くっ!手に負えなくなったときは真祖の姫に頼るしかないのかっ!
「どうやら丁度いい時に来たようだな。」
赤い外套を纏った彼は此方をチラッと見て周りの状況を確認しながら言う。
「あなた…は?」
見たこともない彼を見て思わず問いかける。
「なに、只の通りすがりの正義の味方さ。」
「……。」
皮肉を込めた笑いを浮かべる男。しかし、桜にはそれが誰かが直感でわかった。
この男はあの彼と同一人物、とは言わずとも同じ理想を持った人であることを。
素性が知れぬ男が加勢に来た後は早かった。
ライダーと男、二人の戦いはそれは見事なものだった。ライダーは得意な鎖で結ばれた短剣を器用に使い、偽徒の急所であるだろう場所を的確に刺し、殺す。
男はその手に握る黒と白の短剣で相手の攻撃を受け流し、隙を見せたところを一気に斬り伏せる。まるでダンスでも踊っているかのような戦いぶりだった。
偽徒が全滅し、周りにはその残骸が僅かに残っている中。ライダーはその男に短剣を向ける。
「助力、感謝します。しかし…貴方は一体何者ですか。サーヴァントでもない貴方が、サーヴァントである私と同等…いえ、それ以上にチカラを持つなどあり得ません。それに、戦闘中に貴方が使っていたのは投影魔術だった。」
そう、男は人の身でありながらサーヴァント以上に戦えていた。そんな人は今の現代では先輩以外に見たことはない。
「ここで私を問い詰めるのもいいが、まず怪我人を手当てするのが先決ではないか?ライダー。」
「なっ…」
ライダーは思わず動揺する。彼は目の前にいる女がサーヴァントの中での枠組み「ライダー」に該当することを知っていたのだから。
そこでさらに問い詰めたくなるが今は藤村先生の手当てが先決だ。
「ライダー、今は藤村先生の手当てを先にしよう?」
「……そうですね。では、あなたには避難場所まで護衛をお願いします。避難場所についたら、貴方が何者なのか話してもらいましょう。」
そう言うとライダーは殺気を向けながらも短剣を下ろした。
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ー柳洞寺ー
藤村先生の手当てを終え、一息する。
今、桜は柳洞寺という冬木でも数少ない寺にいる。
ここは偽徒がなぜか近寄ることができないため、避難場所として使われている。
しかし、寺にくる人々は何処かしらの箇所が欠損していたり出血が酷く生死の境目を彷徨っている者が殆どだ。
その凄惨な場所を眺めてイリヤスフィール・フォン・アインツベルンは一人でボソッと呟く。
「皮肉なものね。まさか、6年前に聖杯が開きかけた場所が偽徒なんていうわけのわからないものから逃れる唯一の場所だなんて。」
そんな皮肉をこぼす彼女の姿は6年前の少女の姿から殆ど変わっていない。凛曰く、彼女の出生が原因らしいが詳しいことは桜には話されていない。
イリヤの愚痴に男は冷静に付け加える。
「偽徒という彼らはサーヴァントと同じような構造をしているようだな。この柳洞寺にはサーヴァントを入らせないように結界が貼られていることは君も知っているのだろう?イリヤスフィール。」
「勿論よ、”アーチャー”。
それのおかげで今ここは安全な場所になっている。それよりも、なんで貴方が現界しているのかしら?貴方はバーサーカーに殺された筈でしょ?」
それを聞き、私は驚愕した。
銀髪の少女は確かに”アーチャー”と言ったのだ。今の時点で第5次聖杯戦争から残留しているのはライダーだけの筈…。では彼は一体。
アーチャーはこの問いにも冷静に返答する。
「その質問に答えることは容易だ。この身はセイバーやライダー、アーチャーと言った『クラス』として召喚された訳ではなく。『守護者』として召喚されたのだ。」
それを聞き、イリヤの表情は険しくなる。
「『守護者』……ですって!?」