毒の華、そして悪意の花~Fleur de Poison et de fleurs malveillants,   作:おわる美砂

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今回はマリアさん無双()


唇は災いのもと

一日目の夜が明け、朝がやってきた。

朝食を終えた月慈がトランクを開けてみれば、もう既に昨日の死体はそこになかった。

マリアがどうやら「処分」しらたしい。

詳しいことを彼女は語らないが、ソレを知ったところでどうしようもないのもわかっているので、月慈は特に聞くこともなかった。

その後、マリアはその車でカレンを健診のためにかかりつけの産科へ、月慈は袈裟姿から長袖のロングワンピースに着替え、頭にはストールを巻いた格好で雪路を学校まで送る。

登校時間の付き添いも、一応警護の一環だ。

下校時間は七星の部下の2人がメインで行っている。

…あのスーツ姿の男二人が、小学生の女児と手を繋いで歩いている姿は、ちょっとというか結構セウトな部類に見えてしまうのが残念なところだ。

実際一回くらいは職質に引っかかりかけたという話を、マリアから又聞きした時はさすがの月慈も失笑してしまった。

通学路を一緒に歩く内に、だいぶ月慈に慣れたらしい雪路はあれやこれやを必死に話し続ける。

 

「あー、もう着いちゃった!」

「そうですね……あとはお家に帰ってきたら聞きますよ。」

「約束だよ?いってきまーす!」

「いってらっしゃい。」

 

月慈の言葉にぱあっと顔を明るくさせた雪路は、ぶんぶんと大きく手を振りながら昇降口へと走って行く。

友達らしき女児が何人か、彼女の周りに集まっている。

そんな光景に目元をゆるめ、暫く眺めたあと月慈は元きた道を戻っていく。

通学路にはまだまだ小学生があふれている。

それらを見れば、かつて自分を姉と慕っていたあの研究所の小さな被験者たちを思い出す。

あの中で生き残ったのは最年長だった自分と、まだ10歳だったイリスというコードネームで呼ばれていた少女だけだった。

イリスは今、ロシアの養親の元で幸せに暮らしているということをU-NASAを通じて聞いたことがある。

それでいいと、月慈は思った。

 

「……さあ、帰って…家事のお手伝いをしなくては…。」

 

そう呟くと、頭の片隅に蘇った過去を振り払うように軽く頭を振って、月慈は足早に進んでいく。

 

□□□

 

マリアは車を走らせていた。

そして、ちらっとルームミラーに視線を向ける。

先程からピタリと、背後からついてくる車が一台。

 

(白昼堂々とは…よっぽど腕に自信があるのかしら?)

 

そんなことを苦笑しながら考え、マリアは車をどんどん人気のない方へと走らせていく。

暫く行くと、開けた野原に出る。

そしてそこは、行き止まり。

 

「さて。」

 

マリアは飄々とした様子で車から降りる。

その顔には焦りなど浮かんでいない。

いつものように、穏やかな笑みだけが浮かんでいる。

先ほどの車もやってきて、そして止まる。

車の中から男が4、5人出てくる。

自分たちが優位なのを分かってか、全員何処かニヤニヤとした笑いを浮かべている。

 

(おバカさん。)

 

そう思いながらマリアはおもむろに後部座席の戸を開く。

そこに、彼らの目的であるカレンは……いない。

途端に彼らがざわつき始める。

 

「詰めが甘すぎるんじゃない?女二人にならそんなに注意深くしなくてもやれる…なんて命取りなんじゃないかしら。」

 

簡単な事だ、途中で七星たちにカレンを引き渡したというだけ。

こちらをナメきっていたのか、自信過剰なのかは不明だが、彼らはソレを確認すらしていない。

 

「じゃ。」

 

にこっと笑ってマリアは胸の前で腕を交差させる。

その両手には、短剣が数本握られている。

 

「ここで死んでもらうわ。」

 

その言葉に一瞬固まるも、男たちは怒号を上げながらマリアに向かっていく。

 

「はあ、ただの自信過剰だったみたいね?」

 

ため息を漏らしながら、マリアは素早い動きで飛び退き、手にした短刀を一本向かってくる男に投擲する。

一番前の男は難なく避け、にやっと笑うが、その後ろでぎゃっと短い悲鳴が上がる。

振り向けば、後ろから来ていた一人の眉間にその男が避けた短刀が深々と突き刺さっている。

ぎょっとしてマリアの方を向いた瞬間、目の前にマリアがいる。

避けようとするが、マリアの手が動くほうが早かった。

 

「これで2人。」

 

手を凪ぐように動かせば、その男の首が掻き切られ噴水のように血を吹き出しながら倒れる。

血を浴びたマリアは残りの男たちの方へゆらりと振り向く、何かを飲み込むような動作をしたが、ソレが何を意味するかもう彼らは考える暇などなかった。

目の前の女を殺さなければ、自分が死ぬ。

 

「そっちから来ないならこっちから行くわよ?」

 

その言葉と同時に、マリアは走りだす。

英国式のロングスカートタイプのメイド服だというのに、嫌に身軽な動きだ。

ソレに怖気づいた1人は背中を向けてしまい、そこを投擲で狙い撃ちにされた。

 

「ふっ…ざけんな…あぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

己を奮い立たせるように雄叫びを上げながら、もう一人がマリアに突撃する。

 

「あら、いいわよ、そういうの!」

 

そう言いながら、男の拳をひらひらと躱す。

たまに頬をかすめるが、それでもマリアの表情は変わらない。

 

「はい、おしまい。」

 

何度かの攻防の末、マリアはその男の胸に短刀を突き立てた。

そして残る一人に視線を向ける。

 

「おかしいだろ……!」

 

男が漏らす。

 

「お前は暗殺者だろ…!そんな派手な殺し方…、」

「普通はしないわよ?でも…これは見せしめみたいなものだから。」

 

くすっと笑いながらマリアはその男に近づく。

足がすくんで動けない、男は絶望した。

 

「…貴方は別な方法にしたげる。」

 

そういうと、マリアは足がすくみ動くことの出来ない哀れな相手をじっと見つめ、その頬に手を添える。

片手で無理やり唇を開かせ、そしてもう片方で舌を引っ張りだす。

 

「!!?」

「…あまいみつ。」

 

にや、と妖艶な笑みを浮かべると、マリアはその開かせた口の真上でだらんと舌を垂らす。

つうと、マリアの口から一筋唾液が垂れ、それが相手の口へと流れこむ。

そして有無をいわさず、無理やり口を閉じさせる。

 

「んんんん!!!」

「さ、ごっくんして?」

 

暫く口を押さえていれば喉が動くのが見えた。

 

「私の毒を教えてあげる。」

 

マリアは蒼白な顔の男の耳元で囁いた。

 

「胃腸障害、おう吐、下痢、不整脈、頭痛、めまい、重症になると心臓機能が停止して死亡することがあるんですって。……あら、もう聞いてない?」

 

その場に吐瀉物を撒き散らす相手を見ながらくつくつと笑い続ける。

 

「ここってかなり街道から離れてるし、地元の人もあまり来ないらしいわ。」

 

そう言いながら、マリアは毒が回って苦しむ相手をずるずると引きずり、相手らが乗ってきた車に押しこむ。

他の死体も一緒に。

 

「此処においていくわね、上手く隠しておくわ。」

 

そう言いながら、無理やり木々の間に車を突っ込ませる。

 

「他の死体に囲まれながら、じわじわ死んでいって頂戴。」




終わり(!)

死体処理?ジョン・ヘイグかな(え)
唾液飲ませるシーンはもっとエロくしようかと思ったけど、本気だすとR15じゃなくなる気がするからやめた
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