モルモットと傭兵 小説版   作:まるちうぇいぶ

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1ー2 傭兵

 *

 

すー、すー。

安らかな寝息が聞こえてくる。

無邪気なメアリーも、もう疲れてしまったようだ。

一人になってしまった僕は、ゆっくりと部屋の中を見回す。

水槽の中には、しっぽが切れた金魚。実験失敗。失敗作。そんな風に呼ばれているとは知らず、友達が可愛がっている。

いつか、僕たちもああなってしまうのかな。らしくもなく、そんなことを考えていた。 **

「大丈夫か?」

声を掛けてきた軍服の青年に、とりあえずはい、と答える。

「私は、この軍を指揮するものだ。お前、名前は?」

答えようと記憶を手繰り寄せるが、少し目眩がしただけだった。

「疲れているようだな。とりあえずこちらへ来い。」

反抗する様子のない僕を見て、味方と判断したのか、近くの小屋のようなところに連れていってくれた。

「仕事は?」

どうやら、この青年はとても優しいようだった。

仕事、と言われても何も思い出せない僕は、黙って首を横に振った。

 

「うーん、疲れた……」

メアリーが呟いた。

ここでの生活は、何もなくても疲れる。それは最早当たり前すぎて、思い出すこともないほどだった。吸い続けるのは淀んだ空気。僕の世界におしまいが訪れるまで、それは変わらないのだろう。

しかし、本当に眠くなってきた。目を閉じると、何故だか少年の姿が目に浮かんだ。少年と言っても、青年に近い年だ。なぜ…?と考えるうちに、突然意識が傾いた。そして、少年が「グミー!!」

と叫んだような気がしたーーー

**

「仕事…無いのか?」

あるのか無いのかすら、もう思い出せない。

黙っていた僕を見て、青年は肯定と受け取ったようだ。

「なら、傭兵になるという手がある。」

傭兵……。

「とりあえず、今の世で兵力は誰もが欲しがっているし、食べていくことはできるだろう。」「分かりました。」

もう何も考える気が起きなかった僕は、深く考えずに頷いてしまった。

 

*翌朝。

「うう…寒いよ…」

メアリーは、昨日飲んだ薬のせいか、がたがた震えていた。それを見た僕は、黙って毛布をかける。

「ありがとう…!」

メアリーの顔は笑顔になる…が、それも力ないものだった。

「注射の時間だ。」研究員が言った。「来い。」

メアリーを指差して言う。震えているのは見えないようだ。

注射は嫌い、といつか言っていたメアリーの前に僕は出る。

チク、タク、チク、タクと、鳩時計が鳴る音がやけに響いていた。**

それから、僕は都督のもとで機関銃を持ち働くことにした。

この国は息の詰まるような独裁国家だが、今の僕には働けるだけで十分だ。

そう、思っていた。

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