涼宮ハルヒの全滅   作:カオミラージュ

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「H」朝比奈みくるの真実

「H」ー朝比奈みくるの真実ー

 

 

 

 

 

俺は朝比奈さんに説明を求めた。

もう混乱してて全く何が何だかわからない。

 

 

「はい、キョン君 

 

涼宮さんの力を一時的に佐々木さんに移行します。

その間およそ1分。

1分間、涼宮さんは能力を手放します。

すると、離れた瞬間人格が変わります。」

 

 

「え、ええ、ハルヒがハルヒで無くなるなんて…

それこそ、少し前に佐々木達と防いだ「佐々木への能力移行」じゃないですか!!」

 

 

「いいえ、今回は少し違います。

1分お借りするだけです。

その間、涼宮さんの人格をどう保てばいいか。」

 

 

 

「…簡単ね」

 

 

あ、朝倉!?

 

 

「ああ、考えるまでもない」

 

佐々木まで!?

 

 

「ええ。言うまでもないです」

 

 

朝比奈さん…教えてくださいよ!

 

 

 

「なんなんだ、何をすればいいんだ!」

 

 

 

 

「1分間、涼宮さんをドキドキさせてください。

何も考えられなくなるほど、キョン君の事を1分間1秒たりとも考えない時間はないほど。

キョン君の事さえ覚えていれば能力を戻した時、人格も戻ります」

 

 

「僕もその意見だよ。

涼宮さんに告白するんだ、キョン。

そして僕に力を移し僕はこう望むよ。

 

「長門有希を潜泳疑念空間から返して欲しい」と。

この能力は望んだことが形はともかく現実になる力。

しかもそれを自覚して使うんだから。

無敵だよね」

 

 

 

 

えっ…?

なんで話が進んでんだよ…!

そもそも、もう俺はハルヒに嫌われて…

 

 

「…少しだけ禁則を解きますね、キョン君。

涼宮さんはあの不意打ちのキスでキョン君を嫌ってなんかいませんよ。

照れているだけです。合わせる顔も交わす言葉もないほどに。」

 

 

「そ、そうなんです…か!?」

 

 

「キョン。君はこんな所で挫けるのかい?

 

いいかいキョン。

世界は常にルーチンワークを基盤に動いているんだ。

伝えたいのにこの関係を壊したくない

でも一歩進みたいのに伝えられない

このジレンマの先にキョン、君は何を望む?

交際かい? 想いを伝えて終わりかい?

誰もが思ってるんだよ。

レーゾンデートルを皆が求めているんだ」

 

 

 

レーゾンデートル…!?

 

まさか、2週間前に見たあの夢…

あの小難しい夢の住人は…っ!!

 

 

「そうですよキョン君。

あれは私が、情報インターフェース「黄緑」さんの力を借り、キョン君の夢の中に佐々木さんを登場させ語ってもらったんです。

その理由は、キョン君をこの時間枠のこの世界に飛ばすこと。

つまりキョン君。 ここはキョン君が元いた世界ではない別の世界です。

 

元の世界ではキョン君はまだ寝ています。

1秒たりとも経過していません。

長門さんとキョン君と佐々木さんだけをこちらの世界に飛ばしました。

長門さんと佐々木さんは同意の上です。

 

夢を誘導し、出口を変え起こした。

キョン君がこの世界でこの時間にここに居てくれないと全てのパラレルワールドが崩壊してしまう恐れがあったんです。

 

なぜなら…」

 

 

 

 

「あの世界は全パラレルワールドで、唯一

 

唯一、佐々木さんがキョン君に恋をした世界だからです」

 

 

 

「な、なんだって!?」

 

 

「…恥かしいな。」

 

 

「つ、つまりあれか!?

ええと…整理するとだな

 

 

俺たちが元いた世界はA。

ここは飛ばされたB。

 

A〜Bに移動してるのは

「俺、キョン」「長門」「佐々木」

の三人で、向こうの世界では時が止まっていて俺は寝ている、と…

 

んで、なぜ数あるパラレルワールドからあの世界の俺たちが抜かれたのかというと、佐々木が…その、俺に…恋をしているから…ですか?」

 

 

「うん、キョン君も古泉くんみたいになってきましたね!

正解です。

正確に言うと今この世界にいる黄緑さんもキョン君の居た世界の黄緑さんです。

 

ちなみにこの世界のキョン君、長門さん、佐々木さん、黄緑さんは存在しません。」

 

 

「な、なぜですか!?」

 

 

「…キョン君たちは死んでいるのです。

キョン君は二年前、車に轢かれて。

長門さんは去年、情報統合思念体の手により使えないと判断され解体されました。

 

佐々木さんは病気で先月。

黄緑さんに至ってはこの星に来てすらいません。

どこかで生まれましたが時空振に巻き込まれ大破したと聞いています」

 

 

 

 

この異常な事態を飲み込めない人が俺以外にももう一人。

そう、朝倉涼子だ。

 

 

「ば、ばかな…っ!

なら、わたしは…わたしたちが封印した長門さんはこの世界の長門さんじゃなかった…ってことよね!?

まさか、情報統合思念体が本当に長門さんを解体していたなんて…っ

てっきり惑わせるためのダミーインフォメだとばかり…」

 

 

 

 

ここで俺は気付いた。

そう、俺たちが呼ばれた訳。

そうだ。

 

 

「ハル…ヒ?」

 

 

「…はい。」

 

 

朝比奈さんが口を開く。

 

 

 

「キョン君、長門さんを失った涼宮さんの荒れ方は異常でした。

古泉くんも対処できないほどの神人がでるほどに。

だから涼宮さんは願った。望んだ。

 

 

「キョンと有希を返して」と。」

 

 

「それで、それで俺と長門…が、別のパラレルワールドから調達されたってことなんですか!?」

 

「ええ。でもさっきも言った通り、その世界の2人じゃないとダメだったの。

夢を誘導し、別の世界に意識を導くのは良かったんだけどね。

体はこちらで再構築したわ。

「佐々木さんがキョン君を心から好いている」からこそ導けた言葉なんだよ、キョン君」

 

 

だから、佐々木が唯一恋をしてくれた世界の俺たちが…ハルヒに呼ばれて…

 

 

「もちろん2人、佐々木さんと黄緑さんはとばっちりですね。

キョン君を呼ぶのには佐々木さんが必須だった。

同時に長門さんを呼ぶのには黄緑さんが必須だった」

 

 

「そして涼宮さんは2人が、いえ、四人がここに来た瞬間から全員の記憶の改変を行いました。

キョン君たちの死の記憶が消えたんです。

私や古泉くんの記憶はすぐさま長門さんと黄緑さんがブロックしてくれました。

朝倉さんは、ご自分でブロックなさったみたいです」

 

 

古泉、全部知ってたんだな…

俺たちがこの世界の俺たちじゃないことを…。

 

感じてた違和感や異変はこれだったのか。

いくら似ていてもここは俺たちの世界じゃない。

俺たちのSOS団はここには無かったんだ…。

 

 

でもまだ疑問がある…

 

 

「じゃ、じゃあ、この世界に閉じ込められた俺たち四人が元々居た世界は一生止まったままなんですかっ!?」

 

朝比奈さんは少し微笑む。

 

「いいえ、大丈夫です。

なぜなら。

潜泳疑念空間。

これは本来生まれなかった概念です。

これを壊せばキョン君の死や長門さんの解体、佐々木さんの死などは無くなります。

全ての辻褄を破壊したのが突如生まれた潜泳疑念空間です。

これらが全ての権化なんです。」

 

 

長門さんを呼び戻す。

そうすれば、帰れるんです、キョン君。

それ以外にも無理やり帰れますが…。

 

この世界をほったらかすと全てが壊れます。

 

 

だからキョン君。

 

お願い、走って!!

 

 

 

「キョン。僕が君を好きなのは本当だ。

実は昔から好きだったんだ…よ。

恋愛感情など病の一種だと言ったね。

だけど僕はとっくに侵されていたみたいだ。

 

僕の言葉が君に届いて良かった。

君のことは切ないけれど諦めるよ。

早く涼宮さんに告白しに行ってあげて。

 

それが今すべき君のやることなんじゃないのかな。」

 

 

「佐々木…。朝比奈さん…。」

 

 

古泉…。

長門…。

そしてずっと知らない所で戦ってくれていた黄緑さん。

 

 

 

……ハルヒ…!!

 

ハルヒ、ハルヒ!!

ハルヒ!!!

 

 

 

ダッ!!

 

 

朝倉涼子はそれを見逃さない。

ここで本当にキョンがハルヒを釘付けにしてしまえば潜泳疑念空間が壊される可能性が出てくる。

それだけは、回避したかった。

 

 

「キョン君を先に殺せばいいのよ!」

 

 

「キョン!」「キョン君!!」

 

 

ガキーーンッ

 

 

黄緑「させません、朝倉さん。

うふふ。わたしがしばらくお相手しますね」

 

 

情報統合思念体側のインターフェース。

つまり長門の仲間。

 

黄緑さんだった!

 

「黄緑さん!」

 

「キョンさん。早く行ってあげてください。

朝倉さんはわたしが責任を持ってお相手致します」

 

 

「キョン君!佐々木さんがキョン君を諦めて涼宮さんに渡す選択肢をした時点で未来は分岐しました、あとはお願いします!」

 

 

「…佐々木ーっ! 俺なんかを好きになってくれてありがとうな、でもごめんな…!

俺は、俺はハルヒが好きなんだ!!!

でもお前とはこれからもいい親友で居たい…

勝手なことはわかってるっ!!

だから、俺が帰ってくるまでに考えててくれっ!!」

 

 

そう俺は叫ぶと皆に背を向けてハルヒの家へと走った。

 

 

誰かの涙の落ちる音が聞こえた。気がした。

気のせいだろう。

俺はこんな夜、詩人になったつもりになるからな

 




僕は小説も書きますが作詞家です。

展開は更にヒートアップしていきます!

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