いつの間にか二千歳   作:桐ヶ谷御幸

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とうとう二次創作を書く側にまわってしまった。

感想お待ちしてます


山本重國
後の護廷十三隊総隊長兼一番隊隊長を務める人
元柳斎ってのは後からつく(らしい)




第一話

東流魂街44地区

私が死後に送られた場所だ。

そこは治安がいいと言う訳ではなかったがすこぶる悪いわけでもなかった。

70番台の地区は生活もままならないほど悪いと聞いていたので、自分は幸せなのだなと思ったことは記憶に新しい。

まぁなんやこんやと生活していると知らず知らず年月は過ぎていくもので、ここに来てから10年くらい過ぎた頃だとおもう。

その頃には私は自分が他の人と何かが違うことは感じていた。

何故かお腹は減るし、変な化物も寄ってくる。

空腹は自分で育てたいもを食べて凌いだ。作るのはとても手間がかかったが、盗みを働こうにも食べ物を育てて売っているところが見当たらなかった。

化物は自分で削って作った木刀で応戦した。勝てた。切れ味などないに等しいが。

そして、私には友達と呼べる者が一人もいなかった。

そんな頃に私は1人の少年と出会ったのだ。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

その日、私は44地区を抜け出し、裕福な貴族が住んでいる区画に近い下町を訪れた。

この行動に特に深い意味はなかった。ただ、ふと行ってみたくなったのだ。

とても活気に満ち溢れるそこは私の目には眩しかった。

少し脇道にそれて人通りの少ない小道を一人で歩いていると、後ろから殺気を感じた。

私は最近会得した足に力を込めて速く移動する方法を使ってそこから飛び退く。

「びっくりしたー」

思わずそう呟き後ろを振り返ると先ほど自分が立っていた場所は小さなクレーターができていた。

そのまま視線をあげると、そこにいたのは時々私を襲ってくる化物だった。

「今日木刀持ってきてないんですけど」

あんまり物騒なものを持っていくのもなーなんて考えて木刀を置いてきた数時間前の私になりたい。

なんてこと考えてんだ。

これは本当にやばい。

そんなことを考えている間にもその化物は私に迫ってきていている。

手に力を込めてなんか出せないかな。

ミラクルおきないかな。

化物から走って逃げながら考えてみる。何事も挑戦が大事って誰か言ってたよね!

手を前にかざして気合いを入れると爆音が手から飛び出した。

え......まて、何事。

今、自分がしたであろう行動に驚きすぎて固まっていると、化物がすぐ横にまで迫ってきた。

逃げられない!と感じたその瞬間、真剣で切った刀音が聞こえた。

横を向くとそこには同い年ぐらいの少年が立っていた。

「大丈夫かの?」

「だ、大丈夫。ありがとう」

「お主、よく虚に襲われるのか?」

少年が私にそう問いかけた。

虚?虚ってなんだ。少年が刀で指さした方向をみると例の化物がいた。

「あー、虚ってのはその化物のこと、かな?」

そう聞くと、少年は頷いた。

「そうだね、その化物を虚と呼ぶのなら、私はよく虚に襲われるかな」

「今までどうやって戦っておったのだ?」

「木刀で、こう、バーンって。今日は木刀忘れちゃってさ、本当に助かったありがとう」

身振り手振りで伝えると少年は目を丸くした。

「木刀で、バーンと?」

「え、あ、うん。叩き割る感じで」

へらっと笑ってみせると、少年は驚いた顔を微笑みに変え、面白いやつじゃ、と言った。

思ったけど少年、その見た目でその喋り方はどうかと思うよ。

「お主、名はなんと申す」

「桐ヶ谷鈴です。あー、君は?」

「わしは山本重國。中流貴族の生まれじゃ」

わお、貴族様であられましたか。

その後私達は夕方になるまでいろいろなことを喋った。

私は44区画出身だとか、私だけ何故かお腹がすくこととか、私の周りの人は何故か衰弱してしまうこと。

足に力を込めたら速く移動出来ること、さっき気付いた手に力を込めると爆発すること。

少年......重國はその話を黙ってきき、解説を入れてくれた。お腹がすくのは霊力というものがあるからだと、周りが衰弱するのは私の大きすぎる霊力にあてられたからだ。

速く移動出来るのは瞬歩という技で、爆発したのは鬼道。力を込めると、という部分は霊力を込めているのだろう、と。

重國との出会いは衝撃の連続だった。

世の中はわからないことばかりだ。

空も夕焼けになり日が沈みそうになって私達は重い腰をあげた。

「わしはまた鈴と会って話がしたい。そうじゃな...一週間後、またここに来てくれぬか」

「私ももっと重國と喋りたい!喜んで行かせてもらうよ。もっと、いろんなこと教えて!」

「ああ、勿論」

じゃあね、お互い手を振って私達は反対方向に歩き出す。重國は貴族、私は流魂街の住民。それでも私はこの初めて出来た友人の存在が嬉しかった。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

それから私は週に一回重國と会った。

最初はお互いのことを話したりしていたが、最近はもっぱら重國の話ばかりだ。

私の話などすぐ尽きてしまうのだ。彼の話は全てが興味深かった。

何故、重國は真剣を持っているのかと尋ねると、虚から身を守るために親に教えられたと話した。

重國は強いのかと問いかけると歴代最高の霊力だと言われたと答えた。

私の霊力はどれぐらいだと尋ねると、自分が出会った中で一番大きいと言われた。

「そっか、じゃあ私は重國の次に強いんだね」

「いや、鈴より強い者はたくさんいる」

「え、でも...」

「皆、鈴より技術があるからの」

「なるほど!」

暫くの沈黙が二人の間に流れた。

その沈黙を破ったのは私だ。

「重國、私、強くなりたい。私に技術を教えて」

「鈴ならそう言うと思っておった」

そう言って重國は笑った。

私は貴方に追いつきたいんだ。

それから、私たちが会う週に一度の楽しみの時間は鍛練の時間へと変わって行ったのだ。

重國は私に霊力の操作や、探知、刀の扱い方、鬼道、縛道、白打などを教えてくれた。

死神の基礎である。

死神というのは貴族などのきちんとした教育を受けることが出来るものしかなることはできないものだ。

私は貴族ではないので死神になれないだろうが、重國とこうしている時間がとても楽しかった。

重國はいつか死神なるのだろう。

出会った頃は10代前半であった私たちの見た目も、もう10代後半になり大分成長した。

この世界では老けるスピードが極端に遅いのだから、私たちがどれほどの時間を過ごしたのか言うまでもないだろう。

誕生日にはプレゼントを渡した。一番印象に残ったものは木刀だ。私の手作りをあげたのだ。

それを使い、私達は刀を交えた。

最初は重國の圧勝であったその勝負も、今では五分五分である。

この数十年で私達は友人から親友になった。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

ある日、鍛練の休憩中に重國が私に尋ねた。

「鈴、死神になりたくはないか」

私はとても驚いた顔をしていたことだろう。

「なりたいよ、勿論」

重國は暫く黙ると口を開いた。

「わしはもうじき死神になる」

「そっかー、重國ともお別れだね」

こんな日が来ることは分かっていたのだ。彼は貴族で私は平民。なぜ、こんなにも悲しい。

「のう、鈴。」

「ん?」

「わしには夢がある」

「どんな夢?」

「ある組織を作ることじゃ」

「組織?」

重國は強い意志が灯った目を私に向けた。

「身分に関係なく死神になれて、強いものが上に立ち、死神の死亡率を減らし、死神の統制をとる、そんな組織じゃ」

「重國らしいね」

「もし、そんな組織が出来たら鈴、わしに協力してくれるか」

「勿論!親友兼幼馴染みのお願いは断れないしね!

私もそんな組織が出来たらいいと思ってる」

そう言って初めて重國に会ったときのようにへらっと笑ってみせた。

「そうじゃ、鈴」

「ん?」

「お主、もうすぐ誕生日じゃろう」

「そうだったね」

「誕生日プレゼントじゃ」

そう言って重國が取り出したものは刀だった。

「これは?」

「これは浅打という斬魄刀での、多くの時間を共に過ごすことで個人個人の能力に目覚めるんじゃ」

「へぇ、そんなものどこで手に入れてきたの?」

「なぁに、これは死神になる時にもらえるものでの、沢山あるから一本くらいなくなってもバレることはなかろう」

そう言って重國はいたずらっぽく笑った。

重國のそんなお茶目なところも仲良くなって気付いた一面である。

「ありがとう、大事にする」

「わしが組織を作って鈴を迎えに来るまでに卍解を習得しとくのじゃぞ」

「ば、卍解?」

「斬魄刀には始解と卍解というのがあるのじゃ。刀が心を開くまで待つことよの。話すことが出来るまで」

「刀と喋れるの?」

「そうじゃ」

「すごいね」

重國は私に斬魄刀を残して死神になった。

彼の噂は風に乗って私の耳にまで聞こえてきた。

彼は本当にすごい死神になるだろう。

彼が迎えに来てくれるまで、私はこの刀と鍛練を続けようと思う。

「これからよろしくね」

刀にそう話しかけると応えるように遠くから鈴がなるような音が聞こえた。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

それから私は毎日その名前も知らぬ刀と寝食を共にした。

もちろん毎日鍛練も欠かさない。

1年もすると傍に刀がいるのが普通になり、五年もすると傍にないと落ち着かなくなった。

重國は一年に一回ほど会いに来てくれる。

私が住んでいるのは人里離れた民家なので、訪れるのも大変だろう。

この刀と過ごしてもう何年になるだろうか。

10年は過ぎたのではないかと思う。

私は初めて精神世界なるものの中に入ることができた。

そこはとても殺風景な場所だった。一面が白い。遠くから鈴の音が聞こえる

そこには具現化した斬魄刀を名乗るものがいた。

「こんにちは。えーっと......斬魄刀さん?」

「こんにちは、鈴」

「私をここに呼んだってことはもしかして名前を教えてくれるの?」

「そのつもりよ」

目の前に立つ一人の女。

本当に目の前の女性が私の斬魄刀なのだろうか。

「ありがとう、貴女の名前は?」

「私の名前は......『無始曠劫』」

「むし...こうごう...」

「私の能力は時を操る力」

「時をあやつる?」

繰り返すように私は聞き返した。

「そうよ。」

「どうゆうこと?」

「時を操る。この意味は時間の感覚を操るということ。例えば、相手がどんなに速い攻撃をしてきてもこの力を使って自分の周りに流れる時間を遅くしてしまえばとても遅くなる」

「とても便利そうだね。工夫の仕様がありそう」

私がそう言うと彼女は微笑んだ。

「最後に問う。貴女は何のために力を求める?」

「そうだな、今は、大事な人のために」

「ありがとう。また何時でも来て」

「これからもよろしくね。『無始曠劫』」

「ええ」

私は精神世界を抜け出した。

目を開けるとそこは何時もの自分の部屋で、さっきまでのことが嘘のようだ。

「『無始曠劫』かぁ...。長い名前。あー...そうだな、」

略して曠劫って呼んじゃおうかな。

なんちゃって。

私が始解を習得した少し前に重國も始解を習得したらしい、というのはもう少し先に知ることになる。

『無始曠劫』、彼女の能力はこれはもうとても素晴らしいものだった。

重國も炎熱系最強の斬魄刀だとかなんだとか言われているらしいが、私の曠劫も負けてないだろう...多分。

彼女とは沢山鍛練をした。

随分、使いこなせるようになったように思う。

卍解はまだ習得できていないが、焦らず努力するのみである。

そして、重國が卍解をもものにしたと聞かされたのは私が始解を手にしてから10年ほどたった頃だった。

私はまだ卍解の「ば」の字も会得していない。

流石は重國といったところか。

そして私が卍解を会得したのはそれから30年ほど経過した頃、つまり始解を手にしてから50年程だ。

随分と時間がかかったことだなぁ、と我ながら思う。

曠劫の言うことには、私が全然自分を使って戦闘をしてくれないから拗ねていた、と。

お前は戦闘狂か何かか、と声を大にして叫びたい。

いい加減可哀想になってきたので教えることにしたと言われた。

我が儘だな、おい。

まぁ、いいんだ。

卍解を会得できたらいいんだよ、うん。

そしてこの卍解には素敵な副産物があった。曠劫曰く、老けない。

時間を司る斬魄刀ならではの副産物である。

私はとても感動した。

これからもし何千年と生きて、おばあちゃんになるのだけは勘弁したいと思っていたのだ。

ありがとう。本当にありがとう。

私は今20代前半の見た目である。

ああ、よかった。一番自分が美しい時期で。

私は重國が約束を果たして私を迎えに来る時に自分の見た目を止めることに決めた。

初心忘れるべからず。私は自分の姿を見るとき、必ず今の私を思い出せるはずだ。

これで私は重國との約束を果たすことができたのだ。あとは、重國を待つだけである。

彼が夢を叶えるまで、私は鍛練を積もうと思う。

そしてその同時期、ある噂が私の耳にも届いてきた。

流魂街に大罪人現る。

殺しを初めとする罪を幾度となくおこし、捕らえにいった死神は全て殺し、とてつもなく強い。

世の中も物騒になったものだ。

そして、卍解を会得して数年、運命の日はやってきた。

重國が私の家を訪れたのだ。

それもとても興奮して。

こんな重國は、百年お互いを知っている私でも初めてみるものだった。

ああ、これは、

とうとうこの日がきたんだ。

「鈴!とうとう、とうとう夢が叶った!」

「待ってたよ、重國」

「わしと、一緒に来てくれるか」

「勿論。」

「ありがとう、随分と待たせた。

わしが創立する組織の名は、護廷十三隊。

鈴、お主を

――――十番隊隊長に任命する。






『無始曠劫(むしこうごう)』
始めがわからないほど遠い過去のこと


始解とかの名前とか能力とか考えるのは楽しいけど厨二感が否めない

小説続くかな...続くといいな

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