。
上手くやればエンブリヲを出し抜く事も不可能では無い筈。
サラマンディーネは再度、ナインボール=セラフを見上げていたら部下が現れて、ある事を告げた事で、サラマンディーネの表情は喜色に染まった。
「まぁ。それは喜ばしい事ですわ。早速会わせて差し上げましょう」
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ヴィヴィアンにとっては嬉しい事この上ない事ばかりであっただろう。ある意味これは彼女の里帰りと同義なのかもしれない。母親だという女性がサラマンディーネに連れられて現れた。名はラミア。顔立ちや髪の色が結構似ているし、DNA鑑定をした事でラミアとヴィヴィアンが親子であるという事は確定しているのだと言う。
そしてヴィヴィアンの本名はミィらしく、リオスたちは今後どちらの名前で呼べばいいのか困惑したが、ヴィヴィアンのままで良い……という事になった。
喜ぶラミアと母の顔を覚えていないので困惑しているヴィヴィアン。
しかしながら、何故彼女はアルゼナルにやってきてしまったのだろうか。その疑問の答えはサラマンディーネが教えてくれた。
約十年前幼いヴィヴィアンは戦場に向かう母親を追っていたのだが、その際にアルゼナルのある地球に迷い込んでしまったのではないか、という事であった。
「……良かったわね。ヴィヴィアン」
サリアは少々複雑な心境で母親との再会を祝福する。おいそれとは殺された同僚の事を忘れたくはないのだろう。そしてこちらも無数のドラゴンたちを殺してしまった。きっとそれはもう数えきれないほどの恨みを受けているぐらいに。それはリオスやアンジュだって同じだった。
けれども―――
「皆、祭りの準備を。祝いましょう。仲間が十年ぶりに帰って来たのですから」
サラマンディーネが祈るように言う。……仲間の家族と再会出来たという事を喜ばないのは絶対に罰当たりだ。だから今は、アンジュもサリアもリオスも親子の再会を素直に喜ぼうと思った。
/
数時間前まで地上を照らしていた太陽が沈み切った代わりに空には無数の星と月が輝き微力ながら地上を照らしていた。そんな空の下、アウラの塔の前までリオスたちと灯篭を持った民衆とドラゴンが集められていた。
どうやらサラマンディーネには相当のカリスマ性が有るらしく、周囲の民衆の黄色い歓声を浴びながら、暗闇の中でオレンジ色にぼんやりと輝く灯篭を手に持ち、アウラの塔の前に立って前置きを述べ始める。
「殺戮と試練の中、この娘を彼岸より連れ戻してくれた事に感謝致します」
そう言ってから、サラマンディーネは手元にあった灯篭を空へと放った。手元から離れた灯篭はゆっくりと夜空へ向かって飛んでいく。そしてそれに続くように民衆やお付きの者も灯篭を空へと放った。そしてサラマンディーネは声を上げてアウラに祈りを捧げた。
「アウラよ……!」
サラマンディーネに民衆も続くようにアウラへと祈りを捧げる。夜空へ浮かぶ灯篭は幻想的でリオスたちは思わず眼を奪われていた。
「まるでトウロウナガシだな……」
「どちらかと言えばコムローイじゃないですかね」
アルスが指摘を入れると、リオスは「なんだそれ」と首を傾げた。こういうのをするのは日本ぐらいではないかと思っていたがどうやら違うらしい。名前からして日本では無い何処かの国のものだろうが―――アルスが解説を入れる。
「タイ北部のチェンマイという場所で年に一度行われる行事みたいなものです。ブッダとか云う天に居る人に感謝の気持ちを捧げて、日々の生活が幸福であるように厄払いをするという意味を込め、コムローイという熱気球が夜空へ放たれるんですよ。……まぁコムローイ自体もう少し大きいんですが」
それなりにリオスと打ち解けて来たか、アルスの喋り方もフランクになって来ていた。それが喜ばしい事なのか、悪い事なのかは自分たちの今後の行動で決まるであろう。だが、答えを弾き出すのはもう少し時間が欲しいのが本音であった。
「トウロウナガシ?」
近くで聞いていたサリアが問う。それにリオスは少々自信が無さげに答えた。
「うろ覚えなんだけど、死者の為に死者の魂を弔って川や海にトウロウって言う今打ち上げられているような感じの奴を流すんだよ」
「何で川や海なのよ」
アンジュが問うとリオスは答えに困り顔を顰めて考え込んだ。そこら辺については分からない事である。どういう考えを以て水と川なのだろうか?
返答に窮して考え込んでいると別の男の渋い声が割って入った。
「霊は水の有る所に寄って来る、と日本ではよく言われていてな。序でに言えば日本の川は三途の川とか言う生と死の狭間みてーなモンに繋がるとか言われている。多分ソイツに見立てたんだろうよ」
割って入って来たのは有隆だった。傍にはアルスを数人の(恐らくはUCEの人間)青年たちが居た。
「こうしてマトモに話すのは初めてだな。私は有隆真ノ介大佐だ。この艦ペンドラゴンを属艦とした第13番部隊の総隊長をやっている」
有隆は手を差し出す。それにリオスはその手を握って握手をした。
「恐れ入ります。自分は元UCE所属、リオス元軍曹であります」
「君の事は調べさせて貰ったよ。本来ならば君が年上になるんだ。それに軍隊としての機能は半ば死んでいる事だし、敬語は要らんよ。所でこのお嬢ちゃんたちと坊主は」
リオスは返答に少々困ったがリオスが答えるより先にアンジュを除く本人たちが自己紹介を始めた。
「私はアルゼナルのヒルダ隊所属、サリアです」
「俺はアンジュの騎士。タスクです、えっと、この金髪の娘がアンジュ」
タスクはアンジュが自己紹介する事は無いと悟って、アンジュの分も言う。
有隆は納得したように「うむ」と頷くと、アルスを含む有隆と同行していた3人の者たちに視線を軽く送ると、アルスから自己紹介を始めた。
「改めて、ご紹介させて戴きます。自分はペンドラゴン隊所属アルス・レイ少尉です。ガンアークのパイロットを務めています」
アルスは慣れた動きで敬礼する。ガンアークのパイロットである事を知り、過去にガンアークに辛酸をなめさせられたサリアは少々顔を顰めたが、それ以上の反応はしなかった。した所で何の意味もないのだから。
続いてアルスの隣に居た茶髪で若干長い髪の青年が敬礼する。
「ユウト・ミカワ曹長だ。ヒュッケバインMK-Ⅲのパイロットをやっている」
どうも仏頂面で無愛想というのが第一印象であった。しかしながらヒュッケバインと聞いてリオスは何故か軽く頭痛を覚えたのだが気のせいだろうと思って斬り捨てた。
次はユウトの隣に居る一番背の低い少年だ。
「アラタ・サイオンジ軍曹でありまっす! ゲシュペンストMk-Ⅸに乗ってるんで以後、お見知り置きを!」
アラタはおどけた感じで敬礼する。彼はユウトとはまるで真逆の性格のように見える。だがそんなことよりゲシュペンストもMk-Ⅸまで来たかと45年当時のゲシュペンストしか知らないリオスは少し、感慨深く思った。それと同時に時の流れを感じずにはいられなかった。
次は20代前半や10代後半ぐらいの連中より有隆程では無いにせよそれなりに歳を食っているように見える髭を生やした目付きの鋭い男性だった。
「ジャック・オールケン中尉だ。搭乗機体はウルフズ・アイ。宜しく頼む」
アグレッサーと言うのは聞くところによると数で襲って来る恐るべき存在だと言う、それを考えたら、彼らは相当の手練れだろう。アルスですらあれだけの力を持っているのだ、それに中途半端な腕ではアグレッサーが持っている数で潰されてしまうのは目に見えている。
「まぁ、何だ。共に戦う日が来る事を祈っている」
有隆はそう言うがリオスとしてもこんな時代にUCE同士で殺し合うと言うのも解せない話だし、地球を護る為に命を掛けてくれたのだ。彼らがいなければ曲がりなりにもこの地球に足を踏み入れる事は無かっただろう。
こちらとしてもそうしたい所だ。リオス自身の心境は協力したいという方に傾いているが他がどうなのか分からなかった。特に長年ドラゴンと対峙していたサリアや、喧嘩腰のアンジュは非常に怪しい所だ。リオスは曖昧な笑みで返していると―――
「……しかし、あんなものを見せてどうするつもりなの」
アンジュは夜空に向かって遠くまで飛んで行って小さくなった灯篭を見ながら疑問を口にした。サラマンディーネは一体何がしたいのだろうか。この行事には自分たちには関係が無い筈なのに。
「知って欲しかったそうです。私たちの事を、そして貴方たちの事を知りたい。それがサラマンディーネ様の願い……」
アンジュの疑問に答えを出したのはサラマンディーネの護衛をやっていたカナメだった。隣にはナーガも居る。
「―――知ってどうするの? 私たちは貴方たちの仲間を手に掛けてきた。そして貴女たちも同じようにこちらの仲間を手に掛けた。……それはもう引き返せないぐらいに。それが全てでしょう?」
アンジュがアルゼナルから訪れた者たちが思っている事を代弁するように返した。彼女も随分と成長したものだ。昔ならばそんなもの知るかと一蹴しただろう。若しくは根っこが優しい人間なのだろう。ノーマに対する偏見や差別、意識のズレはあったもののモモカのような人間が命を懸けて追って来たのだから。そしてタスクが惚れたような女だ。
アンジュの言葉にカナメは己が胸に手を当てて答えた。
「怒り、悲しみ、報復。その先にあるのは破滅、滅びだけです。でも人間は―――受け入れ、許す事が出来るのです。その先に越えて進む事も。それは全て姫様の受け売りなのですが……どうぞ、ごゆるりとお過ごし下さい、と姫様からの伝言です」
そう言って一礼してからカナメとナーガはアンジュたちから背を向けてこの場から去って行った。そんな中でリオスの表情は沈み切っていた。
「……そう簡単に出来たら文明は終わりはしなかったさ」
そう誰にも気づかれる事無く呟いてからリオスは空を見上げた。マナを手に入れても人間はノーマという『敵』を見つけ、迫害した。一時期の平和に向けた革命が起こっても直ぐに逆戻りとなって世界は戦火に包まれる。人はきっと何時かまた同じ過ちを繰り返す。
もう目を凝らさないと星との区別がつかない程まで遠くまで飛んで行き夜の闇に吸い込まれかけた灯篭は何だか物悲しげに遙か空彼方から地上で沈み切ったリオスを見下ろしていた……
どうもサラが種のラクスっぽい気がしてならない。中の人違うけれど何か声色というか喋り方と言うか。それとオリキャラが大分増えましたが活躍するのはアルゼナル帰還までです。
本作のレイヤードは旧AC系(初代~LR)の要素が詰め込まれています。名前がレイヤードなのは、まぁ私自身がAC的な意味で地底人であるだけであって別に他意は無いです。
あと、今回明らかになったラー・カイラムっぽい戦艦の名前ですが、Vガンでジャンヌ・ダルクという名前のラー・カイラム級戦艦があった事を思い出してこうなりました。
本作に登場する人型機動兵器は技術向上も相まってオリジナルより小型化されています。約2分の1ぐらいでしょうか。それぐらいに。
:ゲシュペンストMk-Ⅸ
アラタ専用機。普通の兵士たちには量産型ヒュッケバインMk-Ⅱが基本的に与えられており、統合地球歴95年当初このゲシュペンストシリーズを使う人間はかなり減っていた。その為実質ワンオフの機体となっている。基本カラーは赤。
武装は左腕に装備されたリボルビングバンカー。右腕に装備された実弾EN弾変更可能のガトリングガンと、腰部に格納されたビームソード。性質はゲシュペンストMk-Ⅲ(アルトアイゼン)をそれなりにマイルドにさせたようなもので、通常のPTとは一線を画す突進力と装甲の分厚さを持って居る。
:ゲシュペンストMk-Ⅹ
現在建造中のままではあるが、背中に装備されたブースターにより高い機動性を持つものの装甲が通常より薄く、ヒットアンドアウェイの戦法を要する機体。オクスタンランチャーの流れを汲むグレイヴランチャーを装備。基本カラーは青と白。
:ウルフズ・アイ
右手にハイレーザーライフル。左腕に固定されたグレネードランチャーがメイン装備。背中にはミサイルも。尚、パイロットの名前はアイツに似ているがゲイヴンではない。迅雷も同様である。
:迅雷
別名、総隊長マシーン改
タンク型の一風変わった機動兵器。武器腕バズーカ砲に背中にはグレネードランチャー2丁背負っているという、『やられる前にやる』を体現した火力馬鹿。フレームの強度は凄まじく強く、グレネードをまともに喰らおうが屁でも無い。改弐という改造プランもあるとか無いとか。
余談ですが私がコムローイの存在を知った切欠がギャルゲーというのは如何なものか……それと実は名前は違えど灯篭流しそのものは外国でも存在していたりします。