「うわーーー、早朝なのにすっごい人だよ!!! どっか見てみよーよ」
「あ~あ。4コーナーでムームーダンスがこけなきゃ12倍で入ってたんだよな~」
「バクチで一発当てようとするのがまず間違い」
「っせーな。お前こそ2週間で1万5千!!? 路上で空き缶置いただけでもそれよりは稼げるぞ!!!」
「勝ちは勝ちだもんねー。そのかわり、オークションの裏話やコツとか駆け引きなんか、かなり詳しくなったよ!」
「そーゆー自称中級者が一番痛い目あうんだよ」
「とにかく、勝負は俺の勝ち! 一つオレの言うこと聞いてもらうからね」
「へーいへい」
※それぞれの2週間での成果
ゴン:542万 → 543万4997ジェニー
キルア:542万 → 2億86万 → 0ジェニー
ポンズ:51億 → 51億2000万ジェニー(初仕事・生態調査の報酬。仕事期間は10日)
スター:530億 → 700億2000万ジェニー(ポンズの仕事をコンビとして受け、合間に金を回してた結果)
「ところでリオレオとクラピカはどうだって?」
「レオリオは午後に着くって。クラピカは昨日から、もう来てるらしいけど、仕事中だから時間とれないかもってさ」
「そっか」
「もし空いたら連絡くれるって」
「オッケ。んじゃ電源オンにしといて――ってお前もケータイ買えよ!!! ハンターの必需品だろが!!!」
「あ、そーだった」
~~中略~~
「最低落札希望価格が89億ジェニーで所持金が500万? いいか? 君達。競売元のサザンピースってのはオークションハウスの最高峰だぞ。お前らの予算じゃ入場料にも足んねーぜ」
「いや、金はあんだよ。スターが払ってくれさえすりゃよ」
「いくら持ってんだ?」
「700億」
「ぶっ!!?」
「ついでにポンズも51億くらい持ってる」
「……マジか? お前ら、この半年そこらで何やってたんだよ」
「その話はいーんだよ。問題はポンズはともかく、スターがケチくせーってことなんだから。ポンズの金だけじゃ足んねーし、レオリオ、何とかしてくれよ」
「何とかって言われてもなぁ」
「ハンターサイトのお宝リストでは入手難度“易しい”だったぜ」
「……マジ?」
「入手するのに必要なのは金だけだからって」
「へっ、やっぱり金だよ。世の中、金!」
「てかさ。金で買えるようなものなら真の宝とは言えないってことだろ。この程度のものなら楽勝でゲットしてこそ。プロのハンターなんじゃねーの? お2人さん」
「「――」」
「何かいい方法がないか調べてみよ」
「きっとあるぜ。ヨークシンにゃ夢みたいな実話がゴロゴロ転がってるからな。経験談とかめくってみよーぜ」
「(単純バカ。レオリオも強化系かな)」
「放出系って可能性もあるぜ」
「なるほど。……ってオレ声に出してた?」
「そんくらいはわかるって。ここ2週間はそーでもなかったけど、何だかんだ一緒にいるわけだから」
「そか」
「? 何だろう“かわし”って」
[交わし 競売方法の一つ。物々競売の俗称。買い手側がそれぞれ物品を持ちよって公開し、売り手側はその中から一つ気に入ったものを選び競売品と交換するやり方。他にも競り、縛りなどがある]
「競売って色んなやり方があるんだね」
「競りってのは普通の競売だな。縛りってのはなんだろうな」
[縛り 競売方法の一つ。条件競売の俗称。売り手側が金品以外のある条件を示し、その条件に最も適した買い手に対して競売品を渡すやり方。ヤミ競売から発生し、公共競売にも規制付きで普及した。他にも競り、交わしなどがある]
「? 条件?」
「何のこっちゃ」
「そうか……こんな競売のやり方があったか」
「え?」
「行くぜ、お前ら。確実に儲かる競売方法を思いついた!!!」
~~中略~~
「さぁー、いらっしゃいいらっしゃい。条件競売が始まるよー!!! 競売品はこちら! 300万円相当のダイヤ! その店で買ったばかりの鑑定書付きだぜ! 落札条件は腕相撲! 最初にこの少年に勝った者に与えられます! 参加費用は1万ジェニー!!!」
「……考えたわね」
「でも、これ時間かかるぜ」
「そうね」
「それではオークションスタート!!!」
「よしオレがもらったァ!!!」
「オレもやる!!!」
「ハイハイ押さないで順番よー!!!」
「なあ、退屈だからテキトーなオークションでも見に行かないか?」
「行くのはいいんじゃない? でも私はあんまり興味ないからここにいるわ」
「えーっ! 一緒に行こーぜ!」
「また今度ね。どうせ“グリードアイランド”を手に入れるときに行くことになるんだから」
「ちぇー、わかったよ。俺1人で行ってくるよ。途中でナンパとかしてやるからな!」
「……勝手にすれば」
~~中略~~
「お姉さん、よければ俺と一緒に競売参加しない?」
「見てわかる通り連れがいるわ。また今度ね」
「……くそー! あんなサルだかゴリラだかなんて2人組より、俺の方がイケメンだろうに! 闘技場関連で誘い来てたから来てみたけど、ムサイ奴ばっかだし、来るトコ間違えたかな」
「どうしたの、クラピカ。一瞬心音が上がったわ」
「……いや、知り合いがいた」
「なら連絡する? それくらいは目を瞑ってあげるわよ」
「すまない……ダメだ。すでに携帯の電源が切られている。……まあ、彼なら例え何か起きても大丈夫だとは思うが」
「そう。なら信じるしかないわね」
「……ああ」
『皆様、ようこそお集まりいただきました。それでは堅苦しいあいさつはぬきにして、くたばるといいね』
「「「!!?」」」
「“
「あっけねェあっけねェ」
「ワタシの出番ゼンゼンなかたね」
「いくよ、“デメちゃん”。この部屋中の散乱した死体とその血、肉片および死人の所持品全てを吸いとれ!!! ついでに椅子も」
「いてっ……やべ、ふて寝してた」
「お」
「まだ息のある奴がいるよ」
「ん?」
「う……」
「もう1人いるね。意外と精度悪いね」
「うるせ」
「てめェら……何モンだ? ……まあいい……誰であろうと皆殺しだ。コミュニティが必ず!!! てめェらとその家族残らず、凌辱し! 切り刻み!!! 地獄の苦しみを味わわせてやるぜ……!」
「家族? なにそれ?」
「何だこの状況?」
「お前、頭悪いね。死ぬといいよ」
「いててっ」
「! オーラ上がたよ。こいつちょっとやるね」
「どうするの?」
「決まてる。殺すだけよ」
「お! 君、可愛いな。この後一緒に食事でもどう?」
「えっ、えーっと……」
「何考えてるか。あいつにこの後なんてないよ」
「あ、そっか」
「おっと」
「へェ、これよけるか。お前、ちょっと楽しめそうね」
「俺は楽しくない。そっちのメガネの娘と話したい」
「お前、ふざけてるね。せいぜいワタシを楽しませてもらうよ」
「おいおい、楽しむのはいいけど、あんま時間かけるなよ」
「わかてるね」
「――あれ? 何やってんの?」
「お。そっちはもう終わったのか?」
「いや、それがちょっと問題が発生してさ」
「問題?」
「ちっ……。こいつ、お前達来てからまたオーラ上がたね。条件がよくわからないよ。多対一に特化した能力か?」
「苦戦してるみてーだな」
「どこがね」
「オレに戦らせろよ。そいつ強化系だろ?」
「こいつはワタシが殺すね。先着順よ」
「そんなことやってる暇ないって。使えるならオレが戦るよ。このあとのためにちょっと強いの欲しかったんだ」
「ムリね。お前のアンテナじゃ刺さらないよ」
「え、そんなに?」
「そもそもそいつなんなの? 別に戦る気に溢れてるわけでもなさそーだし。ただの客なら放っておけば?」
「お! 君も可愛いな。名前教えてよ」
「……何アイツ」
「多分バカね。それはわかてたよ」
「確かにありゃ強化系かもな」
「だろ? なら、オレだ。一発勝負でどうだ? 時間ねーんだろ?」
「そうね。コイン次第では譲るよ。――どっち?」
「表」
「当たりね」
「よっしゃー! おい! てめェ! 次の相手はオレだ!」
「次の相手って何だよ。そんなことより、そっちの2人の名前と連絡先が俺は知りたい!」
「ならオレに勝ったら教えてやるよ」
「マジで!」
「ちょっと! 何勝手に約束してんのよ!」
「別にいいだろ。勝ったらっつったじゃねーか」
「そういう問題じゃない。人の名前を勝手に使うな」
「じゃ、貸し一つだ。それでいいだろ」
「……しかたないわね」
「よし、決まりだ! おい! 時間がねえからな! これからオレはてめェに一撃くらわす! それをてめェは避けるでも防ぐでもして生き残ったらてめェの勝ちだ! この場は見逃してやる!」
「そうじゃねェだろ! そっちの2人の名前と連絡先!」
「ああ……そうだったな。見逃す上にこの2人の名前と連絡先を教えてやる。それでいいな!」
「いいぜ!」
「……確かにアイツ、バカなのは確定だね」
「だな」
「賭ける? 何か意外と生き残る気がしてきた」
「そりゃムリだろ。ウボォーだぜ。手加減なんかしねェよ」
「じゃ、ワタシ、生き残る方に賭けるよ。これでもそれなりに本気で戦てたね」
「最近あんま戦ってないから鈍ってただけじゃねーのか? オレは当然、ウボォーの勝ちだ」
「オレもウボォーで」
「アンタ、生き残る気がしてきたって言ったじゃない」
「気はしたけどね。確率は高い方に張るよ。気になるならそっちに張れば? 何せあいつのお目当てなんだしさ」
「……ウボォーで」
「あははっ、堅実!」
「じゃ、私は彼に張るよ」
「あれ? 実はああいうのがタイプ?」
「ううん。ただ、誘われることとかってあんまりないから」
「“フランクリン”は?」
「“ウボォーギン”」
「だよねー」
「んじゃ、行くぜ! ――“
「“
「! どうなった……!!?」
「……へ。やるじゃねェかよ。避けるでも防ぐでもなく、真っ向からオレと打ち合うとはよ。この勝負――てめェの勝ちだ!」
「当然だぜ! 素敵な女性が関係してるときの俺は超強い!」
「ウボォーと互角!!? ウソー!!? あいつのアレ小型ミサイル並みの威力あるんだぜ!」
「いるトコにはいるもんだな」
「ちょっと! アンタ何敗けてんのよ!」
「ワリーワリー。オレも驚いてる。オレはまだまだ強くなれるみてーだわ! やっぱ目指すは核ミサイルだな!」
「そこじゃないでしょ!」
「おお、でも約束だからな。名前と連絡先教えてやってくれ」
「くっ……!」
「“シズク”と“マチ”か俺はスターだ。あとで電話するから」
「うん」
「しなくていい」
「おい。そろそろ行くぞ」
「わかってる」
「どこ行くんだ?」
「アンタには関係ない」
「あんたもとっととこの場を離れた方がいいよ。ここに残ってると面倒なことに巻き込まれるから」
「そうか。ならそうする」
「おい。オレとも連絡先交換しようぜ」
「え、男はいらない」
「そう言うなよ。お前とのケンカ面白かったしよ。また戦ろうぜ」
「イヤだ。メンドくさい」
「じゃ、ケンカ1回に付きマチ達の情報ひとつ」
「乗った!」
「ウボォー! だから勝手に約束するな!」
「オレが知ってることを話すだけだ。問題ないだろ」
「だから、アタシをネタに使うなって言ってるんだよ……!」
「はいはい。それはあとでやってよ。今は脱出だ」
「ちっ……」
「これがオレの連絡先だ。つってもオレは基本的に電話持ち歩かねーから、オレの方からかけることになるだろーが」
「そうか。いいネタ頼むぜ!」
「ああ、んじゃな」
~~中略~~
「ん……クラピカからスゲー着信きてるな。なんだ?」
『スター! 無事だったか! 今どこに……いや、地下オークションで何があった!』
「地下オークション? ああ、なんだ俺の成功譚を聞きたいのか? つっても、まだ連絡先を交換しただけで」
『何を言っている! 会場にいた人間全てが消えたハズだ! お前はそこにいたんじゃないのか!!?』
「いや、俺寝てたから……あ、でもなんか掃除機で吸ってたな」
『掃除機!!? “念”能力か! 犯人は見たのか!!? 何人いた! その特徴は!!?』
「え、ああ(うーん、これは正直に答えるとマチとシズクがヤバイのか? 他はどうでもいいけど。けど答えなくてもすぐバレそうだしな。つーか、やっぱり犯罪者だったのか)……俺が見たのは7人だな」
『7人!!? 7人でこんな大それたことを!!?』
「そんで何やら、デカイのとかちっさいのとか、耳長いのとか、着物みたいな奴とかいる目立つ集団だったから、見ればすぐわかるんじゃないか?」
『そうか……。スターは交戦したのか?』
「ちょっとはしたけど戦る気なかったし、あいつらも急いでたみたいですぐ終わった。結構強かったぜ」
『なるほど……わかった。また後で連絡するかもしれないが、構わないか?』
「ああ。じゃあな」
~~中略~~
「おっ。スター、帰って来たか。オークションはどうだった?」
「ふっふっふ」
「……何よ」
「ズバリ2人の素敵な女性と連絡先を交換することに成功したぜ! 俺は!」
「「「「…………」」」」
「お前オークションに何しに行ったんだ? 連絡先を買って来たのか?」
「バカ言うな! 俺の実力だ!」
「ウソくせー……何か賭けでもしてムリヤリ聞き出したんじゃねーの?」
「そ、そんなわけないだろ」
「今どもったよな」
「うん」
「どもったな」
「……やっぱりね」
「ち、違う! 何だお前らその目は! 実力だ! 完全に実力で聞き出したんだ!」
「実力ねえ……まあ、何でもいいけどよ。こっちは腕相撲で275万ジェニー稼いだぜ!」
「……ビミョーじゃね?」
「まあな。後半はなかばやけになったリベンジャーしか挑戦してこなかったもんな」
「うん。もううわさが広まって誰も挑戦してこないよきっと」
「いいんだよ。はじめからそのつもりだったんだから。出来るだけ尾ヒレがついてた方が有難い」
「え?」
「腕相撲はエサまきさ。地中のモグラをおびきよせるためのな」
「――んじゃ、見てろよ。ちゃんと連絡先交換したってことを証明してやるからよ」
「「「「「…………」」」」」」
「……出ないね」
「着信拒否られてんじゃねーの?」
「あるいは偽の番号教えられたとかな」
「そんなことねーって! ちゃんとその場で交換したんだから!」
「すぐ後に番号変えられてたりしてな」
「き、きっと今は、手が離せないだけだ! もう1人の方にかけてみる!」
「諦めろよ、スター」
「俺は諦めない! ――かかった!」
「ウソ!!?」
『スター? 何か用?』
「ああ、電話するって言っただろ。今何してるかと思って」
『今はトランプ』
「トランプ? ひょっとしてマチもいる?」
『うん。代わろうか』
「――いいのか? じゃ、頼もうかな?」
『わかった。マチ、スター』
『ちょっ、アタシはいいって!』
『着信出ないからだよ。ちょっと話してあげるくらい別にいいじゃん』
『アンタ完全に他人事だからって』
『そりゃ、俺は男だし――! おい、ウボォーも本気だ』
「うるせっ!!? なんだよ今の音?」
『あ、ちょっと、ウボォーがケンカしてて……』
「またかよ? これだからバトルマニアは」
『――手伝おうか、ウボォーギン!!!』
『余計なお世話だ!!!』
『何かみんなで観戦するみたいな感じになってきたから切るね』
「え、ああ。じゃ、またかける」
『うん。またね』
「「「「「…………」」」」」
「――つーわけだ」
「いや、なんか騒がしかったことしかわかんねーから。そもそもあんまり相手にされてなさそーだしさ」
「そんなことない! またかけてもいいって感じだっただろ?」
「それはまあな。でももう1人の方にはなんか迷惑がられてなかったか」
「彼女は照れ屋なんだ」
「……きっと違うと思う」
「経験者は語る」
「ポンズは俺のこと好きだって!」
「……」
「き、嫌いではないよな?」
「……そうね」
「ほ、ほら見ろ! お前ら! ポンズは俺のこと好きだって!」
「いや、言ってねーだろ」
「さすがにムリがあるよスター」
「ゴンが言うってのはなかなかだぜ」
「こ、これからだ! これから! 俺達の冒険はこれからだぜ!」
「打ち切り漫画かよ……」
~~中略~~
「エレベーターで一番下まで降りな。すぐ始まる」
「おーお、殺気立ってるねー」
『さて、皆様。ようこそいらっしゃいましたー!!! それでは早速条件競売を始めさせていただきます! 今回の競売条件はァ、かくれんぼ!!! でございます!』
「かくれんぼ~!!?」
『それでは皆様、お手元の写真をごらん下さい! そこに写った7名の男女が今回の標的でございます!』
「あ」
「「「「!」」」」
「おい、このコ確か」
「うん! 腕相撲に来てた人だ」
「腕相撲?」
「あ、そっか、スターはいなかったっけ。スターがいなくなってから少ししてこの人も参加したんだよ。かなり強かった」
「へー……」
『落札条件は標的を捕獲し我々に引き渡すこと!!! そうすれば標的1名につき20億ジェニーの小切手と交換させていただきます!!!』
「……」
『期限はございません! 標的の生死も問いません! もちろん捕獲方法、その他、全て自由でございます! 捕らえ次第下記の番号まで連絡下さい!!!』
「1人20億……!」
「全員捕まえりゃ140億!!!」
『ただし参加費用としてお1人様、500万ジェニーいただきます。参加されない方はお帰りの際、係りの者に写真を御返却下さい!!!』
「おう、そうだ。これからFAXする!」
「ネットで情報集めろ! 有力なネタには賞金出すって言っておけ!」
「オレ達も急ごうぜ」
「慌てなくてもあんな連中にゃ捕まえられないよ。なにしろヤーサンでさえ手を焼いてんだから」
「どーゆーことだ?」
「さっきのさ。条件競売って言いながら、まるっきし賞金首探しだろ? マフィアが自分の力で捕まえきれてないって認めてるようなもんだよ」
「そうね」
「ああ。んでさ、あの会場! 特設リングがあったじゃん? 多分、最初の予定じゃあのリングを使って、お気楽なバトルか何かやるつもりだったんだぜ」
「その予定を変更してでもこいつらを探す必要が生じた……?」
「そ。どんなに時間と金をかけてでもね。500万ジェニーの参加料をとって競売の体裁をとりつくろってたけどさ。競売品が品物じゃなくて小切手って時点でもうおかしいと思わねー?」
「まさか……地下競売の品がこいつらに盗まれた……!!? そこでしかたなく競売を装って盗っ人の首に賞金をかけたのか!」
「そ。マフィアのお宝盗むなんてこいつら頭イカレてるだろ。でも、オレ達はそんな連中の心当たりがある」
「“幻影旅団”……!」
「……そういえば、クラピカはどうしてるんだろう」
「そういや、来てるハズなのに連絡が全然ないな」
「あ、俺連絡あったぜ」
「えっ、ホント?」
「昨日の夜からもう追ってるみたいだな」
「「「「!」」」」
「……出ないよ」
「仕事中か。あいつ一体何の仕事してるって?」
「ボディーガードって言ってたけどそれ以上は何も」
「おそらくVIPの護衛か。“緋の目”を追ってんだから当然、闇の要人だよな……」
「その人の護衛で地下競売に行って、事件に巻き込まれたのかも……」
「巻き込まれたってのは正しくねーぜ。相手が旅団ならあいつは積極的に介入するハズだからな。すでに団員の2、3人は捕まえてるかもしんねーしな!」
「だと、いいけど」
「……親父がさ」
「ん?」
「仕事で旅団の1人を殺ってるんだけどさ」
「何!!?」
「珍しくぼやいてたんだ“割に合わない仕事だった”って。それって標的に対する最大の賛辞なんだけどさ。そのときに言ったんだ」
『旅団には手を出すな』
「――3年くらい前の話だけどね」
「その話、クラピカにしたか?」
「してないよ。意味ないし」
「問題はオレ達がどうするのかってことだね」
「そゆこと」
「オレ、やるよ。虎穴に入らずんば……って言うもんね」
「――私はリスクが高いと思うわ。相手の方が人数も多いじゃない」
「そーだけどさ……何もしないではいられないんだ。それに全員と一度に戦うってわけでもないと思うから」
「とりあえずは情報収集してみるか。遠目にでも実物を見てみねーことにはよ」
「……わかってたけど、言っても聞きそうにないわね」
「まあ、こいつが一度言い出したらな」
~~中略~~
「ダメだな。めぼしい情報は留守録にもメールにも入ってない」
「こっちもだ。収穫なし。旅団1人につき20億って懸賞金は魅力だけど、見つけるのはキビしいかもね。賞金首探しに一番必要なのって、幅広くて確かな情報網だからなァ」
「そうは言っても、もう500万払っちまったしよ。何十億って金を一気に稼ぐ方法なんか他にあるか?」
「まーね」
「やっぱり賞金つけないと誰も進んで情報はくれないよ」
「でも、それやるとガセネタの量が爆発的に増えるんだよなー……」
「真偽を確かめるだけでえらい時間の浪費だぜ」
「だよな」
「そのためのお金くらいは私が出してもいいけど、行き詰ってることだし、先にサザンピースのオークションの“
「おお、そうな! そろそろ手に入れておいた方がいいよな」
「「“
「サザンピースはヨークシンで最も権威があるオークションハウスなんだ。その入場券を兼ねている“
「そのサザンピースでは6日から10日までの5日間、競売をやってるけど、いつ、どの品物が競りに出されるかは、この“
「「なるほど」」
「なるほどってお前らな……そのくらい来る前に調べとけよ」
「あはは……」
「たしかに」
「いらっしゃいませ!」
「“
「かしこまりました。お支払方法はいかがなさいますか?」
「銀行振り込みでお願い」
「俺が払う!」
「お。めずらしい」
「ポンズに払わせるわけにはいかないからな!」
「(……これ利用すれば、結構あっさり“グリードアイランド”買ってくれんじゃね?)」
「(さすがにそれは悪いよ)」
「(じゃ、あくまで最終手段ってことで)」
「――こちらが“
「こちらに今年の競売品が全て掲載されております。この“
「お。ピッタリだな」
「但し競売に参加出来るのは個人、団体共に一名義のみとさせていただいております。御名義はいかがいたしましょうか」
「いいぜ」
「ありがとう! ゴン・フリークスで!」
「グ……グ……“グリードアイランド”! あった!」
「お~」
「競売予定日は6日~8日までがそれぞれ1本ずつ。9月10日が2本。いずれも午後から。最低落札希望価格が89億……か。さて、これでいよいよあとは金を稼ぐだけだな!」
「“
「気にしなくてもいいのに」
「いいの! オレが払いたいんだ」
「――旅団の目撃情報提供料は本当に1500万でいいのか?」
「うん」
「じゃ、まず伝言サイトに登録して有力情報を待つ! 首尾よく情報が入って旅団の1人を捕えたら、今度はそいつを締め上げて、残りの団員の居場所を吐かせて捕まえる!!!」
「名づけて“芋づる作戦”!」
「(ださ……)」
「芋づる作戦、悪くないけどさ」
「(えっ)」
「ただ問題はさ。情報の条件を限定してもガセネタはとめどなくくるんだよね。意図的な偽証はもちろんのこと、見間違いってのが厄介だぜ」
「(あ、内容の方よね……)」
「それはある程度しぼれると思うぜ。目撃者が“どこ”で旅団を見かけたかによってな。あえて伝言サイトには場所の情報を流さないんだ。その上で“ヨークシンで見た”って情報が入れば本物の可能性が高いだろ?」
「確かにね……でも旅団がまだここにいるって保証はないよ」
「ああ。だがかなり高い確率できっとまだいる。何故なら陸・海・空・地下に至る全ての交通手段をマフィアが監視してるからな。盗んだ競売品を持って見つからずに脱出するのは不可能だ。――この街のどこかに奴らはまだ隠れてる……!!!」
「(俺、連絡取れるんだけど……どうするかな。何か言い出しづらい。他はともかくマチとシズクが問題だよな)」
~~中略~~
「? 何だろ。品物全部に変な紙がついてる」
「ここは値札競売市だよ。白紙の値札に買い手が金額を記入していくんだ。んで、規定時刻までに最高価格を書いた人が落札するんだ。ほら、人気の品はこんな風に後からどんどん価格が書き直されていく」
「ホントだ」
「手書きのレトロ感覚がけっこう評判の競売市だが、金額の折り合いがつけば規定時間を待たずに売ってくれる場合が多いらしいぜ。まぁ、競売と蚤の市が合体したようなもんだな」
「蚤の市っつーか、ガラクタ市っつーか、どれもこれも家の物置の中身そのまま持ってきただけって感じ」
「まあ一番庶民的な市の一つだからな」
「?」
「どしたゴン」
「おじさんこれって」
「ん? ほしいなら値札にいくらで買いたいか記入して。昼12時まで他に買い手がいなきゃ君に売るから」
「あ、うん、えーと」
「レオリオ……交渉うまいだろ? 何とかあれ、今すぐ手に入れてよ(お宝かもよ)」
「! (よし、まかしとけ)」
「何だ、ゴン。そのナイフ欲しいのか? あっちにもっといいデザインのあったぜ。ああ、でもあれは結構人気あったからなァ。なぁオッチャン。実はオレ達もう国に帰らなきゃいけねーんだ。これ、今売ってくれねーか?」
「んー? ……まぁ……他にまだ買い手もいないしな。金額によっては売ってもいいよ」
「そうだな。結構古そうだし100ジェニーで!」
「ダメダメそれじゃ売れないね」
「あっそ。じゃ、いいや。ゴン行こうぜ」
「ちょっと待った! 500でどうだ?」
「――300ジェニー!」
「間違いない。本物だ」
「一体何なんだ? これ」
「“ベンズナイフ”だよ。ベンニー・ドロン。100年くらい前の大量殺人鬼なんだけどさ。“ベンズナイフ”ってそいつのオリジナルブランドなんだ」
「――で、いくらするんだ?」
「番号によって全然値段は違うけど……安くて500万」
「マジ!!?」
「でも、よく知ってたな。ゴン」
「いやそんなこと全然知らなかったよ」
「じゃ、なんで?」
「うーん、ちらっと目に入ったときね、なーんか変な感じがしたんで。“凝”で見てみたんだ。そしたら微かだけどオーラが見えたから」
「ギョウ?」
「“念”の一種だよ。簡単に言うとものすごーく注意してみること。――本当だ」
「そうね」
「――ダメだ。オレには全然見えん」
「俺は常に見えてる」
「“錬”を磨けば見えるようになるよ」
「そうか……こんな方法があったか」
「え?」
「掘り出し物の探し方だよ。どの分野で活躍している人間でもずば抜けた才能の持ち主は本人も知らずに“念”を使ってる場合が多いってメガネニイさんが言ってただろ?」
「初期の俺とポンズのことな!」
「だからそういうの強調しなくていいから」
「このナイフみたいにオーラが漂ってる品物を見つけ出せば、それはすごい天才が作った可能性が高いってことだ」
「そうか。その方法なら鑑定の知識がなくても埋もれた逸品を見つけることが出来るね! それをもっとグレードの高いオークションにかけて高く売る! 名づけて――“念でぼろ儲け大作戦”!!!」
「(やっぱりださっ……)」
「よし! じゃオレは伝言サイトの情報チェックを担当するぜ。マジっぽいのがあったらケータイに連絡入れる」
「オレ達は早速他の掘り出し物を探しに行こうぜ!」
「じゃ、俺とポンズはデートを」
「しないけど、効率よく別行動ね」
「くっ……」
「それじゃ作戦開始!!!」
「「「「ゴー!!!」」」」
「ゴー……」
~~中略~~
「あ? “ゼパイル”? ふーん、じゃ、そっちは好きにやれよ。俺? 俺はテキトー。元々俺は金あるからそこまでやってる感じでもなかったしさ。ああ、何かあったら連絡する。じゃあな」
「お」
「げ」
「マチ! 偶然だな! いや、運命かも!」
「……偶然よ」
「何してたんだ?」
「別に」
「俺も同行していいか?」
「ダメ」
「そう言うなよ。飯でもどう? 奢るぜ」
「いらない」
「いいじゃねえか。奢ってくれるって言うんだから。それにこいつとも話しておきたかった」
「何でよ」
「ウボォーが気に入ってたからだ」
「……ちなみに、お前誰だ?」
「ああ、そういやオレは名乗ってなかったな。“ノブナガ・ハザマ”だ」
「?」
「……ちょんまげしてた奴よ。こういう感じに髪をまとめた」
「あ、あー! いたな! そんな感じの奴!」
「……オレの印象って髪型だけか?」
「あと服装」
「そうか……まあいい。とにかく場所を移すぜ。ちょうどいいトコがある」
「何か思ったよりオシャレな場所に連れてこられた」
「まあ、確かにコイツには似合わない場所だけど」
「うるせェな」
「うーん、何頼むかな。マチはどうする?」
「これだけでいい」
「いや、缶ジュースじゃん。俺の財布の中身は気にしなくても大丈夫だぜ?」
「別に気にしてないわよ」
「うー、なら俺が色々頼むからよ。すいませーん。このサンドイッチとピザとパスタと――あと、このヨークシンドリームジャンボパフェDX!」
「……ジャンボでDX?」
「「…………」」
「ほら、マチも食えよ」
「え、ああ……」
「オレは無視かよ」
「空気読めよ。トイレ行くとか言って3時間くらい帰ってくんなよ」
「てめェマジで露骨だな」
「ちっ。わかったわかった。ノブナガも食っていいよ。俺は彼女の男友達にも寛容な男だ」
「誰が彼女なのよ」
「友達でもねェしな」
「ああ、そういや、2人ってマジで旅団なの?」
「「――」」
「そりゃ、どういう意図の質問だ?」
「そのままだけど。実は俺の友達が旅団の賞金欲しがっててさ。ノブナガちょっと捕まってくれない? 金もらったら逃げていいから」
「アンタ……」
「……ぷっ、だーっはっはっはっはっは!」
「ノブナガ?」
「それをわざわざ本人に言うかね。ウボォーが気に入るわけだぜ」
「ウボォーっていうと……」
「アンタが戦ったデカイ方よ」
「ああ。あいつね」
「お前よ、ウボォーについて何か知ってることねェか?」
「知ってること? 男のことなんか知らねェよ」
「じゃ、“鎖野郎”ってのに心当たりねェか?」
「だから野郎ってことは男だろ? 俺が知るかよ」
「まぁ、だろうな。お前はあいつと正面から戦りあえるからな」
「……そうね」
「なんか引っかかることでもあんのか?」
「さあ? こいつのことはよくわからないわ」
「そうだな! 俺達はもっとお互いによく知りあうべきだ!」
「……こんなだしさ」
「だははっ、そりゃしょうがねェ」
「……ちょっとマジな話するとよぉ。ウボォーの奴が帰って来ねえ」
「んぐっ?」
「いや、食ってていいぜ。そんなわけでオレ達はウボォーを探してる。ここに来たのもそのためだ」
「むぐぐ……あいつ、やられたのか?」
「わからねェ」
「……おそらくね」
「おい!」
「自分で言ったんだろ。それを確かめるためにここにいるって」
「……ウボォーはただの怪力バカじゃねェ」
「わかってるよ。そんなことは」
「例え敵が苦手なタイプであろうが、対応出来るだけの経験と頭は持ってる」
「でも、ウボォーは戻って来なかった。今までアイツが集合時間に遅れたことがあったか?」
「だがお前も聞いたんだろ? 奴は“鎖野郎と決着をつけるまで戻らねェ”とハッキリ言ったそうじゃねェか」
「だからアタシも“おそらく”と言ってるんだ。間違いなくやられたとは言ってない」
「勘か」
「勘だ」
「チッ……オメェの勘は当たるからなァ」
「そうなのか! なら俺との未来を勘で言うと」
「……何もない」
「ウソだ!」
「別にウソなんか吐いてないよ。というかアンタこそ空気読みな。そういう気分じゃないんだ」
「――探し出してぶっ殺す。必ずな」
「あ?」
「“鎖野郎”のことだ」
「ふーん……」
「……団長はおそらくそいつを仲間にしたがってると思うけど」
「マチ。団長は“2人組で鎖野郎を探し出し連れてこい”としか言ってねェ。そんな時の暗黙のルールは忘れてねーだろ? 生死は問わず、手段は好きに。そうだろうが。おめェが勝手に団長の意図を解釈するのは構わねェが、それをオレに押しつけんのはやめろ」
「アタシはまだ何も言ってない。てめェの意見を押しつけてんのはアンタだろ?」
「あ」
「「あ?」」
「ヨークシンドリームジャンボパフェDX。お待たせしましたー。ご注文の品は以上でよろしいですか?」
「ああ。ありがと」
「それではごゆっくりどうぞー」
「「…………」」
「どした?」
「……これ、さすがにデカくない?」
「おお……いくらすんだ?」
「15000。別にたいしたことないだろ?」
「そりゃ、額はね」
「いや、よく知らねーが、菓子としてはたけーんじゃねーか?」
「そんなことねーよ。俺この半年で菓子代として7000万くらいタカられてるしさ」
「1人に?」
「ああ。もう1人いるけど、そっちはそいつに付き合ってるだけだから、その3分の1くらいだ」
「菓子に2人で1億かよ。どんな知り合いだよ……」
「それより、マチ」
「な――にすんのよ!」
「あれ、美味くなかったか?」
「それとこれとは話が別!」
「いや、パフェってこーやって食うものだろ。次、俺の番な。あーん」
「……そんなに食いたきゃ、腹が破裂するまで食え!」
「お、おー、腕の残像が見えやがる。マチも本気だな。――しかし、それに対応して食うとか人間業じゃねェ。こいつの想いはそこまでか……」
「くっ……やめだ! これじゃ、ただアタシが食わせてやってるだけじゃないか!」
「今更だな。ギャラリー出来てるぜ」
「散りな! 見せ物じゃない!」
「マチは恥ずかしがり屋だな」
「……そのフザケタ口、今この場で縫いつけてやろうか?」
「やめとけよ。意外とお似合いだったぜお前ら」
「あ゛?」
「――ノブナガ。俺はお前を誤解していたようだ。なんか追加注文するか?」
「いらねェよ。つーか、冗談だ冗談。そんなマジで睨むなよ」
「ちっ……」
「ノブナガ、俺の信頼を裏切ったな!」
「裏切ったも何も……って、何かメンドくせェな」
「だから、同行なんてさせなきゃよかったんだ」
「いや、さすがにそこまでじゃねェが……」
「……視られてんな」
「やっぱり? こっちはさっきのギャラリーとかとは違って素人じゃないね」
「ああ。どこかはわかんねェがオレ達を意識してる」
「あ、これ、俺の友達」
「「……はあ?」」
「さっき言っただろ。旅団の賞金欲しがってるって」
「ああ、そういやそんなこと言ってたな」
「……それで、どうするわけ? 一方的に視られてんのは気分悪いんだけど」
「ん、んー……ちょっと付き合ってやってよ。2人より弱いし、そのうち諦めるだろ。ノブナガが捕まってくれるならそれが一番だけど」
「やらねェって」
「諦めなかったら、殺すかもよ」
「本気で殺したかったらそれでもいいぜ。その時は俺が邪魔するだろうけど」
「……なら、いいじゃねェか。放っとこうぜ」
「本気?」
「ああ、こいつらは“鎖野郎”じゃねェよ」
「アンタの勘?」
「そういうお前はどうなんだ」
「……違う」
「じゃ、決まりだ。本気で目障りになったら追い払うか殺す。それまでは放置だ」
「わかった」
~~中略~~
「……アンタ、どこまでついて来る気?」
「え?」
「アタシら、これからアジトに帰るんだけど」
「行っちゃダメなのか?」
「普通来ないでしょ」
「だって、シズクもいるんだろ? シズクとも話したい」
「携帯で話せばいいじゃない」
「うー。そんなに俺を追い払いたいのか」
「そうね。アンタの友達も変わらず尾けてきてるみたいだしね」
「たいした奴等だ。さすがお前のダチって感じだな。シッポをつかませねェ。カンペキな“絶”だ」
「……確かに、かなりの使い手だね」
「ってか、そっちはそっちのじゃねェの?」
「あ? あー……そーゆーこと」
「どういうことだ?」
「わかんないなら気にしなくていいわよ」
「おい、マチ。お前、今オレのことバカにしたろ?」
「被害妄想」
「いーや、バカにした」
「しつこいね。これ以上しつこかったらそう思うかもね」
「ぬ……上手いこと言いやがったな」
「どうでもいいけど、アンタ、ホントにそろそろ帰りなよ。うちのバトルマニアはウボォーだけじゃないよ」
「他にもあんなのがいるのかよ」
「まぁ、タイプはちょっと違うけどね」
「かなり違ェよ。ウボォーみてェのはそういねェ」
「……そうかもね」
「うーん。わかった。なんかそっちも色々あるみたいだし、今日は帰る」
「おお、悪ィな。立て込んでないときならオレ達は歓迎するからよ」
「勝手に達でまとめるな」
「いいじゃねェか」
「よくない。アタシはアタシの気持ちを勝手に決めつけられるのは嫌いだ」
「あーはいはい。そりゃ、悪かったよ。じゃ、またな」
「ああ。マチ、また電話するから!」
「しなくていいって言ってる……」
「するから!」
「……勝手にしろ。多分出ないけどね」
「シズクにもよろしく伝えてくれ! それじゃ!」
「……変な奴」
「じゃなきゃ死んでるぜ」
「そりゃそうだ」
~~中略~~
「おう。レオリオ。どした?」
『どーしたじゃねェよ! お前“幻影旅団”のメンバーと一緒にいただろ! しかも和気あいあいとメシ食ったりして! どーいう関係だ!』
「ん、だから、オークションの時に連絡先を聞いてさ。今日は偶然街でマチとあったから。あ、ダジャレ言っちゃった」
『おまっ……連絡先聞いた女って、“幻影旅団”……何考えてんだ! 相手は超一級の犯罪者だぜ!』
「そーだけどさ。マチとシズクが可愛いから……」
『可愛きゃ許されるってことじゃねェだろ! あいつらはクラピカの仇でもあるんだぜ!』
「ああ、そうな。他は構わないから、マチとシズクは許してくんねーかな?」
『あのな、そりゃムリだ。あいつは一族丸ごと殺られてんだからよ。……それより、状況がわからなかったが、ゴンとキルアがお前といた奴らの後をそのまま追ってる。出来れば合流してくれ」
「ゴン達じゃムリだぜ? 諦めて帰ってくるんじゃないの」
『それはオレも感じたが……ゴンが簡単に意見を変える奴じゃないってのはお前だって知ってるだろ?』
「ポンズは?」
『オレの代わりに情報サイトのチェックをしてくれてるよ。元々あいつは乗り気じゃなかったし、オレも一度“幻影旅団”の実物を見てみたかった。ゴン達とも合流したかったしな』
「んー、でも合流するって言っても、もうどっか行っちまったぜ?」
『探せよ! ってか、ゴン達の方なら携帯の所在地モードでも使えばすぐ合流出来るだろ!』
「あー……って動いてる。この速さ車に乗ってる?」
『何!!? ちょっと待ってろ!』
「ん?」
『……ヤベェ。携帯に出ねェし、ひょっとしたら捕まったかも』
「待て、落ち着けよ。尾行してんなら携帯に出ないくらいのことはあるだろ。それに車の後を追うことだって」
『あ、ああ、そうだよな。とにかくスターは2人と合流してくれ! 本当ならオレが行きてーが、“絶”を使えないオレじゃ足手まといになる』
「はぁ、わかったよ。このまま帰るとポンズに怒られそうだし……レオリオはどーすんだ?」
『オレはゴン達に協力してくれてるっていうゼパイルって奴に会う。旅団の情報が入ったことで全部任せて来ちまったそーだ』
「そうか。わかった。じゃ、切るぜ。あとでな」
『おう! 2人のこと頼んだぜ、スター!』
~~中略~~
「“ヒーロー”参上!」
「「「あ?」」」
「スター!」
「……アジト壊すなよ」
「何でこいつがここにいるね」
「迎えに来たんだろ。このコ達とお友達だって話だしさ」
「そういうことじゃないね。何でここ知ってるか」
「“ヒーロー”だから!」
「どうせ携帯の所在地モードでも使ったんじゃないの。別に取り上げてないんだろ?」
「あ、お前! ネタバレ禁止!」
「ほら」
「つーか、そいつお前らと一緒にいた奴だよな? 誰なんだよ」
「オークションのときにウボォーと戦りあった奴がいるって話しただろ」
「……そういやなんか聞いた気もすんな。“鎖野郎”のことがあったからあんま覚えてねーけど」
「それで、そいつは“鎖野郎”と関係ないの?」
「ま、多分ね」
「一応調べてみる?」
「好きにすれば。そいつの記憶でバカになっても知らないわよ」
「あははっ、そりゃ困る。放っておきなよ。“鎖野郎”は単独で行動してるハズだから」
「ノブナガと同じ意見なわけだね」
「わざわざ子供なんかを使わなくても、ノストラード組を通じて情報はいくらでも入ってくる。一応、“鎖野郎”は組に所属してるわけだからね」
「そりゃそうだ」
「オレ達の標的は“鎖野郎”だけだ。それ以外は放っとけばいい」
「だ、そうだ。よかたな。お家帰れるね」
「あれ、何かすでに山場越えてた?」
「まあね」
「マジかよ。せっかく、マチとシズクの前でカッコいいトコを見せようと派手に登場したのに」
「そんなことでアジト壊すなよ」
「元々ボロイじゃん」
「確かに」
「あ、今更だけどお姉さんスタイルいいな。名前と連絡先教えてよ」
「またかよ」
「“パクノダ”よ。連絡先は秘密」
「えー」
「2人のを知ってれば十分でしょ」
「あいつ、オレ達を助けに来たんじゃねェのかよ……」
「あんた達、いつも一緒にいるの? 苦労するわね」
「ま、ね」
「スター、おもしろいし、頼りになるよ」
「でも、メンドくさいでしょ」
「それは……」
「――なあ、スター。そいつ、オレにくれよ」
「あ?」
「ボウズ、
「やだ」
「オレと組もうぜ」
「お前らの仲間になるくらいなら死んだ方がマシだ!」
「くくくく、ずいぶん嫌われたなァ」
「好かれる要素ないだろ。マチとシズクとパクノダ以外」
「スターは露骨だな」
「気安く呼ぶなよ。まず名前を名乗れ。いや、やっぱ男の名前はいらない」
「どっちさ。そこで完結しないでよ。オレの名前は“シャルナーク”。シャルでいいよ。――で、そっちから、“フィンクス”、“フェイタン”、フランクリン、“ボノレノフ”、“コルトピ”、ヒソカ」
「ヒソカ? あ、お前いたの?」
「あ」
「つーか、旅団だったのか」
「え、知り合い?」
「……天空闘技場で会ったんだよ★ 彼は250階のフロアマスター◆」
「へぇー! 通りでウボォーと戦りあえるわけだ!」
「それってすごいの?」
「そこのチャンピオンだよ。あそこは上の階層には“念”能力者が結構いるから、能力によってはオレ達も手こずるかもね」
「ふーん」
「そろそろ、帰るか」
「つーか、長ェよ。どんだけ馴染んでんだ……」
「おい、スター! そいつ」
「断られたんだから諦めろよ」
「団長が帰ってくるまで待ってくれよ。団長の御眼鏡にかなわなきゃ諦める」
「――団長って女?」
「男」
「よし、帰ろう」
「スター!」
「はいはい、また今度な」
「ボウズ、オレは諦めねェからな!」
「……変なのに気に入られたな。ゴン」
「だな」
「知らないよ。オレ、旅団には絶対に入らないから」
~~中略~~
「――で、どうする? これから」
「そりゃ何がしたいかによるさ。どうするかは」
「あいつらぶっとばしたい!」
「やっぱね」
「マチとシズクはダメだ! あ、あとパクノダも!」
「スター……」
「それでもいいよ! オレはノブナガとフィンクスって奴をまずぶっとばすから!」
「まあ、そりゃ、最初の主旨からはずれちゃいないけどな。奴ら3人くらいとっ捕まえて賞金せしめれば一気に60億だし。だけどそのためには“念”能力の向上が必須だぜ。奴らと対等に渡り合えるだけの潜在能力が“念”にはあるハズなんだ」
「あいつら結構やるぜ。通常時のオーラ的には全員ヒソカクラス」
「ああ、それはわかってるよ。けど、可能性はある。それを知るにはクラピカに聞くのが一番手っ取り早いんだけどな」
「え? 何で?」
「あいつらの仲間を倒したっていう“鎖野郎”がクラピカのことだからさ」
「え!!?」
「そうなのか?」
「やっぱり、気づいてなかったか」
「本当なのそれ?」
「十中八九な。会って聞けばわかるけど。もしそうならオレ達にもチャンスはある。クラピカだって“念”を覚えたのは同じくらいの時期なんだからな」
「おい。クラピカに会うのはいいが、俺とマチ達との関係は秘密だぞ。あいつマジギレしそーだから」
「わかってるよ。それで協力体制取れなくなってもやっかいだ。とにかく――オレ達の資質にあったオレ達だけの能力。でも、それ以上に旅団と同等以上に戦える能力が必要だ」
「その答えのカギを握ってるのがクラピカ」
「ああ」
「クラピカに会おう!」
「ああ、電話してみようぜ」
「……出ないね」
「仕事中なんじゃねーの?」
「待つしかないかな?」
「――なあ、だったら別行動でいいか?」
「何かしたいことでもあるの?」
「何ってオークションだよ。前回の時は旅団と遭遇して参加出来なかったしさ。まあ、それでマチとシズクに会えたから、むしろそれはよかったんだけど。せっかく来たのにまだ全然見れてないだろ。ほら、俺フロアマスターだから結構誘い来てんだよね」
「へぇー、そうなんだ?」
「なんなら2人も一緒に行くか?」
「いいの!!?」
「ああ。オークション参加中は携帯使えないけど」
「あぅ……うーん、なら、やめとく。クラピカがいつ時間が空くかわからないしさ」
「そうか。ポンズは――あんまり興味ないって言ってたんだよなー……。もうちょっとくらい物欲があってくれれば、色々プレゼントも喜ばれるのに。まあ、そういうトコも魅力的なんだが」
「……お前なんでもいいんだろ。物欲ありまくりだろう旅団員でもいいっつーんだから」
「可愛いは正義! そして俺は“ヒーロー”! “ヒーロー”は基本的に正義の味方! だから俺は犯罪者でも可愛かったり綺麗な女性の味方なんだ! 犯罪と悪は=じゃない! 例え=でも俺には関係ない! 俺は俺の正義を信じる!」
「「…………」」
「なるほどー……」
「納得すんなよ、ゴン」
「わかってくれたようで何よりだ。じゃ、俺は行くから」
「あ、うん」
「どこのオークションハウスに行くんだ?」
「ん? 場所は前と同じだよ。えーっと……そうそう、“セメタリービル”だな」
~~中略~~
「OKです。どうぞお通り下さい」
「よかったー。検問通れなくて困ってたの。ホントにありがとう」
「どういたしまして」
「ちっ……俺の方が先に声かけたのに、車持ってるからって。別にタクシーでよかったのによ」
「まあまあ、それなら同時に声かけたってことでいいじゃないですか」
「いいけどさー……」
「競売品の下見までも、まだ少し時間があるね。そっちで休んでようか」
「私はあちらにいますんで」
「ああ」
「――占いが得意なんだってね。えーっと、誰に聞いたんだけっかな」
「うん。得意だよ。えらい人にも頼まれるもん」
「マジか。だったら君と俺の相性をぜひ!」
「あ、あたしの占いって少し変わってて、そういうのじゃないんだー」
「そうなの?」
「うん。何か4つか5つの4行詩から成ってて、それがその月の週ごとに起こることを予言してるらしいの」
「らしいって……君が占ってんでしょ?」
「自動書記って言って、勝手に手が書いちゃうの」
「へェー、すごいね! 的中率は?」
「百発百中なんだって」
「ホント!!? オレも占ってよ」
「待て! ずるいぞ! 俺が先に頼んだだろ!」
「いいよ。2人とも占ってあげる。紙に自分のフルネーム、生年月日、血液型書いて」
「クラウディオス・E・T・スターに“クロロ・ルシルフル”。20歳と26歳……? へェー、あなたは結構年上なんだ。それにしても、2人共変わった名前だね」
「仲間には“ダンチョー”って呼ばれてるけど」
「あはは、何それ。もっと変」
「くっ……俺ももっとおもしろい愛称があれば……!」
「あはは、それはそれでおもしろいけど。――じゃ、占ってみるね」
『“
「“念”で占うのか。めずらしいなー、特質系ってやつ?」
「……え? 何か言った?」
「ん、だから」
「それより、占い終わったの?」
「あっ、うん。――ハイ! 出来たよ」
「見ていい?」
「どうぞ。あ、それとさっき言った通りだから、もう、一つ目の詩の出来事は終わってるかも」
「へェ……」
「こっちが俺のか」
何もかもが値上がりする地下室
そこで貴方は蜘蛛に出会う
生かすも殺すも貴方次第
欲深き夢の街で一人空白地帯に立っている
菊が葉もろとも涸れ落ちて
血塗られた緋の眼の地に臥す傍らで
貴方は2択を迫られる
表か裏か貴方はどちらも選ばない
幕間劇に興じよう
そこに貴方の探し物がある
けれど気軽に手にしてはいけない
それは眠れる蜂を起こす合図になるだろう
仮初の愛に惑わされ
貴方は深い霧の中を突き進む
抜け出ることは叶わない
真実は貴方の背中にあるのだから
「……意味がわかるようなわからないような」
「!!?」
「ん、おわっ、お前泣いてんのか?」
「はは、君の占いすごいね。当たってるよ。この一つ目の詩なんだけど」
「あ! ダメッ!!!」
「んあ?」
「あ、あたしね。自分の占い一切見ないの。なるべく自分が関わらない方が当たるような気がするから」
「なるほどね」
「俺には見せてくれてもいいぞ」
「ん? じゃ、君のも見せてくれたら」
「ほれ」
「……これは」
「意味わかるのか?」
「どうだろう。でも、オレのと少し似てるね」
「俺の見せたんだからお前のも見せろよ」
「ああ……っと、しまった。今何時? そういえばオレ約束があったんだった」
「え、えっと……」
「ちょっ、見せたくないからでっち上げてんじゃないだろうな!」
「そうじゃないよ。なら時間がないから一つ目だけ」
大切な暦が一部欠けて
残された月達は盛大に葬うだろう
けれど星の遣いを怒らせてはいけない
反転して蝕されてしまうから
「……似てないぞ?」
「他のがちょっと似てるんだよ」
「じゃ、そっち見せろよ」
「ごめん。ホントに時間ないから!」
「あ、こら!」
「大丈夫! オレ達、縁がありそうだから、また会ったときにでも話すよ」
「男との縁なんて嬉しくないんだよ!」
「……行っちゃったね」
「まあ、いいか。これで“ネオン”と2人きりだ」
「え、んー……スターも参加証持ってるんだよね?」
「ああ」
「ならいっか。――ね。あたし達もそろそろ行こうよ」
「そだな」
~~中略~~
「――ネオン!」
「あっ、パパ……」
「パパ? ってクラピカ!」
「スター!!? 何故お前が彼女と一緒に!」
「貴様、どこの組の者だ!!?」
「組?」
「お、落ち着いてパパ。スターはあたしをここに連れて来てくれただけで」
「ネオンは黙っていなさい」
「ボス、彼は大丈夫です。どこかの手の者ではありません。私と同期のハンターです」
「ハンターだと!!?」
「スター、ハンターだったんだ?」
「ああ。一応」
「しかし、それだけでは大丈夫だという理由にならんぞ!」
「そこは私を信じていただく他ありません。それに、この通り彼女が無事だという事実があります」
「……わかった」
「何? これって何か大変な状況なのか?」
「その問いに答える前にスター。彼女はお前がここに連れてきたということで間違いないな」
「ん、ああ。クロロって奴の車に乗ってきたけど」
「クロロ? 誰だ」
「さあ。俺が参加証がなくて困ってるネオンに声かけたら、あいつもかけて来てさ。それなら車で行く方がいいだろうなんて感じで」
「……その人物は今どこに?」
「少し前に約束があるとか言ってどっか行った」
「容姿の特徴は?」
「スーツなのに頭にバンダナ巻いてて、あと、耳飾りつけてる」
「では、何を話した?」
「ネオンを中心にしての普通の世間話だよ。オークションのこととかな。あとは占いをしてもらったけど」
「占い? 占いが目的か? ……いや。スター。その人物は“念”能力者ではなかったか?」
「そうだけど? どんな能力かまでは知らないけど、オーラ的には結構強そうだったな」
「――ボス。まずは彼女の安全確保が最優先。“センリツ”達に連絡します。御2人はこの場を離れて下さい」
「えーっ! やだよ! オークションに参加するのー!」
「ありません」
「えっ?」
「オークションがか!!?」
「その人物の目的は推察するしかありませんが、誰ともわからない“念”能力者が偶然彼女に声をかけ、占いをしてもらい、ただ立ち去るという可能性は少ない。ここにそういう人物としてスターがいる以上、もう1人は悪意を持って近づいた確率が高い」
「クロロさんが?」
「ええ。しかもすでに一度、そういう事態が起こっているのだから、又、起こってもおかしくはないでしょう。そうなればここは戦場です」
「――!」
「今、外から何か……」
「ええ。爆発音です。遅かった。御2人はいつでも脱出出来るように準備を。今は外ですが、最低1人は中に潜んでいるハズです」
「だ、大丈夫なのかっ?」
「そのための私です。――スター、状況によってはお前にも手伝ってもらうぞ」
「え、ああ……(よくわかんねーけど、マフィアとドンパチやってるってことは“幻影旅団”か? そういや、クロロ、“ダンチョー”って呼ばれてるとか言ってたし……あれ? “幻影旅団”ってクラピカの仇だよな。……鉢合わせたらヤバくね)」
「団長からだたよ。セメタリービルで暴れるから来い言てるね」
「実はもうすぐそこまで来てるけどな。他の連中は?」
「考えてること皆同じね。ゴミ掃除しながらビルに向かてるね。あと、団長が珍しく暴れ方に条件つけたね」
「なんて?」
『派手に殺れ!!! ――ただし、クラウディオス・E・T・スターに手を出すな!』
「クラ……何だって?」
「昼に来たあいつのことよ。団長の御眼鏡にかなたみたいね」
「ふーん……」
~~中略~~
「オイ一体外はどうなってんだ!!?」
「爆音がここまで聞こえてきたぞ」
「競売はいつから始まるんだ!!?」
「説明しろよ、オメェよ!」
「さすがに場が混乱してきたな……」
「行かないのか?」
「ああ。まだ、動けない。――すまない、電話だ。もしもし」
『あ、クラピカ!!? よかった、ようやくつながった!』
「ゴン!!?」
『今、大丈夫?』
「いや、悪いが忙しい。こちらからかけ直そう」
『ちょっと待って。じゃ1分だけ!!! 用件だけ言うから。――オレとキルア、旅団に会った』
「!!!」
『――っていうか、捕まっちゃったんだけど』
「何を考えてるんだお前達は!!! 相手がどれだけ危険な連中かわかってるのか!!!」
『かわって。――わかってたつもりだったけど……会って痛感した。確かに奴らは強い……今のオレ達だと手も足も出ない。だからクラピカの協力がいるんだ。オレ達も力になりたい』
「ふざけるな。お前達の自殺行為に手を貸す気はない」
『奴らのアジト……知りたくない?』
「……情報提供者はちゃんといる」
『団員の能力についてもわかったことがある』
「くどい! いいから旅団から手を引くんだ」
『奴等の1人を倒した“鎖野郎”ってクラピカだろ? あいつら血眼で探してるよ』
「……」
『お前がオレ達のこと仲間とも対等とも思えないなら、どんな手使ってでも協力してもらうぜ!!!』
『――クラピカ。あいつらの1人が俺達の前で泣いたんだ。仲間を殺した奴を許さないって。オレ……それを見たとき、無性にやるせなくて、許せなかった。オレ達も旅団を止めたいんだ。――頼むよ、クラピカ』
「こちらから、かけ直す」
「ゴン?」
「……ああ。旅団に会ったと、止めるのを手伝いたいと言ってきた」
「ふーん。どうすんだ?」
「……わからない」
「そうか」
「「!」」
「大丈夫か!!?」
「ダメだ、あいつら強すぎる!!! オレ達じゃ太刀打ち出来ねェ。ドのクラい、ツよいのカトイうとォオ、コノくらイイ! イ! イ! ――!!!」
「お」
「くそがァ!」
「あははははは! はははは! ――は?」
「あーあ、壊れちゃった。次の
「スター! 無事か?」
「ん、ああ。大丈夫。操作系だな。今の」
「ああ……! どこに潜んでいるかわからない。操られないように注意しろ! 一度ボス達の下に戻る!」
「わかった(上か……)」
~~中略~~
「……大分静かになったようだな」
「今なら脱出出来そうですね」
「――おい。何か終わったみたいだぜ。オークション始めるって」
「「何っ!!?」」
「えっ! あたし参加したい!」
「クラピカ!」
「……確認します!」
「ああ。旅団のリーダーは殺られたらしいぜ」
「今は残党狩りだとよ。やはり、プロは違うな」
「……」
「くくく、役立たずのオメーらが脱出だとか騒いでる間にゾルディックの連中があっさり片付けてくれたらしいぜ? ってなワケでテメーももう用無しだ。占い女のケツにひっついとけボケがよ。とっととホテルでも何でも行っちまえよ。あ!!? それとも――」
「……あーあ。ありゃ、相当頭に血がのぼってるな」
「おや▲ 君、何しに来たんだい★」
「見学。オークションに参加してもニセモノ売りつけられそうだから」
「くくく、さすが◆ 君、ひょっとして常に“凝”とか“円”とか“隠”とかしてるの?」
「あ! マチ!」
「げっ、なんでアンタがここにいるのよ」
「俺達は惹かれあう運命なんだよ!」
「そんなものはない!」
「……」
「ヒソカ、そんなトコで突っ立って何してんだ?」
「……いや、つれないなぁと思って▼」
「あ?」
「“性転換”しようかな◆」
「はあぁ!!?」
「冗談だよ★」
「大体だなー、何でマチやシズクの死体を晒すんだよってこと! 俺にもコピー1体くれよ!」
「キモイこと言うな! そんなのアタシらの顔がすでに割れてるからに決まってるでしょ」
「“
「――24時間!!? ……いや、24時間か」
「考えるな! コルトピ、こいつに何言われても絶対に頷くなよ」
「お返しに俺のコピーあげるから」
「いるか!」
~~中略~~
「ただいまー」
「お。スターも戻ってきたか! ゴン達もちょうど戻って来たところだぜ!」
「酒飲んでるのかよ」
「夕方前にはもう始めてたわよ」
「レオリオ、確か未成年って言ってただろ」
「オレの国は16から、アルコールOKだぞ」
「……んなことがあったのか。おめーら、よく無事で帰ってこれたな」
「ま、スターがいなきゃヤバかったかもね」
「キルアはダメ!」
「あ、何だよ! ちょっと舐めるだけだって!」
「おいおい、いいじゃねーか、オレは12から飲んでたぜ」
「――キルア、子供の頃から飲んでると、あんな大人になるわよ」
「げっ、やめとく」
「おいぃ! さすがにそれはひでーだろ!」
「子供にお酒を勧める大人には言われたくありません」
「ぐっ……」
「“幻影旅団”ってのはそんなにヤバイ連中なのか」
「まあね」
「それはそうと、オークション行ってたんだろ? どうだった? 何か買ったのか?」
「いや」
「何だそうなのかよ……。ああ、そうだ。明日は朝イチから競売だぜ? オレはもちろん行くが、お前らどうすんだ?」
「「うーん」」
「本当は行きたいけど」
「クラピカに会って“念”を教わらなきゃ」
「何だ連絡とれたのか」
「うん、あっちからの電話待ちだけど」
「待てよ……今、“念”を教わるって言ったか?」
「え、うん」
「何でだよ、あいつだって“念”を覚えたの最近だろ!!?」
「ああ」
「それでもクラピカは旅団の1人を倒してるんだよ」
「……マジか!!?」
「何か秘密があるハズなんだ“念”にはさ。経験やパワー以外の“念”独特の強さがね」
「――! クラピカ?」
『……ああ。旅団を止めたいと言ってたな。その必要はなくなったよ。
「! もしもし、クラピカ」
「何だって?」
「――旅団が死んだって」
「ホントかよ!!?」
「ウソだよ」
「ウソかよ!!?」
「え、なんでスターはそんなことがわかるの」
「現場に居合わせたから」
「またかよ!」
「なら、クラピカに教えてあげないと! ――ダメだ、つながんない。電源切られちゃった」
「今回はメールしとけよ」
「……本当に教えてもいいのかな」
「え、何で?」
「気持ちはわかるけど、どうせいつかはバレるぜ。そのとき知らない方がマズイ場合だってある」
「でも旅団って結構人数いるんでしょ? いくら彼が1人倒してるからって、集まってるときを狙うことはないと思うけど」
「確かにな……奴等はオークションが開催されてるから集まってるんだろうし……終わればある程度はバラけるかも。でも、その事実を知ればクラピカは退かねェだろうな。今ならこの街にいるってわかってるからよ」
「うーん」
「とりあえず、メールはしとけよ。会いたいってさ。話すかどうかは会ってから決めてもいいだろ。どのみち、“念”のことは聞いておきたいんだから」
「あ、そうだね。じゃあ――」
『明日、デイロード公園で待ってる! ゴン・キルア』
~~中略~~
「お。――マチ! マチが俺に電話かけてくるなんて感激だな! 俺の声が聞きたくなったのか? それともデートの」
『団長がアンタに会いたいそうだ』
「ん?」
『アジトに来い』
「あ、ちょっ――切れた。団長ねえ……」
「……なんでアタシばっかこういう役回りなのよ!」
「くっく、気に入られてるんだろ?」
「知らないわよ!」
菊が葉もろとも涸れ落ちて
血塗られた緋の眼の地に臥す傍らで
選択は星の遣いに託される
逆らうのもいいだろう手足を失い高みへ行ける
「――というわけで、お前の意見を聞きたい」
「意見?」
「この“星の遣い”と言うのはお前のことだろう」
「俺がスターだからか? 安直じゃないか?」
「だが、他に思い当たる者もいない。それにお前の一つ目の占いでは蜘蛛を生かすも殺すもお前次第と書かれていた」
「「「!」」」
「……とはいえ、これはオレを殺す詩じゃない。何故ならオレの占いはその後も続くからだ。しかし、無視は出来ない。この占いの通りだと、パクノダとシズクとシャルナークが死に、他にも何人か死ぬか戦線離脱するかする可能性がある」
「パクノダとシズクが! それは困る!」
「……一応、オレの名前も呼んで欲しいなー」
「しかし、こんなのでよくわかるな」
「一つ目の詩から暦がオレ達のことを表してると読みとれるからな」
「一つ目……ああ、あれね」
大切な暦が一部欠けて
残された月達は盛大に葬うだろう
けれど星の遣いを怒らせてはいけない
反転して蝕されてしまうから
「そこから考えると、菊が菊月(9)で、葉が葉月(8)で、涸れるが水無月(6)をそれぞれ暗示している。これはオレ達、
「おおー」
「ちなみに“緋の眼”はオレ達の誰かじゃない。こいつが“鎖野郎”のことだと思われる」
「“緋の眼”……思い出した。目が赤くなる連中ね」
「生き残りがいたということか」
「そいつも死ぬってことか」
「わからんぜ。血だらけで地に臥してるだけじゃあ」
「――じゃ、その結末がこいつに託されるってわけか?」
「オレ達のこともね」
「俺大人気だな」
「……こんな奴にかかってると思うと、頭がイテェな」
「どちらにしろ、このまま“鎖野郎”と闘り合うわけにはいかなそうだね」
「おい!」
「考えてもみなよ。最低3人。最高では団長以外全員。そうなれば戦力半減どころじゃない。オレやノブナガの能力はいくらでもかわりがきくけど、シズクとパクノダはレアなんだ。旅団としては失うわけにはいかない」
「……」
「そうだ。シズクとパクノダは大事だ。こいつらと違って」
「……自分で言っといてなんだけど、ちょっとくらいは気にしてよ」
「断る!」
「いっそ清々しいほど男にはシビアだね」
「――今日が9月の第一週目の土曜日。今日中に
「追う側の“日食”から追われる側の“月食”に変わるってことか……まあ、“月食”なら太陽じゃなく星のスターに殺られるってことかもだけど」
「ここでこいつを消すってのは?」
「ムリでしょ。それが一つ目の詩の怒りを買う行為だとしたら、その所為で反転することになる。少なくとも今週中……いや、来週もか。は手を出せない」
「ちっ……メンドくせー」
「確かにね。でも、スターはウボォーの“
「はぁ、どこまでも面倒な存在ね。アンタ」
「照れるな」
「褒めてない」
「で、どうなんだ? オレ達は
「男が帰るのは別に。マチとシズクとパクノダには残って欲しいけど」
「……これ、困ったね。一つ目の詩だけならともかく、二つ目と合わせて考えると、オレ達だけ先に帰った場合、その所為でシズクとパクノダが“鎖野郎”に狙われて死ぬ可能性がある。でも、オレだけ帰るとオレが死ぬかも。2人が死ぬよりはマシだけど」
「とりあえず、シャルに何人かつけて帰す?」
「だから、それが致命的な失敗になりかねないんだろ? 分散自体するべきじゃない」
「3人が死ぬのが占いの結果なんだから、どちらかでも死なない状況なら占いは成立しないんじゃないの?」
「どっちが、正解かわからないだろ。それより、こいつだって、シズクとパクノダは殺したいわけじゃないんだろ? だったら、全員で帰っても怒りを買わないんじゃないか?」
「かもしれないけど。問題はこの一文がどこまで適用されてるのかってことだよ。団長はスターの怒りさえ買わなければ帰って大丈夫って考えのようだけど、ちょっとした不満でも比喩的に怒りとして書かれてる可能性だってある」
「じゃ、それで帰った結果、何かが回り回って、来週、オレ達を追いかけてきた“鎖野郎”と鉢合わせて……なんて状況も考えられるってことか」
「そーゆーこと。それに“鎖野郎”だってウボォーを殺れる実力があるなら、オレ達全員で戦っても、オレ含めた3人は道連れに出来るってことかも知れない」
「なら、どうすんだよ。この情報だけじゃどうとでもとれるぜ」
「あ! スターを
「同じだろ。来週の詩だと、こいつはその場にいたとしても選択を託されるだけだ。そんで逆らった場合は何人かやられる」
「あ、そっか。うーん、いい案だと思ったんだけどなぁ」
「「「…………」」」
「結局この占いだけじゃ今までの案のどれかを採用するしかなさそうだね……」
「――まあ、待て。俺に革新的なアイデアがある」
「なんだ?」
「俺はマチとシズクとパクノダの3人の内1人でも俺の傍にいるのならば不満を覚えない。つまり怒り状態にはならない。だから死ぬ予言のないマチが残って、他は全員で帰ればいい」
「おお」
「おおじゃない! 死ぬ3人が全員そっちに固まってれば、“鎖野郎”と戦闘になった際、道連れになる可能性があるって話だったでしょ!」
「……いや、意外とアリじゃないの。スターがこの街に留まるなら“鎖野郎”が追いかけてきても、その傍らにはいないって風にもとれる。それなら占いは成り立たないかも」
「それは楽観しすぎじゃないか? こいつは結局選択さえ出来ればいいんだから、それを知った結果の行動が選択ってことなら離れてようが意味ないぜ」
「でも、さっきまでの案の中で一番安全な可能性が高いのは、やっぱり全員で行動することだと思うんだよね」
「待てよ。それでいいなら、お前らは三方向に別れた方がいいだろ。“鎖野郎”が単独なら、3人全部殺るのは不可能だ」
「それはそうだけど、それだとそもそも占いが成り立たなくなって死ぬ人間が変わるだけかもしれない」
「成り立たないなら誰も死なない可能性もあるじゃねェか」
「うーん、それは“鎖野郎”がオレ達を追跡出来るかどうかにかかってくるね。オレは追跡出来ると思う」
「理由は?」
「占いで3人死んでるからさ。オレとシズクとパクノダが3人で組むって状況はあんまりない。全員で鉢合わせたんじゃなければ、普通に考えて、最低1人は狙い撃ちされた可能性が高い」
「なるほど……数が減るとその分不利だってことか」
「そう。それで占いを成り立たなくする方法なら、さっきのが一番かなって。最少人数の1人で事足りる。それで、仮にマチの方に“鎖野郎”が現れても、スターが撃退してくれるだろうしさ」
「コイツ任せ?」
「イヤそーな顔しないでよ。これでスターはオレ達を殺すことはあっても殺されはしない実力者だ。そして気に入ってるマチを殺すことは多分ない」
「ないな。絶対ない」
「……これを信じろっての?」
「ふむ……なら、オレもこっちに残るか。オレはこいつに逆らっても少なくとも死なない程度には対処出来るハズだ。元々“鎖野郎”に殺られるような予言も出ていない。お前らは残る全員で
「★」
「待ってくれ! なら、オレも残してくれよ団長! この状況なら団長には最低2人はついてるべきだ。“鎖野郎”だって狙うなら少ない方を狙うに決まってる!」
「……いいだろう。但しオレ達は“鎖野郎”を探さない。次週がすぎるまでは、例え“遭遇しても生き残ること”を優先する。これは
「わかったぜ。その後なら殺ってもいいんだな?」
「ああ。相手が相応の実力者だと正確に認識した上で、殺れると思える状況ならな」
「了解だ」
「ちょっと待て! 男2人はいらん! 2人きりじゃないなら俺は不満だ!」
「アンタ……」
「……お前とマチが話してる間はオレ達は離れている。それなら問題ないだろう」
「うー、マチが女性らしく可愛らしい服装でデート一回してくれるなら」
「してやれ、マチ」
「ちょっ……何でそんなこと!」
「
「くっ……で、でも服装は自由でいいだろ。女性らしくとか可愛らしいとか、よくわかんないって」
「スカートが基本で」
「アンタ、調子にノルなよ……」
「お、落ち着け、マチ! スターを怒らせたら反転するから! というか、そこまで無茶じゃないっていうか、ある意味なんでも言えるこの状況でなら、充分紳士的な条件だって!」
「だははっ、それくらいいーじゃねーか。お前、普段はホントにそーいうのと無縁なんだしよ。いい機会だろ」
「あ゛?」
「あいつの考え理解不能ね。どうせならもっといいのを選べばいいね」
「まあ、趣味は人それぞれだからな。あいつは何でもいい雑食系っぽいしよ」
「アンタラ……」
「どうやらみんなも俺達の仲を祝福してくれているようだ!」
「マチ! 堪えて! マジ堪えて!」
「ぐ、ぐぬぬ……」
『死体は
~~中略~~
「――マチ! 次はあっち行こうぜ!」
「はいはい……って、おい引っ張るな!」
「……意外とお似合いだな。マチも楽しそうだ」
「だから、そう言ったじゃねェか。……ウボォーのあと、あいつでもいいと思うぜ。まあ、オレとしてはゴンの方と組みたいんだがな」
「さっき話しに出た子供か。そうだな、考えておく」
「おお!」
「? ……ねえ! 団長達の気配を感じないんだけど!」
「ん、そうだな……。ようやく、気を使ってくれたんかな?」
「バカ! 異常事態よ! ――電話、団長!」
『マチか。デート中すまないな』
「団長、無事?」
『今のところはな』
「――何があったの?」
『ヒソカが裏切った』
「! ヒソカが!!?」
『現在追いかけっこの最中だ』
「すぐに応援に――」
『いや、お前はノブナガの方に行ってくれ』
「ノブナガ?」
『“鎖野郎”だ。ヒソカと組んでる』
「なっ、アイツ……!」
『オレはヒソカを撒いてからそっちと合流する。最低でもそれまで持たせろ。ノブナガ1人じゃ止まれない。スターにも協力を頼め』
「……わかった。団長、ヒソカはやっかいな奴だ。気をつけて」
『ああ。知ってる』
「何だって?」
「……ヒソカが裏切った。“鎖野郎”とつながってた。団長はヒソカと、ノブナガは“鎖野郎”と戦りあってる。アタシはノブナガの応援に行く。アンタにも手伝ってもらうわ」
「“鎖野郎”ね……」
『――つーわけで、助けてくれ。俺がピンチだ。\(・-・)/』
「キルア、誰から?」
「ああ、自業自得のバカから。このままだとクラピカと鉢合わせるから何とかしてくれって」
「どうするの?」
「そうだな……お仕置きもかねてポンズに頼むか。少しは痛い目に合わせないとな」
『“
「――蜂の大群!!?」
「足止めか! “鎖野郎”がヒソカと組んでたってことは、基本単独であっても、旅団員と1対1で戦るために、他にも協力者を用意しててもおかしくない!」
「ちっ……蜂ごとき細切れにしてやる……!」
「待った、ここは俺がやる!」
「スター!!?」
「操作系の能力者か知らないが、俺のオーラは蜂の針程度じゃ刺さらない! マチを1人にするのは心苦しいけど、速攻で片付けてすぐ追いかける! マチはノブナガを!」
「……アンタがノブナガの心配をするなんてね」
「いや、してない。ノブナガが殺られた場合のマチを心配してるだけだ」
「……ふっ、なら納得! ここは任せた。すぐに来い!」
「了解!」
「……行ったか。おーい、ポンズ。もういいぞ。…………ちょっ! もういいって! 刺さんないけど、これだけ数いると迫力が、迫、迫――おいー!!?」
『“
「これで少しは懲りた?」
「ヒドイ……」
「どっちがよ。超一級の犯罪者――しかも、知り合いの仇とわかってて仲良くなろうとする方がでしょ」
「嫉妬か」
「違う! ――で、これからどうするの?」
「うーん、ノブナガはどうでもいいんだけど、マチがなぁ……」
「……全然懲りてないみたいね」
~~中略~~
「“
「……ぐっ! これがウボォーを殺った鎖か!!?」
「知っていたか。しかし、それでもこうして捕まるのだから、彼の死はお前達に何の教訓ももたらさなかったらしいな」
「てめェ!!!」
「無駄だよ。旅団一の怪力を持つであろう彼でも、この鎖を切れずに屈した……!」
「くそォォオォォ!!!」
「お前が今感じているであろう悔しさ、憤りを、私もこの5年間、ずっと感じ続けてきた。贖いの時だ。――!」
「ノブナガ!」
「“念糸”……変化系の能力者か!」
「マチ! お前1人か!!? なんで来た! 団長は!!?」
「その団長命令! アイツは他のと戦ってる!」
「(アイツ……?)」
「そうかよ! そいつの隠された鎖に気をつけろ! 捕まると強制的に“絶”にされる! “凝”を怠るな!」
「黙れ……っ!」
「ぐあぁっ!!?」
「強制的な“絶”……! 似たようなこと予想してたのになんで捕まってんのさ! このバカ!」
「全くだ」
「ちっ」
「――さて、少々やっかいな状況だが、
「オレのことは構うな! こいつを殺……ぐあぁあああっ!!?」
「黙れと言った」
「……それで? 何がアンタの望み?」
「“
「……その条件は?」
「1つ、今後、“念”能力の使用を一切禁じる。2つ、今後、旅団員との一切の接触を絶つこと。この内容でお前達2人に楔を刺す。(状況が変わった。この状況なら奴等を無力化することが最善の一手! ヒソカが
「ま、マチ! ルールだ!
「返答はお前がしろ。お前から先に楔を刺す!」
「(
「返答を! これ以上待つ気はない!」
「……一つ聞きたい」
「なんだ」
「今後というのはこの場を離れてからだな? この場には旅団員が2人いる」
「そうだ。その解釈で合っている」
「マチ!!! やめろ!!!」
「……わかっ」
『そこまでだ!!! ――“鎖野郎”! そちらと同じくこちらもお前の仲間を捕獲した!!!』
「――何っ!!?」
「「!!?」」
「す、すまねえ、クラピカ……!」
「レオリオ!!?」
『見ての通りだ! 私はその場に姿を現さない! けれど彼はすでに私の手の内だ! 人質交換と行こう!』
「くっ……お前も
『どうかな? だが、私の顔はまだ割れていないのでね! 追われるリスクは起こさないさ!』
「くそっ……!」
「(スターの野郎……! いきなり呼び出したと思ったら、こんな役! オレは今回、後方支援だぞ! ノリノリでやってんじゃねーよ、てめェ!)」
「「(アイツがやった……!)」」
『――では、肝心の人質交換方法だが、お前の鎖を使う』
「私の鎖だと……?」
『ノブナガに楔を刺せ。内容はお前の仲間が無事に解放されなければ死ぬ。私も同じ条件をお前の仲間にすでに付与している』
「なっ……!」
「(ハッタリだろ……)」
「(ハッタリね……)」
『どうした! 条件は同じだ! 早くしろ!』
「……条件を追加する」
『何?』
「24時間の間、私に対して旅団員による一切の攻撃を禁止! お前の姿が見えない以上私の方が不利だ! 解放した瞬間に攻撃されるのも困る! その条件の追加がOKなら人質交換に応じる!」
『……いいだろう。ウソはわかるぞ! その条件で楔を刺せ!』
「(アイツ……オレが対象だからって……くそっ、一連の状況から考えて、マチはオレを無視して攻撃はしないだろう。だからと死んでもそれは特攻ではなく裏切りと同義! これで、解放されても“鎖野郎”に手が出せなくなる……!)」
「“
『よし! では、お前の仲間を解放する! 解放されたからと攻撃するなよ! お前がいくら強くても私達3人から彼を守り抜くことは不可能だ!』
「そんなことはわかっている……! 早くレオリオを解放しろ……!」
『――いいぞ、行け!』
「すまねえ……」
「いや、今回は私の作戦ミスだ。団長ともう1人以外に旅団員が潜んでいるとは思わなかった。無事で何よりだ(あとはヒソカ次第だが……こちらで起きたことがあちらで起きないとも限らないか。私の情報が洩れて、不利になったことだけは確かだな)」
「……今回は痛み分けだ! だが! 顔は覚えたぜ! てめェは必ずオレが殺す!」
「こちらの台詞だ」
「チッ……マチ、団長のトコに行くぜ!」
「……ああ、急ごう!」
「よ。マチ! 無事で何よりだ」
「アンタか……」
「スター! てめェ、余計なことしやがって! お前のせいで“鎖野郎”に手が出せなくなったじゃねェか!」
「何言ってんだ。お前が捕まったのがそもそもの原因だろ」
「それに関しては全面的に同意」
「ぐっ……!」
「で、クロロは?」
「……携帯には出ない。所在地モードで向かってる」
「そうか」
「ん、お前達か……」
「団長! 無事みたいね……ヒソカは?」
「何とか撒くことに成功した」
「そう。アイツ……裏切るなんて!」
「そっちはどうなった?」
「……痛み分けだ。オレがヘマしちまった。24時間は“鎖野郎”に攻撃を仕掛けられねェ」
「相手にルールを強いる能力か。よくそれで済んだな」
「コイツのおかげだ。“鎖野郎”の仲間を捕らえてそれで済ませた」
「なるほどな……」
「「…………」」
「少し話でもするか」
「ああ。オレもそうしたいと思っていた」
「……団長?」
「ただの確認だ。こいつが相対した“敵”に関してのな」
「――俺のことは聞いたか?」
「ああ。お前も“鎖野郎”の知り合いらしいな」
「そうなるな」
「……だが、お前はオレ達を生かした。お前の立ち位置なら1人2人は殺れたにもかかわらず」
「別に俺はお前達に恨みがない。むしろマチとかシズクとかパクノダとはよほど仲良くしたいと思ってるぜ」
「なるほど……それは擬態ではないわけだ」
「当然だ」
「……くっく、どうやらオレ達は今回、お前の掌の上で踊らされていたようだな。お前は確かに表も裏もどちらも選ばなかった」
「当たる占いだ。だから言うぜ。“鎖野郎”に積極的に手を出すな。俺は男なら結構簡単に殺せる」
「“鎖野郎”も男だろ」
「ただの知り合いじゃなく……友達や仲間なら別だ」
「フ……なら“幻影旅団”に入る気はないか?」
「ないね。マチとシズクとパクノダが自主的に俺を誘惑でもしてきたら考えるけど」
「ハハハハハッ! それは難しそうだ。……いいだろう。お前に逆らうと手足を失うらしいからな。“鎖野郎”には正体不明だが、“強い協力者”がいると団員には説明する。その正体が不明なうちはこちらから仕掛ける気はないと」
「それでいい」
「だが、当然“鎖野郎”がオレ達に仕掛けてくれば応戦するし、“強い協力者”の正体が判明した結果、団員がそいつと戦うことを選べば、オレは止めない」
「いいぜ。返り討ちにするだけだ」
「フフ……オレ達以上にあくどい奴を見たのは初めてだ」
「バカな! 俺は“ヒーロー”だぜ? 反転することは出来るけどな」
「……話は終わったの?」
「ああ。どうやら、話を総合した結果、“鎖野郎”は単独だが、何人か協力者はいるらしいな。ヒソカとスターが捕まえた奴、それにもう1人」
「もう1人?」
「そうだ。ヒソカよりもやっかいな奴だ。オレも危うくやられるところだった」
「団長が!!?」
「ああ。正体も不明。そいつの正体がわかるまではこちらから積極的に“鎖野郎”に手を出さない」
「ちょっと待てよ! ようやく“鎖野郎”の顔がわかったんだぜ! 能力だって見た! 次は必ず殺れる!」
「そのチャンスが今回だったんだ。お前が捕まった時点で終わりだ。それとも次はその協力者に捕まって同じ言い訳をするか? これ以上のワガママは許さない。殺りたければ、協力者の正体を暴け」
「ぐっ……わかった……!」
「これからどうするの?」
「“鎖野郎”もバカじゃない。顔と能力を知られた以上、姿を消すだろう。ヒソカはオレが1人じゃなければ仕掛けてこないハズだ。今週一杯はこのまま過ごして、一応スターの選択に従う姿勢を見せた上で
「そう……わかった」
「うんうん! それでいい! マチとはデートの途中だったしな!」
「……」
「な、なんだ? やり直しは正当な要求だぞ!」
「ああ……今回は助かった。一応感謝する」
「「「…………」」」
「な、何よ。みんなしてそんな珍獣を見るような目でアタシを見るな……!」
「マチがデレた!」
「デレてない! 助けられたって言っただけだ!」
「いやー……何つーか、貴重なもんを見たぜ」
「ノブナガ、アンタまで言うか!」
「(スター……恐ろしい奴だ。全ては自作自演だと言うのに傍目にはウソが見えない。いや、全てが真実なのか。これは、油断すれば本当に食われるかもしれないな)」
~~中略~~
「お。クラピカ」
「スターか。ちょうどよかった。私はこれから少し姿を消す」
「あ、それ大丈夫だぜ」
「……何?」
「旅団だろ? 俺が1人(言葉で)凹って、忠告しておいた。“鎖野郎”の傍には俺がいるって」
「なっ……」
「旅団員を倒せる人間が2人。それにヒソカも裏切った。これで
「スター、お前は……」
「(上手くやったみたいだね、スター)」
「(つーか、やってもらわなくちゃ困るっての。あいつのせいでややこしくなってんだからよ)」
「(ああ、その通りだ。今回のことでオレはクラピカから足手纏いに思われてるかも知れないんだからよ!)」
「(……それは、実際そうだろ。まだ“纏”しか使えねーんだからさ)」
「(しょうがねーだろ! 今は勉強優先! まずは試験に受かってからなんだからよ!)」
「(薬品関係なら、少しは教えられるわよ)」
「(おお。サンキュー。わかんねートコあったら聞くわ)」