iOSのアップデートの際に書き溜めていた結構な量のものが消えてしまったトラウマから辛うじて立ち直れた…と思います…多分…きっと…うん。
ほぼ漆黒に近い地下でかすかな火花が連続して周囲を照らし出す。
しかし、その光さえもすぐに闇へと消える。
周りを囲むは闇の海。少しでもその闇に触れて仕舞えばその者の体は一瞬にして偽徒の牙と爪で細切れにされることだろう。
それをアーチャーと俺で辛うじて抑えている。しかし、このまま守りの徹していたところで必ず守りきれなくなる瞬間がくるのは明白だった。
「…っ!」
例え偽徒の一体を斬れ伏せたとしてもそれは海に小石をなげいれただけのようなものだ。
少しだけ揺れるだけ。
そこに活路は全く見えない。
偽徒はまるで渦巻きのようにアーチャーと俺、そしてイリヤを中心に周りを駆け回る。
「……このままではジリ貧だな。弓を使って一層したいところだが、間合いが狭すぎる。」
「冷静に状況確認してる暇じゃないだろ!どうにか逃げ道だけでも作らないと!」
偽徒の群はまるで蛇のように少しずつ、少しずつ俺たちを飲み込もうと迫ってくる。
『さぁ、どうするのかしら?何処から見てもあなた達には逃げ場はないようだけど。』
聖杯の声が聞こえるが偽徒に紛れて場所が特定できない。
どうする。
どうしたらこの状況を切り抜けられる。
あらゆる手、あらゆる可能性を頭の中でシミュレーションするが何処にも必勝の文字はない。
万事休すか、と思った瞬間、薄暗い地下空間に男の声が鳴り響く。
"まさか、これくらいのことでもう打つ手がないと考えているのではないだろうな?それでは前とは何一つ変わってなどいないではないか。"贋作屋""
突然、俺たちの周りに黄金の雨が降り注いだ。
槍や剣、斧、あらゆる武具が周りを取り囲んでいた偽徒を一瞬にして退ける。
それらの武具はそれぞれが並みならない威力を秘めていた。
あまりに突然の出来事に武器の持ち主へと視線が動く。
それが誰か、などは言うまでも無かった。
黄金の髪に真紅の瞳、かつて俺とセイバーの前に立ちはだかった敵。
英雄の中の王、"ギルガメッシュ"だった。
その持ち主を見上げ、アーチャーが嫌味を込めた表情を浮かべる。
「まさか貴様まで来るとはな」
それを見た英雄の王は露骨な嫌悪の表情を浮かべる。
「貴様に用はない。本来なら貴様なんぞと相見えるのさえ無かっただろうよ。」
「ならば何故ここへ来た、英雄王」
「何、ただの気まぐれにすぎぬ。世界が我に願ってくるなど余程のことだと思ってな。」
黄金の鎧を身にまとった姿が地面へと着地したのと同時に持っていた短剣を向ける。
「お前も、あの子を…妹を殺すために来たのか?ギルガメッシュ!」
やつは世界からの願いでここに来たと言った。
ということはギルガメッシュも形は違えど世界の抑止、守護者としてここにいる。
なら、目的はアーチャーと同じなはず。
「勘違いするでない。確かに我はそこら中にいる雑種共に紛れている娘を殺すことが目的としてここにいる。」
娘を殺すという言葉を聞いて構えた短剣を防御と攻撃、両方に備える。
「待て待て、勘違いするなと言ったであろう。確かに娘を殺すくらい簡単なことだ。しかしだ、今の貴様を見たら気が変わったのだ。」
「?…どういう意味だ。」
「借り物しか持たぬ偽物が今まさに本物に成ろうというのだ。そんな喜劇、見逃すには惜しいと思っただけのことよ。」
「…お前…。」
相変わらずの性格の悪さに思わず呆れた表情を浮かべる。
しかし、アーチャーは厳しい表情を浮かべる。
「英雄王、貴様…己の使命を放棄するつもりか!。」
瞬間、アーチャーの顔をギルガメッシュが放った剣が掠める。
「黙れ、贋作屋。これは我の決定だ。貴様には発言権さえありはせん!」
「…っ。」
「"衛宮 士郎"!」
今まで全く俺の名前を呼ぶことがなかった英雄王の突然の名指しにびっくりしながらも目を向ける。
「今一つ貴様に聞く、貴様は"本物になる覚悟"はあるか?。」
英雄王の問い、答えは既に決まっている。
「ぁあ、俺は自分の意思で妹を…いや、みんなを救ってみせる!!これは借り物なんかじゃない、俺の願いだ!!!。」
その答えを聞いてギルガメッシュは微かに笑みを浮かべる。
「フンッ、なら我が退路を作ってやろう。貴様らはそこにいる人形を連れ、一度撤退するがいい。」
「…あぁ。」
ギルガメッシュに助けてもらうのは癪だが今は選択肢はそれしかない。
ギルガメッシュの言う通りにイリヤに駆け寄り、抱える。
「シロウ、あのサーヴァントは…。」
イリヤが不安な表情を浮かべている。
それもその筈だ、彼女にとって自分が知らないものはただの恐怖の対象にしかならない。
「ごめんイリヤ、今は説明してる暇がない。」
俺とアーチャー、そしてギルガメッシュが話している間、ギルガメッシュの王の財宝で牽制していた。しかし、それもいつまで持つかわからない。
「合図をしたら一気に出口へと駆け抜けよ。寄るものがいれば我が宝物を持って塵にしてくれよう。」
「…ぁあ。」
アーチャーも渋々ながらも承諾し、合図を待つ。
『っ…!こんなただの脅しで!!』
偽徒が目の前に展開された王の財宝をただの脅しと確信しその進行を再開する。
「おっと、そういえば一つ言い忘れたことがあった。」
偽徒の波が目前に迫っていても落ち着いた姿勢でギルガメッシュは言った。
「"人形"、貴様に従っていた阿呆は完全に消え去ってなどいない。貴様の魔力同様にな。」
「それってどういう…?」
イリヤに突然来た謎のアドバイスに思わず問いを投げかけ用とした瞬間、その時は訪れる。
「行け!そして精々足掻くがいい、"正義の味方"!!」
合図と同時に体に強化の魔術をかけ、走り出す。
出口には偽徒達が壁を作り出している。
そこに迷いなく突っ込む。
『逃がさないわ!!』
迷いは不要、たとえそれが鉄壁だとしても圧倒的な数の前には崩れゆくものでしかない。
壁の5メートルほど先に到達した瞬間、黄金の雨が再度降り注ぐ。
雨の一粒一粒がまさに必殺、ただの偽の獣が作った壁などが耐えられる筈もなし。
壁はあっという間に崩れちょうど人1人が通れるような隙間ができた。
それを俺とイリヤ、アーチャーという順でギリギリ通り抜ける。
俺たちはただ前へ、前へと進んだ。
彼らを逃した。その事実がどうして腹がたつ。
彼らはここで殺すべきだったと何処かで警告を鳴らしている。
その警告に従い、ある程度の偽徒に彼らを殺すように命令し出口に雪崩れ込む。しかし、偽徒が出口に入ろうとした瞬間にそれらは塵と化す。
「そう急ぐでない、聖杯。奴らが殺されてしまってはせっかくの喜劇が終わってしまうではないか。」
『…っ!』
「安心するがいい。貴様が乗っ取ったその娘を助けるのがやつらの目的だ。そう悪いようにはせぬ。」
その言葉とは裏腹に無数の射出口に宝具が装填される。
「しかしだ、我は一つあれば際限なく増えるものが大の嫌いでな。少しばかり数を減らさせてもらうぞ。うっかり死なぬよう上手く避けよ。」
次の話を書くためにはまた合間が空いてしまうと思いますが気長に待っていただければと思います。
そして、なるべく早く登校できればと思いますm(__)m