目を開けると見慣れた天井が目に入った。どうやらもう朝になっていたようだ。それにしてもあの夢は一体なんだったのだろう現実みたいな夢だったな。契約って言葉がどうしても頭から離れないまま、俺は登校の支度をし通学路を走った。
学校が見えて来たところで走るのをやめ、歩くことにした。すると、後ろの方で大きな音がした。振り向くとそこには鳴上がおり人の足が生えたゴミ箱を見つめていた。よくあんな器用にはまるなぁと思いつつ助けようかと思い近づいたが、鳴上がすでに助けようとしていた。俺は仕方ないので自転車が無事か見ることにした。うん大丈夫。
「あれ?星空もいたのか?」
「ようゴミ箱」
「ゴミ箱言うな!!てか少しは心配しろよ!」
それだけ大きな声で叫べれば心配する必要は無いだろう?なので鳴上に挨拶をする。
「鳴上おはよう」
「おはよう」
「俺には!?」
ゴミ箱男花村にもおはようと言い、自転車は無事なことを説明した。
「いやぁよかった・・・。自転車が壊れたら登校がつらいからな」
「お前、今あったことを踏まえた上で言ってるのそれ?」
「ああ、そうだけど?」
「やめた方がいいと思う」
「鳴上の言う通りだやめとけ」
次こんなことがあったらゴミ箱に刺さる程度で済まないかもしれないしな。花村もよく考えたみたいで自転車で登校するのは少し自重するそうだ。いい判断だ。
「それよりさ、昨日の事件知ってんだろ?“女子アナがアンテナに"ってやつ!」
ああ、そういえばニュースでやっていた気がする。
「あれなんかの見せしめとかかな?事故な訳ないよな、あんなの」
「そうかも」
「わざわざ屋根の上に死体をぶら下げるとか、マトモじゃないよな」
「殺している時点でマトモとは言えないだろ?」
「それもそうか」
何気無く時計を見た花村は焦った顔をした。
「やっべ!遅刻!」
「ダッシュだ」
ギコギコいっている自転車を引きずる花村を急かしながら俺たちは学校へと向かった。
チャイムがなると共に登校完了ギリギリセーフだ。途中自転車が大破しそうだったがなんとか学校まで持ちこたえた。モロキンにもばれてないみたいだし命拾いしたよ。教室に入り俺たち三人はそれぞれの席に突っ伏した。
「あんたらどうしたの?」
「遅刻寸前ダッシュ・・・・」
息を切らしながら答えると、ああなるほどと納得し里中は笑った。そして、朝のホームルームが始まった。
今日の授業も普段通りに終わった。二時間目の国語で当てられてしまったが鳴上のおかげで間違わずに済んだ。後でお礼を言わなきゃな。今日はさっさと帰ろうと、教室を出ようとしたが何故か花村に呼び止められた。
「星空ぁ!今日暇か?暇だったら俺と鳴上と三人で飯食いに行かね?朝のお礼にビフテキ奢るぞ?」
「まじで!!行く行く!!」
俺はこの町の名物であるビフテキに目がない。あれは途轍もなく上手いから仕方ない。二人の肩に手を置き急かすように進むと後ろから里中が乱入して来た。
「あたしにも奢ってくれない?」
「はぁ!?なんでお前に奢んなきゃ行けないんだよ!」
「成龍伝説」
「うっ・・・・・」
結果、花村は二人から三人におごることになったのであったゴチになります。
そして、ジュネスに何故か来店。
「何故ジュネス?」
「足りない」
「ジュース一本でいいぞ俺は」
「いや、お前は遠慮するな」
「ビフテキは〜!」
「お前は遠慮しろ!!」
また始まったよ。こいつらの口喧嘩長いんだよなぁ。呆れていると鳴上は少し笑っていた。
「面白いよなこいつらの喧嘩見てて飽きないよ」
「うん飽きない」
「てかお前が笑ったの初めて見たぜ?」
「そうかな?」
「ま!引っ越したばっかだし、仕方ないさ。じゃあ、食おうぜ冷めるし。ほら夫婦喧嘩やめろ」
『夫婦喧嘩じゃない!!』
息ぴったりだな本当。鳴上と笑っていると花村は何かを見つけたのかハッとした顔になり何処かに行った。見るとそこには少し疲れた顔をしている女性が座っていた。あれって確か・・・・
「花村の彼女・・・?」
「だといいんだけどね」
里中は薄ら笑いで言った。
「あれって小西早紀さんじゃん。小西酒店の」
「そう。なんかここでバイト始めたらしいよ」
花村が小西さんと話しており、花村の顔は少し心配そうな面持ちだった。何分か話した後小西さんが立ち上がりバイトに戻って行った。
「ようリア充」
「は!?」
なんか元気ないから盛大にいじってやった。
二人が食べ終わる頃には元通りに元気になっていた。四人でたわいない話をしていると里中がある噂話を始めた。
「ねぇ?マヨナカテレビって知ってる?」
「なにそれ?」
「ああ、俺知ってるクラスの女子が話してた」
「俺寝てるからなぁ。鳴上は?」
「わからない。けどそれって番組?」
里中が言うにはマヨナカテレビって言うのは午前0時に真っ暗の部屋の中で電源が点いていないテレビを覗き込むと自分の運命の相手が映るらしい。
「・・・・・うっそだぁ」
「ほんとだって!」
「里中そんなの信じるとか本当にガキだなぁ」
その言葉に少し食い下がる里中。しかし、まだ負け時と言い返す。
「ぐっ!じゃあ!今日の午前0時に全員で試してみようよ!!」
「いいよ」
鳴上は即答した。
「いいのかよ!・・・・・星空は?」
「寝たい・・・・」
「お前一日にどんだけ寝るんだよ・・・・」
人間の三大欲求には逆らえないのさ。眠い時には寝るそれが星空クオリティ。でも、その噂の番組も気になるしなぁ。
「じゃあ、里中がその時間まで電話してくれるなら考える」
「え?いいよ?けど花村みたいにあっち系の話ばっかりしないでよ」
俺は花村を少し蔑んだ目で見つめた。
「そんな目で見るなよ!!」
日が沈み始めたので自宅に帰ることにした。帰る途中で鳴上と今日のマヨナカテレビの話をしながら歩いていた。鳴上は少し面白そうな顔をしていた。こいつって意外にオカルト系が好きなのだろうか。
「なあお前は里中が言ったこと信じる?」
「いや全然」
「あ、信じてないんだ。面白そうな顔してたから信じてるかと思ってたんだけど」
「そんな顔してたのか?」
「バリバリしてたぞ」
「じゃあ、それは今日はみんなと過ごして楽しかったからかな」
鳴上は少し笑顔になっていた。そっちのことでそんな顔してたのか。
「俺も今日は楽しかったな。久々にあんなに話したし」
「そうなんだ」
「なあ?またあいつら誘ってどっか行かねえか?」
「ああ、その時は色々この町を紹介して欲しいな」
「いいぜ?じゃあ、楽しみにしとけよ!」
俺と鳴上の間に少しだけ絆が生まれた気がした。