魔法少女は動かない   作:鷹売りのタカさん

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プロローグ①

ここは次元航行艦船アースラ内部。

 

その艦長であるクロノ・ハラオウンは任務のため、普段いる世界、第97管理外世界『地球』を離れ、とある管理外世界にやってきていた。

 

人が生息できる環境であり、ちらほらと民家が確認できるが、人が住んでいる気配は全くない。クロノの任務は、その世界の調査だった。数日前に、時空管理局にその世界から救援要請がやってきた。当時、通信等を管理していた局員はそのことに気付かず、返信したのは、要請が来てから24時間以上経過していた。いくら呼びかけても、その世界から応答はなく、現地に赴いて調べる必要があるという話が持ち上がった。そして、その尻拭いのような役目を、クロノは任されたのだった。

 

局員の怠慢が原因で起きた事件の尻拭いをしなければならないのは気が進まなかったが、これも任務だと自分に言い聞かせて、無理やりやる気を出していた。

 

調査隊を組んでその世界に送り、クロノは船内残った者と共に調査隊から送られてくる映像や物質を解析していた。

 

その時だ。

 

[お、おい・・・どうした・・・!?]

 

[た、隊長がいきなりカイ空曹を撃ったぞッ!?]

 

[し、しかも殺傷設定だ! カイさん・・・即死だ――――グワッ!?]

 

[は、ハンセンまで!? 一体どうしたんだよ、隊長!?]

 

突如聞こえた調査隊からの通信により解析を中断し、調査隊の映像を見た。そこには、デバイスを振り回して殺傷設定で射撃魔法を乱射する調査隊の隊長と、その魔法を受けるか避け続けている隊員の姿があった。

 

「隊長、どうした! 今すぐデバイスを待機状態にするんだ! 聞こえないのか、ヴァン・ヘイレン一等空尉!」

 

クロノは必死に呼びかけるが、隊長はそれを無視し、魔法を乱射している。

 

[隊長・・・すみません、眠ってもらいます!]

 

隊員の一人が隊長にデバイスを向け、非殺傷設定で射撃魔法を放った。それは隊長に直撃した。

 

だが、隊長は少しもダメージを受けた様子がなく、その隊員に向けて、魔法を放った。

 

[な、なんで・・・少しも効いていない?]

 

[まるで、機械だ・・・凶悪な、殺戮マシーンだッ!!]

 

その後も、隊員たちは隊長目掛けて魔法を放つが、少しも怯むことはなかった。

 

船内には、モニターから聞こえる隊員たちの悲鳴が響きわたる。ほとんどの船員はその映像から目をそらし、耳を塞いでいた。

 

数分後には、調査隊は隊長以外の全員が死んでしまった。

 

隊長は、しばらく沈黙していたが、「う・・・眩暈が」と言って突然頭を振り出し、辺りを見渡した。

 

[ど、どういうことだ・・・? なぜ皆が倒れている・・・? か、カイ空曹? ハンセン一等空士? み、みんな・・・死んでいる・・・なぜだ・・・? いったい誰が、こんな・・・]

 

クロノはその隊長の態度に疑問を感じた。

 

まるで、なにも覚えていないみたいだ。自分のやっていたことを。

 

[デバイスが起動している・・・いつの間に・・・しかも、さ、殺傷設定・・・!? まさか・・・殺したのは・・・俺か、か、かかかかかかかか、げぐがががががが――――]

 

突如映像が映らなくなった。モニタにはノイズが走っているだけだった。

 

「な、なにがあった・・・エイミィ!」

 

「今調べてる! だけど・・・全く反応しない!」

 

船員たちに調べさせるが、一向に回復の兆しはない。焦燥に駆られるクロノの耳に、謎の声が響いた。

 

 

[ケケケ、無駄だぜ・・・なにをしようとな・・・]

 

 

「な、なんだ・・・今の声は・・・モニターから・・・!?」

 

モニターに目を向けると、そこには『謎の生物』が映っていた。否、生物なのかも分からない、ただその像には、不思議な存在感があった。

 

「え、エイミィ! 今すぐアレを調べてくれ!」

 

「アレって、なに・・・?」

 

「見えないのか!? モニターに映るものだ!!」

 

「モニターって・・・何も映ってないよ。落ち着いてクロノ君。部下が死んで取り乱すのは分かるけど、今提督であるクロノ君が落ち着かないと、船員が皆不安になっちゃう・・・!」

 

その言葉を聞いてクロノは疑問を感じた。

 

何も見えていない。

 

他の船員たちを見ると、誰一人としてモニターに映る存在には気づいていない。

 

「まさか・・・僕だけが見えているのか・・・? げ、幻覚か・・・?」

 

[いや、幻覚じゃあないぜ。まぁ、見方を変えりゃあ幻覚みたいなものだがなあ、けけけ。・・・しかし、驚いたぜ。まさか・・・俺様の『レディオ・ガ・ガ』が見えるとはな・・・『スタンド』が発現してるわけじゃあなさそうだ。素質があるってことか・・・]

 

モニターに映る存在は、クロノに目を向けて言った。

 

「す、『スタンド』・・・『レディオ・ガ・ガ』だと・・・? なんの話をしている? ヘイレン一等空尉のアレは・・・おまえがやったのか・・・!?」

 

船員にとってはクロノが一人で喋ってるように見えて不安な気持ちになるが、クロノはそれを気にしてはいられなかった。目の前に映る存在の正体、目的を聞く事が最優先事項だと考えていた。

 

[正解だぜ。俺様の『レディオ・ガ・ガ』の力でなぁ・・・隊長もろとも皆殺しにしてやったぜ]

 

モニターの『レディオ・ガ・ガ』は「けけけ」と不気味に笑う。クロノは怒りをぶちまけたい衝動に駆られるが、なんとか抑えた。

 

「くっ・・・おまえは・・・何者だ・・・目的は・・・なんだ・・・!!」

 

[すぐに分かるぜ、けけけ。しかしよぉ、こんなとこにいつまでもいていいのかよぉ。テメェのお仲間がよぉ・・・あぶねぇかもしれねぇときにさぁ]

 

「な、なんのことだ・・・!」

 

『レディオ・ガ・ガ』はまた不気味に笑うと、クロノを嘲るように見て言った。

 

[高町なのは、フェイト・T・ハラオウン、八神はやて・・・今ごろ俺様の仲間が始末しに行ってるはずだぜ。フェイト・T・ハラオウン・・・テメェと姓が一緒だなぁ、妹か? けけけけけ!]

 

「な、なんだと!?」

 

[もう一度言うぜクロノ・ハラオウン・・・そんなとこにいてよぉ、大丈夫なのかい・・・?]

 

その言葉を最後に、『レディオ・ガ・ガ』は姿を消した。それと同時に、船のシステムが回復したという声が各所から響いた。

 

「クロノ君、やっと回復した――――」

 

「・・・今すぐ地球に向うんだ」

 

エイミィの言葉を遮りクロノは言った。

 

「地球? なんで、クロノく――――」

 

「今すぐ地球に向うんだッ!! なのはたちが危ないッ!!!」

 

「う、うん! 了解!!」

 

クロノの気迫に押され、エイミィと他の船員たちは急いで持ち場に戻り、地球に向けてアースラを発進させた。

 

 




スタンド『レディオ・ガ・ガ』:Queenの名曲『RADIO GA GA』より抜粋
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