「い、イリヤ?!だ、ダメだ!!危険すぎる!。」
それにイリヤは聖杯の部分であったところが破壊された反動で魔力はほとんどない状態に等しいのだ。
そんな状態で今偽徒が闊歩する外は危険すぎる。
「シロウ、わたしはシロウの妹であると同時に姉でもあるの。だから、シロウが妹を助けたいって言っているのに姉であるわたしが黙ってなんていられないわ。」
「で、でもだな…。」
イリヤの表情がいたずらっ子のものになる。いや、本当に尻尾でもついているのではないだろうか。
「それに、私も守ってくれるでしょ?お兄ちゃん。」
ぐっ。
ここで折れてしまってはイリヤの身に危険が及んでしまう。しかし、守れないなんても言えない。意地がそう言わせない。
それに、姉が妹を思いやるその気持ちは確かに正しいことなのだ。
イリヤの身の安全か、イリヤの思いを取るか迷っていると第三者の声が後ろから聞こえた。
「あなたの妹がそこまで言っているのです。連れて行ってあげたらどうです?衛宮士郎。」
そこにはシスター服を纏った少女が佇んでいた。
「カ、カレン?!。」
イリヤは少し驚く。
「まさかあなたが私の意見を後押ししてくれるとは思わなかったわ。どういう風の吹き回しかしら?。」
カレンはそれを聞くと手を胸の前で神に祈るように組む。
「あら、私はただあなたが捨てられかけている犬のように見えたから神に仕えるものとして手を差し伸べただけよ。」
いや、その言い方は手を差し伸べていると言えるのだろうか。
イリヤとカレンがにらみ合う。
それにこれ以上迷っているとここで戦闘が起こってもおかしくはない。
「あーもうわかった!イリヤ、一緒に行こう。行って俺たちの妹を…助けよう…!」
一気にイリヤの表情が明るくなる。
「うん!」
それを見てカレンは呆れたように溜息をつく。
「ようやく、決意が固まったようですね。」
「ぁあ、ありがとう。カレン」
勢いよく身を翻す。
さぁ、俺たちの家族を助けに行こう。
好きな人が行ってしまう。傷だらけの体で。しかし、それを私は止めることができなかった。
引きとめようとした手が自然と止まってしまった。
「………っ!」
それを見ていたライダーは躊躇うように声をかける。
「桜……。」
ただ一言。『行かないで。』と言ったら彼は止まってくれたのだろうか。いや、彼はそれでは止まらない。そして、止まって欲しくない。
だって、私が、間桐桜が好きになったのは自分の道を貫く強い意志を持った彼なのだから。
でも、せめて。せめて一言だけでも声をかけたい。
「ライダー、少し行ってくるね。」
それを聞いたライダーは微笑む。
「…はい。」
そうして、私は彼の後を追った。
外に出ると空は真っ暗なカーテンに終われを告げ、白み始めていた。
桜が追いついた時には彼は既に隆洞寺の階段を降り始めていた。
その隣にはイリヤもいた。
イリヤも先輩の家族なのだから先輩が家族を助けに行くというのならついて行って当然だろう。しかし、自分にはその資格はない。
でも…!。
「待ってください、先輩!」
イリヤと士郎が振り返る。
行かないで欲しいと言いたい気持ちを抑え、叫ぶ。
「私!絶対ここを守りますから!!先輩が妹さんと帰って来れるようにします!だからっ…!」
必ず、生きて帰ってください。
桜のありったけの気持ちを込めた決意と願い。
士郎にとってこれほど心強いものはない。
「ぁあ…!必ず妹を連れて帰ってくる。」
「…行きましょ。シロウ。」
自身の体に強化の魔術を通し、イリヤを抱き抱える。
体に強化の魔術を通すのは強化の魔術の中でも最高難易度に相当する。そんなものを扱う技術は士郎にはなかった。しかし、あの男と剣製を競い合ったおかげで魔術の技術も向上した。
目を閉じれば今でも思い出す。剣と剣がぶつかり合う音、荒れ果てた荒野。
剣の丘を俺は現在踏み進めている。
一歩、また一歩。この歩む足を止めないためにも妹は必ず救う。
妹が悪だとしても手を差し伸べる。何度でも、何度でも。それが理想の正義の味方の在り方であり、兄の務めなのだから。
一気に跳躍する。
強化された身体はその跳躍の距離を何倍にもした。これならば、あいつにも追いつける。
先輩の後ろ姿があっという間にちいさくなる。その姿を最後まで見送り。まったく見えなくなろうとした瞬間。
ユニクロで統一された服装をした彼が赤い礼装を纏っているように見えた気がした。
え?誰が何処にでもいる一ヒロインだって?(すっとぼけ
わっ、ちょ、影g(ry