「報告致します。ここ数時間ほど、偽徒の数は激減。原因は不明のままですがあと少しで殲滅は完了するかと思われます。」
「そうか…、了解した。引き続き偽徒の殲滅に当たってくれ。」
「はっ」
先ほどまで報告していた者が部屋を出る。
報告通りでは偽徒の殲滅にはさほどの時間がかかることはないだろう。しかし、その中で私は一抹の不安を感じていた。
何故かこういう時になってあの時のことを思い出す。
聖杯戦争。
万能の願望器『聖杯』を奪い合う魔術師同士の殺し合い。
その4回目に私は、いや僕は参加していた。
ウェイバー・ベルベット
今は違う名だが、棄てたつもりはない。
かの有名な英雄とともに戦った譽れを僕は一生忘れることはないだろう。
思えば、聖杯戦争にも今のように静けさが戻った時があった。しかし、その後すぐに激しい戦いの連続になった。
今は嵐が来る前の静けさなのではないだろうか。
そう不安を覚えながらも私はただ情報収集に努めた。
「この数時間、偽徒達の数が激減したように思えます。サクラ、もしかしたらもうあの少女は…。」
ライダーの声には不安な感情が含まれていた。でも、今私達に出来るのは…。
「ライダー、私は先輩を信じる。必ずあの子を助けて、ここに戻ってくるって。」
彼は必ず約束を守ってくれる。必ず諦めないでいてくれる。だって、それが私が好きになった先輩なんだ。
あの夕日の中でがむしゃらに走り高跳びをしていた彼を。
「……はい。」
閃光にも似た斬撃をほぼ勘に任せて受け流す。
剣と剣がぶつかり合うことで火花が散り、銀髪が混ざった髪が淡い光を放つ。
もう数十分は闘い続けて魔力も体力も空だ。
あと少し気を許せば奴の剣は容赦なく俺を殺すだろう。
ギリギリの局面になって、いつの日かに言われたことを思い出す。
"お前の理想はただの借り物だ。"
違う、この理想は、この夢は、借り物なんかじゃなかった
この理想は、この夢は、あの日、あの夕日の中で妹と交わした他愛ない約束から始まった。この想いは俺のものだ!!
なら…なら俺はまだ先を見続けられる。
奴が辿り着いた荒野の先を。親父の夢のその先を!
「うぉぉぉぉおおおおおおっ!!」
撃鉄の音とともに、今まで眠っていた魔術回路が起動する。聖杯戦争での激しい戦いの中でさえ眠り続けていた、◼︎◼︎士郎としての魔術回路。
剣を振る腕に力を込める。
とてつもない衝撃とともにアーチャーの顔が少し歪む。
しかし、その顔には僅かな笑みがあった。
アーチャーは俺の斬撃を刃を滑らすことで衝撃を受け流した。そして間髪入れずに蹴りが俺の横腹を襲った。
「っ!」
吹き飛ばされながらもなんとか地面に足をつけ、踏ん張る。やっとの思いで勢いを殺したところに追い討ちのように斬撃が迫る。それを強化を施した筋力をこれでもかと込めて迎え撃つ。
剣はどちらも砕け散ることなく、鍔迫り合いへと持ち込まれる。
「どうやら、お前なりの答えを見つけたようだがそれでも正義の味方などという理想が愚かなのに変わりはない。そのままでは、まだお前が偽物だと自覚し、受け入れてなお進む覚悟を決めた時の方がマシだ。」
「ぐっ…!。」
腕力のみで押し負け、間合いが開く。
まだ、まだ何か足りないのか?
やつを越えるための条件。
一瞬いつぞやの言葉が浮かぶ、
"命を懸けろ。或いはこの身に届くやもしれん"
「…はっ、はは」
こんな時に一番嫌だった奴の言葉を思い出すなんてな。
言峰 綺礼。
絶対許してはいけない悪。しかし、悪と正義は表裏一体。正しさとしては両方が持ち合わせている。
ぁあ、お前の言葉を思い出すまでもない。
懸けてやるよ、この命!!
「
ゆっくりと目を閉じる。
やることは変わらない。
創造の理念を鑑定し、
基本となる骨子を想定し、
構成された材質を複製し、
製作に及ぶ技術を模倣し、
成長に至る経験に共感し、
蓄積された年月を再現する。
これが今迄と同じことだ。
だが、違うのはここから。
そして、それらが辿るはずだったであろう過程を想像し、創造し、理想を現実へとのし上げる!!
眩い光とともに右手に物凄い重みを感じる。
ゆっくりと目を開ける。己が手には、騎士王が握るはずだったであろう剣が存在した。
【・
「行くぞ、アーチャー。必ずお前を乗り越える…!」
もう、設定もクソもないんですよはい。
原作設定と矛盾することがありありですが二次創作物なのでスルーしていただければと思います。