HUNTER×HUNTER・IF   作:第7サーバー

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グリードアイランド①

「――で? “グリードアイランド”を俺に買えって?」

「当然。バラされたくなければね」

「ちっ……ゴンが何かいい方法思いついたんじゃないのかよ」

「そうなんだけど……確実じゃない以上は買った方がいいってキルアが」

「余計なことを……」

「クラピカに寝込むまで“念”を使わせた奴が何言ってんだよ」

「あれは俺関係ないだろ? 元々そういうリスクを背負ってたってだけでさ。むしろ俺のおかげで手早く話が纏まったんだろうが」

「はいはい。それをクラピカに言えるなら、買ってくれなくてもいいよ」

「ぐぬぬ……」

 

「あ、あはは……とにかく、ようやくって感じだね。オークションへの参加!」

「まあな。そういや、お前らは結局あれからいくら稼いだんだ?」

「あ、えっと、全部合わせて4億ジェニーくらいかな」

「……89億には遠いな」

「うるさいな。旅団がどーだかで色々あったんだからしょうがねーだろ。スターがまともに協力してくれりゃ何とかなったのによ。結局懸賞金も取り下げられちまうしさ」

「あー、そうかもな。まあいいや。他にはどんな物が出るんだったか……」

「開始まで、あとどの位くらいかな」

「10分くらい。どっかでお菓子売ってねーかな」

「その金も俺が払うんだろ?」

「当然」

 

「「おお~」」

 

「よかったな。正装してきてさ。みんなタキシードにドレスだぜ」

「普段着で来てたら、すごくうくトコだったね。……でも、結構みんなこっち見てるよ」

「ポンズのドレス姿が可愛過ぎるからだな!」

「――そ、そんなんじゃないって。視線を集めてるのはそっちの2人でしょ」

「ま、基本的に子供の来れるトコじゃないからな」

 

「「ん?」」

 

「おっ」

 

「「…………」」

 

「マチ! マチも来てたのか!」

「……まあね」

「ドレス姿が素敵だ!」

「あっそ」

「……」

「マチはお前のためにスーツじゃなく、ドレスを着たんだ」

「おお!」

「違うだろ! まだ占いが続いてるかも知れないからってだけだ」

「つまり、こいつのためだろ」

「くっ……」

「オメーら、縁があるな! 入団する気になったか?」

「――しないよ! ってか、何でお前らがここにいんのさ!」

「オレ達は純粋に競売を楽しみに来ただけだぜ」

「うそつけ!」

「ホントだよ。他の奴等はもう本拠地(ホーム)に帰ってるしな」

 

「(お、おい……こいつらって……)」

「(そう。下手に騒がない方がいいわよ)」

「あ、ああ……」

 

『それではこれより、サザンピースオークションを開催いたします!!!』

 

「お、来たぜ……」

「うん!」

 

『続いての品。幻のゲーム“グリードアイランド”!!! 皆様、中央のスクリーンにご注目下さい!!!』

 

「オイ……変だぞあれ。コンセントが入ってないのにパワーが点灯してる」

 

『もうお気付きの方もいらっしゃいますでしょう! このハードは電力を使わず、不思議な力で動いております!』

 

「……お前の親父が持って来たわけじゃないみたいだな」

「うん、そうだね」

 

『――このゲームのゲームオーバーはプレイヤーの現実の死を意味します。ゲームオーバーとなったプレイヤー2名の遺体は止まったゲーム機のそばに横たわっておりました』

 

「なるほど……おもしろそうだ」

「そう? リスクばっか高そうだけど」

 

『このゲームは大変危険です。安易な購入はお勧めしません。覚悟のある方のみ御参加下さい!!! ――それでは、10億ジェニーから、お願いします!!!』

 

『11億出ました!』

『15億出ました!』

『105番、倍!!! 30億!!!』

『71番、さらに倍!!! 60億!!!』

『16番、さらに倍!!! 120億!!!』

 

「挙げた手の形で金額を表すんだね」

「ああ。進行役がその中から瞬時に一番多く提示した者の金額を発表するんだ」

「これは何を表すの?」

「ばっ――!」

 

『201番、さらに倍!!! 240億です!!!』

 

「えっ」

「バカ!!! そりゃ“前の人と同じアップ”の合図だ!!! コールされたが最後、間違いでしたじゃ済まされねーんだぞ!!!」

「ゴン、お前……人の金だと思って……」

 

『他、ありませんか?』

 

「え~、ど、どうしよう!!?」

「別にいいだろ。これくらいならスター払えんだしさ」

「マジか……!!?」

 

『16番、250億出ました!!!』

 

「……どうやら、あいつらの狙いはあのゲームらしいな」

「理解出来ないね。たかがゲームだろ?」

「いや、オレも興味がある。“念”能力によって作られたゲーム。それを実現するためにはかなりの能力者が集まる必要が会ったハズだ。プレイヤーも“念”能力者だけ。“レアもの”がいるかもしれない」

「……じゃ、買うの?」

「ばーか、オレ達は何だよ」

「なるほどね……」

「ふっ、そういうことだ」

 

『71番、255億!!!』

『16番、305億出ました!!! 他、ありませんか?』

 

「……ゴン、行け」

「え、いいの?」

「あいつ、ニュースに出てた奴だろ。最悪でも資金を減らしとけ。今回のオークションで“グリードアイランド”の出品数は7本。あとで買える可能性が高まる。――サインは覚えたよな?」

「うん。任せてよ……!」

 

『201番、さらに倍!!! 610億出ました!!!』

 

「「「「…………」」」」

 

「え、何?」

「お前……買えちまった場合のこと考えろよ! 俺の金、全部使う気か!」

「……あ。ゴメン」

 

『さあ! 他、ありませんか?』

 

「「「「「…………」」」」」

 

『16番、615億!!!』

 

「ほ~、助かった~」

「……あいつの予算が見えてきたな。今回はこれで十分だ」

「うん、ついでだからオレの考えた方法も試してみない? 上手くいけば買う必要なくなるしさ」

「だな!」

 

 

~~中略~~

 

 

「615億……ですか。予想以上に高くつきましたな。今後もそうであるなら、1本は渡してしまった方がいいかも知れません」

「うむ……だが」

 

「あのー、オレ達ハンターなんですけど、“グリードアイランド”のゲームクリア協力しますよ」

「コラコラ、ボウヤ達。“バッテラ”様は忙しいんだ。ふざけるのはよしなさい」

「ふざけてないよ。これでもプロハンターなんだ!!!」

「……先程最後まで競っていた相手ですね。おそらく後ろの青年が少年達に付き合っている感じでしょう」

「うむ……“ハンター証”はあるのかね?」

「はい!」

「なるほど……3人か。君もハンターだったのか」

「はい!」

「……私がハンターを雇ってゲームのクリアを目指しているのは事実だが、依頼対象は厳選していて、今は募集の段階だ。プレイ人数が限られているからね」

「プレイ人数が限られてる……? “競売品目録(カタログ)”の説明書には確か無制限って書いてたけど」

「プレイするためには何人でも出来るがね。実際はゲームデータをセーブするだろう? そのためにメモリーカードが要るんだが、一つのメモリーカードには1人分のデータしかセーブ出来ないんだよ。セーブ前提なら一つのハードで8人が上限だ」

「そういえば、メモリーカードの30ブロック全部“グリードアイランド”でうまってたね」

 

「――君達、なぜそれを知ってるんだね?」

 

「あ、オレ達“グリードアイランド”のセーブデータ持ってるんです」

「!!! 君達……プレイしたことがあるのか!!?」

「いえ、データだけ手に入れたんですけど」

「しかし君達もさっき見ただろう? ゲームの最中は“念”でガードされてリセットもカードを抜くことも出来ないんだよ? もしも、そのカードが本物ならばゲーム機から抜くために、もう一つアイテムが必要なんだがね」

「もしかして」

「あの指輪か!!!」

「! ……どうやら、審査対象としての資格はあるようだね」

「“念”は使えるんだろう? ちょっと“練”を見せてもらおうか」

 

「「はい!!!」」

 

「……どうだ? “ツェズゲラ”」

「ダメですね……。この2人ではプレイしてもプレイさせるだけ無駄です。逃げまわったあげく死ぬのがオチですな」

「やってもみないで何でわかるのさ!!?」

「やってからじゃ、遅いんだよボウヤ。――死ぬからと言ったが、むしろそれは、まだありがたい。ダラダラと延命されるのがやっかいでな」

「?」

「あのゲームはプレイヤーが中で生きている限りリセットはおろかメモリーカードを抜くことも出来ない。つまりゲームの中で前のプレイヤーが生きてる限り、新たなプレイヤーはメモリーカードを差すことが出来ないわけだ」

「セーブ出来ないってこと?」

「そう、要するに後発プレイヤーは例えクリアしても、現実に戻ればそのデータが失われてしまう」

「私は今日競り落とした分も入れて、32本の“グリードアイランド”を所持している。今もその中で私が雇ったハンターがプロ、アマ含めて100名ほどプレイしている。――が、しかしその半分かもしくはそれ以上、すでに投げている」

「?」

「要するにゲームクリアはおろか現実世界に戻ることすらあきらめて、ずっとゲームの中で生き延びようとしているのだ……! ――だから挑戦者は厳選する。我々が求めているのは最低でも“現実に戻れる”アイテムを入手し、帰還出来るだけの力を持つ者だ」

「だから何で、オレ達がダメだってわかるのさ!!?」

「しかも、何でこいつにそんなことわかるんだよ!」

「それは彼がプロのハンターで“グリードアイランド”の経験者だからだ」

 

「「!」」

 

「オレはこの半年で五回“グリードアイランド”と現実を往復している。その経験上言わせてもらえば、“現実帰還”のアイテム入手難度は10段階で下から4番目くらいだが、お前達程度の“念”では、そこに向かう途中でゲームオーバーだな」

「ツェズゲラさんはクリアしたの?」

「……いや。今、大体8割……といったところだ。それはオレが非効率なプレイをしてるせいだが、ま、君らには関係ないことだ」

「(ムカ……)」

「審査が終わればまたオレはゲームに戻る。次、こちらに戻るのはクリアした時だろう」

「審査?」

「私はこのオークションで“グリードアイランド”7本全てを落札する。と同時に有能なプレイヤーを広く募集している! すでにネットで告知していて、多くのハンターが名乗りを上げている。高い競争率となるだろう」

「要するに……その審査に参加して資格を勝ち取れってことだね?」

「――その通り。審査日は9月10日! オークションが終わってすぐだ。集合場所はここ、サザンピース」

 

「ふ、くくく……はーっはっはっはっはっはっ!」

「スター?」

「ど、どうした? ついに壊れたか?」

「親切な説明どうも! だが、“グリードアイランド”は俺達がクリアする! だから、当然1本は俺が買わせてもらうぜ! 俺は2000億くらいまでなら払える!」

 

「「何……!!?」」

 

「え……」

「(ハッタリだろ)」

「何で急に喧嘩腰なのよ……」

「俺より弱い奴に上から目線で来られるのは嫌いでね!」

「子供か!」

「オレが弱い……?」

「ああ、弱いな。ゴン達は大丈夫だぜ。俺がついてるし、何よりすぐ強くなるから! 最後に――俺の“練”を見せてやるよ!」

 

「「!!!」」

 

「すっげ……やっぱ、こいつのオーラ、マジ半端ねー。アレも使ってねーのによ」

「……うん!」

「行くぜ!」

「べー!」

「……災難だったねオッサン。あいつのキレどこ、ゴン以上にわかりづらいんだよな。女が関わってないと特に」

 

「い、今のが“念”……? 使えない私でもわかったぞ……私に向けられていたと言うわけでもないだろうに……ツェズゲラ、彼は……」

「……バケモノです」

「ゲームは、クリアは大丈夫なのか……!!?」

「ええ……“グリードアイランド”は“念”が強ければクリア出来ると言うわけでもありません。有利なのは変わらず我々です……! ポッとでの新人に負けるわけがない……!」

 

 

~~中略~~

 

 

「あー、ムカツく!!! 言いたい放題言ってくれちゃって、くそー」

「でもまぁ、あのアゴヒゲの言うことも、もっともだぜ」

「どーゆーこと?」

「そう、つっかかるなよ。オレ達毎日ずっと“纏”と“練”だけやってただろ? スター頼りってのも情けない話だし、そろそろ次の段階を考えてもいい頃だと思うんだよな」

「次の段階?」

「“発”。つまり必殺技さ!!!」

「あ、お前らまだそーゆーのないんだっけ?」

「そうだよ。スターとポンズは元々あったからいいけど。オレ達は考えるトコからだからね。――でも、クラピカが“念”を修得したのもオレ達とほとんど同じ時期。もちろん、その技のためにクラピカは命がけのリスクを負ってる。反動で寝込んでるしさ」

「クラピカは、旅団に対して無敵に近い能力を得る代わりに、重いルールを背負ったんだもんね……」

「オレ達はそんなわけにいかない。もうちょっとゆるい条件で使える能力にしないとな」

「うん」

「――かといって、リスクが軽すぎると、すげー能力は使えないから、重すぎず軽すぎず、かつ自分の系統に合ってて、実践的であり、応用の効く! そんな能力を考えるんだ!」

 

「…………」

 

「まあ……そうなるわな。ま、色々言ったけど一つずついこうぜ。まずどんな能力にしたいかだな」

「どんな能力……か」

 

「…………」

 

「おいっ」

「難しいよ~」

「何でだよ! 何か、あるだろ。バクゼンとでもこんな能力がいいなってのが」

「うーん、とにかくすごい能力」

「全然ビジョンが見えねーな。ゴンは強化系なんだからさ。基本は、やっぱ何かを強める能力がいいわけだよ」

「そりゃあ、オレ自身を強めるのがいいよね」

「だとすると次は、お前の何をどう強めるかってことだな」

 

「…………」

 

「いたいなー。キルアはどうなのさ。何かあんの?」

「とっくにあるよ。だから、お前の方決めようとしてんだろ」

「ホント? どんなの!!?」

「ヒミツ。早くためしてみたかったけど、ここんところバタバタしてたしな」

「そっかー」

 

「ゴン、オレは今日から必殺技習得に向けて特訓するぜ。ま、お前はゆっくり、どんな能力がいいか考えてろよ」

「うーっ……そうだ! スター! スターも俺と同じ強化系だよね! スターの能力ってあれ実際のところどうなってるの? ウイングさんに何となくは教えてもらったけど」

「お、それはオレも聞きたいな」

「私も」

「ん、どうって言われても……あれは、そう、“ヒーロー”になる能力だ。だから、相手が強ければ強いほど、悪ければ悪いほど、状況がピンチであればあるほど、それらを加点としてオーラの総量が増加する」

「あっ! そういえば、何か聞いたような覚えがある。初めてヒソカと対峙したときにそんなこと話してたような……」

「正々堂々とした行いにはさらに加点が付く。ヒソカが強いことはオーラの増加量でわかったから、自分の能力を説明することでさらに増やしたんだ。オーラが増えるとそれに対応した必殺技なんかも使えるようになるからな。スゴイパンチとかビームとか」

「へぇー!」

「……つまり、誓う方の誓約じゃなくて制約の方……細かい条件付けをして、段階的に上げてるわけか。敵が弱ければ素で勝てるし、強ければオーラを増加して対応出来る。よく出来てるな。それって説明した際に能力を知られる以外のリスクはないの?」

「卑怯な行いをしたり、相手の言い分を無視したりすると失点になって逆にオーラが減少する」

「マジで? なら、どんな相手とも正面から戦うしかないってことかよ」

 

「――だと思うだろ? だが、俺には裏技がある」

「裏技?」

「俺はもう一つ能力を持ってるのさ」

 

「「「えっ!!?」」」

 

「反射でも発動する“英雄的な俺(ヒーロースピリット)”に対して、意識しないと使えない“反英雄的な俺(ダークヒーロースピリット)”。根本を同じくしながら反転した能力。それ以上の詳細は秘密だが、ま、ここまで言えば大体わかるだろ」

「うーん……?」

「卑怯な行いをしても失点しないってことだろ? 相手がそっちだと思ってれば、スイッチすることで不意もつける」

「フ……」

「はぁー……さすがに“天然もの”のままで天空闘技場のチャンピオンになっただけはあるな。――ま、とにかくオレも特訓開始だ! ゴン、あんまりモタモタとしてっと、一気に置いてくぜ!」

「う~、わかってるよ! オレだってやってみせるさ!」

 

 

「それで――どうすんだ、団長。スター達も誘うのか?」

「いや。自分で買うとハッキリ宣言してたからな。これは本拠地(ホーム)に戻ってから、やりたい人間でプレイしてみることにしよう。スターもこれをやるつもりなら、オレ達が帰っても問題ない」

「“グリードアイランド”ねえ……」

 

 

~~中略~~

 

 

「よっしゃ! “グリードアイランド”GETだぜ!!!」

「うん、やったね! ……でも、あんまり競ってこなかったね」

「ハッタリが効いたな」

「別にハッタリってわけじゃないぞ。ある程度ならすぐ稼げるし、天空闘技場の副賞とか売ればそれなりに金を作れる。総資産的にはあんなもんだ」

「へぇー、そうなんだ!」

「まあ、それはともかく、早速帰ってプレイするか?」

「あ、それなんだけど……クラピカとレオリオも、もう少ししたらこの街離れるだろうし、それからじゃダメかな。必殺技も覚えてから行きたいしさ」

「なるほどな……! じゃ、10日ってのはどうだ? あいつらも審査はその日だとか言ってただろ?」

「俺はそれでいいぜ」

「私もいいけど……それだと鉢合わせしたりしないかな? どういうゲームなのかわからないけど」

「いいよ! それならオレ達が成長した姿を見せるだけだ!」

「そーゆーこと」

「……あなた達と一緒だと、リスクとかを計算するのがバカらしくなってくるわね」

「大丈夫! ポンズは今のままでいい! とても魅力的だ!」

「はぁ……あなたがその一番の原因なんだけど」

 

 

~~中略~~

 

 

「じゃ、やるか。――誰から行く?」

「オレ!」

「いいぜ。1プレイヤー側が埋まってるから、マルチタップでちょうど4人までだな。ゴン、セーブデータ使うだろ?」

「あ、そっか! ここに差せばいいの?」

「そう。指輪もはめておいていいんじゃないか? 別にヤバイもんでもないみたいだし。ってか、それでこっちの抜けるのか?」

「やってみる?」

「勝手にやったら迷惑でしょ。まあ、オークションに出てるんだから、帰還出来ずにいるんだろうけど」

「……変なことになっても面倒だから、止めとくか」

「そだね。――じゃ、やるよ」

「おお」

「“練”」

 

「「「!」」」

 

「おお~、ホントに消えたな」

「これでゲームの中に入ったってことよね?」

「だろうな。それで、次は誰が行く?」

「オレ、いい?」

「いいぜ」

「うん」

「んじゃ、お先。――“練”」

 

『“G・I(グリードアイランド)”へようこそ……』

 

「おお! それっぽい!」

『あなたは初めてプレイする方ですね。まずは登録名をどうぞ』

「俺はスター! クラウディオス・E・T・スターだ! それで、君は?」

『スター様ですね。私は“イータ”です。このゲームの案内人を務めております。お見知りおきを』

「へえ! イータか! 君がこのゲーム作ったのか?」

『……そういった質問にはお答え出来かねます』

「あ、そうなの? じゃ、いいや。ゴン達もう来てるよな。どこにいるんだ?」

『他のプレイヤーの方でしたら、すでにゲームの説明を聞いて旅立たれました。それではこれよりゲームの説明をいたします。スター様、ゲームの説明を聞きますか?』

 

「→ はい」

 

『このゲームではこちらの指輪をはめることで、誰でも2つの魔法が使えるようになります。“ブック”と“ゲイン”です』

「え、これくれるの?」

『はい。どうぞ』

「こ、これはまさか……」

『?』

「いわゆる、逆プロポーズというものでは……!」

『……違います。その指輪は初めてプレイする方には全員にお渡ししています』

「ですよねー」

 

『それでは、指輪をはめた手を前に出し“ブック”と唱えて下さい』

「“ブック”――おお! 何か出た!」

 

『このゲームでは入手したアイテムを全てカード化することが出来ます。これはそのカードを納める(バインダー)になります。このゲームの目的は、その本を完成させることです!!! ――最初のページを開いてみて下さい』

「む」

『カードはまだ1枚も入っていませんが、それぞれのポケットに番号がふってあります。そのポケットには同じ番号のカードしか入れることが出来ません。これを指定ポケットと言います。ページをどんどんめくって下さい。すると』

「むむ」

『その番号がないポケットにはどんな番号のカードでも入れることが出来ます。それをフリーポケットと言います。指定ポケットは“No.000”から“No.099”まで100コあります。それに対し、フリーポケットは45コです』

「むむむ」

 

『指定ポケットに入る“No.000”から“No.099”までのカードをコンプリートすること!!! それがこのゲームのクリア条件です』

 

「クリア……クリアするとなんかご褒美とかあるのか? 例えば、そう! イータの好感度がMAXまで上がるとか!」

『はい。このゲームを見事クリアなさいますと、クリア報酬として――なんと!!! コンプリートした指定ポケットのアイテムカードから3つを選んで、現実世界に持ち帰り、使用することが出来るようになります!!!』

 

「『…………』」

 

「何だ……。魔王倒して超絶美人のお姫さまと結婚出来るとかの方がよかったな」

『……選んだものによっては、それに匹敵する、あるいはそれ以上の幸運を持ち帰ることが出来ることを約束します』

「マジで! ……あ。ちょっと待った!」

『?』

「――あのさ。俺ってこのゲームに4人で参加……つーか、他にもプレイヤーがいると思うんだけど、誰かがクリアしたら、ゲームって終わりなのか?」

『いえ。ゲームを続ける意志のあるプレイヤーが1人でもいる限り“G・I(グリードアイランド)”は終わりません』

「それって、クリアしても参加出来るってこと?」

『はい。ただし、一度クリア報酬を手にしたことのあるプレイヤーは、例え登録名を変えたとしても、もう一度クリア報酬を得ることは出来ません』

「クリアした人間の仲間がクリアするのはいいんだろ?」

『はい。クリア条件を満たしていれば、それは問題ありません』

「なるほど。じゃ、俺がクリアしたらゴン達がクリア出来なくなるとか、その逆もないわけだ」

 

『そうなります。――説明に戻りますが、アイテムは入手すると同時にカードに変わります。しかし、このままではカードとして本に納めることは出来ても、アイテムとしては使えません。なので、再びアイテムに戻したい場合は“ゲイン”の魔法を使います』

「ほう」

『但し! 一度“ゲイン”でカード化を解除されたアイテムは二度とカード化されませんので注意して下さい』

「ほほう」

『“ゲイン”で一度カード化を解除したアイテムは二度とカード化出来ないと言いましたが、あと2つ! カード化出来ないケースがあります。1つはそのアイテムの“カード化限度枚数”がMAXになっている場合です!』

「ほうほう」

 

『“カード化限度枚数”とは、あらかじめこの島に存在するアイテムに設定されたシステムで、その上限値に達した場合、他のプレイヤーはたとえそのアイテムを発見し手に入れてもカード化することが出来ません!』

「その場合は交渉だとか、通常とは別の方法でカード化されたアイテムを手に入れる必要があるわけだな」

『その通りです! そしてもう1つ、カードを手に入れてから1分以内に本に納めなかった場合です! その場合、カードは自動的に解除され、アイテムに戻ってしまい、この場合も二度とカード化は出来ません!』

「なるほど……よくわかったぜ! で、この本はどうやって消すんだ?」

『本を消したい場合はもう一度“ブック”と唱えて下さい。――では、これらの点に十分注意して、本の完成めざし、がんばって下さい』

 

「任せろ! ――じゃ、ゲームスタート!」

 

『あ、最後に最も重要な注意点です』

「……まだあるのか。まあ、イータと一緒にいられるならそれはそれでいいけども」

『もしもプレイヤーが死んでしまった場合、本と指輪は破壊され中のカードは全て消滅しますので御注意下さい』

「あ、そういうのは大丈夫だから」

『それでは、早速ゲームを開始していただきますが、今までの説明が“G・I(グリードアイランド)”の全てではありません。詳しい情報はゲームを進めながら御自分で入手して下さい。――それでは健闘をおいのりいたします。そちらの階段からどうぞ』

「おお! じゃ、またなイータ!」

『……はい。また』

 

「お。来た来た。おせーよ、スター」

「おお。みんな同じスタート地点からか」

「みたいね」

「じゃ、行こうよ!」

「ふーん、見渡す限り草原だな」

「ああ。――で、とりあえずどっちかに行こうと思ってるんだけど」

「俺はどっちでもいいぜ」

「うん。2人が決めていいよ」

「そーか? じゃ、どっちに行くかせーので」

 

「「ホイ!」」

 

「よーし、ジャンケン!」

 

「「最初はグー!」」

 

「くそォ」

「よーし! こっちへGOー!!!」

 

「で、どうだった?」

「え?」

「“ブック”! お前のセーブデータさ。カード何枚くらい入ってた?」

「それがさ。メッセージだけだったんだ」

「マジ? 何かヒントもなし? ――ってことは、結局、ゼロからスタートかぁ」

「うん。ジンはゲームを楽しめって」

「ゲームの中って実感は全然ないけどなー。“ブック”!」

「キルアはこのゲームのルール聞いてどう思う?」

「うーん。まだ全く未知数って感じだな。どうやって、アイテム入手するのかもわかんないし。とにかくまずは情報収集しないと」

「町の発見だね」

 

 

「――ということで、オレの他にやりたい奴はいるか? 1プレイヤー側が埋まってるから、あと3人だ」

「団長、オレを連れて行ってよ。あと、シズクとコルトピ」

「えっ、私?」

「ボクも?」

「……ちょっと待てよ。オレだって興味あるぜ。暇潰しにはちょうどよさそうだ」

「ワタシもね。元々少し狙てたよ」

「あ。それは大丈夫。みんなが集まる前に話聞いてたからちょっと調べたんだけど、クリア目的のためにセーブしさえしなきゃ、全員でも入れるから」

「へえ、そうなんだ……」

「仮にクリアする場合でも、その場合はセーブ出来るプレイヤーがクリア条件満たせばいいだけだしね」

「そうか。それで何か気になることでもあるのか?」

「うん、まあね。あくまで、ハンターサイトやネットで得られる情報からの推測だけど……上手くハマれば“G・I”の全てを手に入れることが出来るかもしれない」

「……ほう。いいだろう。お前達は連れて行く。他は誰だ?」

 

 

~~中略~~

 

 

「どした?」

「上から音が」

「!」

 

「「「!!?」」」

 

「ここは……スタート近くの平原か。――ってことは、君達ゲームは初めてかい? ん?」

「さて、どうかな? 本を持ってるってことはあんたもプレイヤーだね」

「キシキシまぁね……ふーん、キルア君とゴン君、それにポンズちゃんとスター君か」

 

「「「「!!!」」」」

 

「(こいつ……気軽にポンズの名前を呼びやがって)」

「ねェ、何で名前がわかったの?」

「さぁて、何でかな~? ――あべしっ!!?」

 

「「「!!?」」」

 

「もったいぶってんじゃねェよ、てめェ! つーか、気軽にポンズの名前を呼ぶな!」

「ナイス、スター!」

「はぁ……」

「え、えー……さすがにいきなり殴るのはどうかと思うんだけど……」

「甘いぜゴン。こいつが何かオレらの知らないことで、いろいろ調べたり企んでたのは間違いない。ここで情報を得ておくべきだ」

「うーん、そーかなー……」

「てめ……」

「おっと。没収。何かアイテムでも使う気だったんだろーけど、そうは行かないぜ。知ってること全部話せ」

 

「……ふーん、“呪文カード”ねえ。その“衝突(コリジョン)”とかいうのを使って俺達の下に飛んで来たわけだ」

「あ、ああ」

「んで、“盗視(スティール)”でキルアのフリーポケット内を見たと」

「そうだ……」

「……どうやらそれがこのゲームの基本戦術みてーだな。他のプレイヤーが“ブック”を出したら、自分も出して、“呪文カード”による攻撃を“呪文カード”で対応する。知らなきゃ、一方的にされるトコだぜ」

「“呪文カード”の効果範囲は?」

「近距離呪文は、半径20m。遠距離呪文なら、島中どこでもだ……」

「“呪文カード”の入手方法は?」

「魔法都市マサドラで買うことが出来る……一袋3枚入りで1万ジェニーだ」

「OK。他に聞きたいことがある奴いるか?」

 

「――いや、ないぜ。あとはこいつのカード全部もらってくだけだ」

 

「ちょっと待って! そこまでしなくていいよ。カードは自分達の手で集めようよ」

「ゴン……」

「だって、そっちの方が絶対楽しいよ! 他のプレイヤーを襲って全部のカードを手に入れることが出来たって、そんなのクリアしたって言えないでしょ?」

「そうだな。つーか、それだと楽すぎるしさ」

「それは、あなたくらいでしょうけど……まあ、そうね」

「……何だよ。オレだけ悪者みてーじゃん! わかったよ。それでいいよ。主要な“呪文カード”の内容は覚えたしさ。直接危害を与えるものがないなら何とでもなるからな」

「じゃ、行こうぜ」

「オレ達に“呪文カード”使うようなマネするなよ。こいつ、20mくらいなら一瞬で詰めれるぜ。たぶんな」

「あ、ああ……

 

 

~~中略~~

 

 

「あ! あった! 街だよ!」

 

「懸賞の街アントキバ……だって」

「はぁー。これ全部、色んな商品がついてるんだね」

「しっかし、スゲー数だな……たずね犬、見つけてくれた方に“呪われた幸運の女神像”さし上げます、か。どっちだよ……」

「なあ、それってあれじゃね?」

 

「「「あっ!」」」

 

「追え! 追え!」

「――やった! 捕まえた!」

「このコを指定の場所に連れて行けばいいのね?」

 

「ありがとうございます。これがお礼の“呪われた幸運の女神像”です」

 

「「「「おー」」」」

 

「“呪われた幸運の女神像”ゲットだね!」

「でも、これがナンバーだろ? 三桁だぜ。クリア条件には関係ねーな」

「ゲーム的には売ったりすればいいんじゃないか?」

「そだな。フリーポケットは45コしかねーし、ホントのフルコンプはムリだしな」

「とりあえず、こんな感じでカードを集めればいいのね」

「うん。その辺の石とかでもカードになるし、おもしろいよね! ――あっ、あれ見て!」

 

「――アントキバ月例大会行事表か」

 

「9月はジャンケン大会だってさ」

「つーか、実際そうでも、ゲームの中が9月とは限んないじゃん」

「あ、そか。――スイマセン。今日って何月何日でしたっけ」

「9月10日だよ」

 

「……同じだね」

「だな」

 

「毎月15日開催か……9月の優勝賞品が“真実の剣”」

「あの賞品って重要なアイテムなのかな?」

「おそらくな」

「月一度しか手に入れるチャンスがない賞品が重要じゃないってこともないわよね」

「そっか」

「まあ、でも別にここでしか手に入らないとも限らないからな」

「あ、確かにそういう考えも出来るわね」

「5日後だけど……参加する?」

「当然。ジャンケンなら誰でもチャンスあるからな」

「参加するのはいいけど、それまでどうする?」

「じゃ、せっかくだから待つ間、いろんな懸賞に挑戦しようよ!」

「情報収集もしなきゃいけないしな」

「先に“呪文カード”手に入れた方がよくない? 5日あれば、マサドラに行って戻って来ることも出来るんじゃないかな? “再来(リターン)”を手に入れれば、それで戻って来ることも出来るしさ」

「あー、それもアリだな」

 

「「…………あ」」

 

「その前に何か食べよっか……」

「なら――腹ごしらえと情報収集と懸賞品。一石三鳥でいくか」

 

「30分以内に完食すればお代はタダ! さらに“ガルガイダー”プレゼント! ――それではスタート!」

「ねェ、オッチャン。月例大会ってどのくらいの人が参加するの?」

「ハハハ、しゃべってるヒマがあったら、急いで食べた方がいいアルよ。――まあ、その月によって違うアル。参加者が10人以下の月もアルし、逆に9月は誰でも勝つチャンスがあるから1000人以上集まるアル。ワタシも参加するアル」

「倍率1000倍以上かー」

「ところでさ。マサドラへの行き方って知ってる?」

「マサドラ? 何だそりゃ?」

「じゃあ、この街で一番もの知りの人って誰?」

「もの知り? 何だそりゃ?」

 

「「…………」」

 

「アイヤーやられたアル。見事、5分と10分と13分で3人共、完食!」

「……あなた達、よくあんなに食べられるわねー」

「商品持ってくるアル」

 

「あのオジサン全然、言葉知らなかったね」

「ちがうって、これはゲームの中なんだから、あいつはゲームのキャラクター。要するに特定の質問にしか答えられないキャラなんだよ。それ以外の質問や会話には“○△? 何だそりゃ”としか返答しないんだ」

「え? じゃ、どうするの?」

「ま、しらみつぶしに街の人、全員に聞いてくしかないかなァ」

「え~~~、そんな大変なゲームってあんの!!?」

「RPGは大抵そんな感じだと思うけどな」

 

「お待たせ。賞品の“ガルガイダー”3枚アル」

「“No.1217”……四桁かよ」

「こっちの“F-185”ってのは何のことかな? 他のでも気になってたんだけど」

「オウ、君達カード初めてか。異国の人アルか。左の数字はアイテムのカードナンバーで、右の方は、記号がアイテムの入手難度のことアル。難易度ランクは10段階あって、Fは下から3番目アル」

「3番目? Aの上があるってこと?」

「そうアル。Aの上はSとSSアル。記号の横の数字は、そのアイテムの“カード化限度枚数”のことアル」

「えーと、つまりこのアイテムカードは……」

「レアアイテムではないな」

「ま、そんな簡単にはそういうのは手に入らないでしょ」

「それもそだな。そいじゃ、ごちそーさま」

「アイヤ。待つアル。巨大パスタ。確かに、タダなった。でも他に注文したサンドイッチや飲み物は有料ね。2040ジェニーアル」

「あ、そっか。スター、金」

「ここでも俺にタカるのかよ、お前。――じゃ、これで」

 

「……何ソレ?」

 

「ん?」

「この島ではお金、この状態(カード)でないと使えないアル。それ、この島ではただの紙クズ」

「……マジ?」

「2040ジェニー! カードで」

 

「「「「「…………」」」」」

 

「――もしもし、ケーサツアルか?」

「わーっ! ちょっと待った!」

 

「くそー、金まで、カード化してんのかよ。さっき手に入れたの、どっかで売っときゃよかったんだよ!」

「そういや、襲ってきた奴の本のフリーポケットに金が入ってた気がするな」

「今更すぎる情報ね……」

「“呪文カード”とかのことばっか気にしてたもんね。でもさ、おつりってどうするんだろーね?」

「え?」

「だって、フリーポケットの数って45コしかないでしょ?」

「あ」

「端数は捨ててくしかないな。万札だけフリーポケットに入れといてさ」

「何かそういう財布的なカードとか、システムがあるんじゃないの?」

 

「……かも。どっちにしてもまだまだここの情報がいるみてーだ。それまでは結構シビアに入手アイテムとかしぼらなきゃなんないかもな。それ以前にこのゲームで、基本的にどうすれば金が手に入るのかもわかんないけど。何せスターの金が使えねーからな」

 

「元から俺に頼るなって!」

「普通はどうすんの?」

「ま……モンスターを倒すと、もらえたりすんだけど」

「え? 何で怪物がお金持ってんの?」

「オレに聞かれても知らねーよ」

「無視すんな!」

 

「コラー! ちゃんと働くアルー!!!」

 

「「「「はーい!」」」」」

 

 

~~中略~~

 

 

「もう少しあの店で働けば、お金、稼げたんじゃない?」

「ヨークシンの後でよくそんな気になるな、お前は。オレ達4人で皿洗い1時間して2040ジェニーだぞ。オレはやだ」

「天空闘技場みたいなトコがあればいいんだよな」

「だよなー。ゲームなんだし、カジノの一つくらいはありそうだけど」

 

「……交換(トレード)ショップってトコで、カードを金に出来るみたいだな」

「じゃ、今持ってるのは全部金にしちまおーぜ。このままじゃメシも食えないし、ホテルにも泊まれない。当然、マサドラ行っても“呪文カード”なんて手に入れられねーしよ」

「そうね。さすがに石ころとかは交換出来ないと思うけど」

 

「“呪われた幸運の女神像”10万ジェニー、“ガルガイダー”3枚で9万ジェニーね」

「おー。思ったよりいい額になるな。10万ジェニーのカードとかあるのな。それに、メシ食うときあそこで食えば、3万ジェニー手に入るじゃん」

「そうだね!」

「……毎回あの量を食べようって発想になるあなた達にビックリだわ。いつものことだけど」

「だけど、金の心配はそこまでしないでもよさそーだ」

「だな。とりあえず島の地図手に入れよーぜ。マサドラへの行き方もわかんねーしさ」

「お金は店に貯金すると、盗まれる心配がなく便利だぜ」

「あ? 聞いてねーよ」

「デフォルトで言うよーになってんじゃね」

「どうする?」

「……それっておろす場合どうすんのさ」

「入金した店からおろせるぜ」

「そこだけかよ! 使えねー。移動したら無意味じゃん」

「まだ、フリーポケットには全然余裕あるし、止めとこうか」

「そうだな」

 

No.100:島の地図:G-400:島の形だけが示されている地図。実際に行ったり、情報を仕入れることで、中身が自動的にうまっていく魔法の地図。

No.101:島の地図:D-70 :街や地名などが細かく記載されている地図。特産情報や、おすすめスポット、裏道マップなどお得情報、満載!

 

「20000と650000か……」

「どっちに、する?」

「100番!」

「……つーか、そっちしか買えねーもんな」

「だって、自分で埋めてった方が楽しいじゃん」

「このポジティブ小僧が……」

「私ならお金を貯めてでも情報が記されてる地図なんだけどね……」

「そんな堅実さが――」

「以下略」

「(魅力的)――って、略された!!?」

 

「ありがとうございましたー」

 

「“ゲイン”!」

 

「「「「…………」」」」

 

「うーん、やっぱ、これじゃ、わかんないな」

「シソの木ってのがスタート地点よね?」

「まあ、この地図にはそことアントキバしか載ってないからなぁ」

「聞いてみようよ」

交換(トレード)ショップでは情報も売ってたわよね」

「戻るか」

 

「マサドラの場所なら3000ジェニーになります」

「高ーよ。少しまけろよ」

「3000ジェニーになります」

「これもか……」

「もう、それでいいわよ」

 

「――この街から山を越えて、北へ80km程、まっすぐ行くと湖がある。その湖沿いに北西へ向かえばマサドラに着くハズだ。途中2つ小さな町があるから、そこで休むといい」

「80kmなら急げば、1日で着くよな」

「ハンター試験の時のマラソンを思い出すわね」

「あっ、そんなこともあったな」

「そこまで生きて、たどりつけばな」

「?」

「山は山賊の棲み家があって、旅人は身ぐるみはがされる。運良く、山賊に遭わなくても、山を越えた先は、怪物がワンサカ出るからな」

 

「山賊!」

「怪物!」

 

「――よーし、ガゼンRPGっぽくなってきたぜ!」

「見たい、見たい、怪物! 早く行こ!」

「ちょーっと、待った! それなりに時間経ってるし、行くなら明日の朝になってからの方がいいんじゃない?」

「えーっ! 早く見たいよ、怪物! ポンズだって、“幻獣ハンター”なんだから興味あるでしょ」

「それはそうだけど……ううん、だからこそよ! わざわざこうして注意してくるんだから、危険な生物だっているハズ。時間的な余裕くらいは持っておくべきよ!」

「……ま、正論かもな」

「うー……でもー」

「いいじゃんか。その分、今日はこの街の懸賞関係見て回ろーぜ。ゴンも挑戦したがってただろ」

「あっ! そっか、そっちもあった! うん! だったら今日はいろんなの挑戦して、明日はマサドラに行って、怪物を見よう!」

「……何か、マサドラに行く理由が違う気がするけど……ま、いっか」

 

 

~~中略~~

 

 

「メシも食ったし、そろそろマサドラに――」

 

「キャアアア!」

「ウワァァ」

「ヒイッ」

 

「「「「!!!」」」」

 

「何があったんだろ!」

「!」

 

「異国の者だ」

「むごいのォ……」

 

「異国の者って……プレイヤー?」

「ねェ、何があったの?」

「突然体が爆発したんだ。内からボーンとよ!」

「!」

「消えた……!」

「現実世界に戻ったんだろ。(ゲームオーバー)さ」

「“念”かな……?」

「多分な。昨日の奴の話じゃ、“呪文カード”にプレイヤーに直接危害を与えるものはないハズ。さすがに普通の爆弾ってこともねーだろ」

「――“爆弾魔(ボマー)”だよ。プレイヤー狩りさ」

 

「「「!!?」」」

 

「……あんたは?」

「お前らと同じプレイヤーだ」

「プレイヤー狩りって?」

「このゲームには“カード化限度枚数”ってシステムがあることは聞いただろ? しかも貴重なカードほど、その数が少なくなる。つまりプレイヤーが増えれば増えるほど、限りあるカードが自分に回ってくる確率が下がるってことさ」

「逆に言えばプレイヤーが減れば減るほど、カードの配分が増えるってことか」

「ああ。それで、あんな残虐な真似をする過激な連中が出てくる。オレ達は逆……数で勝負し、決して血は流さない」

「?」

「――オレ達と組まないか? 確実にゲームクリア出来る方法がある……!」

「確実にゲームクリア出来る……!!?」

「ああ。興味があるならついてきてくれ。この先にオレの仲間もいる」

 

「(どうする?)」

「(う~ん、ウサン臭いな。こいつがそのプレイヤー狩りじゃないって保証もないんだし、オイシイ話にはのらない方がいいと思うけど)」

「(私も同感ね……)」

 

「男の誘いに興味はない!」

 

「「「…………」」」

 

「いや、断るのはいいんだけどさ……」

「君達は昨日から参加したプレイヤーだろう?」

「もしかして、スタート地点でオレ達を見てた1人?」

「ああ。監視と勧誘……それがオレの任務だからな。君達はいきなりのことでありながら、他のプレイヤーを撃退するということをしてみせた。だからその場で勧誘したくもあったが、慎重を期して、1日ひととなりを見せてもらった」

「ふーん。でも、そりゃそっちの都合だろ。オレ達は別に他のプレイヤーの力を必要としてない」

 

「――今日、あらたに19人のプレイヤーが参加してきた」

 

「!」

「それって……」

「ああ、バッテラの審査に通った奴等だな……!」

「知っていたか。さっき殺られたのも、その中の1人だ」

 

「「「!!?」」」

 

「まだ、ゲームに参加してから数時間もたってないだろ……!!?」

「それがこのゲームの危険度だ。情報の足りない初心者は絶好の標的と言うわけだ。君達は最初から4人で行動しているから少しはマシだろうが。このゲームでの情報は生死に直結する。そして、オレ達ならその正しい知識を与えることが出来る」

 

「「「…………」」」

 

「オレ達は今日参加した連中にも声をかけている。そいつらも含めてオレ達の狙いをこれから広場で詳しく説明するつもりだ。仲間になるかならないかはその話を聞いてから判断してくれていい。どうだ? 話だけでも聞く気になったかい?」

「行ってみようよ。情報はいっぱい、あった方がいいよ」

「う~ん、まあ……広場なら」

「男の誘いは――」

「はい。面倒だから、あなたは黙ってて」

 

 

~~中略~~

 

 

「これで全部か、あの2人組は?」

「アッサリ断られた。話も聞かないそうだ」

「そうか。じゃ、始めようか」

「今、あっちで1人プレイヤーが殺られた。君達と時を同じくして来た人物だ」

「!」

「この4人も見ていた。腹がふっとんでたよ。“爆弾魔(ボマー)”だ」

「筋肉質のがっちりした黒髪の奴だよ」

「奴か……」

「まず君達が一番心配していることを解決しておこう。彼の死は“呪文カード”によるものではない。このゲームの呪文の中には人を殺傷する類のものは一つもない。ゆえに君達がかけられた呪文で負傷したり、ましてや死ぬことなどありえない」

 

「(他の人達もオレ達みたいなことがあったのかな?)」

「(ああ。それで呪文をくらったんだろーな)」

「(天空闘技場の洗礼みたいなものね)」

「(確かにそんな感じだな)」

 

「呪文は全部で40種類! 攻撃型、移動型、防御型など様々だが、君達が受けた呪文は調査型に属するもの……“追跡(トレース)”か“密着(アドヒージョン)”のいずれか。一言でいうと、呪文をかけられたプレイヤーは情報を奪われる」

 

「(ここら辺は聞いた通りだな)」

「(うん。要は貴重なカードを手に入れたら、それを察知して現れて、“強奪(ロブ)”とかで奪って行くんでしょ?)」

「(それの危険なのがプレイヤー狩りだな)」

 

「このゲームが世に出て、すでに10年以上……状況はどんどん悪化している」

「……3つ」

「?」

「このゲームでアイテムカードをゲットする方法は大きく分けて3つ。わかるか?」

「自分で探す!」

「ああ、それが1」

「他のプレイヤーと交換する」

「そう。それが2」

「そして、3が他プレイヤーから奪うか」

「その通り。なかなか優秀だな。細かく分ければ、まだあるが、大きくはこの3つ。しかし、その3つの内の3番目……奪う者が急激に増えている。自力で探すこと、交換することをやめた者達の増殖……原因は入手難度と“カード化限度枚数”という制度!」

 

「――相手を殺してしまったら指輪は消滅し、カードは奪えない。当初このルールはプレイヤー同士の殺し合い防止が目的だったハズ。しかし、状況がどんどん煮つまり、ヤバイ連中が台頭してきた。おそらく今は末期……!」

「オレ達がその状況にピリオドを打つ!!! 同志を募り、ゲームを攻略する!!! ――協力してほしい」

「方法は? カードを得る方法は大きく分けて3つ。1、自力探索。2、交換。3、奪取。どれに入るんだ? 聞かなくても察しはつくがな……」

「……3だ」

「厳密にいえば1、2、3。全部使うが、とくに3が重要ってことだろ」

「何だよ。じゃ、結局腕ずくで奪うのか!!?」

「違う! 少なくともオレ達は暴力を使わない!!! あくまで大別すれば“奪う”という表現の中に入ってしまうということだ!!!」

「じゃ、一体どうやって他人のカードを取るんだ!!?」

「だからこれから説明……」

「呪文。呪文で奪う。だろ?」

「もしかして来たことあんのか?」

「初めてさ。だが、少し頭を使えばわかることだろ」

「正解だ。呪文を使ってカードを集める!!! 全40種類の呪文の中には攻撃と防御の呪文がある。カードを奪う呪文。それを防ぐ呪文があるんだ。その呪文カードを、オレ達が独占する……!!!」

 

「――おそらく、今回の勧誘で仲間集めは打ち切る。勝負に出たら約1ヵ月……それで必要なカードは全て集まる……!!!」

「どうする? イエスかノーか」

 

「報酬は? あんた達、肝心なトコをいってないだろ。ゲームをクリアしたらその報酬はどう分けるんだ?」

「説明しよう。君達、バッテラ氏の依頼で、ここに参加したんだろ」

「承知の上での勧誘か……」

「ああ。20人近くのプレイヤーが一気に参加することなどそれ以外に考えられないからね。オレ達もそうだ。バッテラ氏に雇われプレイしている」

「ゆえにクリア報酬は500億!!! それを仲間全員で山分けする」

「あとで揉めないように明言しておくが、君達一人一人の取り分はおそらく2億前後になるだろう。5年前の計画当初から参加していた10人で200億。残りの300億を、役割の危険度や参加してからの長さなどで大小をつけて分ける」

「――今回で仲間の募集は打ち切り。オレ達、監視・勧誘要員もカードの収集にあたる。そうすれば“呪文カード”の集まりは飛躍的に早まる。目標までの残り500枚前後の“呪文カード”。遅くとも2ヵ月で集まる。つまり、あと3ヵ月でクリア……!!!」

「3ヵ月か」

「もちろん仲間に入ってくれたら、君達に、今かかっている呪文も解除する。呪文にかかったら一度ゲームの外に出ないと解呪出来ないんだ。呪文以外に自力でゲームを脱出するためには、ある場所に行き、ある条件をクリアする必要がある」

 

「(それが出来ない奴等が未帰還者ってわけか……)」

「(仮に彼らがそのための“呪文カード”をすでに独占、あるいはほぼ独占状態なら、私達も帰るためにはその方法を使うしかなくなるわね)」

 

「入るぜ」

「!」

「開始時に説明を聞いてて思ったことだが、これではっきりしたぜ。このゲームを確かに単独……あるいは2、3人でクリアしようと思ったら、何年がかりになる。500億が2億になるのは正直キツイが、3ヵ月でクリアっていう期限付きなのは 魅力だしな」

「あんたはどうだい?」

「……一つ聞くが、自力でオレが貴重なアイテム……例えば、入手難度SSのアイテムカードをゲットしたとして、それを“仲間”に提供したら、少しは報酬が上がったりするのかい?」

「もしもSSランクのカードなら5億で取り引きしている」

「OK。入ろう」

「――さて、君達はどうする?」

 

「「「「…………」」」」

 

「オレはいい。自力でプレイするから」

「ま、そうなるわよね……」

「リーダーがそう言うんでね。オレもパス!」

「ちょっと待て! リーダーなんていつ決めたんだ!」

「そこ突っかかるなよ」

「あんたもか?」

「当然だろ。3ヵ月で2億を稼ぐためにそんなクソつまらなそうな作業なんてやってられるかよ。俺達はこのゲームを楽しみに来たんだぜ?」

 

「君はどうする?」

「……」

 

「ま、結局そーゆーことだよな。オレ達とじゃ楽しみ方が違いすぎる」

「うん。こわいのはゲームじゃなくてプレイヤーの考え方だよ。他の人を傷つけてまでカードをとろうなんて」

「それをやりかけたオレが言うことでもないけど、状況が違えばオレはアリだと思うぜ」

「キルア、本気で言ってんの?」

「だからこそのハンター専用ゲームだろ?」

「でも……」

「殺しはなしさ。オレだってそこは賛成だよ。でも、例えばプレイヤーが互いにカードを1枚ずつ出し合って、ルールを決めた上での戦闘で勝った方が相手のカードをもらえるってのはどうだ?」

「あ、アリだ」

「な? これも大別すれば奪うってことだけど。ただの力ずくとは全然違うだろ? ――ま、とにかく、あんな奴等放っといて、オレ達はもっとゲームを楽しもうぜ」

「……うん! キルア、ありがと! キルアと一緒にここに来れて……ううん、キルアと会えて、オレ本当によかったよ!」

「やめろよバカ。恥ずいだろ」

 

逆だよ。

 

「なんで? オレ、ホントにそう思ってるんだよ!!!」

 

ゴン、オレなんだ。

ゴン、オレ。

お前に会えて、本当によかった。

 

「私達、お邪魔じゃない……?」

「俺達もイチャイチャすればいいだけだぜ!」

「しない」

 

「なるほど、怒ったのはそーゆーワケ。――それにしてもいいわねェ。若い男のコの無垢な友情。なーんか、ムチャクチャにしてやりたい気分……!!?」

 

手を出したら、潰す。

 

「……フ、私が気圧されるとはね。あのコ達の保護者ってわけか。でも、イヤがられると逆にかまいたくなるのよねェ。――彼、イケメンだしね」

 

 

~~中略~~

 

 

「――よーし、出発!!!」

 

「待って下さい!」

「あ、確かあの時いっしょにいた……」

「はいっ、あの……」

「私を仲間に入れて下さい!」

「あーごめん。ムリ」

「ど……どうしてですか!!?」

「ジャマだから」

 

「――」

 

「ちょっと言いすぎよ」

「だって事実だろ。あっちから行ってみっか」

「あ、うん」

 

「はっ――待って下さーい! 足手まといにならない様にがんばりますから! ちょっと……待って……コノ、待ちやが……って下さーい!」

 

「北にまっすぐ行けば目的地、んで、途中、山賊に気をつけろってことはだ」

「北にまっすぐ行けば、山賊に会えるってこと?」

「正解。ゴンも、大分ゲーム語がわかってきたじゃん」

「へへー。……で、どうする? アレ」

 

「――」

 

「ほっとけほっとけ。山賊が出たらドサクサで撒けばいいよ」

「それは、ちょっとヒドすぎない?」

「何言ってんだよ。あいつだって“念”能力者だぜ。やばかったら逃げるくらい出来るだろ」

「……あなたは何も言わないのね」

「ん?」

「女の子が相手なのに」

「年上すぎるからな」

「年上? 年下じゃなくて?」

「ん、ああ。そういや、そだな。何で俺、年上って言ったんだ?」

「……頭、大丈夫?」

「ヒドイ心配をされた!!?」

 

「思ったよりついてくんなァ……」

「うん。オレ達けっこうとばしてるよね」

 

「「「「!」」」」

 

「山賊……!」

 

「「(闘るか!)」」

 

「「「助けて下さい!!! お願いします!!!」」」

 

「「――」」

 

「島の風土病です。微熱から始まって、徐々に高熱になっていき、遂には死にいたります。その期間は約1ヵ月」

「対処法は薬で熱を抑えるしかありません。しかし薬の効き目は約1週間。それが切れると、また熱が上がると言った具合で、この薬がとても高く、もう我々の手元には1銭もありません。すでに全員が病にかかり、満足に山賊業も出来ない始末」

「……それはむしろ出来なくていいんじゃないの?」

 

「(伝染病……?)」

「(っていう設定だろ。あくまで)」

 

「このままではこの子は2、3日中に死んでしまいます! 何とかお金を恵んでいただくことは出来ないでしょうか!!?」

 

「(これも……ゲーム語だよね。訳すとどうなるの?)」

「(金をくれればお得なアイテムとか、情報とか提供しますよってことだな)」

 

「えーっと、いくらくらいあればいいの?」

「村中かき集めたのですが、どうしても200000ジェニーほど足りなくて」

 

「(……ほぼ、あり金全部……だよね)」

「(多分、事前にこっちの経済状況わかってんな)」

「(ここで、お金使うと“呪文カード”買う分がなくなりはするけど……)」

 

「あのっ、あたし、半分くらいなら何とか出せますけど」

「あーいいから。ちょっと黙っててくれる?」

「(こいつ……)」

「……わかりました。200000ジェニーお渡しします。いいよね?」

「ああ」

「そうね」

「好きにしろ」

「本当ですか!!?」

「ううっ、ありがとうございます。何とお礼を言っていいか」

「はい」

「本当にありがとうございます。これでこの子も助かります!」

「う……」

「!!? どうした息子よ!」

「寒い……寒いよ父さん」

「しっかりしろ! 親切な旅の方がお金をくれたぞ! 明日には薬が手に入る。がんばれ!!!」

「寒いよ……寒いよ……」

「ああっ、何てことだ! このまま体が冷えてしまったら、この子は今夜中にも死んでしまう! こんなとき子供服があれば!!!」

 

「「…………」」

 

「あのーオレの服でよかったら」

「おおっ、本当にいいのですか!!? あなた方はまるで天使のようだ!!! いくら言葉を尽くしてもこの気持ちは伝えきれません!!!」

「いや、お礼なんていいんで(情報かアイテムよこせって)」

 

「「「「「…………」」」」」

 

「なんもなしかい!!!」

「これはあれね。人助けに見返りは求めてはいけないという教訓的な」

「くそー、なめやがって」

「ホントに身ぐるみはがされたね。一気に一文無しかー」

「まー、でも、山降りればようやく怪物が出るからな。怪物、倒して、カード化して交換(トレード)ショップで売ればガンガン金は貯まってくハズだしな」

「いよいよ本格的なバトルが開始するわけだね」

「マサドラ行って“呪文カード”買って、月例大会までに戻らないとな」

「ま、お手並み拝見させてもらうぜ」

「こっちこそ。修行の成果、見せてもらうよ」

 

 

~~中略~~

 

 

「おおっ」

「山を抜けたね」

「岩石地帯か。怪物もそうだけど、敵プレイヤーの不意打ちも警戒しないとな。――行くぜ!」

「うん!」

 

「「うおおおーーー!!?」」

 

「いきなり出るレベルの敵か!!? これがよ!」

「ひーふーみーよー、すごい沢山だよ!」

「一気に危険地帯ね……!」

「ポンズ、怖いなら俺の腕の中に!」

「そういう状況じゃないって!」

 

「わっ(すごい風圧! 直撃くらったらヤバイかも)」

「(ゴンのパンチでもダメージなしか……何発当ててもきりねーな。数も多いし、一匹につき一撃で動きを封じるには)――ゴン!!! 目を狙え!!!」

 

『グオォオオ!』

 

「――“ブック”! 納めないと無駄になるぞ!」

 

「えいっ!」

「そりゃ!」

「ていっ!」

「やあっ!」

 

「ビンゴ!!! 目が弱点だ!」

「しかも、こいつら攻撃パターンが2通りしかないよ!」

 

「……ふうん。動きには無駄が多いけど……なかなかだね。そして……あれは1人モノが違うな……」

 

「ふん。みかけ倒しだったな」

「何匹かカード化から戻っちゃったね」

「別にいいだろ。こいつらだけでフリーポケット埋めても仕方ない」

「“一つ目巨人”……これで難度Gみたいね」

「ああ。でも、いけるぜ……! 怪物にちゃんと弱点とクセがある。こっちが冷静に理詰めで対処すれば、正解にたどりつけるよう設定されてる。山賊のときはかなり不安になったけど」

「ジンがつくったゲームだもん。まっとーに決まってるよ」

「ハイハイ、そーだったな。――よーし! この調子でマサドラ目指すぜ!」

「オー!!!」

 

「「どわーーー!!?」」

 

「大きい……! ナニコレ!!? カエル! トカゲ!!?」

「――こんにゃろ! って全然効かねーよ! マジビクともしねー!」

「さっきのみたいに弱点があるんじゃないのっ?」

「トカゲの弱点なんて知るかよ! あーもー、ちくしょー! スター、何とかしてくれ!」

 

「おりゃ!」

 

「……一撃かよ」

「“メラニントカゲ”……難度Eだってよ」

「E!!? あれで!!?」

「マジかよ! Aランクくらいあんのかと思ったのによ!」

「弱点は背中にあるホクロ。押されるだけで気絶するって書いてある。“ブック”!」

「だー! そんなんわかるかよ!」

交換(トレード)ショップとかで情報を仕入れておけばよかったのかも」

「あー、そーゆーヤツね。……まあ、スターには弱点とか関係なかったけど」

 

「!」

「あれ……! ゴン!!!」

「大丈夫。ぜーんぜん痛くない。こいつ弱いよ!」

「けど……」

 

「「「速い!」」」

 

「(ダメだ、反応しきれない……!)」

「ぐっ」

「くそ~~~!」

「とにかく、つかまえなきゃ!」

「楽々GET」

「くぬっ……こいつムカつく……ってもう一匹いるぜ!」

「スター今度は手を出さないで!」

「“マリモッチ”……難度D。弱点とかは書いてないな。自分達でどーにかするしかないみたいだ」

「上等!」

 

「――あっ、逃げやがった! 待て、くそ!」

「あー、もうちょっとだったのにィ!」

「うーん……これは……」

「けど、まぁ、あんな奴ばっかの方がマサドラに早く着いていいな」

「そうだね」

 

「「「(シャボン玉!!?)」」」

 

「くっ」

「わっ」

「きゃ」

 

「――逃がすか!」

「スター、捕まえたのか!!?」

「ああ。“バブルホース”難度Cだ」

「今のがC? どういう基準なのかよくわかんねーな」

「やっぱ、捕まえづらさじゃないの? このシャボン玉、威力はないけど、音と爆風は凄いし、気を取られるとすぐ逃げられる」

「? 何か赤い方は触っても割れないね?」

「ダミーかな? それとも特定の条件下で発動するのか……とにかく、先に進もーぜ!」

「うん!」

 

「わっ、またかよ!」

「トカゲ! でも今回は弱点がわかってるよ!」

「おお! スター、オレ達がやるからな!」

「はいはい」

 

「……結構。時間かかっちゃったわね」

「斑点が多いんだよ!」

「変な動きしてるのはわかったんだけどね」

「次また出たらスターがやれよ! オレ、トカゲはもーいい!」

 

「おわー!」

 

「こいつ何もしないね」

 

「蜂! ポンズ、何とかしてくれよ!」

 

「また、効かねー! スター!」

 

「お」

「今度は手強そうだね」

「これは正統派かな」

「んー?」

 

「“凝”!」

 

「?」

「あのコ、まだついてきてたんだ」

「ホラ、よそ見すんな! “凝”だよ! 出来るの!!? 出来ないの!!?」

「(出来るけど)」

「(何かあのコの雰囲気が全然……?)」

 

「「「!」」」

 

「見えただろ? その鎧の騎士は傀儡で、いくら攻撃しても効かないよ」

「(スターならぶっとばして終わりそーだけど……)」

「(こっちか!)」

「お」

「カードゲット! “リモコンラット”。難度Hだって!」

「“凝”出来るじゃないの。何で言われるまで、やらなかったの? ずっと見てたけど、あんた達、一度も使ってないよね?」

「いや……まぁ……な」

「うん」

「忘れてたわけね」

「怪物相手で“凝”が必要だとは思わなくて」

「そういう思い込みがダメなのよ」

「何やってんだ?」

 

「「「?」」」

 

「何ボサッとしてんだよ! あんた達も“凝”!!!」

「(一体何なんだよこいつ)」

「何が見えた?」

 

「「「数字の1」」」

 

「よろしい! いいこと? これからは私が指を一本たてたら、すかさず“凝”! そして何が見えたか大声で言うこと! それ以外にも何か怪しい雰囲気を感じたら、何をおいても“凝”! いいね!!?」

「何かこのまま同行するよーな流れだな……」

「そうだよ! 大体あんた、普段からずっと“凝”をやってるみたいだけど、何で全部力押しで解決してるのさ! 弱点とか完璧に無視じゃない!」

「いや、だって、倒せるから……」

「あんたがそんなだから、このコ達がそういう戦闘の初歩を覚えないんだよ!」

「俺のせいかよ!!?」

「そーよ! これからは私がコーチしてやるからね。特別にタダでいいよ。そのかわりビシビシ鍛えるから、そのつもりでね!!!」

「はぁ? 寝ぼけんなよ、オマエ、一体何を……」

 

「「数字の5」」

 

「正解! 2人は腕立て200回」

「あ?」

「罰ゲームだよ。早く! 遅かった奴がやるんだよ」

「つーか、俺もコーチするのかよ?」

「あんたはちょっと意識を改善するだけさ。今だって見えてたのにわざと言わなかっただろ」

「そんなの頼んでない……」

 

「いいからやれ!」

 

「ふざけんな誰が――ぶへっ!!?」

「わー、キルア!!?」

 

 

~~中略~~

 

 

「57才!!?」

「ババァじゃん!!! ――ぐはっ!!?」

「ホントに年上だったんだ……」

「やはり“ヒーロー”は誤魔化せない!」

「“念”を覚えて約40年! あんた達よりずい分先行ってるし、コーチしてやるって言ったんだから有り難く受ければいいだわさ」

「こっちの意向は無視かよ!!!」

「文句あんの?」

「当然だろ! 大体あんた何者だよ!!!」

 

「そうか。自己紹介がまだだったわね。あたしは“ビスケット・クルーガー”。プロハンター! よろしく!!!」

 

「ハンター……まあ、このゲームに参加してるんだからね」

「堅苦しいのは苦手だから、呼ぶときは“ビスケ”でいいわよ。そのかわり教えを乞う身としてあたしの言いつけは絶対守ること」

「だから、呼ばねーし、乞わねーよ! どんな奴かもわかんない人間にモノ教わるほどせっぱつまってないよオレ達。ゴンも何か言ってやれよ!」

「そーだね。オレ達にはウイングさんがいるしね」

「あ、そーだ。そうそう。確かにスターは教えるのに向いてないけど、オレ達にはちゃんと別に師匠がいるからいいよ! その人以外に教わる気ないね!(ウソ)」

「師匠? ウイングって今言ったけど、もしかして、ひよっこウイング? メガネをかけた寝グセボウヤでしょ? 服の着方をいくら注意しても直らない、あの」

「知ってるの!!?」

「知ってるも何もあたしの教え子だわよ。ウイングは」

「へェー、すごいや」

「……」

「あいつが師匠とは驚いたわねェ。月日の経つのの早いこと。ま、ウイングは覚えが悪い分、教える方には向いてるかもね。あ、てことは、あんた達もプロハンターなんだ?」

「あ、キルアは違うけど」

「裏試験でしょ?」

「そう」

「懐かしいわね。また、試験官やってみたいもんだわ。ま、あんた達にしてみたら、師匠の師匠なわけだから、教わるのに何の不足もないでしょ?」

 

「……確かに資質はあるね。今の話が本当ならだけどさ」

 

「なかなかガンコだわね。ま、好きだけどそーゆーコ。ただ……“ブック”!」

「?」

「あ! オレ達が戦ってきたの全部ある!」

「あんた達より強いのは間違いないわ。そして、あんた達は最初の巨人以外は自力攻略出来なかった」

「トカゲもしたっつの!」

「あれはこいつに弱点を教えてもらってでしょ。あんた達がこれらのカードをゲット出来ないことが問題じゃないの。簡単にゲット出来る奴等がこのゲーム内に沢山いることが問題なの。あきらかに戦闘面であんた達より上の連中が山程いる」

「あ……」

「説明を受けた“爆弾魔(ボマー)”とかいう奴然り、その中に邪悪なプレイヤーがいて、この時点で遭遇して、こいつと分散させられたらあんた達死ぬよ。それでも現状はさし迫ってないって言える?」

「……」

「ま、言ってることは間違いじゃないわね……。この世界では“念”じゃなくても“呪文カード”っていう一定の効果を出せるものがあるわけだから……相手も人数がいた場合、対処しきれない可能性は否定出来ない」

「そだね」

「そもそも、私達だっていつも一緒にいるわけじゃないもの」

「それは遠回しにいつも俺と一緒にいたいと――」

「違うから」

 

「……わかったよ。しゃーねーな。あんたのコーチを受けてやる――ってーな! 殴るなよ!」

「堅苦しいのは苦手だけど、せめて教わる側のポーズくらいはとりなさいよ」

「ちっ……」

「教わるのは別にいいけどさ。まずはマサドラに行くぜ? そのあとはアントキバの月例大会にも参加する」

「あー、ジャンケン大会ね。まあ、それくらいはいいわよ。但し、そのあとはずっと修行するわよ」

 

 

~~中略~~

 

 

『最初はグー! ジャンケン!』

 

「「ポン!」」

 

『優勝決定ーーー!!! キルア選手おめでとうォーーー!!!』

 

「イエス!」

「く~、左かァ。まさか決勝でいきなり両手を使ってくるなんて思わなかったよ」

「対ゴン用の秘密兵器。名付けて“スイッチ必勝法”! ……ま、スターが参加してたら後出しで、対応出来ちまうけどな」

 

『おめでとう! 優勝商品の“真実の剣”です!』

 

「! 見ろよ、ゴン」

「カード“No.83”! 指定ポケットのカードだ!」

「オッケー、まず1枚ゲット! 早速、“複製(クローン)”使っとこうぜ! 枚数ないけど、初めての指定ポケットカードだしな!」

「うん! あ、アレはどうする?」

「使っちまおう。あいつらが求めてるだろうし、Sランクのカードなんて持ってたら狙われやすい」

「そうだね。誰に使う?」

「ゴンでいいぜ。“複製(クローン)”した方はスターに渡しとこう。あいつならそうそう不覚取らねーだろうし。……多分」

「あ、でもそれなら、“複製(クローン)”はあとで使った方がよくない?」

「なんで……って、ああ! そうな。その方がいいかもな!」

 

「会場からずっと尾けてきてるな」

「うん。予想通りだね。大会だったから、オレ達がこのカードを手に入れたのは大勢に見られてたしね」

「つっても、問題ねーけどな」

「“堅牢(プリズン)”が出たのはツイてたわよね」

「この先は手に入りづらくなるだろーけどな」

「まあ、でも、放っておけばいいと思うぜ。仮にあいつらがゲームクリアしても、それで終わるわけじゃないみたいだから、それならそれで、そのあとに解放されるだろ」

「あ、そうなの?」

 

「最初の説明で聞かなかったか?」

 

「うん」

「だったら、俺が質問したから教えてくれたのかもな。別に隠すような情報でもないだろうから」

「ま、結構前のゲームだからな。ゴンがプレイする前にクリアする奴が出てゲーム終了なんて可能性も考えれば、そうなるだろ」

「そっか」

「他に何か質問したことってあんの?」

「ん、彼女の名前とか」

「そういうのじゃなくて!」

「……」

「そうだな……あ。ゲームクリアすると、指定ポケット内のアイテム3つ選んで持って帰れるって」

「え、それって現実にってこと?」

「ああ」

 

「……なるほど。それがあのバッテラって奴が狙ってることかもな。クリア報酬に500億出すわけだぜ。この“真実の剣”だって現実ではかなりのお宝だぜ。それがBランクだ。SとかSSならよっぽどのモンってことだろ」

「どっかで目当てのアイテムがあるってことを知ったのね」

「だろうな」

「あたしの目的もそれだわさ」

「そうなの?」

「ま、もちろん500億も欲しいけど、ここにしかないって石があるらしいんでさ」

「石?」

「宝石か?」

「そう。指定ポケットカード“No.81”、“ブループラネット”。あんた達は?」

「あ、オレ達もゲームクリア目的だけど。実は、このゲーム、オレの親父とその仲間が作ったものなんだけど」

「へェー」

「その親父を探してて、手掛かりを得るためにここに来たんだ」

「ふむ」

 

「ジン・フリークスって言うんだけど、知ってる?」

「ジン!!? そりゃあ、知ってるわさ。有名人だからね。そぉお、あんたの父親なの。残念ながら居場所の手掛かりになりそうなことは知らないわねェ。ただ、ネテロ会長が言ってたんだけど、“念”能力者としては間違いなく世界の5本指に入るって話だわさ」

 

「「!」」

 

「それにしても……見てるだけで襲ってこないね」

「オレ達が人数いるからかもな。こんなトコでこそこそやってるような奴等だしな。――お」

 

「そんな奴等だけだと思って欲しくないな。ここからが本当の決勝戦なんだぜ?」

「……“ブック”!」

「遅い! “窃盗(シーフ)”、使用(オン)! ゴンを攻撃! “真実の剣”を奪え!」

「無駄だよ」

「何っ!!?」

「“堅牢(プリズン)”、手に入れちゃってたんだよね」

「まさか!」

「んで、こういう状況ならさすがに今度はこっちの番だよな?」

 

「「“窃盗(シーフ)”、使用(オン)!!!」」

 

「「「“掏摸(ピックポケット)使用(オン)!!!」」」

 

「――しまっ!」

「よっしゃ! スター!」

「速っ――マズイ! 距離を詰めろ!」

「遅いぜ。“同行(アカンパニー)”、使用(オン)! マサドラ!」

 

「よっし! カード5枚ゲット! うち2枚は指定ポケットカードだぜ!」

「他プレイヤーに襲われた場合の対処方法、ちゃんと考えておいてよかったわね」

「ああ。カード効果にのとった、この方法ならゴンも納得したしな」

「それだとオレがワガママばっかり言ってるみたいなんだけど」

「実際そうだろ」

「おい、あんまり気を抜くなよ。追ってきたら同じ手で今度はアントキバに飛ぶ!」

 

「「「「「…………」」」」」

 

「……来ないね」

「リスクを考えたんだろーな。オレ達が奪ったカードがダブりとかだった可能性もある」

「まあ、もう“窃盗(シーフ)”はないし、別にいーか」

「で。どーだった? オレの方はクズカードだ。ランク的にはそこまで悪くねーけどさ」

「オレのも」

「私も」

「やっぱ、そこまで上手くいかねーか……。本命の2人は?」

「あたしは……“No.27”、“顔パス回数券”って書いてあるわさ。ランクはB」

「おー。どんな場所でも入れるって書いてあるぜ。なんかそーゆーイベントがあったらアイテムとしても使えそーだな」

「スターは?」

「……これは!!?」

「な、何だ!!? スゲーレアカードでもきたのか!!?」

 

No.021:スケルトンメガネ:B-27:物が透けて見えるメガネ。メモリで強弱の加減が出来る。唯一、魔法都市マサドラの“呪文カード”の袋だけは透かすことが出来ない。

 

「「「「…………」」」」

 

「――ゲイ」

「没収!!!」

「あーっ! 男のロマンが!」

「何か言った?」

「い、いえ……何も言ってません」

 

「(こえー)」

「(ねえ、ポンズ、何であんなに怒ってるの?)」

「(わからないならそのままでいーわさ)」

 

幕間劇に興じよう

そこに貴方の探し物がある

けれど気軽に手にしてはいけない

それは眠れる蜂を起こす合図になるだろう

 

「くっ……今日は9月15日! 9月の第三週! あの占い、こういうことか!!?」

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