HUNTER×HUNTER・IF   作:第7サーバー

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英雄的な俺(ヒーロースピリット):相手が強ければ強いほど、悪ければ悪いほど、状況がピンチであればあるほど、それらを加点としてオーラの総量を増加する能力。
逆に失点を得るとオーラが減少する。
増加量に応じて必殺技が使えるようになる。

加点:上記参照。
失点:卑怯なことをするなどヒーローらしくない行為をする。

反英雄的な俺(ダークヒーロースピリット):“英雄的な俺(ヒーロースピリット)”と根本を同じくしながらも、性質が反転した能力。

※オリ主の名前が作者の他の作品のと被ってるのは、作者の中でその名前が流行ってたから。
性格も違うし、別に同一人物とかではありません。


ハンター試験会場 → ククルーマウンテン

「――君、可愛いな」

「え?」

「少し話さない? 長いかも知れないハンター試験だ。同行者がいるのもいいだろう?」

「いえ、私そういうのは……」

「俺は“スター”だ。君の名前は?」

「……だから、私はあなたと話をするつもりは」

「仕方ないんだ。君が可愛いのが悪い」

「はぁ……。いいからもうどっかに行ってよ。これ以上私に関わると酷い目に合うわよ」

「大丈夫! 俺は君の全てを受け入れられる自信がある」

「……そう。これでも?」

「ん?」

「手」

「……蜂だな」

「蜂ね」

 

「「…………」」

 

「それで、君の名前は――」

「え、スルー?」

「虫と心を通わせられるなんて君が優しい証拠だ。俺はますます君に興味を持った」

「……“ポンズ”よ。ほら、名前がわかれば十分でしょ。これ以上私と関わりを持ちたければハンターになることね。仕事仲間としてなら話だってするわ」

「なるほど。まずは仕事優先ということか。ポンズはマジメなんだな。そういうところも魅力的だ」

「そ。わかってくれたなら離れてくれる? どんな試験になるかわからないし、あんまり目立ちたくないのよ」

「うー、残念だが仕方ない。ただ、試験中困ったことがあれば俺を一番に思い出して頼ってくれ」

「はいはい……」

 

 

~~中略~~

 

 

「ふんふふーん。お。君も可愛いな――えっ! 男!!?」

「……」

「ま、ままま、気持ちはわかるが落ち着け、“クラピカ”」

「私は落ち着いている」

「だから、その威圧感を収めろって言ってんだよ!」

「へー、ほー……ちょっと失礼」

「な、何をっ!!?」

「なるほど。確かに男だ……うげっ、男の触っちまった」

「貴様が勝手にしたことだろう!」

「というか、仮に女だったらセクハラだぞ」

「その場合は俺は嬉しいから問題ない」

「問題しかないだろう!」

 

「――ねえ、お兄さんもハンター試験受ける人だよね?」

「ん、そうだぞ。俺はスターだ。よろしくな」

「うん! オレはゴン。“ゴン・フリークス”! よろしくね!」

「そうか。そっちは?」

「オレは“レオリオ”だ」

「……クラピカだ」

「ゴンにレオリオにクラピカだな。覚えたぞ。ここで会ったのも何かの縁だ。しばらく同行してもいいか?」

「うん。オレはいいよ」

「そりゃよかった。ほら、ここってムサイ奴が多くて。そんな中で知り合った女性の受験者には同行を拒否られちまったしさー。まあ、そこがマジメで可愛くもあるんだが、話し相手がいないのも退屈だろ?」

「……その受験者は賢明な判断をしたようだ」

「クラピカ。やめとけよ」

「……わかっている」

「なんか嫌われちまったみたいだな」

「さすがにおまえの自業自得だが、こいつも時間が経てば機嫌も直るだろ」

「ふん……」

「――クラピカ。機嫌を損ねているのはわかるが、一つだけ言っておきたいことがある」

「謝罪は必要ない」

「いや、そうじゃなくてだな」

「?」

 

「ズバリ、“性転換”をする気はないか。責任は俺が取る」

 

「…………」

「ま、ままままま、落ち着け! クラピカ! こいつはアレだ! ただの冗談! さもなきゃ、きっとバカなんだ! マジメに反応すると損するぞ!」

「……くっ、わかっている」

 

 

~~中略~~

 

 

「辛そーだな、レオリオ。なんなら引きずって行ってやろうか?」

「そこはせめて背負って行くって言えよ!」

「男を背負うのはちょっと……」

「あーあー! オレだって男に背負われるのなんてごめんだぜ! なりふりかまわなきゃまだまだいけることがわかったからな! フリチンになっても走るのさー!」

「フ……む。なんだ、その目は」

「いや、本当に男なんだなーって。やっぱり“性転換”……」

「くどい!」

「わかったわかった。そんな睨むなよ。俺はゴンの方に行ってるからよ」

 

 

~~中略~~

 

 

「いつの間にか一番前に来ちゃったね」

「うん。だってペース遅いんだもん」

「あ、しまった。ポンズは――よかった。まだ余裕そうだな。いや、でも辛そうにしてくれてた方が逆に背負うことが出来たのか……」

「ポンズって?」

「走る前にちょっと話した女性の受験者のことだ。将来的には俺の彼女になる予定だ」

「へえー、そうなんだ?」

「オレが言えたことじゃないけど、あんたハンター試験に何しに来てんだよ」

「何言ってんだ。未知なる出会いを求めてこそのハンターだろ」

「なんか違くないか?」

「“キルア”は何でハンターになりたいの?」

「オレ? 別にハンターになんかなりたくないよ。ものすごい難関だって言われてるから面白そうだって思っただけさ。でも、拍子抜けだな」

「だったら“念”能力者の相手でもしてればいいだろ」

「“念”能力者?」

「スター、“念”能力者って何?」

「ん、俺も誰かに習ったわけじゃないから、自分がそうらしいってこと以外はよく知らないが――」

「――3人共、それくらいで。地上に出ますよ」

 

 

~~中略~~

 

 

「――ゴン、ついでにあんたも。もっと前に行こう」

「うん。試験官を見失うといけないもんね」

「そんなことより“ヒソカ”から離れた方がいい。あいつ殺しをしたくてうずうずしてるから。霧に乗じてかなり殺るぜ」

「む。“ヒーロー”の出番か」

「“ヒーロー”?」

「実は秘密だが俺は“ヒーロー”なんだ」

「え、ホントに!!? オレ、“ヒーロー”って初めて会ったよ」

「……信じるなよ、ゴン。こいつイタイ大人だ」

「ホントだっつーの。頑張りすぎてそういうことやりたかったらハンターになってからにしろって、現役のハンターとかに頼まれるくらいの“ヒーロー”っぷりだったぞ俺は」

「それ完全に自称だろ。やっぱイタイ大人じゃねーか」

「だから、スターはハンター試験に来たんだね!」

「そうなるな」

 

 

~~中略~~

 

 

「――レオリオ!」

「ゴン!」

「ポンズは問題ないな……」

「……まさか、あんたも行く気?」

「言ったろ。俺は“ヒーロー”なんだよ。まあ、基本的に女性しか助けないが……顔見知りの場合はその限りではない」

「それ人選んでるし、完全に“ヒーロー”じゃないと思うけど」

「まあ、“ヒーロー”は趣味だからな」

「趣味かよ!」

「とにかく後は俺に任せておけ!」

「任せるも何も……って行っちまったし、まあ、いいか」

 

 

~~中略~~

 

 

「やるねボウヤ▲ 釣竿? おもしろい武器だね★ ちょっと見せてよ◆」

「てめェの相手はオレだ!」

 

「――“ヒーロー”参上ッ!!!」

 

「ぐえっ……」

「あ、やべっ、巻き込んだ」

「レオリオ! スター!」

「危ない危ない▲ 君もボウヤと同じく仲間を助けに来たのかい?」

「その通り! 俺は“ヒーロー”だからな!」

「“ヒーロー”? その割にはその仲間を巻き込んでいたけど……★」

「それはお前が避けたからだ」

「そりゃ避けるよ◆ 君“念”能力者だろう?」

「そうらしいな!」

「らしい?」

 

「見ろ! これが俺の――“英雄的な俺(ヒーロースピリット)”ッッッ!!!」

 

「……へえ。これはこれは。すごいオーラの量だね」

「おわっ、俺もちょっとビックリだ。――説明しよう! “英雄的な俺(ヒーロースピリット)”は相手が強ければ強いほど、悪ければ悪いほど、状況がピンチであればあるほど、それらを加点としてオーラの総量が増加する能力なのさ!」

「なるほど★ それが君の制約か▲ 細かい制約を色々と付けることでオーラの増加量を増やしている……自分の能力を説明するのもその一つかな◆」

「よくわかったな! “ヒーロー”らしく正々堂々とした行いをすると、さらに増加量は倍率ドン! となるのだ!」

「ふーん、そうかい★(強化系……単純だけどその増加量はバカに出来ない……いや、相手がボクだからだとしても多すぎる……特質系? 違う……増加じゃなくて制限……元々並外れたオーラの持ち主で、相手に応じて解放してると考えた方がしっくりくる★)」

 

「それに加えて必殺技も――」

 

「あ、それは今はいいや▲」

「何ィ……いいってなんだよ!」

「君達は全員合格だから◆ それに君、それだけのオーラを持ってる割に“天然もの”っぽいし、ここで全てを出し尽くすのも、もったいない★」

「見せ場なしだと……」

「やっぱりね▲ ボクの提案一つで引くってことは、制約として加点だけじゃなく失点もあるってことかな★ 例えば相手が和解や停戦を申し込んで来たら受けなければならないとか◆」

「……まあ、確かにそれは無視すると失点になるけどな。別に戦えないほどじゃないぞ。他の加点で打ち消せる程度だ」

「でも、やる気はないんだろう?」

「“ハンター証”は欲しいからな。そんなに時間をかけられない」

「ボクもだよ★ せっかくだ▲ 君とはそれなりの舞台でやりたいかな◆ “ヒーロー”なんだろう? 盛り上げればさらに強くなりそうだしね▼」

 

「……どうにも。結局、引きずって行くことになったな。レオリオ」

 

 

~~中略~~

 

 

「何で、みんな建物の外にいるのかな」

「――中に入れないんだよ」

「キルア!」

「よ。どんなマジック使ったんだ。絶対、もう戻ってこれないと思ったぜ。ヒソカのが先に帰って来たし、何かスゲェ威圧感みたいなのも感じたしよ」

「うん。ここにいる人達の匂いを辿ったんだ」

「匂いだぁ~~~? お前……やっぱ相当変わってるな」

「そうかなー」

 

「――で、何で中に入れないの?」

「見ての通りさ」

 

[本日 正午 二次試験スタート]

 

 

~~中略~~

 

 

「おかしい……! 妙だぞ!!? 明らかに奴の体積より食べた量の方が多い!」

「いや、そんなにマジで悩まれても……」

 

「二次試験後半――あたしのメニューは“スシ”よ!」

 

「スシ? スシって何だろ? ライスだけでつくるのかなー」

「道具とか見ると、他にも何か使いそうだぜ」

「スシってのは魚の切り身をライスにのせた料理だぜ。俺食ったことある」

「へえー、そうなんだ! レオリオ、クラピカ、魚料理だってー!」

「魚ぁ!!? ここは森ん中だぜ!!?」

「――声がでかい!!!」

 

「「「魚!!!」」」

 

「ちィっ、盗み聞きとは汚ねー奴らだぜ!」

 

 

~~中略~~

 

 

「俺の番だな!」

「お。ようやくまともなのが来たわね。どれ――ん、おいしいわね、合格!」

「よっしゃ、いっちばーん!」

 

「スター合格だって!」

「おお。つくり方は見てたぜ。簡単だし、オレ達もとっとと合格しちまおーぜ」

 

「ちっ……一番乗りは逃したか。まあいい、ふっふっふ、これがスシだろ!」

「これも形はまあまあね。肝心の味は――ん、ダメね。おいしくないわ! やり直し!」

「な、なんだとー!!? スシなんてメシを一口サイズの長方形に握って、その上にわさびと刺身の切り身をのせるだけのお手軽料理だろーが! こんなもん誰がつくったって味に大差ねーべ! オレがハゲだからって差別してんじゃねーだろーな!」

 

「「「なるほど、そういう料理か!」」」

 

「はっ、しまったー!」

 

 

~~中略~~

 

 

「だからー、しかたないでしょ、そうなっちゃったんだからさ。一応合格者は1名いるんだからそいつだけ合格させればいいじゃない! はあ!!? この後の試験のことまで責任持てないわよ!」

「……」

「報告してた審査規定と違うってー!!? なんで!!? はじめっからあたしが“おいしい”っていったら合格にするって話になってたでしょ!!?」

「それは建前で審査はあくまでヒントを見逃さない注意力と――」

「あんただまってなー!!!」

「こっちにも事情があんのよ。テスト生の中に料理法をたまたま知ってる奴がいてさー。そのバカハゲが他の連中に作り方を全部バラしちゃったのよ」

「くっ……」

「とにかく、あたしの結論は変わらないわ! 二次試験後半の料理審査――合格者は1名よ!」

 

 

~~中略~~

 

 

「残った43名の諸君に改めて挨拶しとこうかの。わしが今回のハンター試験審査委員会代表の“ネテロ”である。本来ならば最終試験で登場する予定であったが、いったんこうして現場に来てみると」

「――」

「なんともいえぬ緊張感が伝わってきていいもんじゃ。せっかくだからこのまま同行させてもらうことにする」

「次の目的地へは明日の朝8時到着予定です。こちらから連絡するまで各自自由に時間をお使い下さい」

「――ゴン! 飛行船の中探検しようぜ」

「うん!」

「元気な奴ら……オレはとにかくぐっすり寝てーぜ」

「私もだ。おそろしく長い一日だった。……そういえば、彼はどこに行った?」

「ん、スターか? あいつなら真っ先に女の尻を追いかけて行ったぞ。こんな状況でよくやるよ」

 

 

~~中略~~

 

 

「ねェ、今年は何人くらい残るかな?」

「合格者ってこと?」

「そ、なかなかのツブぞろいだと思うのよね。そいつらを一度落としといてこう言うのもなんだけどさ」

「でも、それはこれからの試験内容次第じゃない?」

「そりゃまそーだけどさー。試験してて気付かなかった? けっこういいオーラ出してた奴いたじゃない。“サトツ”さんどぉ?」

「ふむ、そうですね。新人がいいですね、今年は」

「あ、やっぱりー!!? あたし“77番”がいいと思うのよねー。スシの唯一の合格者だしさ。次点は“295番”のハゲ」

「私も彼はいいと思いますよ。他に注目しているというと断然“100番”ですな。彼はいい」

「あー、あのお子様コンビの1人ね。でも、あいつ、きっとワガママでナマイキよ。絶対B型一緒に住めないわ」

「そーゆー問題じゃないでしょ。“メンチ”ってば77番に口説かれたからって……」

「べ、別にそれが理由じゃないわよ! それで“ブハラ”は?」

「そうだねー、新人じゃないけど気になったのが、やっぱ“44番”……かな。彼と77番もだけど、“念”使いでしょ。素の身体能力も高いし……正直合格して当然。一次試験でもなんか小競り合ってたみたいだけど」

「あー、だいぶ離れてたのにあのオーラは凄かったわねー。桁が違うっていうか。でも、あれ77番の方でしょ?」

「そうなの? だけど、44番と戦うにはあれくらいのオーラが必要ってことでしょ? “念”の戦闘はそれだけじゃないけど、オレは勝てる気がしないなー」

「まあ、厄介よね。試験中もずーっとあたしにケンカ売ってんだもん」

「え、ホントー?」

「私にもそうでしたよ。彼は間違いなく要注意人物です」

 

 

~~中略~~

 

 

「お。キルア、汗だくでどうした――って、いてっ」

「なっ、耐えた……?」

「耐えたじゃねーよ。反抗期かお前は」

「何で!!? オレ本気で殺そうとしたんだぜ!!?」

「ん、そうなのか? 俺の“英雄的な俺(ヒーロースピリット)”は反射でも発動するからな。普通の方法じゃ俺は殺せないぞ」

「“英雄的な俺(ヒーロースピリット)”?」

「“念”だよ、“念”」

「……そういや、前にもそんなこと言ってたけど、“念”って何?」

「だから、俺も誰かに習ったわけじゃないから詳しくないけど“超能力”とかそういう類だよ。鍛え方があって、大抵の人間は使えるようになるらしいぞ。素質によってはスゴイ時間がかかるらしいけどな」

「“超能力”……? あんたはそれをどうやって覚えたんだよ」

「俺は何か普通に使えるようになってたからな。生まれ付きの才能っていうの?」

「ふーん。それ、ちょっと見せてよ」

「ちょっとならいいぞ」

 

「っ……!」

 

「いや、そんな飛び退くなよ。逆にビックリするだろ」

「……そ、それが“念”ってやつ?」

「ああ」

「兄貴や親父もたまにそんな威圧感を出してた……」

「じゃあ、その家族も“念”能力者なんじゃねーの? 俺も結構そういう奴らとは会うし、そこまで珍しくもない」

「ど、どうすればそれを覚えられる?」

「“念”能力者に聞けば?」

「だから、聞いてんだろ……!」

「ああ……俺じゃなくて他の鍛え方を知ってる奴だよ。お前の兄貴とか親父も知ってんじゃないのか?」

「……家は出てきた」

「リアル反抗期か……じゃあ、ハンター試験が終わってから試験官にでも聞けば?」

「試験官?」

「ああ。みんなそうみたいだからな。ひょっとしたら、ハンターは全員そうなのかもな。合格すれば教えてもらえるんじゃないか?」

「ハンターが全員……そう。ちょっとやる気出てきたかも」

「そうか。それはいいんだけどな――」

 

「いってー! なにすんだよ!」

 

「さっきのお返し。ちくっとしただけだから別にいいけども、殺そうとしてたんだろ? 出会い頭に俺を殺そうとするとか何考えてんだ。お前、俺に何か恨みでもあったのか」

「別に。ちょっと気がたってただけだよ」

「そんなことで殺そうとするなよ。お前は殺し屋かっての」

「そうだけど」

「あ、そうなのか?」

「うん。“ゾルディック家”って知らない? 結構有名な暗殺一家なんだけど、オレはそこの三男」

「ゾルディック? 聞いたことあるようなないような……」

「実家は観光地にもなってんだぜ。仮に誰かが捕まえに来ても全部返り討ちにするだけだからさ。だから、オレもハンターになったら家族を捕まえてやろうかなとかちらっとは思ってんだ。いい額になるぜきっと」

「へー、まあいいや。とにかく俺みたいなのじゃなきゃ死ぬんだからやめとけよ。特に美女とか美少女とかそういう相手には絶対にダメだ。そういう相手に手を出したりしたら俺がお前を凹るからな。男でムカつく奴なら別にいいけど」

「いいのかよ……まあ、わかった。いい情報教えてもらったしな。とりあえずその忠告は覚えとくよ。んじゃ、オレ、次の試験が始まる前にシャワー浴びときたいからさ」

「おう、後でな」

 

 

~~中略~~

 

 

「ここはトリックタワーと呼ばれる塔のてっぺんです。ここが三次試験のスタート地点となります。さて試験内容ですが、試験官からの伝言です。生きて下まで降りてくること。制限時間は72時間」

 

「――外壁をつたうのはムリみてーだな。怪鳥にねらいうち……」

「きっとどこかに下に通じる扉があるはずだ」

 

「お困りのようだなポンズ! 俺の助けが必要か? ならばさあ、俺の腕の中に! 俺が君を抱えてこの塔から飛び降りてみせよう!」

「……あなたバカでしょ。なんでそんなリスクの高い方法をとる必要があるのよ。ここにある扉を見つければいいだけじゃない」

「そんなの面倒だろ? 制限時間にしても72時間もあるしさ。飛び降りればすぐだぞ」

「それで怪鳥に襲われるのはごめんよ。それに、怪鳥はなんとかなるとして――そして、あなたが着地出来ると言ったって、それを信じられるほどの情報がないわ。だから、却下。私は自分の力でハンターになるから」

「扉ならそこに2つあるぞ」

「む。教えなくていいってば。……まあ、せっかくだから入るけど」

 

[絆の道 君達2人は ここからゴールまでの道のりを 手錠に繋がれた状態で乗り越えなければならない]

 

「愛の試練だな!」

「……あなた、わかっててやったんじゃないでしょうね?」

「まさか! 運命だったのさ。俺達の出会いはな」

「はいはいはいはい……とにかく、今から他の道を選び直すことは出来ないみたいだし、とっとと進むわよ」

「了解だぜ!」

 

 

~~中略~~

 

 

[生贄の間 ここが 絆の道 最後の分岐点です 2人のうちのどちらかを生贄としてこの部屋に繋ぐことでゴールへの扉が開かれます その1人は時間切れまでここを動けません ゴールへの扉を進めばおよそ3分ほどでゴールに着きます]

 

「なっ……」

 

[どちらもこの部屋に残したくない場合はスタートへの扉を進むことでスタート地点からやり直すことも出来ます]

 

「ここまで来てやり直せっての……? 確かに攻略は順調だったから時間はまだ結構あるけど……」

「……俺は残ってもいい」

「えっ!」

「だけど、ポンズが俺を信じてくれるなら、俺達はあの方法で確実に合格することも出来る」

 

 

~~中略~~

 

 

「おや……▲ 君、なんで外から入ってくるんだい◆」

「やり直して、飛び降りた」

「なるほど……★ だったら初めからそうすればよかったのに▼」

「今になって愛が実ったんだ」

「実ってない! あなたと戦ったりする可能性を考えて、そっちの方がマシだと思っただけよ!」

「いや、自分から残るって言っただろ」

「試験が終わってから難癖付けられる可能性だってあるじゃない」

「そこまで信用ないのか……」

「べ、別にそうじゃないけど……あーもーメンドくさい!」

「いいね▲ 青春してて◆ 楽しそうだ★」

「だろ?」

「私、あっち行ってるから! しばらく話しかけないでよ!」

「あらら◆ 行っちゃったね★」

「照れ隠しだ。何せしばらく経ったら話しかけていいんだからな」

「……前向きだね、君▼」

 

 

~~中略~~

 

 

『ご乗船の皆様、第三次試験お疲れ様でした! 当船はこれより2時間ほどの予定でゼビル島へ向かいます。ここに残った25名の方々には来年の試験会場無条件招待券が贈られます。例え、今年受からなくても気を落とさずに来年また挑戦して下さいねっ』

 

「ピィーピィー! お姉さん可愛いな」

「え、あ、ありがとうございます」

「このあと自由時間だろ? よければ一緒に過ごさない?」

「えっと、どうしようかな……って、はっ! ダメダメ! ダメです仕事中ですから!」

「そう言わないでさ」

「ダメですー! 誘うならハンター試験が終わってから誘って下さい」

「うー、残念。今回こんなのばっかだな」

 

 

~~中略~~

 

 

「よ。ポンズ」

「……何か用?」

「な、何だそのジト目は。まだ話しかけちゃダメだったのか?」

「別に……アンタはあのナビゲーターのコとでも話していれば?」

「そうか。嫉妬か」

「違うわよ! ……はぁ。で、何の用なのよ」

「ポンズは何番を引いたんだ?」

「……あなたじゃないわよ」

「“104番”……ああ、蛇使いのオッサンね。“バーボン”とかいう」

「へえ、よく覚えてたわね」

「男の名前はどうでもいいんだけど、記憶力はそこまで悪くない。ハンター試験が始まる前に“トンパ”が何人かにそんなこと言ってた」

 

「そう。それであなたは?」

 

「俺? 俺は“53番”」

「確か帽子の……」

「そう! 若干ポンズと似た服装をしやがって……お揃い気取りか! 許せん! 速攻で潰してやる」

「……まあ、それはどうでもいいけど。どうせ1週間は島から出られないんだから、速攻で潰してもあんまり意味ないわよ。それよりは相手が他のプレートを奪った時とかの方が予備にもなって効率がいい――って何?」

「ポ、ポンズが俺に助言を……こ、これは、まさか、愛の告白!」

「何でそうなるのよ!」

 

「2人でハンターになって幸せな家庭を築こう!」

 

「変なことを言わないでよ!」

「じゃ、マジメな話で手伝ってやろうか?」

「……別に、必要ないわ。私は自分の力でハンターになるから」

「そうか。とすると、次は最終試験か。最低でも1週間後……って長い! 手伝うとか抜きで一緒に行動しよう!」

「イヤ」

「そう言わずに。俺は便利だぞ。ノゾキ対策もお任せだ」

「それくらい自分でやるわよ。私のプレートを狙ってる相手だっているんだから。むしろ、アンタの方が危険っぽいもの」

「バカな……俺は紳士だぞ」

「へー、そう」

「信じてないにもほどがある! こうなればこれからゼビル島に着くまで俺の紳士っぷりをたっぷりと聞かせて――」

「そういうのいらないから。集中したいの。用が済んだならどっかに行ってよ」

「うー、いいよ! わかったよ! “80番”の“スパー”とでも浮気してやるからな!」

「はいはい、ご勝手に。この状況じゃどうせ相手にされないでしょうけどね」

「ち、ちくしょう! 俺の実力を見せてやる……!」

 

「……で、どうだったの?」

「イジメか! ここに帰って来た時点でわかるだろーが! おかしい……俺は自分で言うのもなんだがイケメンだし、普段はもっとモテるのに!」

「その普段の行動をハンター試験中にもやってるのがおかしいってことにいい加減気付きなさいよ……」

 

 

~~中略~~

 

 

「ぐっ……」

「矢には即効性のしびれ薬がぬってある。1週間はまともに歩くことも出来ないよ。水場はすぐそばにある。死にはしないさ。じゃあ――っ」

「はい、お疲れー。これで一気にプレート2枚。楽勝だな。んー……ゴン。こっちのプレート、いるか?」

「え、スター! よくオレがいるってわかったね!」

「ファンの視線には敏感なんだ」

「オレ、別にファンじゃないけど」

「わかってるわかってる、それでどうする?」

「いらないよ。オレは自分の力でヒソカからプレートを奪うから」

「ん、ゴンのターゲットってヒソカなのか?」

「うん」

「そうか。じゃ、それに集中出来るように心優しい俺が一つ助言してやろう」

「何?」

 

「(狙われてるぜ)」

 

「!」

「(この段階で仕掛けてこないってことは、まあ、日数もあるし様子見ってことだろうな。そう考えると狙ってくるタイミングはわかるだろ? それまでは特に気にすることもないと思うが……目的を達成しても油断しないことだ)」

「うん……ありがとう。参考になったよ。スターはこれからどうするの?」

「俺はこれで終わりだからな。まあ、俺を狙ってくる奴がいたら撃退するくらいで適当に過ごすさ」

「そっか。じゃ、オレはヒソカからプレートを奪うための特訓をするから、もう行くよ」

「おお。ゴン、頑張れよー」

「うんっ!」

 

 

~~中略~~

 

 

「……スパー、死んでるのか。くそっ……なんて勿体ないことを! 誰の仕業だ! ――ハッ! ポンズは俺が守る!」

 

「ん。なぜかプレートが空から。俺はもういらないんだが……まあ、もらっとくか」

 

「やほ。“ヒーロー”参上」

「……バカ。なんで入ってきたの。ここはすでに罠の中よ」

「罠?」

「蛇よ。そいつが仕掛けた。肝心のそいつは死んじゃったから解除も出来ない」

「ふーん……ハッ! ということは俺達はこの薄暗い洞窟の中で二人きりということに! これは間違いが起こってもおかしくない状況!」

「そんなもの起こらないわよ! 言ったでしょ。私が悲鳴を上げたり倒れたりしたら、このコ達が近くの人間に襲いかかるわ」

「俺、別に大丈夫だぜ」

 

「……それ疑問なんだけど。なんで大丈夫なの?」

 

「“念”だよ。俺の“英雄的な俺(ヒーロースピリット)”は反射でも発動するし、蜂の針程度じゃ刺さらない。これを破らない限り強化された俺の肉体は毒とかの薬品だって無効化するぜ」

「“念”? “念”って何?」

「ポンズのそれは違うのか?」

「私の……? これはいつからか出来るようになってたから……」

「お。俺と同じタイプだ。俺もそんな感じ。要はそういう他の人が簡単にはマネ出来ない――オーラによって構成される能力のことだ」

「これが“念”?」

「その蜂は本物だよな?」

「え、ええ。そんなの当然でしょ?」

「じゃあ、その蜂を収納したりしてるのがポンズの能力だな。俺はそういう不思議な感じじゃないが、“オーラの総量を増加”出来るんだ」

「そのオーラってのは言葉通りでいいの?」

「ああ。生命エネルギーとかそんな感じのヤツ。それが多いほど身体能力とかを強化出来る。他にも実際にバリア的な役割をしたりな。そして俺の能力は普通よりもずっと強いオーラを身に纏う能力」

「……それがこのコ達を気にしなかったり、あの塔から飛び降りても無事だった理由ってわけね」

「そうだな。これはそれぞれの個性に関わる話らしくて“念”は人によってかなり違う。俺とポンズのみたくな。まあ、なんかそういうのを設定する方法もあるらしいけど、俺はさっき言った通りいつの間にか出来るようになってたクチだからよく知らん」

「知らないって割には結構詳しいと思うんだけど」

「目にはしてるからな。その使い手同士が話してるのを聞いたり、俺を同類と見て話しかけてくるような奴とかもいたしさ」

 

「なるほど……。――まあ、そこら辺の話は今は置いておくとして、つまり、あなたなら蛇も問題ないってことね」

「そうなるな」

「じゃあ、どうにかして」

「うー、ほっぺにキスしてくれたら頑張れる気がする」

 

「「…………」」

 

「……はぁ。なんかがっかり。あなたってこういう状況でそういう条件をつける人だったんだ」

「まさか! くそっ、バーボンめ! 死んでまで迷惑をかけるなんて許せない! 蛇なんて俺が全部ぺいってしてやるぜ!」

「あ。ついでにそいつからプレートも取ってくれる?」

「任せろ!」

 

「ん~! やっぱ外っていいわねーっ!」

「俺のおかげだな。俺の」

「そうね。ありがとう。あなたのおかげで助かったわ」

「お、おう! ふんふふーん」

「(……意外と単純?)」

 

 

~~中略~~

 

 

「……見られてるな」

「え、また? この前はあなたをターゲットとしてたから、今度は私かしら?」

「かもな。でも知り合いだ。プレートあまってるしちょっと交渉してみる」

「そう。わかった」

「つーわけで、ゴン、レオリオ、クラピカ! 俺とポンズのスイートな生活を邪魔した理由はなんだ!」

「変な風に言うな!」

「いてっ……てっきり受け入れてくれたものだとばっかり」

「ああいうことがあったから同盟関係を結んでるってだけよ!」

 

「ゴンの言う通りか……こんなにあっさりバレるなんてな」

「同盟関係……厄介だな」

「それで? 俺達になんの用だ?」

 

「「…………」」

 

「レオリオのターゲットがそっちの女の人なんだ」

「おい、ゴン! ――いや、誤魔化しても意味ねえか。そーいうこった。出来れば素直に渡してくれ。お前とも少しの間だが行動した仲だ。戦いたくねえ」

「……それだけか? 他の2人は?」

「私もゴンもすでに6点分のプレートを集めている」

「そうか。ってことは、ゴンはヒソカから?」

 

「「ヒソカ!!?」」

 

「うん、まぁ……。スターの忠告はちょっと無駄になっちゃったけど」

「ふーん、まあそっちの話はいいや。3点分のプレートがあればいいだけなら問題ない。俺が3点分あまりを持ってる」

「えっ! マジか!!?」

「マジだ。ほら、これやる」

「おお、ホントだ! これでオレもこの試験合格だ! 感謝するぜスター!」

「全部で4人のプレートを奪ったということか。すごいな……」

「まあ、俺のターゲットが狙ってた奴と、俺を狙ってた奴から奪っただけだけどな。あともう一つはなんか空から降ってきた」

「よくわからないが、ラッキーだったということか……? とにかく、これでここにいる者は全員合格ということだな」

「ああ。これで残すは最終試験だ。そして、ハンターになった暁には俺とポンズのバラ色の生活が――」

「ないから。全然まったくこれっぽっちもないから」

「ハンターになったら一緒になろうねって言ってくれたじゃないか!」

「だから変な捏造しない! 仕事仲間としてなら話くらいはするって言ったのよ!」

 

「……あいつもなんつーかよくわからない奴だよな。こんだけプレート集めてんだし、実力は確かなんだろうけど」

「そうだな……」

 

 

~~中略~~

 

 

[Q注目している相手と戦いたくない相手は?]

 

[A]

   44番・ヒソカ:「どちらも77番かな▲ 100番と406番もそうだけど、77番が一番強いし、状況によってはもっと強くなりそうなんだよね★ だから今やるのは、もったいなさ過ぎて◆」

 

   77番・スター:「247番ポンズ! なぜなら将来的には俺の彼女になるから! っていうか、あともう少しじゃないかなーって思うんだよな。他は男ばっかだし別に誰でもいいけど、ゴン達ともちょっと話したから、戦いたくないのはそこら辺だな」

 

  100番・キルア:「ゴンだね。あ、406番のさ。同い年だしさ。戦いたくないのは……77番かな。なんか“念”とかいうの使えるらしいからさ。あ、あんたも使えるんだろ? 教えてよ。――え、今はダメ? ケチだなー」

 

  192番・ポドロ:「44番だな。いやでも目につく。別の意味では77番も悪目立ちしているがな。戦いたくないのは406番と100番だ。子供と戦うなど考えられぬ」

 

  247番・ポンズ:「……77番かな。一応言っとくけど変な意味じゃないから。不本意だけど色々助けられた分、近くで能力見てたけど、なんか反則的だし、こっちの能力も見られてるからね。あれで頭が回らないわけでもなさそうだし、面倒かなって」

 

 295番・ハンゾー:「44番だな。こいつがとにかく一番ヤバイしな。戦いたくないのも、もちろん44番だ」

 

302番・ギタラクル:「100番。44番」

 

 404番・レオリオ:「406番だな。恩もあるし合格して欲しいと思うぜ。つっても、さっきの試験で言えば77番もそうだし、405番にも何かと助けられてるけどな。まあ、でもやっぱり406番とが一番戦いたくねーな」

 

 405番・クラピカ:「いい意味で406番。悪い意味で44番。……それと77番。――理由があれば誰とでも戦うし、なければ誰とも争いたくない」

 

   406番・ゴン:「44番のヒソカが一番気になってる。色々あって。う~ん、77、99、404、405番の4人は選べないや」

 

 77―

    |―

247―  |

      |―

295―  | |

    |―  |―

406―    | |

        | |―

100―――――  | |

          | |

302―――――――  |

            |―

192―――      |

      |―    |

405―  | |   |

    |―  |―――

 44―    |

        |

404―――――

 

「さて、最終試験のクリア条件だが、いたって明確。たった1勝で合格である!」

「……ってことは」

「つまりこのトーナメントは、勝った者が次々ぬけていき、敗けた者が上に登っていくシステム!」

「ジジイ! てめェ! なんでいきなり俺とポンズが戦うことになってんだゴラァッ!」

「ほっほっほ! 愛の試練というヤツじゃな」

「何ィ……愛の試練か」

「納得しないでよ!」

「――それに、おぬしの評価は高い。だから、おぬしには多くチャンスが与えられておるじゃろう?」

「ちょっと待ってよ。それって成績順にチャンスが与えられてるってこと?」

「うむ。まあ、大まかにではあるがな」

「それって納得できないな。もっと詳しく点数のつけ方とか教えてよ」

「ダメじゃ」

「なんでだよ!」

「採点内容は極秘事項でな。全てを言うわけにはいかん。まあ、やり方くらいは教えてやろう。まず審査基準。これは大きく3つ。身体能力値、精神能力値、そして印象値。これから成る――」

 

「――そして、重要なのは印象値! これは、すなわち前に挙げた値でははかれない“何か”! いうなればハンターの資質評価といったところか。それと諸君らの生の声とを吟味した結果こうなった。以上じゃ!」

「ジジイ! それってやっぱり俺とポンズを戦わせてみたかったってだけだろ! 俺は戦いたくないって言ったぞ!」

「うるさいのう。だから愛の試練じゃよ。それに別に殺し合えとか言っとるわけじゃない。――武器OK、反則なし、相手に“まいった”と言わせれば勝ち! ただし、相手を死に至らしめてしまった者は即失格! その時点で残りの者は合格。試験は終了じゃ!」

「ぐぬぬ……」

 

『それでは、最終試験を開始する! 第1試合スター対ポンズ!』

 

「……どうやら、トリックタワーの時の焼き直しね。ハンターになるためには今度の戦いは避けることが出来ないみたい。私もあなたとは戦いたくなかったけど本気で行くわよ」

「ポンズ……今度こそ愛の――」

「違う!」

「――そろそろ始めてよろしいですか?」

「ええ」

「よろしくない」

「…………よろしいですね。始めますよ?」

「よろしくないって言ってんだろ」

 

「スター! お前、立会人に難癖つけてないでとっとと始めろ! 後がつかえてんだよ!」

「うるせえ、レオリオ! 外野は黙ってろ!」

「何ィ!!?」

 

「……あのねぇ、いい加減にして。私もとっとと始めたいんだけど」

「おら、とっとと始めろよ! 号令かけるくらいで、何ちんたらやってんだ、審判!」

 

「……あいつ、マジサイテーだ」

 

「「「知ってた」」」

 

『…………それでは――始め!!!』

 

「っ――」

「“まいった”ーーー!!!」

 

「……え?」

 

「いやぁ、まいったまいった。俺の敗けだ」

「えーっと……?」

 

「おい」

「なんだ?」

「オレ、なんかこの光景どっかで見た覚えがあるんだが」

「あ、レオリオも? オレもだよ」

「一応オレも」

「奇遇だな。私もちょうど同じことを考えていた」

 

「おい、審判コール」

 

『……ハッ。――勝者、ポンズ! よってポンズはハンター試験合格とする!』

 

「おめでとう」

「……なーんか、すごく納得いかないけど、まあいいわ。重要なのはハンターになることじゃなくてハンターになってから何をするかだもの」

 

「ふふん。ざまあみろジジイ。てめェの思惑通りにはいかねェぜ。最後の試合まで後3戦の間は俺の自由意思でどうするか決めちまうもんねー。俺にチャンスを与えまくったことを後悔しろ」

「(ぬぐっ……こやつ、ムカつく)――ほっほっほ! まあ、おぬしがこうするであろうこともわしは読んであったがの。そもそも基本的には1人しか不合格者を出さないという点を見てわかる通り、おぬし達の力量は認めておる。後は最終確認みたいなものじゃ」

「へー、そこまで頭が回ってなかったことの言い訳じゃないの? 誰もが簡単に“まいった”を言うわけがないとでも思いこんでてさ!」

「そう思いたければそう思い込んでおればよかろう。おぬしの中ではそれを真実にしたいというだけじゃろう?」

 

「「…………」」

 

 

~~中略~~

 

 

『第4戦スター対ハンゾー!』

 

「次はあんたか。あんた、あの爺さんに反抗してんだろ? オレとの試合でもとっとと“まいった”してくれよ」

「……ああ、そうだな」

 

『それでは――始め!!!』

 

「まい――るか、ボケェ!!!」

「っ、ぐはっ!!?」

「てめェ、3時間もゴンを甚振りやがって! ムカつくんだよ、ハゲ!」

 

「よっしゃ! よくやったスター! そのまま蹴りまくれ!」

 

「ぐっ……てめェ、いきなりの速さに驚いたが、こ、この程度でオレがやられると思ったら――」

「“まいった”」

「なっ、なん……だと……!!?」

「ぷふぅ。殴られ損、蹴られ損でやんの。ざまぁ」

「こ、こいつ……!」

「おい、だから審判コール」

 

『……ハッ。――勝者、ハンゾー! よってハンゾーはハンター試験合格とする!』

 

「おめでとう。凹られたのに合格。さすが忍! 汚い! 汚いなー!」

「ぐ、ぐぐ……」

「あれ、キレるの? キレてるの? 忍って耐え忍ぶ者だって聞いたことあるんだけど、これくらいでキレちゃうんだー?」

 

「……ウゼェ。あれはウゼェ。オレもゴンのことでまだちょっとあいつにイラついてたんだが、さすがに可哀想になってきたぜ」

「あ、ああ。正直、私は今更ながらにスターを敵に回したくないと思ったよ」

 

 

~~中略~~

 

 

『第5戦スター対キルア! それでは――始め!!!』

 

「まい――」

「“まいった”。オレの敗けだよ」

 

「「「!!?」」」

 

「キルア! お前……」

「スターの言い分には付き合ってられないからね。最終試験を不戦勝ってのもつまんないし、実際、戦えばこっちの分が悪そうだし、妥当だろ?」

「む」

「まあ、これであんたも合格なんだから。文句言うことじゃないだろ?」

「やられたな。ジジイをやり込めてやることばっか考え過ぎてたぜ。……だが、先に言われちまった以上は仕方ない。今回はこれくらいで我慢するか」

 

『――勝者、スター! よってスターはハンター試験合格とする!』

 

 

~~中略~~

 

 

「よし、ゴンを殺そう」

 

「やっちまえキルア! どっちにしろお前もゴンも殺させやしねえ! そいつは何があってもオレ達が止める! お前のやりたい様にしろ!」

「……」

 

「“英雄的な俺(ヒーロースピリット)”!」

 

「「「「「「「「「「「!!?」」」」」」」」」」」

 

「勝ち目のない敵とは戦うな……。お前が口をすっぱくして教えたんだよな? 試験でついでに家族間の問題に関わる気はなかったが、どうにもお前、ムカつくんだけど」

「……」

「ゴンを殺す? なら、殺す前に俺がお前を捕らえてやるよ。お前、殺し屋だし、俺はハンターになるんだから問題ないだろ?」

 

「くっ……」

「あ?」

 

「……しまった。なんかキルアの方が逃げちまった」

 

「あ、アホーーー!」

「うっせ! お前らこそぼけっと見逃してんじゃねェよ!」

「お前のせいで動けなかったんだろが!」

 

「ふぅ……それで、この場合はどうなるのかな?」

「そうじゃの……言ってなかったが、というか言う必要もないと思っておったが、最終試験会場はあくまでこの場所じゃ。そこから許可なく出て行くということは事実上の試験放棄。よって、キルアは失格。不合格者が出たので、他全員合格じゃ」

 

 

~~中略~~

 

 

「ククルーマウンテンか。聞いたことがねーな。お前らどこかわかるか?」

「あれ? なんかこれ、俺も行く流れになってない?」

「は、当然だろ? 最終的にお前のせいでキルアは出て行ったようなもんじゃねーか」

「おっかしいなー。俺は手助けをしようとしたつもりだったんだが」

「あんだけ威圧感を出してれば、そりゃキルアだって逃げるわ。正直オレもチビりかけたぞ」

「俺のせいじゃねーよ。思ったよりあいつ強くてさ。殺し屋だけあって人もたくさん殺してるみたいだし、ヒソカと対峙した時並にオーラの総量上がっちったよ」

「オーラ?」

「ああ。それより、ポンズ! ポンズも一緒に来てくれるよな?」

「え、なんで?」

「約束通り2人でハンターになったじゃないか!」

「なったけど……私、“幻獣ハンター”志望だし、あのコとも別に話したこととかないんだけど……」

「暗殺一家は幻獣!」

「違うわ」

「俺が幻獣!」

「……それは微妙に否定できないけど、あなたそれでいいわけ?」

「一緒にいたいんだ。ほら、俺は有益な存在だぞ。便利だ」

「う~ん……まあ、ギリギリ有益かなぁ……?」

 

「かなりの実力者っぽい上にあんなに押しててギリギリって言われるのもなんか切ないな……つーか、クラピカ。聞いてるか?」

「ん、ああ。彼らのことはともかく、ククルーマウンテンのことは後でめくってみよう」

「うむ」

 

 

~~中略~~

 

 

「おお……こりゃすげえな」

「え、ここが正門です。別名、黄泉への扉と呼ばれております。入ったら最後生きて戻れないという理由からです」

 

「あれ、幻獣?」

「そ、そうかも……?」

「捕まえてみようか」

「……い、いいよ。私がやりたいのは別にそういうのじゃないから」

 

「え、皆様、御覧いただけましたでしょうか。一歩、中に入ればあの通り無残な姿をさらすことに……」

 

「いいからそんなこと!」

「早くバスを出してくれー!!!」

「あんたら、何してんだ、早く乗って!」

 

「あ、えーと、行っていいですよ。オレ達ここに残ります」

 

 

~~中略~~

 

 

「むん! んぎ……ぎがが……押しても引いても左右にも開かねえじゃねーかよ!」

「上にあげるんだったりして」

「下にさげるってのは?」

「単純に力が足りないんですよ」

「アホかー! 全力でやってるっつんだよ!」

「まあごらんなさい。この門の正式名称は“試しの門”。この門さえ開けられないような輩はゾルディック家に入る資格なしってことです。――はっ!」

 

「――“試しの門を開けて入ってきた者は攻撃するな”ミケはそう命令されてもいるんです。1の扉は片方2トンあります」

「2ト……そんなもん動かせねーぞ、普通……ん、1の扉はだと?」

「ええ。ごらんなさい、7まで扉があるでしょう? 一つ数が増えるごとに重さが倍になっていくんですよ。力を入れればその力に応じて大きい扉が開く仕組です。ちなみにキルア坊ちゃんが戻ってきたときは3の扉まで開きましたよ」

「3……ってことは12トン!」

「……16トンだよ。ゴン」

「おわかりかね? 敷地内に入るだけでこの調子なんだ。住む世界が全く違うんですよ」

「うーん、気に入らないなー。おじさんカギ貸して」

「え?」

「友達に会いにきただけなのに試されるなんてまっぴらだから、オレは侵入者でいいよ」

「ムチャ言うなよ、ゴン。さっきの化け物見ただろ。片腕だけでお前以上の大きさあったぞ!」

「だって納得いかないんだもん。友達、試すなんて変だよ。絶対そんな門からは入らない」

 

「いや、それは違うぞゴン」

 

「違うって何が?」

「試すって言うのはただ門の名前がそうだってだけで、人の家に正門から入るのは普通のこと。常識だぞ」

「うっ、それはそうかも……でも……」

「私も同感だ。時間はある。1の門から入ることにしよう」

「うーん」

「――というか、悩むことか? レオリオが非力なだけだろ? 俺、普通に開けられると思うけど」

「何ィ!!?」

「え、ホント?」

「ああ、普通にやっても……まあ、力籠めると勝手に発動するけど」

「?」

「やってみるか」

「うん」

 

「「「「「!!?」」」」」

 

「……なっ、まさか、7の門まで……旦那様と大旦那様以外では初めて見た」

「はーっはっはっはっはっはっ! 見た、見た? どうだ、ポンズ! 惚れ直したんじゃないか?」

「ううん……むしろちょっと引いた。それと元から惚れてない」

「なっ……そんなバカな……」

「まさか、本当に開けてしまうとはな……いや、3の扉を開けたというキルアが逃げて、その兄も警戒していたのだから、考えられることだったか」

「オレもやってみる!」

「って、ちょっと待った。ゴンはハンゾーに左腕を折られて片腕じゃないか」

「そうだけど……意外と簡単なのかなって」

「簡単じゃねーって! こいつが異常なんだよ! ゴンだってオレが全力でやってたの見ただろ!」

「見たけど……」

「どっちにしろ、ちょっと鍛えた方がいいんじゃねーの? 1の扉も開けられないで、ハンターをやっていけるかちょっと不安だぜ、俺は。――あっ! ポンズは大丈夫だぞ。俺がついてるからな!」

「それ、逆にバカにされてる気がする」

「何言っても裏目!」

 

「ふーむ。もしよければ、一度私ら使用人の家に来ますか? 身体を鍛えるにはうってつけの場所ですよ。私もこの身体を維持しなければなりませんからね」

「お。そりゃいいじゃねえか! なあ、ゴン。扉さえ開けちまえば誰にも文句は言われねえ。堂々とキルアに会いに行けんだしよ」

 

「……そうだね。わかった。“ゼブロ”さん、頼んでいいかな」

 

「ええ、私から誘ったんですから。ゴン君達は観光ビザでこの国に?」

「えっと、そうだよ」

「そうですか。じゃあ、この国にいられるのは長くて1ヵ月ですね。君達の若さがあればあるいは1ヵ月で1の門を開けられるようになるかもしれない。まあ、既に開けている人間もいるし、そもそも何人がかりでも開けさえすればいいんですけどね」

「いーや! 1人で開けるぜ! つーか、3日で開ける! これでもオレ、腕っぷしでは地元じゃ負け知らずだったんだぜ。なのに、最近やられキャラみてーな扱いが多いしよ。ここで一気にレベルアップしてやる!」

「まあ、レオリオは医者になるのが夢なのだから、非力でも構わない気もするが」

「うっせ。オレが非力と思われるのが我慢ならねえって話だよ! 男のメンツの問題だぜ!」

「はは、元気ですね。それはそうとちょうど交替の時間です。ここで話してるのもなんですからそろそろ行きましょうか」

「おうよ!」

 

 

~~中略~~

 

 

「ゼブロさん、“シークアント”さん、長い間、本当にありがとう」

「ええ。気をつけて行きなさいよ。電話では断られてしまったのだから」

「――うん」

「道なりに山を目指しなさい。屋敷は間違いなく山のどこかに建っているはずです。20年勤めていて、実は山まで行ったことがないんだよ。役に立てなくて、すまないね」

「とんでもない」

 

「む……」

「出て行きなさい。あなた達がいる場所は私有地よ。断りなく立ち入ることはまかり通らないの」

「来る前にちゃんと電話したよ。試しの門から通ってきたし」

「大声だったから聞こえてたわよ。断られてたでしょ」

「じゃ、どうしたら許可がもらえるの。友達だって言ってもつないでもらえないのに」

「さあ? 許可した前例がないから」

「じゃ、結局無断で入るしかないじゃない」

「そういやそうね。とにかく大目に見るとそこまでよ。ここを一歩でも越えたら実力で排除します」

「へえ……実力でね」

「え、やる気なの? 相手女の子よ」

「……いや、俺、別に異性と戦えないわけじゃないからな。それに子供は対象外だ。10代後半からだ」

「待って、スター、手を出さないで」

「ん? まあ、いいけど……」

 

「もう……やめてよ……もう、来ないで! ――いい加減にして! 無駄なの! わかるでしょ! あんた達も止めてよ! 仲間なん……」

 

「「「「――」」」」

 

「なんでかな。友達に会いにきただけなのに。キルアに会いたいだけなのに。なんで――こんなことしなきゃいけないんだ!」

 

「……ねェ」

「えっ」

「もう足……入ってるよ。殴らないの?」

「あ……」

「君はミケとは違う。どんなに感情を隠そうとしたって、ちゃんと心がある。キルアの名前を出したとき、一瞬だけど目が優しくなった」

「むっ」

「?」

「お願い……キルア様を助けてあげて」

「てい」

 

「「なんだ!!?」」

 

「ふふ、“ヒーロー”の前で女の子を傷つけられると思うとは愚の骨頂! ――ポンズ、見た? カッコいい俺の姿!」

「そういう状況じゃない!」

「……全く、職務を果たせないばかりか守られるなんて。どうにもダメなクソ使用人ね」

「お、奥様……“カルト”様……」

「奥様ってキルアの母ちゃんかよ!」

「ええ。そうです。――あなたがゴンね。“イルミ”から話は聞いています。3週間位前からあなた方が庭内に来ていることもキルに言ってありますよ。キルからのメッセージを直接伝えましょう」

 

『来てくれてありがとう。すげーうれしいよ。でも、今は会えない。ごめんな』

 

「――紹介が遅れましたね。私、キルアの母です。この子はカルト」

「キルアがオレ達に会えないのはなんでですか?」

「独房にいるからです。――キルは私を刺し、兄を刺し、家を飛び出しました。しかし、反省し、自ら戻ってきました。今は、自分の意志で独房に入ってます。ですから、キルがいつそこから出てくるかは……」

 

「まぁ、お義父様ったら! なんでジャマするの! だめよ! まだつないでおかなくちゃ! 全くもう、なんてこと。――私、急用ができました。ではこれで。また遊びにいらしてね」

「待って下さい。オレ達、あと10日くらいこの街にいます。キルア君にそう伝えて下さい」

「――わかりました。言っておきましょう。それでは……カルトちゃん、何してるの? 早くいらっしゃい」

「はい、お母様」

 

「……言っちゃなんだが、薄気味悪い連中だな。キルアが“自分から”ってのもウソくせえ。ゴン、このまま戻るのはしゃくだぜ。ムリにでもついていかねーか?」

「うん……でもそうすると、きっと彼女が責任とらされるような気がするから」

「あ、そうか」

「……私が……執事室まで案内するわ。そこなら屋敷に直接つながる電話があるから。“ゼノ”様がお出になればあるいは……」

 

 

~~中略~~

 

 

「先程は大変失礼いたしました。奥様から連絡があり、あなた方を正式な客人として迎えるよう申しつけられました。ごゆっくりおくつろぎ下さい」

「ここが屋敷じゃないのか?」

「ええ、執事用のすまいよ」

「心遣いはうれしいが、オレ達はキルアに会うためここに来た。出来ればすぐにでも本邸に案内してもらいたいんだが」

「その必要はございません。キルア様がこちらに向かっておいでですから」

「本当!!?」

「ええ、もうしばらくお待ちください。――さて、ただ待つのは退屈で長く感じるもの。ゲームでもして時間を潰しませんか?」

「俺は菓子が食いたい」

「……お持ちしろ」

「あなた、よくこの状況でそういうことが言えるわね」

「まあ、彼のことは置いておいてゲームとは?」

「――コインはどちらの手に?」

 

「「「「「左手」」」」」

 

「御名答。では、次はもっと早く行きますよ。――さあ、どちら?」

「また左手」

「すばらしい。じゃ、次は少し本気を出します」

「!」

「――さあ、どっち?」

「ん~、自信薄だが……多分右……」

「私は……キルア様が生まれた時から知っている。僭越ながら親にも似た感情を抱いている……。正直なところ……キルア様を奪おうとしている。お前らが憎い」

「……」

「さあ、どっちだ? 答えろ」

「左手だ」

「奥様は……消え入りそうな声だった。断腸の思いで送り出すのだろう。許せねェ。キルア様が来るまでに結論を出す。オレがオレのやり方でお前らを判断する。文句は言わせねェ」

「あ、お茶お代わり」

「ちょっ、空気読んで!」

「……いいか。一度間違えばそいつはアウトだ。キルア様が来るまでに全員アウトになったら……キルア様には“彼らは先に行った”と伝える。2度と会えないところにな」

「キルアは」

「黙れ。てめェらはギリギリのとこで生かされてるんだ。オレの問いだけにバカみてぇに答えてろ。――どっちだ」

 

「「「「…………」」」」

 

「右ー」

「……じゃあ、オレは左手だ」

「右」

「右」

「右手」

「まず1人アウトだ。――どっちだ?」

 

「「「…………」」」

 

「左ー」

「私は右手だ」

「左」

「左手」

「当たりは左手……これでまた1人アウトだ。――いくぜ」

 

「「…………」」

 

「左ー」

「じゃ、オレは右手」

「左手」

「残り2人だな。――どっちだ?」

 

「…………」

 

「右ー」

「……右手」

「おい!」

「レオリオ、大丈夫だよ。落ち着いて」

「――正解だ。やるな。じゃ、こいつはどうだ?」

 

「「「「!」」」」

 

「さあ……誰が持ってる?」

「後ろのこいつ」

「え……う、後ろの人」

 

「「「「「すばらしい!!!」」」」」

 

『ゴーン!』

 

「――キルア!」

「いやー、少し悪ふざけが過ぎました。大変失礼いたしました。しかし、時間を忘れて楽しんでいただけましたでしょう?」

「あ……もう、こんな時間たってたのか。いやー、あんた迫真の演技だったぜ」

 

「ゴン! あとスター! えーと、クラピカ! リオレオ!」

「レオリオ!」

「それと……誰だ?」

「……ポンズよ。私はこいつに引っ張って来られただけで、話してもないから覚えてなくても仕方ないけど」

「あ、あー! スターの彼女!」

「正解!」

「違うわよっ!」

「久しぶり! よく来たな。どーした、ひでー顔だぜ。片目ふさがってんじゃん!」

「キルアだって充分ひどいって!」

「早速だけど、出発しよーぜ。とにかくどこでもいいから。ここにいるとおふくろがうるせーからさ。じゃーな! あ、そうだ“ゴトー”。いいな、おふくろに何を言われてもついてくんなよ」

「承知しました。行ってらっしゃいませ」

 

「――ゴトーさん、キルアがいなくなったらさびしくなるね」

「いいえ……私共執事は雇用主に対し、特別な感情を持ち合わせておりませんので」

「うそつき!」

 

「ゴン君。さあ、どっちです?」

「左手でしょ?」

「……スター君はどう思いますか?」

「インチキしたから右ー」

「えっ?」

「フ……さすがです。ゴン君、世の中正しいことばかりではありません。お気をつけて。――キルア様をよろしくお願いします」

 

「えっ、えー??? どーゆーこと? スター、ゴトーさんは何をやったの?」

「ん、あれはコインを二枚持ってだなー……」

「あっ、あーっ! えっ、でも、それだとスターはそれをどうやって見抜いたのさ」

「“ヒーロー”は誤魔化せない!」

「えー……?」

 

 

~~中略~~

 

 

「――じゃ、私はここで失礼する」

 

「え?」

「キルアとも再会できたし、私は区切りがついた。オークションに参加するためには金が必要だしな。これからは本格的にハンターとして雇い主を探す」

「そうか……」

「クラピカ、ヨークシンで会おうね!」

 

「さて……オレも故郷へ戻るぜ」

 

「レオリオも!!?」

「やっぱり医者の夢は捨てきれねェ。国立医大に受かれば、“ハンター証”でバカ高い授業料は免除されるからな。これから帰って猛勉強しねーとな」

「うん、がんばってね」

 

「……えっと、じゃ、私も――」

「俺も一緒に行く!」

「え……まあ、別にいいけど……」

 

「えーっ! スターはオレ達と一緒に行こうよ!」

「そうそう! オレも“念”のことちゃんと知りたいしさ。スターがいれば“念”能力者の見分けつくんだろ?」

「えーい、うるさい! 素敵な女性とガキの誘い、どっちを受けるかと言われれば、俺は当然、素敵な女性であるポンズを選ぶ!」

「別に私が誘ったわけじゃ――」

 

「じゃ、ポンズも一緒に行こうよ」

 

「呼び捨てにすんなよ!」

「今更だし、別に呼び捨てでいいわよ」

「呼び捨てにしろよ!」

「あー、なんか思い出してきた。そーいえば、こいつこーゆー奴だったなー」

「それで、ポンズはどこか目的地とか決まってるの?」

「んー、ううん、それは別に。前に言ったかもしれないけど、私が目指してるのは未知の生物を発見したり保護したりする“幻獣ハンター”だから、候補はいくつかあるけど、そこじゃないと絶対にダメってものでもないのよ」

「そうなんだ。じゃ、やっぱり一緒に行こうよ!」

「……そもそもあなた達はこれからどこに行こうと思ってるの?」

「え、えーっと、まずはみんなで遊ぶ?」

 

「「「「…………」」」」

 

「ポンズとデートか。悪くない」

「悪いわよ!」

「――そーだぜ、ゴン! まずは特訓だろ? ヒソカに借りを返すって言ってたばっかじゃんか!」

「そうだけど……」

「お前なー。今のまんまでホントにヒソカを一発殴れると思ってんのか!!? 半年どころか10年たっても無理だっつーの!」

「う……」

「いいか、わかりやすくいうと、これがヒソカ、これがハンゾーな」

 

ヒソカ←-→ハンゾー

 

「ヒソカとハンゾーの力の差をこれぐらいだとすると……お前との差は……」

 

ヒソカ←-→ハンゾー←----------→ゴン

 

「ここ。かなりおまけでな。ついでにヒソカも使えるっぽい“念”については多分考慮に入れてない。若干補正入ってるかもしんねーけど」

「さっきも言ってたけど“念”って何? なんか前にも聞いたような気がするんだけど……」

「その話は後でな」

「そう。じゃ、キルアはどこなのさ?」

「オレか?」

 

ヒソカ←-→ハンゾー←---→キルア

 

「まあ……ここだろな(平常モードで)」

「へえ~、ハンゾーの方が強いの? じゃ、他のみんなは?」

「他? んー……」

 

スター

ヒソカ←-→ハンゾー←---→キルア←---------→ゴン←-→クラピカ←-→ポンズ←-----→リオレオ

 

「ちょっと待て! オレだけやけによえーじゃねーかよ! あとレオリオだ!」

「あー、はいはい……いや、だって、オレ、レオリオの強いとことか見てねーしさ。こんなもんじゃねーの?」

「オレはお前んとこの第2の扉まで開けたんだぜ! ゴン達は1の扉までだ!」

「え、そうなの? じゃ、ゴンと同じかちょっと弱いくらいじゃない?」

「それでも、ゴンより下なのかよ!」

「腕力以外は負けてんじゃん」

「ぐっ……」

 

「私もゴンより下か……」

「あー、あんたね。あんたはあの塔の時みたくキレてれば、ゴンよりは強いと思うよ。でも、普段は感覚とかで劣ってるのわかってるだろ?」

「なるほど」

「まあ、つってもてきとーだぜ? 強い奴ほど強さを隠すのもうまいからな。ハンゾーくらいまではあってると思うけど、それ以上のレベルになるとよくわかんねーよ。ヒソカは兄貴と同じくらいで親父以下だと思うけど、実際どーかな……?」

「そうなんだ。じゃ、スターとヒソカが同じくらいの強さってわけでもないの?」

「さあなー。それは本人に聞けよ」

「フ、俺に言えることは一つ。“ヒーロー”は敗けない!」

 

「「「「「…………」」」」」

 

「――まぁ、なんにしてもヒソカは相当強い!」

「うん!」

「並大抵のことじゃ、半年で一矢報いるのはムリだ」

「うん。だから特訓をするんだね」

「そーゆーこと!」

「でも、特訓ってどこで何をすればいいの?」

 

「それなんだが……ゴン、それにスターとポンズも。金はあるか?」

 

「……うーん、実はそろそろやばい」

「あるけど奢らないぞ。俺の金は俺とポンズのバラ色の生活資金だからな!」

「そんな生活しないから! それと私は、一応初期の活動資金として貯めていたお金ならあるわ。まあ、普通に生活して数年困らない程度だけど」

 

「堅実! マジメ! そんなポンズも魅力的だ!」

 

「はいはい、ありがとう」

「まぁ、そこのバカップルは置いておくとして、オレもあんま持ってない」

「ちょっ、誰がバカップルよ!」

「――キルア、お菓子なら買ってやる」

「え、マジ? サンキュー! ……ってそうじゃなかった。そこで一石二鳥の場所がある。――天空闘技場!」

 

「じゃあ、これでいったんお別れだな」

「そうだな次は――」

 

「「「「「「9月1日、ヨークシンシティで!!!」」」」」」




文字数の問題でちょくちょくカット、でも作者の中では短編なはず。
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