Gの軌跡   作:シン•A•クライン

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三月三日、冒頭部改変。


プロローグ

 少年/少女は惚れた。

少年/少女は初めて異性に惹かれたのである。幸運なことに彼/彼女は彼女/彼の身の上を知らなかった。そうだとしたら、問題はない。全身全霊で彼女/彼を愛するだけだ。

___血を分けた兄妹だとしても

 

 

 

 ミーン、ミーンと蝉が元気に鳴く中、ランドセルを背負った少年は走っていた。額に汗を浮かべ、懸命に足を動かす。普段狭く感じる巣鴨の街は無性に広かった。

___兄さんが帰ってきた。

 東京武偵校に通うために実家暮らしを止めて学生寮に下宿する兄。兄が大好きな少年にとってその別れはつらく、兄が休暇に帰省すると分かれば否や兄を玄関で忠犬よろしく出迎えるのだ。しかし、少年が兄よりも先に家にいなければそれは成り立たない。学び舎で祖父から電話によって知らされたとき、少年は嬉しく感じると同時に大いに焦った。生真面目な少年に早退の文字が頭に浮かび上がる程に。彼の親友曰はく、

___水を得た魚のようだ。いや、うおを得た魚だっけ?

国語のテストは三十点だ。誰がとは言わないが。ともかく少年は集中力をそぎながら、下校のチャイムが鳴るまで耐え音が響くとすぐに荷を整え走り去った。

 

 ___暑い。

少年は夏が好きだ。学校が休みになり好きなだけ友達と遊べ、祖父母と修行ができるからだ。

 夏のときだけ遊べる友達が少年にはいる。その子は東京からは遠い京都または青森にいて普段は会えない。家が大きな神社で、兄に連れて行かれて初めてその建物を見たとき、少年は非常に驚いた。兄がいなければそこから逃げ出したかった。しかし、兄に退路を塞がれ説得させられた。兄によるとそこは実家と深く関わりを持つそうだ。実家に関係することに少年はひどく敏感だった。そして色々あり少年は初めての友達ができたのだ。いずれその出会いを伝えるときが来るのでしばしお待ちいただきたい。

 少年は毎日体を鍛えていた。しかし一人では何事も限度がある。少年は天才ではないのだ。祖父母に助力を頼むも学校に通ってる間、体を壊さないために修行は敬遠されがちだった。だが、長い休みだけは気にせず己を磨くことができる。

___強くなりたい。祖母のように、祖父のように。兄のように、父のように。代々正義の味方であったご先祖様のように。

 けれども今はサンサンと輝く太陽がうっとうしかった。だらだら汗をかき、息がきれ、まるで少年は自分が鉛であるかのように感じた。早く家に帰らなければならないのだが、如何せん体調が悪い。仕方なく少年は小休憩を取ることに決めた。

___すぐ先に公園があったはずだ。そこで休もう。

家へ繋がる最短ルートの道から外れ、少年はそこへ向かった。 

___運命の歯車が回った。

 

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