「はい、そこで足を止めてはいけません。敵は待ってはくれないので、常に油断なく状況の把握に勤めるのが大切です」
「はぁっ……はぁっ……」
「ふむ、そろそろ休憩にいたしましょう。お飲み物は、スポーツドリンクでよろしいですか?」
「おね、っがい……!」
息を切らし、肩を震わせ、玉のような汗を大量に流している私を一瞥して、セバスチャンは最初からブレのない足取りで去っていく。
今、私が行っているのは魔法を使った戦闘訓練。相手はセバスチャン、お父さんから「若いうちに下地は整えておくべき」と言われて、麻帆良に入学した6歳の時から始めていることだ。
ネギま仕様の悪魔だからか、セバスチャンは多数の魔法を絡めながら私を翻弄してくる。攻撃魔法は魔法の射手程度のモノだが補助・妨害は惜しみ無く使用され、私を惑わし、未だセバスチャンに一撃も当てることが出来ていない。
今の私の戦闘力は、同年代の魔法生徒より少し強い程度。つまりほぼ年相応、ネギくんには遠く及ばないんだ……まぁ親譲りの剣の才能は凄いよ? フェンシングなら大人の選手にも勝てるからね、ふふん。おばあちゃんが厳しいからねぇ……あはは。
魔法なら、私は闇と雷に適正があるみたい。エウ゛ァちゃんとネギくんのハイブリットとか思ったのはナイショ、クウネルさん曰く「身体の相性は良さそう」だかし。ちなみに魔法の射手が2本同時に打てるからね、どやっ。いつの日か「闇の雷」って魔法を使うのが夢だな~。
「ポカリスエットです、どうぞお嬢様」
「ん……ありがとね? セバスチャン」
にこやかな笑みを携えて、私にポカリスエットを差し出すセバスチャン……その笑顔だけで私はあと100年は戦える! や、ろんもち比喩だけどさ。せいぜい1週間が関の山だよ、デュフフフwwww
ごくりと喉に流し込んだスポーツ飲料が、私の渇いた喉を潤していく。思わず8割近くも飲んでしまい、少し恥ずかしい。
「ねぇ……セバスチャン」
「何でしょうか、お嬢様」
「私ってさ、強い?」
それは、純粋な疑問。
ここはネギまの世界で、更に私は麻帆良に通っている。トドメに私のクラスに神楽坂明日菜が転校してきている。それが意味するところは、原作に巻き込まれる確率が少なからず有り得るという事だ。
彼女らと同年代で同性で、フェンシングの才能があって貴族の家柄。そして悪魔の執事を持っている……むしろこれで原作クラスにならない方がおかしいでしょ。
まぁ、あのクラス編成が「学園長の意図したモノ」だという事が前提なんだけどね? 本当にたまたまの偶然だった場合は、どうしようもないリアルラック依存になっちゃう。
だから、もしもの場合に備えて実力を付けるのは決して悪いことじゃない筈。ラブコメ要素で隠れがちだけど、当たったら普通に怪我するからね魔法って。リリカルな魔法みたいに非殺傷なんてない完全殺傷だし。
それで今の私はどうかと、戦闘を幾つも経験してるだろうセバスチャンに聞いてみた次第なんだけどーーー
「端的に申しまして、年相応ですね。特別、弱いという事はございませんが?」
ーーーらしい。
強くはない、けれど弱いとも言えない。どっちつかずの普通な魔法使い。かといって別に八卦炉を使えたり、マスターなスパークが放てたりする訳じゃない。
こんな調子で、原作開始時に私は生き残れるのかな……?
もっとも書きにくいのは「私」、中途半端なキャラだからでしょうか
「僕」程ではないまでも、かなり万能なんですがね
ではでは