クロスアンジュ イレギュラーと熾天使の輪舞   作:ヌオー来訪者

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 お待たせしました。
 最近初代ACEのアレンジクソ過ぎ素人が作ったのかよwwと言われてムカついたので執筆を再開したんですはい(意味不明)


 まぁスパロボBXの影響もあったり。GAILの戦車をダンバインのオーラソードでぶっ壊していると初代ACEOPの再現をやっている気分になる訳で……


第31話 閃光の熾天使

「エンブリヲ!」

 

 闖入者の名をリオスは叫んだ。エンブリヲは気分が宜しいのか不敵に微笑みながら、リオスを一瞥してからバルドナの方を見やる。

 

「相変わらず品の無い男だ。ソル・バルドナ」

『昔っからそんな風に他人を見下したような面じゃなかっただろおみゃーは。500年以上も生きたらキャラも変わるってのか?』

 

 バルドナはどうやら、昔のエンブリヲを知っているようで何処か失望したかのように語る。色々疑問が脳裏に浮かびつつもリオスはハンドガンを引き抜いて銃口をエンブリヲに向けたものの、エンブリヲは向けられた銃口に対して一切物怖じせずにゆっくりとリオスに向かって歩み寄る。

 

「V-Driveとは随分と小癪な真似をしてくれるものだ。だがそれは私の次元論の劣化コピーに過ぎん。それを分かって言っているのかね?」

『どうだろうねぇ。窮鼠猫を噛むって言うじゃない?』

「ふっ、無駄な事は止めたまえ。君の行いは所詮徒労に終わる」

 

 両者の煽り合いの応酬の中で、近づくエンブリヲに威嚇射撃を放つ。無論、狙うつもりは無かったし、それを察していたかエンブリヲは避ける素振りを見せない。放たれた弾丸はかすりもしないまま飛んで行ってしまった。そしてそれなりに距離が詰まった所でエンブリヲは足を止め、そして語り出した。

 

「私は嘗て、世界には多少の希望を持っていた。それ故に私は無数の発明をしてきた……だが、その結果殆ど戦争の道具にされてね。まったく人間というのは玩具を手に入れると直ぐにはしゃぐ。E2の件もそうだった。当時の私はプロジェクトに関わり嘗てはエネルギー源として造った筈のE2は結局全基爆弾として戦争の元凶の一つとされた」

「E2も……あんたが」

 

 リオスの問いにエンブリヲは「そうだ」と肯定する。この世界がリオスの居た世界と殆ど同じだと言うのならば、リオスたちの世界にもエンブリヲが居た事になる。

 

「近似値たる君の世界も恐らく似た事になるだろう。一つ、もう一度提案させて貰う。世界が変わる様をみてみないかね?」

 

 答えはもう決まっていた。NOだ。今生きている人間を滅ぼしてやる事などリオスには出来なかったし、やりたくは無かった。だが、その意思を表に出す前にバルドナが口を挟んできた。

 

『お前はNTという奇妙な存在を嫌ってたっけなぁ。宇宙の化け物相手に勝利宣言するにはリオス君は丁度良いサンドバックな訳だな』

 

「その物言い、気に入らないな」

 

 その言葉にエンブリヲの表情が気色ばんだ声色で反論した。……図星か。バルドナは畳み掛けるように続ける。

 

『お前は何時もそうだったねぇ。ニュータイプという存在をよく嫌っていたし、かのジオン・ズム・ダイクンの提唱したニュータイプ論を真っ向から否定する論文を書き上げて否定する程なんだから』

 

「結果としてまやかしだっただろう?」

 

 エンブリヲは嘲笑うように吐き捨てた。だが、バルドナも引き下がらない。

 

『お前の場合性根腐ってっから、そんな大義名分なんてありゃせんでしょ。ただ自分が上に立って居たいだけでしょうが。昔は違ったろーが、な?』

 

「……俗物の言う事は一々下品で困るな」

 

『偉そうにふんぞり返って管理者をイカれさせた奴の言う事は違うね。反吐が出るよ』

 

 バルドナがそう言い返すと、エンブリヲはバカバカしいと言わんばかりに話を中断させた。

 

「どうだね、リオス・アルバート君」

 

 幾ら問おうがリオスの心は変わらなかった。人をゴミのように始末するような人間を信用しろというのが無茶な注文だ。それに―――

 

「お断りだね。歴史の立会人と称してふんぞり返るより、当事者として精一杯抗わせて貰う。なによりアンタは―――気に入らない」

 

 純粋にエンブリヲから感じたものは不快感だった。ハイパー化したオーラバトラーと対峙した時以上の悪寒。いや、彼らは戦士だっただけでマシだったのかも知れない。

 

「それは残念だ。まぁ、どっちにしろ、バルドナ。君にはこの舞台から退場して貰おう」

 

 エンブリヲが邪悪な笑みを浮かべた所で、リオスはハンドガンの引き金を引いた。

 

 銃声が部屋に反射し、リオスの耳を劈いた。そして、放たれた弾丸はいともたやすくエンブリヲの頭に命中し、鮮血がエンブリヲの後ろの床に飛び散った。

 

「……やったか?」

 

 リオスは呟くと、バルドナはそれを否定した。

 

『悪いけれどお前さんがやったのは多分端末だ。本体ぶっ潰さなきゃ』

 

「……本体?」

 

 リオスが怪訝な顔をしつつ、エンブリヲの亡骸の方を再び向くとそこには既にエンブリヲの姿は無かった。飛び散った鮮血すらも、だ。バルドナは大きく溜息を吐いた。

 

『マザーシステム損傷。こりゃ本格的にヤバいねぇ』

 

「―――えっ」

 

 マザーシステム損傷という単語が何となく拙い状況にあることはここのシステムには全く詳しくないリオスでも察する事が出来た。

 

『まぁ、老いぼれは長生きせずにとっとと退場しろって言う事だろーね。後はあのエンブリヲのクソ野郎だ。一つ頼みがある』

 

「……何です?」

 

『エンブリヲを……止めてくれや』

 

 その時、バルドナはこれまでにない真剣な顔をしていた。

 

『アレでも友人のつもりでね。なまじあの男は真面目で頭が良すぎた。わしみたいに達観しておふざけ出来るような人間でなかったのでね。悪い方向にプッツン逝っちまったらしい。友人としてのよしみという奴だ……相応の装備と情報はセラフに寄越しておいた……頼めるか』

 

 それは一種の押し付けとも言えるものだった。元々近似値とは言えどリオスにとっては無関係だった事。こちらの断り抜きで勝手に召喚したようなものだ。迷惑千万としか言いようがない。

 だが、彼に命を救って貰ったのも事実だった。

 それに、この世界でもタスクやアンジュ、シエナやサリアたちという戦友(とも)、ヒルダという腐れ縁、ミランダや自分を慕ってくれる後輩たち、アルスや有隆たちペンドラゴン隊やサラを筆頭としたドラゴンたちが居るこの二つの世界を―――あの男のエゴで破壊させられる訳には行かない。

 

 この碌でも無いし救いようもないけれども素晴らしい世界を、奴の勝手で破壊されるのは嫌だった。

 

「その頼み……善処します」

 

 リオスが答えると、バルドナは「そうか」と満足げな笑みを浮かべてから続けた。

 

『元の世界に帰る手段はセラフが持って居る。ある程度のカスタマイズも済ませて置いたから、RZ-DZの誘導に従って外に出て、まずは仲間を助けに行きたまえ』

 

『マスター……』

 

 背後から無機質な声がしたので咄嗟にリオスは背後を振り向く。そこにはRZ-DZが居た。何処となくもの悲しさを感じるのは、気のせいだろうか。

 

『最後の命令だRDちゃん。リオス君をセラフの所まで連れて行きなされ』

 

『……ハイ』

 

 創造主であるマスターの命令は絶対。だが、少しの逡巡と感じさせる間を置いてからRZ-DZは命令を受け入れた。些か納得いかないながらもリオスはバルドナに問う。

 

「……アンタはどうするんだ?」

 

『ここは奪われないように恰好良くデータ消去よ。現状エンブリヲの流し込んだコンピューターウイルスでシステムを派手にぶっ壊されてる。もうどうもなんないし、大人しくあの世にでも逝ってエンブリヲの野郎でも待っておくわ』

 

 自分ではどうしようもないのには間違いない。リオス自身電子機器にはあまり明るくないし、バルドナが造ったものなど理解が出来る訳が無い。ただ―――

 

「俺たちに出来る事は?」

 

『ないね』

 

 一応訊いてみたのだが、やはり無理だったらしい。事も無げにバルドナは否定するのだった。

 

『デハ、ツイテ着テクダサイ』

 

「……分かった」

 

 RZ-DZの誘導に従いモニターから背を向けてから出口へと足を運ぶ。そして去り際背後を向くとバルドナの顔が映し出された画面にノイズが走り、どんどんその姿を呑み込んでいく。そんな中、バルドナは「行けよ」と言わんばかりに顎をしゃくる。

 リオスはバルドナの最期の姿を見る事無く。RZ-DZと共に迷宮へと差し掛かるのだった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 セラフのもとへと辿り着くとナインボール=セラフがガレージでポツリと立っていた。だが、幾つか細部が変わっており肩には何か見た事のないユニットが付加されているのが見える。

 

『任務完了』

 

 リオスがセラフを見上げていると、RZ-DZは無機質にそう言い放ってそのまま動かなくなった。

 

「……おい」

 

 リオスはRZ-DZに声を掛け、何度か手で叩いてみるものの一切反応は無い。そんな彼にリオスがしてやれる事など無い。RZ-DZ自体異常に重くコックピットに乗せて連れて帰ってやる事も出来ないが故にここでお別れ、という形になる。

 リオスはそれ以上言う事無く、無言でセラフのコックピットに乗る。既に各部計器は動いており、システム起動によるタイムラグは発生する事無く、不具合なく機体は動き出した。

 

【各部異常無し。疑似コジマ粒子発生装置の稼働を確認した。……バルドナはどうした?】

 

 H-1が問うと、リオスは黙って首を横に振った。

 

【……そうか】

 

 H-1にとっては恩師に近い存在だっただろう。それ故に辛く感じるのも無理はない。

 

「すまん」

 

【お前が謝る事では無い。覚悟はしていた、こうなる事は。…………ある程度データをダウンロードした。それと同時に情報開示も私の判断によるものとなった】

 

 H-1は話題を変えた。やはり彼にも堪えるものが有ったらしい。唯のAIが良くもここまで自我を確立出来たものだと感心するばかりだ。

 

「……行けるな」

 

【メインシステム、戦闘モード起動】

 

 その受け答えでリオスは意を決して機体のブースターを吹かせて出口の通路へと機体を飛ばした。

 

 

 

 

 エンブリヲの差し金が襲って来たのは突然の事だった。

 

 アルスの駆るガンアークは次々とエンブリヲの差し金である無人機を叩き落としていく。だが、襲って来たのは無人機だけでは無く―――

 

「……教官」

 

 眼前にあるのはアークシリーズの量産機フェザーアークのカスタム機。言うなればフェザーアーク・カスタムが立ちはだかっていた。

 

「何故貴方という人がエンブリヲに組したんだッ!?」

 

 アルスは叫ぶ。教官と呼ばれた男は、エネルギーブレードであるアークブレードをライフルの銃口から形成させ切っ先をアルスのガンアークへと向けた。

 

「分かり切った事を何故問う? 俺たちはこの地球を救う為に己が人生を斬り捨ててまで宇宙の中心に巣食う化け物どもと戦い、無数の犠牲の上で勝利した。その結果が何だ? 人間同士のエゴでここまで世界が荒廃したんだぞ?」

 

 教官、それはアルスにとって恩師たる存在だった。アルスに戦い方を教えたのも彼だ。彼もまた、アグレッサーとの戦いに参加したものの、地球降下後に数十人ほどの部下共々行方を晦ましていた。

 言うまでも無く、地球の惨状に絶望したのだ。そして世界を一旦破壊して創り直そうとするエンブリヲに与した。

 

「エンブリヲは、トドメを刺したんですよ!? この世界の文明にッ!」

 

「だから何だ。奴が手を出さずとも人類間の抗争で滅んでいたさ。俺はエンブリヲという男に賭けたいのだ」

 

「それはエゴだ! 今居る人間を根絶やしにしてまでやる事ですかッ!」

 

「根絶やしにしてまでやる事さ! 奴のやる事にそれ相応の価値と可能性がある!」

 

「人をゴミのように扱っているような奴なんか信用出来るものかッ」

 

 アルスがそう言って跳ね除けると、教官は黙した。そして―――

 

 

「口で言ってもどうしようもないなら最終的には殺し合うしかあるまいな」

 

 フェザーアークカスタムはガンアークに向かってブーストを吹かせて肉迫し、アークブレードを振るう。ガンアークはそれを紙一重で躱すものの、有無も言わさぬ追撃がガンアークを襲う。

 蹴りを叩き込まれてガンアークは軽く吹っ飛ばされ、追撃と言わんばかりにファーストライフルから放たれたグレネード弾が飛んでくる。

 

「!?」

 

 アルスは咄嗟に反応しブースターを強制的に吹かせて回避行動を取るが、フェザーアークカスタムは逃さない。

 

「お前の癖は私が良く知っている! 死にたくなければそこを動くなよ!」

 

 フェザーアークカスタムはゼロ距離まで詰め寄り、ファーストライフルの銃口をガンアークへと向ける。アルス自身恩師に銃を向ける事に些か抵抗があったという点と相手が自分の癖をよく知っていたという事もあっての事だった。

 成されるがままの状況にアルスは歯噛みしつつ、モニター画面に写されたフェザーアークカスタムを睨んだ。

 

 

 

 サリアに受領されたゲシュペンストMk-Ⅹの性能は凄まじいものだった。

 

 ガンアークとフェザーアークカスタムが交戦している間、地上へと戻ったサリアたちは地上の残留部隊の援護に入っていた。フリッツは地上の無人機たちをハイレーザーライフルのKARASAWAで次々と粉砕していき、サラの焔龍號たちもヴィルキスに匹敵する性能を以て空中の敵を撃墜していく。

 サリアのゲシュペンストMk-Ⅹは長身のブレード付きライフルであるグレイヴランチャーを構え、近場に居たフィーンドNB目掛けて発砲した。

 

 

 一撃。放たれた実弾がフィーンドNBの胴体を撃ち貫き、黒煙を上げて落ちていく。そしてターゲットを変えて、アナザーセラフへと向けた。

 ロックオンされた事に勘付いたアナザーセラフは咄嗟にブーストしてかく乱に入る。サリアはグレイヴランチャーでかなり離れた位置から突きを放つ!

 すると、ブレードから青白い閃光が放たれアナザーセラフのもとへと飛んでいく。直線的な閃光はアナザーセラフに命中する事無く終わったが、それだけで諦めるサリアでは無い。

 

 ブーストし、逃げ回るアナザーセラフを追いながら実弾を放って、動きを限定させつつEモードへと変更する。

 先の戦闘でパターンは把握した。AIと言うのは動きが固定されがちなのでパターンさえ読めれば倒せない事は無い。

 

 Eモードに切り替えて、ビーム弾を放つ。寸での所で直撃を避けられてしまうが、アナザーセラフのブースターに命中しバランスがイカれ火が上がった。

 スピードも落ち、後はサリアのターンだった。

 

 ゲシュペンストMk-Ⅹはグレイヴランチャーを携え、機動力が落ちたアナザーセラフに持ち前の機動力を活かして追いつき、ブレードを背中に突き刺しゼロ距離でありったけの弾丸を叩き込んだ。

 その際にアナザーセラフは悪あがきに振り払おうとするも突き刺さったブレードはそうやすやすとは抜けたりせず、ありったけの弾丸を喰らいアナザーセラフは墜落した。

 

「……!?」

 

 アナザーセラフを単騎でこうも簡単に撃墜できるとは思っていなかったので、サリアはゲシュペンストMk-Ⅹの性能に驚きを隠せなかった。追従性が先に乗っていたゲシュペンスト以上で、搭載されている補助AIの性能も高いのである程度のミスやズレをフォローしてくれる。こんな兵器がリオスの居た世界でごろごろ転がっていた事を考えると、末恐ろしさすら感じていた。

 この技術を持ちかえれば、きっとジルは……なんて思いはしたのだが、セラフとヴィルキスの存在を鑑みればその期待は無駄に終わる事は眼に見えていた。

 

 

 ニュータイプ。

 

 

 彼もまた、アンジュと同じ特殊な存在だった。それ故にジルはリオスに眼を付けたのだ。だが、リオスなら良い、だなんて許してしまっている自分が居た。

 そう思えるのはきっと――――――彼の事が好きだったからなのかも知れない。

 

 

 

「……今からでも遅くはない。こちらに来る気は無いか」

 

 教官がファーストライフルをガンアークに突きつけつつ問うた。これが最後の慈悲なのかもしれない。だが、アルスの中では既に答えは決まっていた。

 

「お言葉ですが、自分は彼に従うつもりは有りません……!」

 

「……残念だ」

 

 教官は諦観を込めてそう言うと、フェザーアークカスタムにファーストライフルの引き金を引かせた―――その時である。

 

 

 一条の閃光がフェザーアークカスタムとガンアークの間を通り抜けた。咄嗟にフェザーアークカスタムとガンアークは通り抜けた閃光から離れ、その閃光は徐々に細くなり消滅する。敵か、それとも……

 

 ガンアークとフェザーアークカスタムが閃光が奔った大元を見やると、そこには紅い機体が浮いていた。それはアルスにとって見覚えのあるものだったが、細部が異なって見えた。

 

 

 その名はナインボール=セラフ。リベルタスの切り札であると同時に不確定要素(イレギュラー)である最終兵器。その機体が今、ほぼ完全な状態で戦場へと降り立った。




疑似コジマ粒子:コジマ粒子程の恩恵は得られず出力は低いものの、安全性と環境保持を重視している為、デメリットと言える部分はほぼ全て消失している。しかし、アサルトアーマーを発生させる事が出来ないのと、半永久機関状態では無くなってしまっているのでメリットと言える部分もかなり消失している。
 使えるシステムはアサルトキャノンとプライマルアーマーのみというしょぼくれた仕様。……サイコフレームとの相乗効果でどっちにしろマジキチ性能なのはご愛嬌。
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