現れたのは、驚くべきことに花村であった。だが、何処か雰囲気が違った。
花村?は不敵な笑みでこちらを見つめていた。いや、花村を見ていた。
「おまえ・・・誰だ?」
『俺はおまえだ』
「え・・・俺・・・?」
花村?は、花村だと言っているのか?こいつは一体何を言っているんだ。
『俺には全てお見通しなんだよ。小西先輩を助ける?本当はこの場所にワクワクしてたんだろ?ド田舎ぐらしにはうんざりしてるもんな?』
「ち・・・・ちがう・・・」
『あわよくばヒーローになれると思ったんだろ?大好きな先輩が死んだって言うらしい口実もあるしさ』
花村?は不敵に笑っている。
「おまえ、なんなんだ!何言ってるんだ!」
『我は影、真なる我。俺はお前の影』
花村?は花村の影と名乗った。
花村は、それを否定するかのように、自分の影を拒絶するかのように言った。
「ふざけんな!!お前なんかしらない!」
『ふはっはっは!くる!クルぜ!力がさぁぁ!!』
「お前なんか・・・・俺じゃ無い!!」
花村の影の周りから、赤い不気味なオーラが出ていた。まるで、ある高揚感に浸っているかのように、大きく笑い始めた。そして、蔑んだような目で花村を見ながら言った。
『ああ、そうさ!もう俺は俺だ!!お前なんかじゃ無い!!』
次の瞬間、花村の影の姿が変わり始めた。
体が大きくなり、迷彩柄のカエルのような生き物から、人間の上半身が生え、巨大な
花村の
「花村!」
「・・・・ペルソナ!!」
鳴上が青いカードを砕き、イザナギを出現させ
「すばしっこいな!」
「いやいや!そんな、凄い力を持ってたなんて、先生はすごいクマね!」
「ちがう・・・・あんなの俺じゃ・・・」
花村はずっと、違うとつぶやいていた。まるで、自分の
「あれは陽介の中にもともといたものクマ」
「ちがう!あんなのは俺じゃない!」
『そろそろ、おまえは消えろ!』
花村に向け、影は腕を振り下ろした。花村を庇うようにイザナギが受け止めたが、影の力が強すぎるのか、押しつぶされそうだ。花村が否定するたびに、影の力が強くなって行く気がする。
気のせいか。周りからシャドウの気配がする。いや、床に黒い斑点みたいなものが、大量に現れ始めて、そこから出てきたんだけど。
「周りのシャドウが集まってきたクマァァ!」
現れたシャドウ達は、一斉に鳴上の方向に飛んで行った。花村の影に呼応されたか?
「ちぃ!ペルソナ!」
青いカードを砕くと、前と同じくケフェウスが現れた。
「と、星輝も使えるクマ?!」
「俺は呼び捨てか!まあいいが、蹴散らせ!ケフェウス!」
ケフェウスが持っていた剣を振り回し、鳴上と花村に攻撃を加えようとするシャドウを全て叩き斬った。
「喰らえ!」
ケフェウスの剣が花村の影を斬りつけられ、少し怯んだ。その隙を逃さず、鳴上は花村を担いで脱出した。
『本当にうぜえなおまえら!なぁ、そうだよな俺!』
「ちがう、ちがう!」
『俺は全部知ってるんだぜ?おまえがどれだけ弱い奴か。影でどんな風に言われているのか知っているくせに、いい人ぶってんだろ?一人は嫌だもんな?』
「やめてくれぇぇぇ!!」
「イザナギ!」
イザナギの拳が花村の影を、鳴上の拳は花村を殴った。
「鳴上!?」
「あ、間違えた」
「はぁ!?」
「ぷくくく・・・・」
クマは笑いを堪えていた。
「お前なぁ!」
「好きだったんだろ?先輩のこと」
「・・・・!ああ、そうだ。好きだったさ」
「なら、それでいいじゃないか」
「・・・・ああ、そうだよな」
花村は自分の影を向いた。その顔は、さっきまでとは違い、向き合おうとしていた。
「あれは、俺だ。目を背けちゃいけないよな」
『!!うぜぇ!うぜぇぇよ!!』
花村の影の様子がおかしくなった。体の周りにノイズのようなものが走り、苦しんでいるようだ。
「シャドウが弱っている今クマ!」
「鳴上やるぞ!ケフェウス!」
「わかった。イザナギ!」
ケフェウスが、花村の影に炎を纏った剣で斬りつけ、動きを止めさせ、その隙にイザナギが腕を振り下ろし、雷を影に向け落とした。
影は黒い粒子を、周りに放出し、花村の姿に戻っていた。力尽きたのか、その場に倒れ伏した。花村は逃げずに、自分の影に歩み寄った。
「お前は俺で、俺はお前だ。認めれなくて悪かったな」
その言葉に安心した様に、影は笑い、体が淡い光を放った。光が収まると、そこには両手に大きな手裏剣を持ち、ヒーローのような服装をしたペルソナに変わった。
「これが、俺のペルソナ・・・」
ペルソナは青いカードとなり、花村の中に消えた。
「ありがとな。鳴上、星空」
「気にするな」
「まあ、楽勝だったし?」
「クマにお礼はないクマか?」
「お前なんもしてないだろ?!」
「そ、そんなことないクマ!!」
花村とクマの口喧嘩を俺と鳴上は笑いながら、見ていた。それに気づいた花村は、恥ずかしそうに頭をかいて、笑ったのだった。