いつの間にか二千歳   作:桐ヶ谷御幸

3 / 3

色々考えたんですが、これから原作と矛盾が生じるかもしれません。ご了承下さい。(原作にも矛盾があ...((殴 )


雀部長次郎忠息
後の一番隊副隊長。
西洋風の人です。



第三話

護廷十三隊が出来ていろいろと忙しかったが、その忙しさも落ち着きを見せ始めた頃。

今日は最近また始まった週に一度の重國との鍛練をする日だ。

やって参りました、元字塾の道場。

皆さん覚えてますでしょうか。

私と重國が消えない傷を負った、あの道場であります。

「鈴、きたか」

道場の中から重國が出てきた。

「わざわざ来てもらってすまんのぉ」

いつもは重國の家で鍛練をするのだが、今日は何でも道場に行かねばならなかったらしい。

「気にしないで」

道場に入ろうか、と足を進めようとした時だった。

「ノ字斎殿!!」

大きな声が後ろから聞こえた。

声がしたほうに目を向けると白い髪の青年が門の前に立っている。

「またあやつか...」

横で重國がため息をつく。

彼は誰だろうか。

「彼は?」

「ここ数ヶ月わしの周りをうろちょろしとる奴じゃ」

「へぇ!物好きだねぇ」

私は興味津々で彼を見る。

「私を!ノ字斎殿の右腕にして下さい!」

「またお主か!性も懲りなくまた来よって」

「どうか!」

「本当に面白い子だね。こんなに言ってるんだから右腕にしてもいいんじゃないの?」

「そんなもんいらん」

ここまで重國と会話していると白髪の青年は私のことに気が付いたようだ。

「あなた様は...」

「あ、私?私は桐ヶ谷鈴、よろしくね。えーっと、君の名前は?」

「雀部長次郎忠息であります」

「なるほど、長次郎くんね。長次郎くんは何でそこまで重國の右腕になりたいの?」

「ノ字斎殿を尊敬しているからであります!」

重國もここまで尊敬される人物なのかすごいなぁ、などと思っていると重國が隣で声を荒らげた。

「そこまで言うのなら1ヶ月で卍解を修得してみせよ」

重國、それは鬼畜だよ。

私なんて卍解の修得に何年かかかったと思ってるの。

五十年だよ五十年。

無理、1ヶ月とか絶対無理。

「それはちょっと鬼畜じゃあ...」

「わかりました!!修得して参ります!」

「って...ええ!?」

長次郎くん!?

長次郎くんは踵を返してここを去っていく。

「あんなこと言っちゃっていいの、重國」

「無理だから言ったのじゃ」

「あの子ならしてきそうで怖いよ」

面白そうだから絶対に1ヶ月後の長次郎くんを見に来ようと決意しました。

長次郎くんが卍解を修得すると言ってから一週間ほどたった頃、長次郎くんが私を訪ねてきた。

「桐ヶ谷殿はいらっしゃいますか」

丁度十番隊の仕事が一段落ついた時だったので、いるよーと返事をする。

「お忙しいところすいません」

「いやいや。で、どうしたの?」

「その、卍解の、ことなんですか」

卍解が修得出来なくて困っているといった所だろうか。

「もしかして、コツを聞きたいとか?」

「はい!桐ヶ谷殿は隊長なので、既に卍解を会得していると聞いております。私にご教授を頂けませんか」

「うーん...」

「まだ全然卍解を修得出来なくて」

「教えてあげたいのは山々なんだけどね」

私は卍解の修得に五十年かかりましたなんて、言えない。

「卍解は自分一人で修得するもんじゃなくてね、斬魄刀と通じ合って修得できるものだと思うよ、私は」

私にはこれぐらいしかアドバイスをすることが出来ない。これは私が卍解を修得するときに得た教訓である。

もう少し曠劫と語り合っていれば、彼女の不満に気付いてあげられて、もう少し早く卍解を修得できたかもしれない。

まぁ、ただの推測であるが。そして曠劫の不満は私にもっと戦闘をしろと言うことだったが。

「な、なるほど」

「まぁ、斬魄刀と語らって、修行あるべし!頑張れ長次郎くん」

そう言って彼の肩を叩く。

「ありがとうございます」

「私は長次郎くんのこと応援してるから。よかったら重國の右腕になってあげて」

「!はい!」

長次郎くんは本当にいい子だな、と二回しか会ってないのに感じる。

彼ならば重國を支えるよき右腕になるだろう。

「私は右腕じゃなくて、仲間がいいかな」

そう長次郎くんが帰っていった道をみつめながら微笑んだ。

そして暫くして、今日は卍解修行します宣言の1ヶ月後である。

準備は完璧だ。前もって今日は重國とお茶をしようと約束している。

長次郎くんは家にもやって来るらしいのでその辺は問題ない。

でも考えてみると長次郎くんって結構なストーカーである。

重國は今日が約束の1ヶ月後であると気が付いているのだろうか。

「重國、今日は何の日か知ってる?」

「なんじゃ、急に」

「いいからいいから、考えて」

目を閉じて考え出す重國。

見守る私。

玄関前から聞こえる大きな声。

「ノ字斎殿ー!!」

ゆっくりと重國が瞼をあげる。

「もしや...」

「正解はあの日から丁度1ヶ月後でした!」

重國は、はぁとため息をついた。

玄関まで歩き、扉を開ける。

「なんじゃ、雀部」

「ノ字斎殿!私をどうか右腕に!」

「毎日毎日懲りんのぉ」

え、もしかして1ヶ月間ずっと卍解の修行しながら通ってたんですか。

「ノ字斎殿!右腕に!」

横で何かが切れる音がした。

「うちの塾生でもないくせに毎日のようにうろちょろとしよって!付き人なぞいらんと言ったはずじゃ!」

重國が声を荒らげる。

「付き人ではなく右腕にして頂くために参っておるのでございます!」

「ならば門下に入って、師範にまで上りつめれば右腕にもなろう!」

「門下ではノ字斎殿の真似事しか出来ませぬ。右腕とはノ字斎殿の手の回らぬところを補ってこそ!」

私は二人の言い合いを静かに眺める。

「ひと月前の仰せのとおり、卍解を修得して参りました」

重國の顔が一瞬驚いたように固まったが、すぐに表情をただし眉を上げて重國は言い放った。

「ほう。ならばその卍解でこのワシを倒して見せよ」

二人は庭に向かうと互いに向き合う。

私は少し離れたところで観察である。

さて、本当に長次郎くんは卍解を修得したのだろうか。本当にしたなら彼は素晴らしい才能の持ち主である。

たった1ヶ月で卍解を修得するなんて、私には考えられなかった。

二人は刀を抜き、構える。

最初から長次郎くんは始解をしたようである。「穿て『厳霊丸』」という始解の解号が聞こえてきた。

それを重國は始解もしていない刀であしらっていく。

あぁ、でも少し霊力をあげたみたいだ。

一発も重國に当たらないことを実感したのか、少し距離をあけて長次郎くんは立った。

「『黄煌厳霊離宮』」

これが、長次郎くんの、卍解。

長次郎くんの斬魄刀から放たれた雷が天へと登っていく。

天候を、操れる斬魄刀。

長次郎くんの手が下に落とされると、雷も上空から落とされる。

雷の早さには流石に反応出来なかったのか重國に直撃した。鋭い一撃。

その雷はまるで刀のように細く、鋭かった。

重國の額から血が流れる。

彼の額には十字の傷跡が刻まれていた。ひとつは私がもう一つは長次郎くんがつけた、その傷跡。

長次郎くんの卍解は素晴らしいものだった。

重國が口をひらく。

「赤子のような卍解じゃ」

重國はきっと内心ではそんなことを思ってないのだ。きっと、重國も長次郎くんの実力を認めたはず。

だって、重國の表情は先程よりも優しい。長次郎くんにはわからないかも知れないが、私にはわかった。

「その通りです!生涯をかけ、この卍解がノ字斎殿のお役に立つよう磨き上げて参る所存です!」

長次郎くんは重國の言葉に落ち込むことなく返した。

その光景に無意識に笑みが溢れる。

その後、重國はいやいや言いながらも長次郎くんを追い返すことなく傍に置くようなった。

長次郎くんは血の吐くような卍解の鍛練を重ね、長次郎くんの名前は尸魂界で知らぬものは居なくなった。

それから、長次郎くんは重國を支えるために一番隊副隊長に就任したのだ。

そして重國は、額の傷が十字になったことから重國は「ノ字斎」でなく「十字斎」と呼ばれるようになった。

しかし長次郎くんだけは頑としてノ字斎殿と呼び続けた。

本人曰く、私ごときがつけた傷がノ字斎殿の名を変えていいはずがない、と。

そのことを聞いた重國は自らを「元柳斎」と名乗るようになる。

重國は「山本元柳斎重國」になったのである。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

重國はいつも突然途方もないことを言い出す。今回は

「学校を作る」

と。

「......え?」

ワンテンポ遅れて私の呟きが漏れる。

私は今、重國の自室でお茶を飲んでいた。勿論、今日の仕事は終わらせている。こう見えても私は結構真面目な隊長をしているのだ。

重國は、まぁ重國のことだからきちんと終わらせているのだろう。

「学校?」

私が聞き返すと重國は深く頷いた。

「そうじゃ」

「へぇ」

「今、死神はほとんど貴族しかなれないじゃろ?だから学校を作って誰でも死神になれるようにするんじゃ」

「なるほどねー」

「流魂街からもより強力な霊力の持ち主が死神になって、護廷十三隊はより強くなれる」

「いい考えなんじゃない」

うん。確かにいい考えではある。

だがしかし、だ。

まったくもって私にはその学校を作るという熱い想いはないのである。

「手伝ってくれんかの」

......熱い想いなどないのである。

私にそんなことを言ってくるってことはそう言う事だとわかってました。ええ、わかってましたとも。

「...ちなみに拒否権は」

「総隊長命令じゃ」

「ないんですね、わかります」

そんなこんなで学校を作ることになりました。

私一人だと荷が重いので、最近重國の右腕(自称)になった長次郎くんにも声をかける。

元柳斎殿のご命令ならば!と一つ返事で了承する長次郎くん。

うん、君はいい右腕だよ、本当に。

今日は三人で会議だ。

「場所とかは決まってるの?」

「ああ、めぼしい場所は見つけておる」

「許可はあるのですか」

「もうすぐ出るはずじゃ」

「私たちは何を手伝えばいいの?」

「授業内容と、生徒勧誘、教師も集めねばな」

教師と生徒は顔が広い重國と重國についていくと言ってきかない長次郎くんがやってくれるそうで、私は授業内容を考えろ、とのこと。

この学校は6年制なので、6年分考えねばならなかった。

「さて、どうするかな。まずは、斬術、鬼道、縛道......」

死神の基礎になる部分を羅列していく。ある程度出たところで、難易度から学年ごとに振り分けた。

「こんなもんかな。あぁ、あとアレを入れよう」

私はいい事を思いついたように一人でにやっと笑った。

「現世での虚討伐」

やっぱり、虚を倒す経験は大事だし、現世のことを知っておくのも大切だ。

いつか、現世任務につく人がその中にいるかもしれないんだから。

数日かけて決まった授業内容は大分いいものになったと思う。

後の細かい所は教師になった人に考えてもらうとしよう。

数日後、重國と長次郎くんともう一度集まり、授業内容が決まったことを伝える。

「わしらのほうも大分集まった」

「あとは学校の完成を待つだけですね」

もう既に工事は始まっていて、あと一年程したら出来るとのこと。

いつの間にか私にも重國の学校を作りたいという熱い想いが移ったようで、学校が出来るのが待ち遠しかった。

それからもろもろ細い所を手伝い、過ごしているうちに一年というのは早いもので、学校が完成した。

重國が名付けたその学校の名は「死神統学院」。

そこからは様々な死神が巣立ち、尸魂界と護廷十三隊の歴史を作っていったのである。





死神統学院
後の真央霊術院。
更木とか以外は大体ここを出てる。(多分)


感想、意見、評価などお待ちしてます。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。