このストーリーでもジャンヌダルクは登場させる予定なのでお楽しみに…。
真っ暗で何も見えない地下を全速力で駆け抜ける。
周りは目を凝らしてやっと手元が見える暗さだが眼を強化したことによって然程暗く感じることはなかった。
「イリヤ、大丈夫か?」
自分が抱えている少女を気遣う。
身体を強化している俺は兎も角、ほぼ生身のイリヤにとっては向かい風が辛いに決まっていた。
「え、えぇ。少し…息苦しいだけだから心配ないわ…。っ…。」
苦しそうにするイリヤを見て思わずスピードを緩める。
するとイリヤは顔をしかめた。
「シロウ!スピードを緩めないで!!私のことはいいからあの子のことだけを考えて!!!」
「あ、あぁ、わかった。少し我慢していてくれよ。イリヤ」
一気にスピードを上げる。
景色が物凄いスピードで後ろへと流れていく。
少しすると広い場所に出た。
学校の体育館ほどの大きさだろうか?。
広い場所に出たことを確認し、周りを見渡すとその中央にその光景はあった。
脚を使い、急ブレーキをかける。
目に入ったのは赤い礼装を纏った男とそれを取り囲む偽徒の群。そして、その身体を黒い血で染め倒れる少女の姿だった。
それを見て、感情の奥底から煮え滾った何かが溢れかえった。それは怒りか、または悲しみか、はたまた両方か。その時の俺にはわからなかった。
「っ…!てめえ!!!!」
床が冷たい。
私は霞んでいく意識の中で私はただ景色をぼーっと見ていた。
男の人から斬られた傷は自分で見ずとも即死していてもおかしくないことがわかった。
自分を形成していたものがどんどん抜け落ちていく感覚がする。
死にかけている自分がまるで他人事のように感じられる。それほど私の意識は遠のいていた。
そんな中で声がした。
"まだ死なせない"
と。
抱えていたイリヤを下ろし、やつを睨みつける。
やつは俺とイリヤを視認すると皮肉を込めたこういった。
「一足遅かったようだな。どうだ、これが貴様が正義の味方を貫いた結末だ。何もかもを助けようとした結果、何も救えない。」
一人の少女の死。それは守護者の役割を果たしたことを意味することとなる。
世界は救われたのだ。
本来なら喜ばしいことなのだろう。
しかし、"本当にそれでいいのか?"
たった、だ。たった一人、少女の命だけで世界が救われる。
それは俺が望んだ結末なのか?。
違う。
俺が求める結末はみんなが笑顔で居られる結末だ。その中に、あの少女…妹の姿がなければそれは嘘でしかない。
なら、やることは一つしかない。
衛宮士郎が望む結末を迎えるには目の前の正義を打ち負か、少女を救うしかないのだ。
微かに少女の背中が上下する。
まだ生きている。
まだ、助けられる!
それを同じく確認したアーチャーは、もう一度短剣を取り出す。
「まだ息があったか。仕方あるまい、今楽しにしてやろう。」
やつが短剣を振り上げる。
その質量のある剣は容易に少女の命を奪うだろう。
気づけば俺は全力で踏み込んでいた。