インフィニタスポテンシア~無限の可能性~   作:北欧狐

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輝の過去話後編です。まだ前編を読んでない方はそっちから読んでください。


過去〜後編〜

そして月日は流れとある国。

その国は貧富の差が酷く金を持つ者は醜く太り毎日贅沢をして過ごし、貧しい者は痩せ細り毎日を生きていく為に必死でした。

 

そこに【彼】の姿がありました。

 

服はボロボロのTシャツと長スボンで組織にいた頃より明らかに痩せていました。力を封印し今は12歳の子供くらいの力しか出せません。そのため力仕事はできず組織で算数などを教わらなかったため仕事に就けず毎日パン屋や店から食べ物を盗んで毎日をギリギリ過ごしていました。醜く太った大人たちには決して追いつけはしない風のようにただ走りました。

 

ある日、いつものようにパン屋からパンを盗んで店主から逃げている時に市場の人混みの中で1人の俯いた少女とすれ違いました。その少女は恐らく奴隷として買われて来たのでしょう。俯く少女の目には涙が、そしてその少女の手を醜く太った男が握って他の大人と話していました。黒く腰まで伸びた長い髪に所々泥などが付いており服も綺麗なお召し物とは程遠い物を着ていました。それでも【彼】はその少女を美しいと目を奪われていました。そしてその大人と少女の跡をつけ、屋敷を突き止めました。

 

次の日から【彼】は少女に会いに行きました。最初は少女もぎこちない反応でしたが次第に心を開き名前を教えてくれました。少女は【クロナ】というそうです。【彼】も【白銀の輝】と呼ばれる前の元々の名前を【少女】に教えました。そのあと見せてくれた笑顔に【彼】は心を奪われ翌日からも会いに行きました。屋敷の柵を越えて侵入したり木に登ったりして【少女】に会いに行きました。そして色々なことをして【少女】を楽しませました。いくら力を封印しても手先などは器用なのでそれを生かし手品をしたりしました。

 

ただ【少女】の笑顔が見たくて。

 

【少女】と初めて会ってからどのくらい経ったか。【彼】は【少女】に言いました。

 

「この国には夕日がとても綺麗に見える花畑がある。いつか連れて行ってあげる。」

 

と【彼】は【少女】と約束しました。

 

 

しかし【少女】は会いに行く度に痣が増えたり傷が増えたりしていました。【彼】が聞くと【少女】は

 

「あの人に殴られたりしているの。でも大丈夫。こんなの全然大したこと無いし毎日あなたが来てくれるから耐えられる。」と。

 

それで彼はその言葉で自分はこの子を救えてる

、力が無くても救える、そう思いました。いえ、思い込んでしまいました。

 

 

そしてその日が来てしまいました。

ある日【彼】がいつものように【少女】に会いに行くと【彼】は見てしまいました。あの時の大人に殴られたり蹴られたりする【少女】の姿を。そして大人が部屋を出て行ったあと身体中の痣や傷を自ら布切れを巻いたりして治療する【少女】の姿を。組織を破壊してからずっと人の世で過ごしてきた【彼】はあの頃より遥かに人の心を理解していたが故にわかってしまいました。前に自分が傷のことを聞いた時言った言葉は本当は我慢していただけなのだと。

 

そして彼は走り出しました。武器屋から剣を盗み屋敷の、【少女】の元へひたすら走りました。重い剣を引きずりながら走る姿は【風】というにはあまりにも悲し過ぎるものでした。

 

やがて屋敷に着き警備兵や屋敷の中にいる者を斬り殺して行きました。その途中で奴隷がいた為その者たちは逃しました。しかし、その助けだした奴隷たちの中に【少女】の姿はありませんでした。そして屋敷中の奴隷や優しそうな人たち以外を殺して屋敷の主人だったあの時の大人も殺したあと、漸く【少女】を見つけました。【少女】はひたすら床を拭いていました。【彼】は急いで【少女】に近づいて行きました。それに気づいた【少女】はすぐ側まで来ていた【彼】を見上げました。そして彼は絶句しました。【少女】は壊れた魂で微笑みました。そこには【彼】が好きだったあの笑顔はどこにもありませんでした。【少女】の心は壊れてしまったのです。そして【彼】は【少女】を楽にする為に・・・いえ、そんな【少女】を見たくなかったが故に最後の一振りを【少女】に。

【少女】が力尽きる間際に何か言っていた気がしますが【少女】が声を出せなかったのと自分の無力さや世界の残酷さにショックを受けている【彼】は気づきませんでした。

 

その後【彼】は【少女】を布で包み抱えて屋敷を後にしました。そして【彼】が向かっていたのはかつて【少女】に約束した花畑でした。

そこに【少女】を埋めお墓を作りました。お墓が出来た後彼は本気で泣きました。

 

そのお花畑には薄い紫色の綺麗な【紫苑】が咲いていました。【紫苑】の花言葉は

 

【あなたを忘れない】

 

しばらく泣いた後、まるで全てがどうでもいいかのような顔でその場を去りました。そして飲まず食わずのまま歩き続けてついに【彼】にも限界が来ました。【彼】は倒れ、【ああ、自分はここで死ぬんだ。もし生まれ変われるなら次は今よりもっとマシな人生を送りたい】そう思いながら彼は目を閉じました。

 

しかし、【彼】は目を覚ましました。なぜか【彼】は室内にいてベッドに横たわり布団までかけてありました。すると、突然部屋のドアが開きました。入って来たのは金色の綺麗な髪をして黒い服を着た女性でした。【彼女】が言うには好物を買いに行った帰り道で生き倒れていたのを拾ったそうです。その後、【彼】は治療や身体の回復の為に【彼女】と過ごしました。そしてある日ある事実を知りました。なんと自分の命を救ってくれた【彼女】こそが自分を誘拐し改造してまで倒そうとした【殺し屋】なのです。まぁ、そんなことがあったとしても【彼】としては【彼女】を殺すとかそんなのどうでもよかったのです。そして【彼】は自分にも変身(トランス)能力があることを伝え【彼女】を師として能力の使い方などを教わりました。

 

そしてそれから数年後、【彼女】との修行中に教わったことを胸に【少女】の墓の前に来ました。そして【彼】は誓いました。

 

【この誰かを何かを破壊する為に作られたこの力でみんなを守ってみせる。この力が破壊する為の力じゃないと証明してみせる】

と。

 

それから数年後、彼はあの誓った日からずっと世界の闇と影ながら戦い続けました。いつしかそんな戦いをするものたちが集まり【白夜の黒十字】が作られました。

 




いかがでしたか?
ちなみに日の途中封印期間中の展開は【カルマの坂】を、モデルにしました。
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