目を開けると何時もの天井が目に入る。どうやら目が覚めたようだ。今日はいろいろとあって疲れが溜まっていたのか家に帰ってすぐ寝たために変な時間に起きてしまった。時間はだいたい0時になるぐらいかな。ついでだしマヨナカテレビもう一度映るかためそう。
時計の針が0時をさし、星空はテレビの真っ暗な画面を見つめた。やはり、自分の顔が反射するだけ今日は映らないのかと思い、寝ようと星空が布団に向かうと同時にテレビに明かりが灯った。振り向くと昨日見た映像とは違い、今度はシルエットでは無くやや見やすくなった映像だった。
写っているのはやはり女性で八十神高校の制服をきていた。どうやら八十神の生徒のようだ。女性は周りを不安そうに見回していた。女性が一歩歩き出すと女性の体はくの字に曲がり、今度は海老反りにと何かに襲われているかのように苦しそうに悶えていた。
咄嗟に星空はテレビの画面に触れると、ジュネスのテレビで鳴上に起こった現象が星空にも起こった。手は画面に突き刺さり、このまま入ったら危険な気がしテレビから手を抜いた。手を抜いた画面は水面の波紋のように波打っていた。収まるとただの真っ暗な画面に戻った。マヨナカテレビも終わっていた。
あの映像に映ったのって・・・・小西さんじゃないか?
嫌な予感が頭をよぎるが取り敢えず今日はがんばって寝ることにした。
朝にめざましが鳴り響く、昨日のマヨナカテレビが頭から離れず何処か虚ろになっていたが雨が降っているからという理由にし、すぐに学校に行く準備をして家を出た。
珍しく学校には余裕で着くことができた。校門を通り過ぎ玄関に入ろうとした時、後ろが騒がしかった。振り向くと校門には他校の制服を着た男に絡まれた天城とすぐ横に里中がいた。ナンパかと思ったが少し様子がおかしかった。
男は天城の発言に怒り校門前の坂を下って行った。
なんだったのだろうか。教室に入り、朝のホームルームが終わってから天城達に聞いた。
「なあ天城朝のあれって何?」
「え?うーん、私もよくわからない」
「いや、どう見てもナンパでしょ」
天城は相変わらずの鈍感さだ。この鈍感さで何人の男を葬ってきたのだろうか。罪な女だ。
「俺も前に告ったけどふられた」
「そうなのか?」
「花村だし?」
「うるせぇよ!」
「私そんなことしてないよ」
天城はどうやら覚えていないようだ。花村がものすごく悲しく見えてくるな。同情してやろう。
「じゃあ、俺と今度どっか遊びに行かね?」
「それは嫌だけど」
「ほら・・・な・・・?」
「それ以前の問題だってことだな」
やはり天城越えは難しいようだ。
天城越えとは、八十神高等学校の男子生徒の間でのみ密かに語り継がれている都市伝説。 天城屋旅館の後継者であり、学内でも並ぶ者なき優等生である雪子に対し告白、ないし交際を申し込む行為全般を指す言葉である。
俺?俺は別に色恋沙汰は興味がないと言えば嘘になるがそこまで興味はない。
なんてことを考えているとスピーカーから緊急の全校集会をするという放送が流れた。
体育館に集まり、何の話かと周りはざわついていた。
花村は今日も学校に来ていない小西さんが心配なようで連絡を取ろうとしていたが反応は無いようだ。
俺は昨日のマヨナカテレビに映った映像が頭をよぎった。小西さんに何かあったのだろうか。嫌な予感がする。
「静かにせんか!今から校長先生が話すんだからな!静かに聞けよ!話したやつは腐ったみかん帳に書くからな!」
モロキンの言葉で全校生徒は静まった。そして、校長先生の話が始まった。
「えぇ、悲しい話ですが今日の朝3年の小西早紀さんがお亡くなりになられました」
「え?」
嫌な予感が的中した。
集会ではそのあと全員で黙祷をし、解散していつも通りに授業が開始された。花村は一日中虚ろな顔になっていた。
帰りのショートホームルームが終わり、鳴上と里中と3人で昇降口に立っていた。花村はいつのまにかいなくなっていた。
「花村大丈夫かな・・・・」
「むりないだろ。大好きな先輩が死んじまったんだから」
「何処にいったんだろう。花村・・・・」
「ここにいたのか」
「花村・・・!」
階段をおりて来たのは花村だった。
「大丈夫か?」
「ああ・・・・なぁ、お前ら昨日のマヨナカテレビ見たか?」
「え?何よ急に」
「昨日、何故か眠れなくて何と無くテレビを見つめていたんだ。そしたら、マヨナカテレビに映ってた人多分小西先輩だと思うんだ」
「え?」
花村の言葉に里中は固まった。
「花村も見たのか」
「星空おまえも・・・?」
「俺も見てさ小西さんだと何故か思った。それから、嫌な予感がして、それで・・・」
「じゃ、じゃああのテレビに映った人は死ぬってこと?」
「たぶんな」
本当はあり得ないと思うが何故かそんな気がしてならないのだ。しかし、花村はこの話をしに来ただけでは無いような気がする。
「花村まだ話しあるんだろ?」
「ああ、小西先輩はたぶん誰かに落とされたんだテレビの中に」
「そういえばクマもそんなことを言ってた気が・・・・」
「だからこれからテレビの中に行こうと思う。戻るための秘策もあるしな」
「ほ、本気で言ってるの!?」
里中は止めようとしたが花村は何としても行くつもりらしい。
ジュネスに向かう途中で何度も花村を説得したが結局無駄だった。家電コーナーに着き、花村はロープを腹に結んでいた。秘策ってのはこれのことか。成功するのが低い気がする。
「ね、ねえ、やっぱり・・・」
「悪いな里中。俺は行くぜ」
「なら俺も行く」
鳴上はいつの間にかロープを腹に結びながら言った。
「本当か!お前がいれば安心だ」
「・・・・っち、仕方ねぇ。俺も行くぞ。お前ら2人じゃ心配だ」
「星空!」
「鳴上君と星空君まで・・・・」
ロープを結び終え、里中にロープを託し俺たちはテレビの中に入った。
気のせいか入った瞬間、ロープの張力がなくなったような気がするけど気にしすぎか?