fate/after fate   作:Hiroto115

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偽徒の宝具

「アォォオォオオオオオオオッ!!!」

 

境内に鳴り響くのは狼の雄叫び。

あまりの雄叫びの大きさに木々が軽く揺れる。

そして、次の瞬間獣の姿は一瞬にして消えた。

 

「リンさん、攻撃来ます!!」

 

「っ………!!」

 

自分を覆う影が現れ、咄嗟に回避行動をする。

真上からの刺突。

ゲイボルグらしき武器が回避の間に合わなかった服の一部を切り裂く。

刺突が外れ、コンクリートの地面に衝突することで少しでも隙ができることを頭の中で瞬時に考え、反撃に打って出ようと切り返す。

上から降ってきた攻撃はコンクリートを軽く抉る。

 

"横がガラ空きよ!!"

 

一瞬できた隙に魔力弾をぶつけようと振り下ろそうとした瞬間、何故か私の体は真横へと吹き飛んだ。

 

「…ガハッ!?。」

 

抵抗することもできず地面をまるでボールのようにバウンドする。

やっとバウンドが止まり、腹部を確かめる。

しかし、身体の何処にも傷はない。

 

「イッタぁ…!何よ今の!?」

 

「大丈夫ですかリンさん?!今のは恐らく敵の宝具によるものだと思われます!」

 

ルビーの言葉を聞いて衝撃を受ける。

 

「宝具…ですって!?あいつが持ってるのはゲイボルグ、本当なら物理防御なんてもので防げるわけがないわ!」

 

そう、宝具は言わば核爆弾に相当する威力を秘めている。

物理防御で防げるのは英霊が手加減した通常の攻撃ぐらいのものだろう。

それ以上の規模を持ったものを物理防御などでは防げるはずがないのだ。

そして、ゲイボルグには物理防御を突破するほどの威力を持っている。

 

「だとしても私のセンサーには確かに宝具の発動を感知しました!。恐らく、本来の担い手ではないため宝具のランクが大幅に下がっているためだと思われます。それに…」

 

ルビーが何か言おうとしたがそれよりも先にとっさの判断を周りに伝える。

 

「物理防御で守れるならそれ以上に越したことはないわ!桜は後衛から魔術で援護、ルヴィア、私、ライダーは接近戦よ!仮にあれがゲイボルグでも撃たせなければなんとか防ぎきれるはずっ!」

 

「はい!」

 

「わかりましたわ。」

 

役割を分担し、相手の動きを見る。

桜が詠唱を始める

 

「<志はここに…私の指は大地を削る…!>」

 

詠唱とともにライダーとルヴィア、私は一気に距離を詰める。

私たちの後ろを追うように桜が放ったまるで影の爪の様な魔術が目標を切り裂かんとせまる。

 

"一度でいい、一撃だけ入れて魔術の攻撃が効くか確かめる!"

 

偽徒が構え。

先にライダーが短剣で斬りつけようと踏み込んだ瞬間、ルビーが声をはりあげる。

 

「リンさん!!!桜さんの防御をっ!!」

 

「っ!?」

 

反射的に後ろ振り返る。

すると、桜の腹部を何処からか放たれた槍の先端が突き刺していた。

 

「さくっ!!??」

 

妹の名を呼ぼうとしたと同時に私も横からの衝撃で吹き飛ばされる。

 

「がはっ…。」

 

押しつぶされた肺が呼吸を欲して、大きく息を吸う。

気づけばライダーやルヴィアも地面にひれ伏していた。

そして、ライダーの腹部には僅かな血が滲んでいる。ルヴィアもほぼ同じ所を手で押さえていた。

 

「これ…は…対軍宝具…?」

 

全く持って状況がつかめなかった。

あの獣が持つのはゲイボルグ、本来ならその宝具は対人宝具に特化している。今のように一対多の状況でこっちら全員が倒れるなんてことが…。

 

「大丈夫ですかリンさん!」

 

ルビーの声に意識を現実に引き戻す。

また腹部を触るとやはりまた傷はなかった。

 

「ぇえ、また物理防御で防げたみたいよ。」

 

「そのようです。ですがあの宝具は一体。」

 

そう、今の一撃は私が知っているゲイボルグ能力とは違っていた。ではあの槍はゲイボルグとはまた別の宝具ということになる。次はその宝具が一体どのような能力を持っているのかというのを考えなければいけないと、偽徒へと視線を移す。

 

しかし、先ほどまでそこにいたはずの偽徒の姿はなかった。

その瞬間に直感で桜の方を見る。

 

「…!!桜っ!!!」

 

桜の腹部から少量とは言い難い量の血が地面に小さな水溜りを作っていた。

そして、そこに駆ける偽徒。

脳裏で最悪の結末が過る。

偽徒がその獣の様な脚をめいいっぱいに膨らませ跳躍する。

 

跳躍した偽徒は空中で槍の刃先を瀕死の桜に向ける。

奴は止めを刺すつもりだ。

弱っている相手を確実に絶命させるために瀕死の桜にさえも全力を賭して。

 

「桜ぁぁぁぁぁぁぁあっ!!」

 

瀕死の桜にこれでもかという威力が孕んだ一撃が届く。

当たってしまえば遺体さえも無事ではいられないだろう。

それを見ていることしかできない。動こうとすれば何かしら結果が変わるかもしれないのに。

どうしようもない絶命に俯きかけた瞬間。

境内に鉄と鉄がぶつかる甲高い音が鳴り響く。

 

「っ!?。」

 

桜の体を突き刺す、最悪な音が耳に届く代わりにいつかの時に聞いた男らしくも飄々とした声が届く。

 

「お前さん、中々にえげつないことするなぁ。瀕死相手にそこまで必死にならなくてもいいのによぉ。」

 

桜に届きかけた一撃を防いだのは、偽徒がもつ槍と同じ、ルーン文字が刻まれた絶対の威力を含んだ赤槍だった。




兄貴の言いそうなセリフが思い浮かばないorz
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